転生者と灰被りのお姫様   作:アイリエッタ・ゼロス

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At the time of awakening

「私は、一体どうしたら....」

 私は、自分のせいで姉の人生を奪ってしまった。

 そんな私に、先輩はすみれとして生きろと言ってきた。

 

「(無理ですよ....私がすみれとして生きる権利なんて....)」

 かすみが亡くなってから、周りは私を攻めた。

 それもそうだ。かすみは私と違って、大会なんかでも優勝をしていた。

 攻められるのは仕方がないと思っていた。

 そんな中でも、私の事を庇ってくれた人は何人もいた。

 だけど、それでも私の心は傷ついていき、いつのまにか私は

 かすみとして生きていた。

 

「(なのに、どうして櫂先輩はあんな事を....)」

 私の視線の先には、怪物と戦っている先輩がいた。

 

「(どうして....あれだけの攻撃を受けて、どうして立ち上がれるんですか....!)」

 先輩は怪物の攻撃を受けても何度も何度も立ち上がっていた。

 

『ソロソロゲンカイノヨウダナ』

「冗談はよせよ....まだ負けてねぇぞ!」

『フッ。ソモソモソコニイルオンナヲマモリナガラタタカウナドト』

「えっ....」

 今、あの怪物なんて....

 

『キヅイテイナカッタカ。ソノオトコハキサマヲマモルタメニワザト

 コウゲキヲウケテイタノダ』

「そんな....」

「余計な事を!」

 そう言って先輩はカードを投げた。

 だが、その攻撃はブロックされてしまった。

 

「チッ!」

「....どうしてなんですか」

「あぁ?」

「私と先輩は昨日知り合ったばかりなのに! どうしてそこまで私に関わるんですか!」

「....お前が、俺と似ていたからだ」

 先輩は、真面目な顔でそう言った。

 

「え....」

「俺も、お前と同じで兄貴を失った。それも、俺のせいでな。

 だから、お前がほっとけないんだよ」

『ホウ。ナラバ、キサマモヨシザワ スミレトオナジヨウニニシテヤロウカ?』

 そう言った先輩に怪物は攻撃を止めた。

 

「断る!」

『ナゼダ? ソノオンナトニテイタナラ、キサマモゼツボウカンヤザイアクカンヲ

 アジワッタノデハナイノカ? ワガチカラガアレバ、ソノザイアクカンカラ

 ノガレルコトモデキルゾ』

「....確かに、嫌ってほど味わったさ。だからって、その罪悪感から

 逃げたらダメなんだよ! そこから逃げたら、死んだ人が託してくれた思いは消えるだろ!」

「っ!」

「だから、俺はお前の誘いには乗らねぇ! 兄貴に託された思いを見失わないために!」

「託された、思い....」

「(そうだ....あの時かすみは....)」

 

 〜〜〜〜

 

「すみれ....あなたは、生きて....生きて、私達の願いを叶えてね....」

 

 〜〜〜〜

 

 

「そう、だ....」

「(かすみは、私に願いを託してくれていた....)」

 かすみは死ぬ間際まで、私との夢のことを覚えてくれていた。

 そして、最後に私に願いを託してくれた。

 

「(だったら、もう私は迷わない! 迷うわけには行かない!)」

『オロカナ....ジツニオロカナ。ミズカライタミヲモトメルナドト。

 ソンナカラダデ、タッタヒトリデナニガデキル』

 そう言って怪物は先輩に近づいて行った。

 

「先輩は、愚かなんかじゃありません!」

 私は知らないうちに大声でそう叫んだ。

 すると、怪物は動きを止めた。

 

「芳澤....」

『ナニ?』

「本当に愚かなのは私です! かすみの気持ちも考えずに、自分から

 罪の意識から逃げていた私の方が愚かだった! それに気づかせてくれた

 先輩を、愚かなんて言わないでください!」

『お前....』

『....リカイデキナイ。イタミカラニゲタノニ、ナゼフタタビミズカラ

 イタミヲモトメルノダ!』

「痛みを求めるんじゃない! 罪と向き合って、再び前に進み、かすみとの願いを叶える! 

 それが、私の本当に進むべき道です! かすみとして生きるのは、もう終わり!」

『....リカイ、フノウダ』

「そりゃそうだ! 人間ってのはなぁ、痛みを知ってこそわかるものがある! 

 痛みを知らなくなったら、そいつは人間じゃねぇんだよ!」

「先輩....」

『....モウイイ。ソコマデイタミヲモトメルトイウナラ、

 ココデキサマラヲケシテヤロウ!』

 そう言った怪物は胸の真ん中で力を溜め、光線を発射してきた。

 

『コレデキエルガイイイ!』

「させるか! フォルセティ! ヤマタノオロチ!」

 先輩がそう言うと、八つの頭を持った蛇と先輩とずっと戦っていた人は

 私達の前に立ち、光線を受け止めた。

 

「ぐっ....!」

『っ....』

「先輩!」

 光線が消えると、蛇は消えて先輩と男の人は膝をついた。

 

『オワリ、ダナ....』

「まだ、だ....!」

『こんな雑魚に、負けるかぁぁ!!』

「(見てる事しか出来ないの....! こんなにボロボロになるまで

 戦ってくれた先輩に、何も恩返しできないまま死ぬなんて....

 そんなの、認めたくない!)」

 その時、急に私の頭に頭痛が走った。

 

「うぅ....! 何っ、これ!」

 私は痛みで膝をつくと、急に頭の中に声が聞こえてきた。

 

『ようやく、気づいたようだね。自分が誰か、自分の進むべき道が。

 ....その道を進むことに、迷いはないかい?』

「....もう、迷わないって決めたんです! 迷って失うぐらいなら、

 私は自分の信じた道を貫き通します!」

『....その覚悟、見事だよ』

 そう言った声の主は一瞬だけ姿を見せた。

 

「(かすみ....!)」

『一緒に行こ、すみれ』

「(うん....!)」

 私は顔に着いた仮面を引き剥がした。

 

「来て! サンドリヨン!」

 仮面を引き剥がした瞬間、私は青い炎に包まれた。

 そして、私の背後にはガラスを纏った何かが現れた。

 

「っ! まさか....!」

『ペルソナか....!』

『我は汝、汝は我....貴女と、貴女の中にある彼女ごと....舞踏会の準備は、できていて?』

「もちろんです!」

『バカナ....ミズカラネガイヲステタトイウノカ!』

「捨てたわけではありません! 本当の、私の本当の願いを思い出しただけです!」

「言うじゃねぇか....! おい、フォルセティ! 俺らが膝をついてるわけにはいかねぇぞ!」

『同感だな!』

『....アルジノ、アルジノジヒヲムダニスルモノドモガァ!!』

「行くぞ芳澤!」

「はい!」

 

 

 〜〜〜〜

 櫂side

 

「フォルセティ、ランダマイザ! モト、マハタルカジャ!」

 俺は速攻で、敵にデバフと俺と芳澤にバフをかけた。

 

『ムダダ! コンナモノ....!』

「させません!」

 敵がデバフを解除しようとしたが、芳澤のペルソナによって防がれた。

 

『グォォ!?』

『どうなってる! さっきとは比べ物にならないほどダメージが効いてる....』

「....そうか! 奴は、芳澤の心とリンクしていたんだ!」

『芳澤の心と?』

「芳澤はさっきまで心に迷いがあった。だから奴は、その迷いを

 力に変えていた。だが、芳澤が自分自身で迷いを捨てたことで、奴の

 能力は全体的に下がったんだ。しかも、奴には今ランダマイザもかかっている」

『なるほど....だったら!』

 そう言ったフォルセティは足元に向かってダイヤモンドダストを放った。

 敵は避けようとしたが、さっきまでの様な俊敏な動きは出来ず、足元は凍った。

 

『よし!』

『グ!? ウゴキガ!』

「どうやら、終わるのはお前の方だな」

『フザケルナ! コンナトコロデオワルワケニハ....!』

「いえ、これで終わりにします!」

 そう言った芳澤の顔は、覚悟に満ちていた。

 

『ヨ、ヨセ! カンガエナオセ! キサマハミズカライバラノミチヲススムトイウノカ!』

「....進みますよ。それが、私の決めた道です! サンドリヨン! 剣の舞!」

「邪魔者はとっとと消えろ! クー・フーリン! ブレイブザッパー!」

 クー・フーリンとサンドリヨンの一撃は、敵を粉々に斬り裂いた。

 

『コウカイ、スルゾ....アルジノジヒヲケガスモノガァァ!!』

 そう叫ぶと、敵は消滅していった。

 

『....ようやく終わったか』

「あぁ」

「あの、せんぱ....」

 芳澤が何か話しかけようとした時、芳澤は膝から崩れ落ちた。

 

「あれ....? 体が....」

「初めてペルソナを召喚したからだろうな」

 俺はそう言って芳澤に肩を貸した。

 

「あ、ありがとうございます」

「ひとまず、ここを出るぞ。シャドウが近づいて来る前にな」

 そう言って、俺と芳澤は出口に向かった。

 

 

 〜〜〜〜

 

「....何とか出れたな」

「みたいですね....」

 俺と芳澤は屋上に戻ってきていた。

 

「あの、先輩。ありがとうございました」

 急に芳澤は俺に頭を下げた。

 

「どうした急に」

「先輩のおかげで、大切な事を思い出す事が出来ました。

 本当にありがとうございます!」

「....そうか。なら、俺も言った甲斐があったってもんだ」

 俺がそう言うと、芳澤は俺の前に立ってこう言ってきた。

 

「....先輩、今から私の言う事を聞いてください」

「なんだ?」

「私の名前は芳澤 すみれです。これからよろしくお願いしますね、櫂先輩!」

「....あぁ。よろしくな、芳澤」

「すみれです」

「えっ....」

「すみれって呼んでくれないと嫌です....」

「いや、それは....」

「....」じーっ

「....はぁ。わかったよ、すみれ」

 俺はすみれの視線に耐えきれずそう言った。

 

「はい!」

「(嬉しそうだな....)」

 すみれは今日一番の笑顔を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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