日本から門の向こうに出戻った翌日。
此方に戻る前に色々買って貰ったんだけど、実は必要だったのゲームとか漫画だけで、女の子のフィギュアとか抱き枕カバーやらエログッズを買いものリストに入れてた。入れてたけど…ツッコミ待ちで…エロ系とか本気で買ってくるとか思わなかった。エロ系のはネタというか酷使されてた事への嫌がらせみたいな感じで……買ってこられて困った。お酒はNGなら買ってくるとか思わないでしょう。こんな人目がある所でこんなのあってどうしろと?
正直、趣味でもない。だってエロいというよりエグいのは流石にね。伊丹、銀座の人前で持って歩くとか良くできたわね。
今さら実はフィギュアやらはネタ目的でした!なんて言えるわけもない。エゲつないエロフィギュアも含めてフィギュアとか私用に用意されてるコテージに荷物として置かれてる。どうしよう。
封印しときたいフィギュアが鑑賞されてる。
『これが向こうの人形、量産品と聞いたけど造形が細かい…人の手でこんな細かい造形を大量に再現できるの……材質も何なのかまるでわからない。この人形にいったい何れだけの未知の技術が詰め込まれてるのか………』
東方のアリスぽい娘がフィギュアを細かく観察。エロい様子なんて欠片もなく。学者が真面目に考案してるみたいな顔をしてる。スカートの下を覗き見してる。マジマジと…何か見てる方が居たたまれない。
「魔理沙…」
アリスを連れてきた魔理沙を見る。封印されてたフィギュアをご紹介した黒幕。
「い、いやな…魔法を教えて貰いたいって頼んだらさ…対価に未知のモノをみたいって条件を出されてな……見掛けて的に人形見せるのがいいかなーーって思って…霊夢の買い物思い出して……」
それで私の許可なく連れてきたと…私は段ボールに手を突っ込んであるモノを取り出した。
「東方の魔理沙のフィギュアーー」
ダミ声で出した。
「なんでそんなのあるんだ!?」
「なぜか頼んでないのに入ってた」
本人がいる魔理沙のフィギュアをなんで用意したのか。博麗霊夢のフィギュアまであったし。
「魔理沙の(フィギュアの)身柄は私の手の内。魔理沙の(フィギュアの)生殺与奪の権利は私の自由」
「そ、それをどうするつもりだ霊夢…」
「渡す」
きっと魔理沙のフィギュアをアリスのそっくりさんがジックリと見てくれるはず。魔理沙はアリスを見た。美少女なのにフィギュアオタクと化してるように見える。じっくり観察される自分のフィギュアで想像したのか鳥肌がブワッと現れてた。
魔理沙は私に向き直って正座して…
ノックがした。
「どうぞ」
入ってきたのは伊丹だった。
「お邪魔するぞ…って魔理沙なんで土下座してるんだ!?」
「趣味なんじゃない「趣味じゃねーよ!」…それよりなにかよう」
「え、いや、帝国に行くけど来るかって誘い。なんで魔理沙のフィギュアもってんの?」
「気にしないで、帝国に何しに行くの?」
「気にしないの無理だけど、何しにって帝国にはお姫様送りに…あと出来たら交渉するつもりだな」
銀座を一方的に襲撃した犯人は帝国。交渉の為にお姫様を連れて伊丹が向かうのは帝国の首都の帝都。敵の本拠地見たいなモノ。普通に考えて危険度が激高い。帝国って此れまでのイメージ的に…交渉の使者に行くと使者の首だけ返すとか普通に有りそう。
間違いなく危険任務よね。伊丹なんか上のひとに嫌われてない?たんにお姫様、ピニャ王女と一番関わりが有るからって理由で押し付けられたなら、ある意味嫌われてるより同情する。
「伊丹の旦那、帝国には私も行くの?」
「いや霧雨ちゃんとかは留守番だ」
あとロゥリィ、テュカ、レレイは留守番、行かないなら魔理沙はアリスぽいのとレレイから魔法を教えて貰うらしい。魔法覚えたら弾幕はパワー!とか言い出しそう。
女の子は行かない。
メンバーは自衛隊オンリー。
「行ってらっしゃい」
「軽いなぁ。来ないのか?」
「行かない」
そもそもなんで私だけ誘われたのか。
「……じゃあ俺は行ってくる。霊夢も頑張れよ」
「行ってらっしゃ……頑張れってなに?」
「失礼します」
伊丹を見送った後にだれか来た。
何度も見たことある。
護符を書く紙を持ってる…
「スミマセン」
「追加?」
護符の
「はい…」
なるほど
「伊丹、やっぱり私も行くことにする!」
「霊夢!私のフィギュアは置いてけよ!?」
「え!ちょ!!博麗さん!?」
呼び止める声を背に私は伊丹においついた。
「なんだ霊夢も来るのか」
「怨敵のお膝元と言っていい帝都に行くという伊丹達が心配だからね。友人として見捨てられるわけがない」
「ウソくさい。あとお前を連れていくなら許可が必要なんだけど…誘っといて何だけど許可とれるか?」
許可とか居るの
無事に許可を得た。
伊丹がちょっと驚くぐらいアッサリ。
上の方からなるべく私を自由にってお願いがあったらしい。…護符造りを散々させたからご機嫌とり?
私も乗り込んで車での移動、結構帝都は遠いらしい。暇な時間、お姫様に帝国について聞いてみた。
「て、帝国についてですか…」
雑談のつもりで聞いたのに声が固い。
この前、お姫様に対して個人的な恨みは晴らしたから別に悪意とかない。くっころさせたいけど、お姫様でなくてお姫様に憑いてきてる幽霊が帝国について話し出した。
小さな集落出身の獣人の幽霊さんの証言。
獣人とかを差別してる帝国が獣人の集落を襲ったんだって。勝ち目がないと集落の族長が仲間を護るために帝国の王子の性奴隷になったそう。仲間を守ることを条件にね。案の定というか帝国が約束を破って仲間も皆奴隷にされたそう。止めに族長が裏切ったとして怨みの矛先を帝国から族長にされた。族長が自分達の為に性奴隷になったのは族長を恨んで幽霊になった後に知った事実だって。
「うわぁ…」
で、他の幽霊達からも似たような話を聞かされた。こんな時に限って護符をみんな持って幽霊の発言を聞いてる。お姫様とお付きの人にも護符を貸してた。
「……」
お姫様と騎士の人の顔色が酷いの車酔いのせいではなさそう。帝国に交渉に行くご一行の私達、交渉への意欲が下がってる。交渉纏めなきゃと意気込んでたお姫様が絶望してる。交渉しても裏切られそう。
まぁ正直…他人事。
それより気になるのは奴隷にされた。
つまり奴隷制度がある。
「奴隷ねぇ…」
「霊夢もリアル奴隷とか嫌か」
って伊丹がお姫様に聞こえないぐらいの声で聞いてきた。
「伊丹、帝国なら奴隷が買えるようだけど、もし奴隷が買えるなら、どんな娘がいい?」
「それはー…って!!霊夢!?なに言っちゃてんの!?奴隷買いたいのか!?」
「冗談にしても、そう言うの不謹慎…」
伊丹が大きな声を出すからガチ目の批難された目を向けられた。
「郷に入っては郷に従えと言うし帝国で売ってるなら奴隷を買ってもいいと思うけど……って言うのは半分冗談な話しで」
「半分って何処の半分だよ」
「奴隷を買うってのはわりと真面目な話し」
「そう言うのは二次元だけで我慢しとけ霊夢」
周りから呆れた感じで見られてる。私の評価が無駄に下がってる。本題さっさと言っとこう。
「そうじゃなくて、さっきの獣人の人の話だと帝国が侵略した相手を捕虜にしたら奴隷にしたりするのよね?」
侵略して奴隷にする。帝国の、もとい人権が安い時代だと酷いことでないみたいらしいけど、此方が奴隷に不快な態度を見せてるからお姫様は気まずそう。
「霊夢、可哀想だから奴隷を買って解放したいのか……無いな」
何でそんな事をせにゃ成らんのか。頭がお花畑なぐらい優しいならしそう。けど伊丹、話ながら霊夢がそんな優しいわけ無いなみたいな顔をしたのは腹立つ。
「可哀想とかじゃなくて…買っても取り戻さないとダメな奴隷とかいるかもって話」
「取り戻すって…どういうことだ?」
伊丹の察しが悪…くもない?
口調が固いし気付いてそう。
「どういうことって帝国に銀座が襲撃されたんだけど?」
「銀座事件………霊夢、霊夢が言いたいことって、そう言うことか?」
「隊長、どういうことですか」
「奴隷にされてるのに日本人が居るかも知れないって話だろ霊夢」
「は…」
自衛隊の人達が空気が変わった。今さらって思ったけど無意識に日本人が奴隷にされてるなんて可能性を排除してた?何人かは元から想定してたみたいな反応してるけど。
「銀座が襲撃された時ですか…」
「銀座事件の時に日本人が拉致されてるって言うんですか!?」
あり得ないって声色してるけど、銀座事件の前でも日本って南北の国に日本人が拉致されてたりしてる。
「……銀座の事件では死者は勿論ですが行方不明者も多数でています。身元不明の遺体の少なくなった現在も見付からない行方不明者が居ると聞きます……その中に居ないとも限りませんね」
空気が重い。
「よく霊夢気付けたな」
「気づいたというか。銀座の時に女の人が誘拐され掛けてたの未遂で止めた覚えがあるし。成功した例も有るかもって思っただけなんだけど」
「それ聞いた覚えない!そう言う話はちゃんとしといてくれ!」
「……他の人も普通に目撃してると思ってた。それと軟禁されてる時も含めて事件の時の話とか一度も聞かれなかったし?其処のところどうなのずっと居た伊丹隊長」
おいこら目を逸らすな。
「てか銀座事件の前に拉致がされてた可能性ってないの?」
伊丹が顔に手を置いた。
「それも無いとも言えないなー…」
「どいうことですか?銀座の事件前って」
「ほら…帝国だって何もわからない所をいきなり攻めるなんて事ないだろ」
「あ…」
「襲撃前に情報の為に拉致をされていた…むしろ無い方が可笑しいですね」
「事前に拉致してたとなると地球への移動方法は……」
「……銀座の門が銀座事件の前に目撃された話はないよな。あの大きさの門が現れて目撃されないなんて無いだろう」
「門を使わない移動が出来るとかじゃないですか?」
「いきなり大規模に一気に軍勢が来るとか無いよな…先ずは小規模で試すよな…偵察がないとか有り得ないよな…」
「ピニャ王女、お聞きしても」
皆の視線が汗を掻いてる王女さまにむかった。
「ピニャ殿下」
「す、すまないが、門を使わない移動や、事前に偵察をしていたか日本人の捕虜をとっているのかなど…どれも私は知らない。知らないが、日本人の捕虜が居た可能性は無いと否定はできない……」
まぁ王女さまが軍事的な行動を全て知ってる方が驚ける。従者の人も知らないって感じで首を振った。
「そうですか…」
「伊丹隊長、此所は誘拐された人が居ると考えた方が良いですね」
伊丹達が頷いた。
「探さなければいけないですが……どこに居るんでしょうね」
「仮にもし日本人が拉致され捕虜にされた場合どうなるんです?殿下、どこに連れて行かれるかわかりませんか」
「…すまないがわからない」
ピニャ王女が汗をかきながらそう言った。
「そうですか…」
「牢のような所で捕まっているんでしょうか」
「いや民間人相手なら情報とった後に霊夢の予想通り奴隷にされてるだろ…最悪は…」
用済みでもう生きてないのが最悪になる?もっと最悪もあるかも、某赤い国並みに酷かったら死ぬまで働かされて食品になってる可能性も…。
「奴隷を買う云々は日本人が奴隷にされてるという話でしたか…」
「博麗嬢の言う通り奴隷として売られてるならば、買ってでも救出する必要がありますね」
私の発言は見直されたようで良かった。
「人を買うというのには抵抗は有りますが、資金はどうなんです」
「資金についてはイタリカで手に入れたモノが其なりにあります」
「足りるんですかね?」
「奴隷市場の相場が判りませんので足りるかはわかりません。…人数もわかりませんしね」
「人数か…日本人が何十人も拉致されて売られてるとか想像するのも最悪だな」
「日本人の容姿が珍しいって理由で高く売られてる場合ありますかね……」
「資金で足りなければ此方の物資を売るか交換するかして工面するしかないでしょうね…それでも足りなければ…既に売られている場合の対応も含めて考えないと…」
「最悪、力づくか…」
剣呑な物騒な感じの空気になってる。
力ずくとか物騒な話ね。
自衛隊の人達の話にオドオドしてるお姫様をみた。
「お姫様を人質にして交換とかは?」
「ふぁ!??」
これが一番手っ取り早いと思いますってね。日本人の奴隷が何人居てもお姫様と交換なら全員一括で交換できそうだしね!まぁ半分冗談なんだけど、お姫様を人質にしたら帝国と交渉するのが難しくなる。…交渉も人質を盾にしてやる?
自衛隊の人達は顔を見合わせた。
「………………………………いや、うん、霊夢ダメだから、その手は」
「い、い、伊丹殿、凄く悩んでませんでしたか!?」
「…ソンナコトナイデスヨ」
「伊丹どの…」
「お姫様は帰ったらどうするつもり。拉致された日本人が居るかもしれないけど…」
「に、日本人が拉致されてないか調べる様に父上、陛下に進言しよう!もし居たらすぐに戻れるように取り計らいをさする!!」
お姫様がそう言ったけど…
「向こうに教えたら人質にされない?交渉の材料にするとか」
「………」
お姫様、この場合の沈黙ってありそうって言ってるのと同じなんだけど、車の中の沈黙が居心地悪い。自衛隊の人達は何か言いたげなのに何も言わない。この話題の切っ掛けが私だし適当に良い事でも言っとこう。
「そう言えばピニャ王女、関係ない話なんだけど、ただの一般人のどうでも良い話なんだけど聞きます?」
なんで皆が胡散臭そうに私を見てるんだろう。
「……博麗さま聞かせてください」
一般人の話と言ったのになんで顔が青ざめてるのか。自衛隊より私に怯えてない?さまとか敬称をつけてるし。お姫様の前で何かした覚えとか無いんだけど
「地球だとテロリストって犯罪組織が居るんですけどね……」
「犯罪組織…それがどうかしたのですか」
「テロリストが人質をもって交渉しようとしたら、被害が余計に増えるって事で交渉を一切せずに人質の救出を後回しにテロリストを殲滅するそうです。二度と人質なんてとらない様にする為に」
少し違う気がするけど何処かの国だとこんな感じだったはず。自衛隊の人達が何か言いたげにしてる。
「それは、つ…つまり…その…日本人を人質に取れば、その時点で……交渉は無くなり…………が殲滅されると」
「何が殲滅されるのか知りませんけど、まぁそんな(テロリストへの)対応、平和主義な日本の自衛隊がするわけないので関係ない話なんですけどね。ねぇ伊丹隊長」
「ぇ、ああ!そうだな!我々は平和主義なので、霊夢の話した様な対応はしませんので関係ありませんよ」
日本を知らない。何万って軍勢が返り討ちになってる帝国のお姫様側が聞けばどうおもうかは知らない。このタイミングで話して無関係と思えるかとかも知らない。詐欺師を見るような視線がくる。
「………………か……か、必ず、人質になぞせずに無事にそちらに返すように努力する」
顔色が悪い王女が約束すると話は終了。
って、肝心の話をしてない
「話は戻して……奴隷を買うならどんな娘が良い?」
「霊夢、お前話もどすなよ。マジで奴隷を買う気あるんじゃないよな……」
違う違う。たんに伊丹がどんな奴隷買うかで性癖暴露をして貰いたいだけだから、と言う本音を隠して建前を言う。
「違う違う空気が重たいから軽くしたいだけだから」
「なんで奴隷を買う話で空気が軽くなると思ったんですかねぇ…」
ピニャ王女と御付きの人が何故か悲壮な顔をしてるけど、無事に帝国首都の帝都についた。
敵国の本拠地なのにアッサリ。
お姫様のお陰があってもアッサリ。
此方の人からしたら銀座の報復しないってのが不思議そう。。
帝都は立派な街並みにお城。
まさに中世って感じ。
私は辺りを見渡してポツリと呟いた。
「私一人でも占領できそう」
なんちゃって
「霊夢……マジで止めろよ?」
「いやどう聞いても冗談なのにそんなヤバイって顔をするの失礼でない?」
「殿下…」
「な、なんとしても父上を説得せねば」
王女さまは国の存亡を背負ってるとか思ってそうな顔をしてる。そんな帝国を背負う覚悟のお姫様は、腐った作品を御守りの様に胸に抱いてるから帝国だめそう。
お姫様にはお城に戻ってもらい交渉の足掛かりになってもらうそう。
その間に自衛隊は人が売られたりしてる区画に行く事に、悪所、所謂スラム。うん、スラムに女子中学生連れてくのに誰かツッコミとかは?
売り物の奴隷をみて自衛隊の人は此所を見て初めは同情してる感じだったけど、今はもし此所に日本人が来てたらみたいな会話をして、とくに女性陣の顔がコワイ。ピニャ王女が居たらお腹が痛くなってそう。
スラムの中では立地が良い看板のある店に入った。言葉はソコソコ話せるけど此処の文字はまだ読めない。亜人の女性や女の子が多い。男も一杯いる。肉体労働の奴隷なのか男の奴隷の方が多い。
「日本人は居ない…いたよ」
伊丹が頭を抱えてた。
居たって日本人を見つけたんだと思って見たけど黒髪、黒目の人とか居ない…って居た。
日本人ではない。
ピンク髪に羽の生えた娘……東方キャラぽい。