転生者と灰被りのお姫様   作:アイリエッタ・ゼロス

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Who is she

 4月12日

 

「(人多いな....)」

『まぁ雨だしな』

 俺は駅で電車を待っていた。今日は朝から雨がかなり降っていたので

 駅のホームも昨日より人が多かった。

 俺は携帯をいじりながら電車を待っていたら....

 

「あの、すいません」

「はい?」

 後ろから声をかけられた。

 俺が後ろを向くと、そこにいたのは昨日の赤髪の女の子、芳澤 すみれだった。

 

「やっぱりあなただったんですね! よかった、間違ってなくて....」

「お前は昨日の....」

「昨日は色々とありがとうございました。本当は昨日言おうと

 思っていたんですけど、新体操の練習があって....」

「いや、別に気にしてない。それよりも、あの後大丈夫だったか?」

「あー....まぁ、少し怒られてしまいました」

 そう言って少し苦笑いをしていた。

 

「まぁ、そうだよな....」

「先輩も怒られちゃいましたか?」

「少しだけな。てか、何で俺が先輩って事を....」

「昨日、あなたが二年生のクラスに入っていくのを見たんです。

 それで、私よりも先輩なんだってわかったんです」

「そうだったのか」

 そう言って話していたら、いつのまにか電車が来ていた。

 

「ひとまず電車に乗るか」

「そうですね。また遅刻はマズイですし....」

「それは言うな....」

 そう言って俺と芳澤は電車に乗った。

 だが、人が多いということもあり俺と芳澤の距離はかなり近かった。

 

「体勢大丈夫か?」

「はい。お気遣いありがとうございます」

 そう言っていたが、電車が動き出す揺れで胸に飛び込んできた。

 

「ひゃっ!」

「....大丈夫か?」

 俺はとっさに背中に手を回した。

 

「は、はい....」///

「....そうか」

「(すげぇ近い....)」//

 俺は自分のやってる事を改めて考えると顔が熱くなってきた。

 

「(早く着いてくれ....)」//

 

 

 

 〜渋谷駅〜

 

 数十分すると、ようやく渋谷駅に着いた。

 俺と芳澤は学校への道を歩いていた。

 

「はぁ、人が多かったですね」

「そうだな。まぁ、今日は雨降ってるからな」

「それもそうですね」

 そして、俺達は昨日パレスに繋がった道を歩いていた。

 

「....あの、昨日の事覚えていますか」

「....そういえば、話すって言ったな」

「はい」

「....今日の放課後、時間はあるか?」

「放課後ですか? 今日は大丈夫です」

「わかった。じゃあ屋上に来てくれ。その時に全て話す」

「わかりました。....あ! そういえば、まだ自己紹介をしてませんでしたね」

 芳澤は思い出したようにそう言った。

 

「そう言われると俺もだな。....俺は露崎 櫂だ」

「私は“芳澤 かすみ”です。よろしくお願いしますね、櫂先輩」

 俺の目の前にいる彼女は笑顔でそう言った。

 

「芳澤 かすみ....?」

「(どういう事だ。芳澤 かすみは既に亡くなって....)」

「あの、どうかしましたか?」

 俺が考え込んでいるのを、彼女は不思議そうに聞いてきた。

 

「....いや、何でもない」

「そうですか?」

「あぁ....」

「じゃあ早く行きましょう、櫂先輩!」

 そう言って彼女は歩き出した。

 

「....フォルセティ」

『言いたい事はわかってる。携帯を貸せ』

「頼んだ」

 俺は物陰から出てきたフォルセティに携帯を渡した。

 

『昼休みまでに一度調べ上げておく』

 そう言うとフォルセティは姿を消した。

 

「(一体、どういうことなんだ....)」

 俺はそう考えながら、学校の方へ歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今の気配....まさか』

 その時、俺は上から見下ろしているフォルセティの視線に

 気づかなかった。

 

 

 

 

 〜昼休み〜

 

「それで、何かわかったか?」

 昼休み、俺は屋上に来ていた。

 

『あぁ。亡くなったのは芳澤 かすみに間違いない』

「じゃあ、芳澤 かすみってのは....」

『嘘だろうな。そもそも芳澤 かすみには泣きぼくろがあるはずだし

 茶髪の筈だ』

 そう言ってフォルセティは、携帯の画面を見せてきた。

 画面には、新体操の大会の表彰式の写真が写っていた。

 

「....本当だな」

『さて、問題はあの女が嘘をついた理由だ。理由もなく、死んだ自分の姉の

 名前を使っていると思ったが、それは考えにくい』

「何か、もっと大きい理由がある....」

『そう考えるのが必然的だ。それで他にも色々調べてみた結果、

 それらしい事を見つけた』

「それらしい事?」

『あぁ。昨日、芳澤 かすみは芳澤 すみれよりも優れた新体操選手

 だったのは見たな?』

「あぁ。大会とかでも優勝してて将来を期待とかされてるんだったな」

『そんな選手が誰かを庇って亡くなったら周囲の反応はどうなると思う?』

「....そういう事か」

 俺は、一つ心当たりがあった。

 

『さすが、元体験者は察しがいいな。おそらくだが、芳澤 すみれは

 その時のストレス、もしくはショックで自分を芳澤 かすみだと

 思っている可能性がある。だが、俺はその可能性は低いと思ってる....」

「低いだと?」

『実は、あの女から....』

 フォルセティが何かを言おうとした時、扉の方から誰かが階段を

 登ってくる音が聞こえた。

 

『チッ! タイミングが悪い....』

「ひとまず姿を隠せ。バレるとめんどい」

『分かっている』

 そう言うと、フォルセティは俺の中に戻ってきた。

 そして、扉が開かれて入ってきたのは....

 

「あれ、櫂」

「蓮か」

 同じクラスの蓮と、昨日のパレスにいた金髪だった。

 

「蓮、知り合いか?」

「あぁ。同じクラスの友達の櫂だ」

「露崎 櫂だ。お前は?」

「俺は坂本 竜司だ。よろしくな櫂」

「おう。よろしく竜司」

「てか、こんな所で何してんだ?」

「昼飯を食おうと思ってな」

「なんだ、俺達と同じか! なら一緒に食おうぜ!」

「別に良いぞ」

 そう言って、俺と蓮と竜司は一緒に昼飯を食った。

 

「なんだ、櫂も転校生だったのか」

「あぁ。初日に遅刻して蓮と一緒に怒られたわ」

「あっはっは! 何やってんだよ」

 そう笑っている竜司は、急に顔が真面目になった。

 

「そうだ。櫂にも教えとく。鴨志田に気をつけろよ」

「鴨志田?」

「あぁ。あいつに目をつけられたらヤバいからな。色々と

 悪い噂もあるからな」

「(鴨志田....パレスにいたシャドウどももそんな名前を言っていたな)」

「わかった。忠告どうも」

「おう、気にすんなって!」

 そんな話をして昼休みは終わった。

 

 

 

 

 〜昼の授業中〜

 

「(で、さっき何を言おうとしたんだ?)」

 授業を聞きながら、俺は脳内でフォルセティに話しかけた。

 

『....』

「(フォルセティ?)」

『....朝、あの女が名前を言った時、俺は感じた』

「感じたって何を?」

『....奴の体からシャドウの気配だ。それもかなり強力で危険な』

「(なっ!?)」

 俺はその言葉に驚きを隠せなかった。

 

「(シャドウって、そんなバカな!)」

『言っただろ。呪いのような変な気配がするって』

「(それがシャドウだってのか!)」

『あぁ、間違いない』

「(....何でシャドウってわかった)」

『あの女が名前を言った瞬間、呪いのような気配が強くなった。

 その気配は完全にシャドウと同じだった』

「(名前を言った瞬間....)」

 俺がそう言うと、フォルセティは真面目な顔でこう言ってきた。

 

『これはただの推測だが、おそらくシャドウによる洗脳で自分が

 芳澤 かすみだと思ってるんだろうな。そして、自分が芳澤 すみれって事を

 思い出さないようにシャドウが力を強くさせたのだろう』

「(....それが本当だったら、かなり危険なシャドウだな)」

『あぁ、その通りだ。だから、一度そのシャドウを女から引き離す』

「(引き離すって....策はあるのかよ)」

『あぁ。シャドウは芳澤 かすみって名前に反応して力を強めた。

 だが、芳澤 すみれ本人は気づいていなかった。おそらく、力を強めたと言っても

 そこまでの力だったからだろう。

 なら、シャドウの力が芳澤 すみれ本人にまでわかるぐらいに力を強めさせればいい。

 そうすれば芳澤 すみれはシャドウの力に耐えられなくなる筈だ。

 その瞬間、俺が"デリート"を使ってシャドウを引きずり出す』

「(....無茶苦茶な策だな)」

『だが、一番これが芳澤 すみれにも被害が出ない策だ。下手に

 "デリート"を放って芳澤 すみれの中で暴れられる方が最悪だ』

「(....それは、そうだな)」

『後はあの城のパレスの中に連れ込んで全力で叩き潰す。パレスに

 入るキーワードはわかっているんだろ?』

「(一応な....)」

 俺は既に城のパレスに入るキーワードがわかっていた。

 

『....なら決まりだな』

「(一つだけ約束してくれないか?)」

『何をだ』

「(芳澤に怪我だけはさせるな。あの子はただの人間だ)」

『....わかっている』

 そう言うと、フォルセティは俺の中に戻った。

 

「(強力なシャドウか....フォルセティが言うぐらいなら

 気を引き締めて行かないとな)」

 俺はそう考えながら授業を受けた。

 

 

 

 〜放課後〜

 

 俺は授業が終わるとすぐに屋上に来た。

 そして、俺はフォルセティと最終確認をしていた。

 

「....それで、俺は上手いことシャドウが出るように誘導したらいいんだな」

『あぁ。頼んだぞ』

「了解」

 確認が終わるとフォルセティは俺の中に戻ってきた。

 すると、屋上の扉が開かれた。

 

「あ、すいません! 遅くなって....」

「俺も今来たところだ。気にしなくていいぞ」

「そ、そうですか。よかったぁ....」

「....さて、じゃあ話そうか。あの世界について」

「はい。お願いします」

「....その前に、一つ良いか?」

「何でしょうか?」

「お前の名前、芳澤 かすみだったよな」

「は、はい。そうですけど....」

「....本当に、芳澤 かすみか?」

「えっ....?」

 俺の言葉に芳澤は困惑した。

 

「な、何を言ってるんですか? 私は正真正銘、芳澤 かす....」

「芳澤 かすみは、既に亡くなっているはずだ」

「そ、そんな訳ないじゃないですか! 私が芳澤 かすみなんですよ!」

「....」

「櫂先輩は何か勘違いしているんですよ! 亡くなったのは、私の妹の

 芳澤 すみれです! すみれは私を庇って亡くなったんです!」

「....それは、これを見ても言えるのか?」

 そう言って俺は携帯の画面を見せた。

 携帯の画面には、芳澤 かすみの事故の事が書かれていた。

 

「な、何ですかこれ....」

 芳澤は俺の携帯を見て固まった。

 

「....わかったか。芳澤 かすみは既に亡くなっている。お前は、自分が

 芳澤 かすみと思っているが実際は違う。お前の本当の名前は、芳澤 すみれ」

「私が、芳澤 すみれ....?」

 芳澤はそう言うと、頭を抑えて座り込んだ。

 

「うぅ! 何これ....頭が....!」

『櫂、今だ!』

「わかった!」

 俺はすぐに携帯のイセカイナビを開いた。

 

「キーワードは、鴨志田 卓、学校、城!」

 俺はすぐにキーワードを打ち込むと、周りの景色は歪み出した。

 そして、一瞬にして鴨志田のパレスに変わった。

 

「フォルセティ!」

『既にやってる!』

 俺がフォルセティの名前を呼ぶと、既にフォルセティは芳澤の周りに

 八色の魔法陣を展開していた。

 

『デリート!』

 フォルセティがそう言うと、八色の魔法陣は芳澤のもとで重なり

 白色の魔法陣に変化し光り出した。

 すると、芳澤の体から黒い何かが飛び出してきた。

 俺はすぐに芳澤に駆け寄った。

 

「おい! 大丈夫か!」

「私は....私は....!」

『キサマラ、ユルサレナイゾ! キサマラハ、アルジノジヒヲケガシタ』

 俺が芳澤を心配していると、飛び出してきた何かがそう言ってきた。

 

「主人の慈悲を汚しただと?」

 俺は芳澤を守るように前に立ってそう言った。

 フォルセティも、いつでも戦闘ができるように警戒していた。

 

『ソウダ。ソコニイルオンナハ、ジブンノセイデアネノヨシザワ カスミヲ

 ナクシタコトデ、ゼツボウカントザイアクカンデセイシンガホウカイシタ。

 ソレヲミタワガアルジガ、ジヒノココロデソノオンナヲヨシザワ カスミトシテ

 イキルヨウニニンチヲカエタノダ』

『お前、それがどういう事かわかってるのか』

『ソモソモ、コレヲノゾンダノハホカナラヌヨシザワ スミレホンニンダ。

 ソノオカゲデ、ヨシザワ スミレハツミノイシキヲワスレテマエムキニ

 イキテイル。コノゲンジツハ、ヨシザワ スミレニトッテシアワセナセカイダ。

 オマエタチハソレヲコワソウトイウノカ?』

「幸せな世界だと....ふざけた事抜かすんじゃねぇぞ!」

『ナニ?』

「おい、お前はそんな世界で良いのか」

 俺は後ろにいる芳澤 すみれに聞いた。

 

「....櫂先輩も聞きましたよね。私のせいでかすみは死んだんです。

 かすみの人生は私が全て奪ったんです! そんな私がこの世界で

 生きていく事なんて....!」

「....なら、かすみさんの思いはどうなる!」

「かすみの、思い....?」

「俺はかすみさんがどんな人かは全然わからない。だが、かすみさんは

 自分の命をかけてお前を守ったんじゃないのか?」

「....それは」

「そのお前が、自分を捨ててかすみさんとして生きていたら、かすみさんが

 守ったすみれはどこに行く!」

「っ!」

 俺がそう言うと、芳澤は目を見開いた。

 

「....すみれとして助けてもらった命を、無駄にするような事はするな。

 それはかすみさんに対する冒涜だ」

「....すみれとして」

「....少し考えてみろ。その間に、俺はアレを倒す」

 俺はそう言って、シャドウに向かっていった。

 

「行けるかフォルセティ」

『あぁ』

『オロカナ....』

「愚かかどうかはお前に決められる事じゃねぇんだよ!」

 俺はそう言って、ペルソナを召喚した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




出て欲しいペルソナとかいますか?
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