4月13日
「おはようございます、先輩!」
「おはよ、すみれ」
昨日、途中まですみれを駅に送った俺は、携帯の番号を交換して
駅で待ち合わせをしていた。
そして、やってきたのは髪の毛を下ろして眼鏡をしたすみれだった。
「その髪型と眼鏡....」
「これが普段の私です。....その、変ですか?」
「いや、そんな事ない。むしろ、知的に見えるな」
「そ、そうですか....! よかった....」
「よし、じゃあ行くか」
「はい!」
そう言って、俺達は学校に向かった。
「そういえば、今日は球技大会ですね」
電車から降りると、すみれがそう言ってきた。
「そういやそうだったな」
学校が始まって早々、何故か全学年が参加する球技大会があった。
「先輩って、バレーは得意ですか?」
「バレーか....まぁ、人並みぐらいにはな」
「そうなんですね。じゃあ、頑張って応援しますね!」
「おう!」
〜〜〜〜
体育館
「お、よぉ。蓮、櫂」
「竜司か」
「おっす」
俺は蓮と試合を見ていたら、竜司がやってきた。
「二人はまだ試合してないのか?」
「あぁ」
「この後だな」
「へぇー。じゃあ一緒のチームか?」
「そうだな」
「ま、頑張れよ」
そう言って竜司は俺達の隣に座った。
「....はぁ。つまんねぇワンマンショーだな」
試合を見ていたら、不意に竜司がそう言った。
「どういう意味だ?」
「鴨志田だよ。何が親睦を深めるためだ。お前が目立ちたいだけの
ワンマンショーをしたいだけで! あの体罰教師が!」
そう言った竜司の顔はイラついていた。
「....なら、ワンマンショーを止めたらいいだけだ」
「は?」
俺は竜司にそう言った。
「どうやってやるんだよ。まさか勝つだなんて言わないよな?」
「そのまさかだったら?」
「....冗談はよせよ。アイツは一応オリンピックの金メダリストだぞ」
「それが? 何年前の話だよ」
俺はそう言って立ち上がった。
「ま、見てろって。行こうぜ蓮」
「あぁ」
俺と蓮はコートに向かっていった。
「アイツら、マジで何する気だよ....」
〜〜〜〜
「(さてさてさーて、どうすっかねぇ....)」
俺はコートに立って動きを考えていた。
「(まぁ、無難にカウンターで抑えてサーブで点を稼ぐか....)」
そう思っていたら、試合が始まった。
「そりゃ!」
鴨志田が打ってきたサーブは俺の方に向かってきた。
しかも、そこそこ速い球が。
「(....この辺か)」
俺は球の軌道を読んで、サーブを打ち返した。
「なっ!?」
「「「「えっ....」」」」
「マジかよ....」
俺が打ち返すと、周りと鴨志田は固まった。竜司に至っては、口を開けて
驚いていた。
「蓮!」
「あぁ!」
俺はすぐに蓮の上げたトスが落ちる場所に向かって走り出した。
そして....
「オラッ!」
俺が打ったスパイクはコートに入り、俺達のチームに点数が入った。
「ナイストス」
「こんな感じでいいのか?」
「おう。完璧だ」
その状況に体育館にいた人間達は驚きを隠せていなかった。
まぁ、一人だけ例外はいたが....
「んじゃ、次はこっちがサーブか。頼んだぞ」
俺はそう言ってサーブの奴にボールを投げた。
「あ、あぁ....」
ボールを受け取った奴は、何故か少し怯えていた。
「(何に怯えてんだか....)」
〜数分後〜
「櫂」
試合は進み、現在同点になっていた。
そして、サーブは俺の番になった。
「(さて、ここでちゃっちゃと終わらせるか....)」
俺は少し下がり、助走をつけた。
そして、ボールを投げネットギリギリのところをめがけてサーブを放った。
球はそのままネットに当たり、相手のコートに入った。
「マジかよ....」
「この場面でネットサーブって....」
味方の奴らと相手の教師陣も動揺していた。
「だ、大丈夫です! ここを防げば私の番です。私が華麗に決めますよ!」
鴨志田は教師陣にそう言っていたが....
「(次なんてないんだけどな....)」
そう思いながら、俺はさっきとは逆サイドにサーブを放った。
サーブは綺麗にネットに当たって、ゆっくりと相手のコートに落ちた。
「し、試合終了....勝者は、生徒チーム!」
審判の声で、体育館は静寂に包まれた。
「ふぃ〜、終わった終わった」
「ナイスサーブ」
「おう」
そう言って俺は蓮とハイタッチした。
「で、では少し休憩を挟みます。教師陣の皆さんも休憩してください!」
何故か焦った審判がそう言って体育館にいた人間は、全員バラバラに動き出した。
「俺らも休憩、って....」
俺と蓮はさっきの場所に戻ろうとしたら、そこには眼鏡を外して髪をポニテに
したすみれがいた。
「櫂先輩、お疲れ様です! とってもかっこよかったです!」
「ありがとな、すみれ。てか、髪結んだのか」
「はい。運動する時にはこうしているんです」
「そうなのか」
「知り合い?」
「まぁな」
俺が蓮にそう言うと、急に竜司が立ち上がった。
「お前スゲェな! あんなにバレーできたのかよ!」
「たまたま上手くいっただけだ。最後のサーブなんて賭けに出ただけだ」
「いや、それでも十分凄いわ!」
「そうか?」
「この化け物め....」
竜司がそう言って呆れていると、蓮が竜司に何かを言った。
「そういやそうだな。悪りぃ櫂。ちょっと用があるから離れるわ」
「おう。じゃあまた後で」
二人は体育館の入り口から出て行った。
そして、俺はすみれから貰ったスポドリを飲んだ。
「悪いな」
「いえ、それぐらい気にしないでください。というか先輩!
人並みって言いながら凄く上手かったじゃないですか!」
「....すみれも竜司も驚き過ぎだと思うんだが」
「それだけビックリしたんです! スパイクもレシーブも普通に
やってた人の動きですよ?」
「バレーなんて体育の授業と遊びぐらいでしかやってないっての....」
「....本当ですか?」
「あぁ」
「まぁ、先輩がそう言うならそうなんでしょうね....」
すみれは少し呆れたようにそう言って立ち上がった。
「先輩、この後試合は無いですか?」
「あぁ」
「なら、少し付き合ってもらって良いですか? ....あの、昨日の事について知りたくて」
「....わかった。なら、屋上に行くか」
すみれの真剣な目を見て、俺はすみれと屋上に向かった。
〜〜〜〜
屋上
「さて、じゃあ何から聞きたい?」
俺は屋上の椅子に座って、すみれにそう聞いた。
「じゃあ、まずはあの世界について教えてください」
「わかった。....あそこは人間の認知によって成り立っている世界だ」
「人間の認知?」
「まぁ、心の世界とでも思ってればいい。あの世界は人間の認識を重要視されててな、
レプリカの銃や剣とかでもあの世界では本物のように扱う事が出来るんだ」
「な、なるほど....」
「....まぁ、想像はつかないよな?」
すみれの顔を見て、俺はそう言った。
「はい....」
「なら、今度異世界に行く時に見せる。その時に納得してくれ」
「わかりました」
「他に聞きたい事は?」
「あの、私から出てきたガラスの女性は何なんですか?」
「ペルソナの事か」
「ペルソナ?」
「あぁ。あれはペルソナって言って、自分の心の底にいる
もう一人の自分自身だ。昨日、すみれは自分自身と向き合ったから
それに心の底にいるもう一人の自分が答えて覚醒したんだ」
「じゃあ、あれは私自身とも言えるんですか?」
「そうとも言えるな。ペルソナが攻撃を受けたら、自分にもダメージが来る。
昨日の俺がそうだったようにな」
「....でも待ってください。もう一人の自分が覚醒って言いましたよね?」
「あぁ」
「じゃあ、先輩はどうして何体もペルソナを使えていたんですか?
昨日だけで15体は別のペルソナを出していましたよね?」
「....そこに気付くか」
すみれの観察眼の鋭さに俺は驚いた。
「俺の場合は特殊な事情があるんだ」
「特殊な事情ですか?」
「あぁ。まぁ、話すってなると時間がかかるからな。
それはまた時間がある時にな」
「わかりました」
「聞きたい事はこれぐらいか?」
「あ、あと最後に。こんなものが私の携帯に入っていたんです」
そう言ってすみれは携帯の画面を見せてきた。
「この赤いアプリ、いつのまにか入っていたんです。何か知りませんか?」
「イセカイナビか」
「知っているんですか?」
「あぁ。このアプリを使ったら、異世界に行くことができる」
「へぇ〜」
「ま、試しに次の機会に使ってみたらわかるはずだ。そういやいつなら時間がある?」
「えっと....明後日なら大丈夫です」
「よし、じゃあ明後日の放課後に屋上集合。その時にもうちょっと詳しく説明するな」
「はい! ありがとうございます!」
その時、俺の心の中で何かが弾けた。
「(この感覚は....!)」
俺が感覚の事を考えていたら、放送が鳴った。
「あ、閉会式が始まるみたいですね」
「....だな。じゃあ戻るか」
俺はひとまず感覚の事を置いておいて、すみれと体育館の方に向かった。
〜〜〜〜
放課後
「それじゃあ、お先に失礼します!」
「おう。また明日」
放課後、俺は靴箱のところですみれと別れた。
すみれは何やら用事があるようだ。
「(俺も土産買って帰るか....)」
そう思って靴を履き替えようとした時....
「おい、ちょっといいか?」
急に後ろから話しかけられた。
後ろを見ると、そこには鴨志田がいた。
「....何すか?」
「露崎、お前バレー部に入らないか?」
「は?」
「今日の試合、お前の実力を見て是非バレー部に入って欲しいと思ったんだ。
あの実力なら、すぐにでもレギュラーになれると思う。どうだ?」
「断る」
「なぜだ?」
「めんどいし....わざわざ自分から怪我をするような練習をする馬鹿な真似を
するのもなぁ。いや、体罰って言った方が良かったか? 」くくっ
「っ、貴様....!」
俺が笑顔でそう言うと、鴨志田は俺を睨みつけた。
「んじゃ、さいなら」
俺は鴨志田を適当にあしらって門の方に向かった。
〜〜〜〜
自宅
「ただいまー。生きてるか、フォルセティ」
『櫂か....半々といったところだ』
家に帰って自分の部屋に行くと、俺のベッドで寝ているフォルセティが立ち上がった。
フォルセティは、昨日の戦いでかなりのダメージを受けて動くことが困難になった。
さらに、俺の受けたダメージもある程度肩代わりしてくれていた。
「そっか。ゼリーとかなら食えるか?」
『あぁ、頂こう....』
そう言うとフォルセティはゼリーを食べ始めた。
「食ったら寝とけよ。俺は調べ物があるから」
『あぁ。....すまんな』
「気にすんな。謝らないといけないのは俺の方だよ」
『そうか....』
そう言って、俺は部屋を出た。
そして、俺は着替えてパソコンである事を調べ始めた。
「(カマかけて見たけど、あの反応....竜司の言ってた事、本当っぽいな)」
そう考えながら、俺はパソコンのキーボードを叩き始めた。