転生者と灰被りのお姫様   作:アイリエッタ・ゼロス

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Judgement

 5月2日

 

 朝から全生徒は体育館に集められていた。俺の周りにいる生徒達は朝からの

 朝礼が面倒だの、飛び降りの話などと話をしていた。

 

「....朝から何なんだろうな?」

「さぁな....」

 俺も隣にいる蓮とそう話していた。すると、壇上に校長が上がった。

 そして、話し始めたのはこの前の鈴井の事だった。若者には命の大切さをもっとよく

 わかって欲しいなどという体裁の良い言葉を並べていると、急に体育館の扉が開かれる音が

 聞こえた。生徒達の全員が音の方を見ると、そこには鴨志田がいた。

 

「か、鴨志田先生!? どうしてここに....!」

 校長は鴨志田が現れたことに心底驚いていた。他の生徒達も鴨志田の突然の登場に

 ザワザワし出した。

 

「私は....生まれ変わったんです。だから、今ここで皆さんに全てを告白しようと思います....」

 鴨志田はそう言うと、重い足取りで体育館の壇上に上がった。そして、ゆっくりと話し出した。

 

「私は、教師としてあるまじき事を繰り返してしまいました。生徒への暴言、部員への体罰....

 そして、女子生徒への性的な嫌がらせ....鈴井 志帆さんが飛び降りたのは、全て私が原因です!」

 鴨志田はそう言いながら地面に跪いた。

 

「私はこの学校を、自分の城のように思っていた....気に入らないというだけの理由だけで、

 退学を言い渡した生徒も何人もいます....もちろん、それは撤回します....何の罪の無い青少年を

 酷い目に遭わせて本当に済まなかった....」

 鴨志田は手を地面につけていた。

 

「私は傲慢で、浅はかで....恥ずべき人間、いや、人間以下だ....死んでお詫びします!」

 そうして鴨志田は、俺達に向かって土下座をした。その様子に周りはザワつき、スマホで

 写真を撮るやつも現れた。

 

「鴨志田先生! 取り敢えず降りて!」

 この状況がマズイと思ったのか、校長は鴨志田を壇上から下ろそうとした。教師達も

 生徒を解散させようとしたその時....

 

「逃げるな!」

 高巻が鴨志田に向かってそう叫んだ。

 

「志帆だって....死にたいほどの事件の続きを、ちゃんと生きてる! アンタだけ逃げないで!」

「....その通りだ。全くもってその通りだ。私は、キチンと裁かれ罪を償うべきだ....」

 鴨志田は身体を震わせながら頭を上げた。

 

「私は、高巻さんにも酷いことをしました....鈴井さんにポジションを与える事を条件に、

 高巻さんに関係まで迫りました」

 それを聞いて、生徒達は更にザワつきだした。

 

「私は今日限りで、教師の職を辞して自首いたします....どなたか、警察を呼んでくれ!」

 鴨志田はそう叫んでその場にうずくまった。

 

「っ、朝礼は終了します! 解散! 解散して!」

 教師達は慌てて生徒達を解散させようとした。だが、生徒達はそれどころではなく、鴨志田の

 変貌ぶりについて話していた。そして、その中から怪盗団の話も出ていた。

 

 〜〜〜〜

 

「何だか、凄いことになりましたね....」

「まぁな」

 朝礼が解散した後、俺はすみれと体育館の外で話していた。

 

「これからどうなるんでしょうか....」

「さぁな....だが、少なくともかなり重い処分になるのは間違いないだろうな。

 数年に渡ってやってきたんだ。よくて終身刑、悪くて死刑だな」

「まるで、因果応報ですね....」

「そうだな。....ま、とにかく後のことは警察に任しておくだけだ。ここから先は

 俺達が踏み入るべきじゃないからな」

「分かりました。....ひとまず、先輩の退学の件が無くなって安心しました」ふぅ

 すみれはそう言って安堵した表情になった。

 

「あぁ....だが、捜査は振り出しだけどな」

「あ....確かにそうですね」

「....アイツに情報聞きに行くか」

「アイツ....?」

 俺の言葉に、すみれは首を傾げた。

 

「そういえば、すみれには協力者の事を言っていなかったな」

「はい。協力者がいる事自体が初耳です」

「悪いな....あ、そうだ」

 俺は一つ、良い事を思いついた。

 

「すみれ、GW中時間はあるか?」

「GW中ですか? ちょっと待ってください....」

 すみれはそう言って携帯を見始めた。

 

「えっと....5月5日なら一日何もありません」

「5月5日か....じゃあその日、良かったら飯にでも行かないか?」

「ご、ご飯にですか?」

 すみれは少し驚いたように聞いてきた。

 

「あぁ。協力者の紹介と、少しすみれには話しておかないといけない事があるんだ」

「話しておかないといけない事、ですか....」

「あぁ。少し、俺自身の事についてな」

「先輩の....分かりました。じゃあ5月5日は空けておきますね」

「っ、そうか。ありがとな」

「いえ。ご飯、楽しみにしていますね!」

 すみれは笑顔でそう言ってきた。

 

「あぁ。じゃ、とりあえず教室に戻るか」

「はい!」

 そう言って、俺とすみれはそれぞれ教室に戻った。

 

 

 

 

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