転生者と灰被りのお姫様   作:アイリエッタ・ゼロス

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Exploring with two people vol.1【Lust】

 4月16日

 

「....」

「先輩、これって....」

「めんどくさい事に....」はぁ

 俺とすみれは学校の掲示板を見ていた。

 そこには、昨日落ちた生徒が暴行を受けていたという事が書かれた貼り紙と

 ご丁寧にその現場を撮った写真があった。

 しかもその写真はわざわざ加工されて、暴行している男は俺の顔になっていた。

 

「おいおい、転入早々やらかしてるなぁ」ニヤニヤ

 すると、後ろからイラつく声で話しかけてきた奴がいた。

 

「....お前には言われたくねぇな。この性犯罪者」

「そんな証拠どこにある? 下手の事を言ったら自分の首を絞めるだけだぞ? 

 ま、お前は今度の理事会で吊るしてやるけどな! はっはっは!」

 そう言って笑いながら、鴨志田はどこかに行った。

 

「チッ....アイツ、マジで消してやろうか」

「お、落ち着いてください!」

 俺が舌打ちしてキレていると、すみれがなだめてきた。

 

「安心しろ。まだ本気でキレてないから」

「....そうですか。それよりも、これどうしますか?」

「放置でいい。下手に反応した方が面倒な事になる」

「わかりました」

「とりあえず放課後、パレスにコアを探しに行くぞ。

 昨日と同じ場所に来てくれ」

「わかりました」

 そう言って、俺はすみれと別れた。

 

 

 〜〜〜〜

 放課後

 

 昼休みに蓮や竜司に貼り紙の心配をされて、既に放課後になった。

 俺は昨日の待ち合わせの場所ですみれを待っていた。

 

「先輩、お待たせしました!」

「来たか。準備はいいか?」

「はい!」

「よし、じゃあ行くか」

 そう言って、俺はイセカイナビに単語を打ち込んだ。

 

 

 〜〜〜〜

 

「よし、とりあえず探索するか」

「はい。あ、そういえば....」

 パレスに入ると、すみれは何かを思い出したように拳銃を出した。

 

「すいません。これ、昨日返すの忘れてました」

「そういえばそうだったな。....てか、それすみれにやるよ」

「えっ?」

「昨日その銃を使いこなせてたからな。念の為の護身用にやるよ」

「い、良いんですか?」

「あぁ。俺からの信頼の証とでも思ってくれ」

「信頼の、証....!」

 俺がそう言うと、すみれは笑顔になった。

 

「わかりました! 大事に使わせていただきます!」

「おう。じゃあ行くぞ」

「はい!」

 そう言って、俺達は城に入った。

 

 〜〜〜〜

 城内

 

「シャドウが多いですね....」

「この間、散々やられたからだろうな。警備も強化したんだろうな」

 城の中に入って、俺とすみれは物陰に隠れながら移動していた。

 下手に戦うと、無駄にシャドウを呼ばれて移動を妨げられるのを防ぐ為だ。

 そうしていると、騎士達は別のところに移動し始めた。

 

「今のうちだ」

「はい」

 騎士達の視線が一瞬それた瞬間、俺とすみれは扉の中に入った。

 中は広い空間で、大きな柵があった。そして、柵奥の方には道が見えた。

 

「先輩、奥に道が見えますね」

「あぁ。だが、この柵をどうにかしないと進めないな....」

「ですね....鍵で開けるわけではなさそうですね」

 柵の周りをぐるぐる回ったが鍵穴らしき物はなかった。

 

「てなると、何か仕掛けがあるな....」

「....意外とこれが引っ張れたりして開いたりしないですかね?」

 そう言ってすみれは壁にある山羊の飾りのレバーを引っ張った。

 すると、引っ張ったレバーは下に動き、山羊の目は真っ暗になった。

 

「目の光が消えちゃいましたね....」

「多分、当たりじゃね? 山羊の飾りを全部引いたら柵が上昇するとか」

「あぁ! なるほど!」

 そう言ってすみれは隣にあった山羊の飾りのレバーを引っ張った。

 しかし....

 

「あれ? 動かない....」

「マジか?」

 俺も引っ張ってみたが、レバーはビクともしなかった。

 

「ん〜、動かせるやつと動かせないやつがあるって事なんでしょうか?」

「かもな。とりあえず柵の周りにあるレバー全部引っ張るか」

「はい」

 俺とすみれは柵の周りにあったレバーを全部引っ張っていった。

 そして、俺が最後のレバーを引っ張った時....

 

 ゴゴゴ

 

 柵は音を立てて上昇していき道が開いた。

「お、開いたか」

「やりましたね先輩! これで進めますね」

「あぁ。....なんだこれ?」

 俺は柵の中に入ると、机の上に何かが置かれているのに気づいた。

 よく見てみると、それはこのパレスの見取り図だった。

 

「これ、見取り図ですよね?」

「そうだな。思わぬ拾い物だな」

「でもこれ、破られた後がありますね」

「....ホントだな。てことは、まだどっかにあるのか」

「とりあえず、この見取り図を頼りに進んでみましょう」

「だな」

 そう言って俺とすみれは見取り図を見ながら奥の道に進んでいった。

 すると、再び柵が現れた。

 

「また柵か....」

「でも、レバーが見当たりませんね」

 壁のところを見るが、レバーらしき物は一つもなかった。

 だが....

 

「あ」

 柵の奥にレバーらしき物があるのを見つけた。

 

「先輩、どうかしました?」

「レバー、柵の奥にあるわ」

「柵の奥ですか?」

「あぁ。ほらそこ」

「あ、本当ですね。でも、どうやって引っ張りましょう? 

 手を伸ばしても届かないですよ」

「だったら、こうすれば良い」

 そう言って、俺は全書から一枚のペルソナカードを出した。

 そして、カードを柵の間に投げた。

 

「来い、ネコマタ!」

 俺がそう言うと、柵の奥にネコマタが現れた。

 

「そこのレバーを引っ張ってくれ」

 俺の言葉にネコマタは頷いてレバーを引っ張った。

 すると、柵は上昇して道ができた。

 

「ありがとな」

 上昇するのを見て、ネコマタはカードになって全書の中に戻った。

 

「先輩、よく思いつきましたね」

「まぁな。てか、あそこにもレバーがあるな」

 真っ直ぐに行ったところには、再びレバーがあった。

 俺とすみれは近づいて見てみると、さっきまでレバーとは少し違っていた。

 

「何か、さっきまでとは少し違いますね」

「そうだな」

「もしかして、罠とか....」

「....ちょっと見てみるか」

 そう言って、俺は目を閉じた。そして、目を開くと俺の目は緑色に光った。

 

「せ、先輩!?」

「ちょっと待ってな」

 俺はレバーを見たが、レバーは青い色をしていた。

 

「多分、引っ張っても大丈夫なやつだ」

 そう言って俺はレバーを引っ張った。すると、何かが動く音がした。

 

「さて、次行くぞー」

「ちょ、説明してくださいよ先輩! 何で今、目が光ったんですか!」

 俺が進もうとしたら、すみれに止められた。

 

「俺が使える特殊能力、プロビデンスの目を使ったからだ」

「プロビデンスの目?」

「簡単に言うと、偽りを見抜いて真実を見る事ができる目だ。

 今、俺はそのレバーを見て罠かどうかを見抜いたんだよ」

「それ、凄すぎません!?」

「実際凄いんだよ。嘘言ってもわかるし」

「....便利すぎません?」

「まぁな」

 そう言いながら俺とすみれは見取り図を頼りに進み続けた。

 そして、俺達はある通路にいた。

 

「チッ....狭い道なのにシャドウはいるのかよ」

「これは避けて通れそうにありませんね....」

「あぁ。行けるか?」

「はい!」

「よし、なら行くぞ」

 そう言って俺達はワザとシャドウに見つかるように歩いた。

 

『ムッ! 何者だ貴様ら!』

「ただの通りすがりだ! タムリン!」

「お願い、サンドリヨン!」

 シャドウが喋っている間に、俺とすみれはペルソナを出しシャドウを斬り裂いた。

 

『何だ今の音は!』

『何があった!』

「来たぞすみれ!」

「わかっています!」

 俺とすみれは音に気づいたシャドウ達を斬り裂き、撃ち抜き、ぶっ飛ばした。

 

「今の内に一気に通るぞ!」

「はい!」

 その隙に一気に走り出し、食堂みたいなところを抜けて巨大な扉の前に着いた。

 だが....

 

「開かねぇ....」

 扉は固く閉ざされており、押したぐらいではビクともしなかった。

 

「はぁ....すみれ、少し離れてくれ」

「わかりました」

「ヴァルキリー」

 俺はすみれが距離を取ったのを確認すると、扉の前にペルソナを召喚した。

 

「先輩、まさか....」

 すみれは何となく予想がついたのか若干引いていた。

 

「ぶっ壊せ!」

 俺がそう言うと、ヴァルキリーは扉に槍を向けて突進した。

 扉は粉々に砕け散った。

 

「やっぱりそうなるんですね....」

「まぁ、仕方ない....開かねぇ扉が悪い」

「そんな無茶くちゃな....」

「ほら、音に気づいたシャドウが来る前に行くぞ」

「....はーい」

 すみれは少し呆れながらも、俺についてきてくれた。

 

 

 〜〜〜〜

 古城三階

 

「先輩、この扉なんでしょう?」

 階段を上がると、すぐ目の前に謎の扉があった。

 

「これはセーフティールームの扉だな」

「何ですかそれ?」

「この扉で通じる部屋はシャドウが何故か入ってこない部屋なんだよ。

 だから、俺は勝手にセーフティールームって呼んでる」

「そんな部屋があるんですね」

「あぁ。しかもその部屋、一回入ったら入り口と繋がって、もう一度

 パレスに入る時にこの部屋から始めることができるんだ」

「何ですか! その便利なシステム!」

「俺に聞かれても分からん。ま、とりあえず一度休憩する為に入ろうぜ」

「わかりました」

 そう言って、俺とすみれはセーフティールームの扉を開いた。

 

 

 

 

 

 


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