ゲートに巫女さん   作:ソウクイ

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第2話

 

居並ぶ政府の要人が其々の険しい顔で会議室の大型のプロジェクター。其処に映るのは全て銀座で撮られた映像。プロジェクターに謎の建造物、門が突如れた所で映像が停止した。

 

「此方が近隣の防犯カメラに撮影された門が現れた当時の映像です」

 

「ふぅぅ…これを見ると頭が……頭痛薬を貰えるか」

 

「まだ触りだぞ大丈夫か…気持ちは痛いほどわかるが。頭痛薬を私にも頼む」

 

「君も含めて大丈夫じゃないな」

 

「あんな物がいきなり現れるのを見ると頭がどうにかなるだろう」

 

「とても現実の光景を見ていると思えんよな」

 

「映画でも見ている気分になるか?」

 

「犠牲者が出てるんだぞ映画などと不謹慎だ!…と世間様から言われそうだが、出てきた相手がアレではな。映画でも見てる心地で居ないと正気が壊れる」

 

「頭が堅いモノは頭を痛めるしかない」

 

「我々みたいに頭が固い年寄りは特にだね?」

 

「はは、そうですな……」

 

「御臨終なんて事は勘弁してくれよ」

 

「頭痛薬の他に胃薬と血圧を下げる薬も用意してあります。医者も」

 

「準備万端か」

 

「……葬式も用意してないだろうね?」

 

「常識とは儚い。この建造物は突然現れていて、門の向こうが地球ではないのが確認されたのだろう。相手はSFにあるワープ技術でも持っているのか」

 

「門の事はまだ詳しく解析出来てないが、相手の装備を見る限り文明は中世相当。科学技術の類いとは考えにくい」

 

「科学でないとなると…」

 

「魔法のようなオカルトですかね。現に魔法の様な現象が確認されていますし。あの門は科学でなく魔法の類いなんでしょうね」

 

「あわせて考えれば銀座は魔法が存在する世界から攻めてこられた?荒唐無稽と切り捨てられないのが最悪だな」

 

「門の先は別の世界のようだが、それでも現実に魔法が有るとはね…魔法の様な力が実在するなら此までの日本も含めた地球の歴史もどうなるんだ」

 

「あるかも知れませんね。いえ、あると考えるべきなんでしょうか」

 

「過去は歴史家が解釈することだが…今も有るなら…無関係でいられないか」

 

「そちらも気になりますが、先ずは門についてでしょう」

 

「まず門の向こうについてか」

 

「門の向こうの話か?」

 

「あの門の向こう側はゲームにあるようなファンタジー世界と思えばいいのかな」

 

「そうだと思われます。まだ確実にとは言えませんが」

 

「門の向こう側の近辺は開始したばかりでしたか」

 

「調査の結果次第だが、現状だとファンタジーの世界だと覚悟しておくべきだろう」

 

「覚悟か…覚悟かぁ」

 

「なんだろうな。ほんと理不尽っていうのか。なんで私達の時代にこんなのがくるんだ……」

 

「例えると我々の立場は宇宙人が攻めてくる映画の政治家ですかね」

 

「…モンスターやらエイリアンの様に話が絶対に通じない相手が来なかっただけマシと思いましょう」

 

「相手の武力自体も理解できない面はありますが、格上どころか相当に格下ですよ」

 

「マシなのかな。対話できるならただ勝てば良いという話でもない。相手と和睦しないといけないぞ……」

 

「和睦な…侵略する様な国ならどこぞの国のように和睦を結ぶのも危険な様な気がするが」

 

「……それでも和睦を目指するしかありませんよ」

 

「国民も諸外国が見てますからね……」

 

「日本として和睦以外の方向に向けばどういう反応をするか」

 

「下手をして日本が悪役とされる訳にはいきません。他国が介入してきますよ」

 

「侵略した国が素直に和睦に応じてくれたらいいが」

 

「今は自衛隊を派遣して向こうの調査をしていくしかない」

 

「向こうの調査も大事だがもう一つ大事な事がある」

 

「と、いいますと…」

 

「魔法の様なオカルトがあるのは、門の向こうだけか?あの『例の少女』の事も考えると…現代にも関わるかもしれない…… 過去の事だけでもない。現在の政治家としても相応の対処が必要だろう」 

 

「その話題は避けられませんか……門だけでも余裕がないんだが、放置もできない」

 

「はぁ…下手をすれば門の事よりも厄介かもしれないんだよな」

 

「既に調査はしているのだろう。進歩はどうなんだね」

 

「例の少女に関連する事については…」

 

「皆さま方、例の少女の事でしたら映像にもありますので、議論は出来れば映像を見てからでお願いします…」

 

「ああ、すまない」

 

「映像を再開させてくれ」

 

「ありがとうございます、では此処から先は…相当にショッキングな映像になるので御注意ください」

 

「年寄りにショッキングな映像を見せるなよ」

 

「医者がきてくれてるよ」

 

「…医者が待機してるのが見えるのがイヤだな」

 

映像が再開される。

 

『な、なんだあれ門か。あれ突然でたよな。手品、なわけないよな。マジで突然でたべ。これ絶対これ世界的なニュースになんべ…なぁ撮影したか』

 

『ああ撮った!こ、これスゲェ価値でるんでね』

 

『なるなる!間違いなくなる!なる!いや!他のヤツも撮ってる!はやく映像投稿しようぜ。他の奴が流す前に』

 

『そうだな。一番に投稿して…に、ん?なんか門から出てきてね』

 

『うん?確かに……なんだあれ兵士?デカイ鳥…え、竜?』

 

まるで危機感を感じていない男二人の声が聞こえる。門から続々と現れる兵士、魔物、ワイバーンが遠くに映される。一頭のワイバーンが撮影者の方を向く。ドンドンと近付くワイバーンの映像が映されていた。

 

『あれ、あの竜きてね』

 

『きてんな。に、逃げた方がいいよな』

 

『そ、そうだな。おい、おいおい!きて!!

 

『ぎゃあああ!!!』

 

肉が裂ける音がして悲鳴、持ち主が手放したのか地面に落ちる画面。赤い液体が画面を汚した。

 

『うわぁぁーー!!やめ、やめ…ゃぁあ!?』

 

血で汚れた画面と断末魔の叫び。

見ている人間の血の気を引かせていた。

 

「このあとです」

 

先程の竜らしき巨体が兵士ごと吹き飛ばされる姿が一瞬だけ映る。映像に空を滑空する紅の服を着た少女が少しだけ映った。

 

「例の少女…か?」

 

「恐らくそうだろうが…一瞬過ぎるな」

 

「今度は此方のモニターを、同時刻の別角度になります」

 

今度は全体がハッキリ映り空を飛ぶ少女が映されている。赤い服は何処か巫女服の様、長い黒髪に大きな赤いリボン、整った顔立ちの動画越しにも目の離せない不思議な魅力を感じる綺麗な少女だ。

 

「………やはり完全に生身で飛行しているな」 

 

「この時点の映像だけでも地球の常識を逸脱してると判るのだが……あの竜などはともかく…この少女は門の内でなく此方の住人なのだったか」 

 

「はい、現在判っている範囲ですが…ある自衛官の証言からたどり、彼女の日本での戸籍も確認され、通っていた小中の学校にも確認がとれています。近隣住民からの目撃情報から、最低でも10年前から日本に住んでいた事も確認がとれています。出産届けが確認できず両親については不明ですが……この世界の日本で住んでいたのは確実です」

 

「そうなのか」 

 

少女を襲おうとする兵士を乗せた竜。少女は鋭い竜の攻撃を避ける。少女の手の先から現れた光る弾。少女が竜を避けざま光弾を当てると兵士を乗せた竜は地面に墜落した。

 

「おお…まるで映画のワンシーンだな」

 

「言いたい気持ちはわかるが」

 

「随分と簡単に落とされた様に見えるが、竜に見えるあれの皮膚は銃の弾も防いでたんじゃないのか」

 

「たしか警官の拳銃なら皮膚で弾くと聞いたぞ。そう考えると拳銃以上の威力になるのか」

 

「いやしかし当たった部分が破壊された様にも見えない」

 

少女の手から光弾の様なモノが連続で撃ち出され始める。その光弾が当たった竜は同乗者を乗せながら墜落していく。余りに簡単に落とされた仲間を見て竜に乗った兵士達は少女から逃げようとするが、少女は逃がさず。粗方の空の竜を片付けると少女は地面を見下ろし人を襲う兵士達を見る。光弾の雨が降り始めた。

 

「…凄まじいな」

 

「言ってはなんだが綺麗の光だな」

 

「美しいがあの光の雨は受ける側としたら恐怖でしかないぞ」

 

まるで光の流星の様に地面に光弾は地面に落ちていき兵士やゴブリン、オークなど銀座を攻めていた者達に当たっていく。肉体的な損傷は竜同様にあまり見えないが光弾に当たると続々と気絶していた。瞬く間に少女の見える範囲からは敵は居なくなる。静かになった映像の中に一つの声が。

 

『……あ、アレッて博麗霊夢!?』  

 

その声を最後に映像は少女と門を拡大した映像で静止。

 

「これより銀座に現れた門及び、多大な戦果を上げた少女『博麗霊夢』について議論を始めたいと思います。先ずは配られた資料をご覧ください」

 

資料には銀座に現れた少女に似た可愛い女の子のイラスト、そして表紙に書かれた文字は"東方project"。中身は硬い文章もあるが絵は少女ばかり、真面目に見るにはあれだ……良い年齢の大人しかいないので皆が微妙な表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

銀座が襲われー

私は無双したー

捕まったーー

 

私、絶賛後悔中

 

今なら絶対にあんなことをしないと思う。勢いってあれね。ダメね。軟禁されるし。

 

銀座で無双後、自衛隊ぽい人達によくわからないまま軟禁されて何日も経過。軟禁場所が豪華過ぎるホテル。環境は極楽だけど流石に飽きてきた。無理矢理帰ろうかなって…まぁ無理矢理帰ると後からもっと面倒な事になると予感できるから大人しくするしかない。

 

「」

 

自衛隊員だった我がネット友の伊丹が護衛役、頼んだ買い物を受け取りにいった伊丹氏が戻ってきた。一人でない。ビシッとしたスーツ姿のエリートそうな男性達も一緒に来た。うん、伊丹氏は良いけど後ろの人は誰

 

「おかえりー…後ろの人達、どなたがた?」

 

エリートって空気を纏ってる。エリートと一緒に来て居心地悪そうな我がネト友。同じ小市民として気持ちは良くわかる。何かエリートって嫌なイメージがある。特にこの人たちの私を見る視線は何かイヤだし。向けられてるのどういう目線。

 

「失礼します。私は政府から派遣されました真萩と言います」

 

挨拶のあとに形式的な感じの軟禁してる事への謝罪をされた。で、このあとが本題だと思う。なに聞かれるのやら。

 

銀座でやった力の事とか聞かれたら大変困る。別に話せない事じゃないんだけどー…ほぼ話すことがない。私の使ったの親代わりの人に修行させられて身に付けさせられた力。これしか答えがない。適当に修行しただけだし詳しくなんも聞いてない。他の人が使えるのとかも知らない。なんも情報ない。

 

覚えた時も霊力は巫女に必須な力と騙されてたし。そのせいで霊力みたいな力が普通にある世界に転生したとか勘違いしてて、他の巫女も同じ力が使えるとか思ってた。勘違い消えるまで巫女さんの能力バトルモノの世界だと思った私を笑うが良い。笑ったら許さないけど。

 

「戸籍から確認をとれていますが、改めて訊ねさせて下さい。貴女の名前が博麗霊夢というのは間違ってないですよね」

 

「ええ間違いないですよ」

 

先ず名前をこんなしっかり聞いてくるって事は、エリートそうなのに東方関係の知識がある。もしくは知識を仕入れてきたか。調べたなら無駄な努力をご苦労様。

 

「えぇ…本当に博麗霊夢なのか」ボソッ 

 

伊丹氏が何かショック受けてる。名前を肯定した後にその反応はどうよ?今まで偽名とか思ってたのかコラ。

 

趣味で名乗った偽名とかでなく本当に今世での名前が博麗霊夢。別に自分で決めてない。親でないけど保護者みたいな人が名付けた。その保護者がそう名付けるのも納得出来る相手なんだけど、保護者の事とか向こうって知ってる?知らない可能性もあるし育てて貰った恩は一応あるし聞かれない限りは黙っとこ。

 

「そして貴女の現住所は博麗神社」

 

これも本当、名前と神社の組み合わせにドン引きした事を今でも覚えてる。 まぁ幻想郷にあるあの神社じゃないけどね。それにしても遠回りしてる感じが面倒くさい。伊丹氏も驚いてるしやっぱ博麗神社って名前は気になると……同じ名前ってだけで人が来そうとか思った。東方好きとかうちの神社わりと人が来そうと期待した。けど実際は、参拝の人が来たりとか全くなかったのよね。宣伝とかした方がよかった?…今なら私が有名になった反響で参拝の人とか来てくれない?もう人が行ってるかも、いつも空だった賽銭箱の中が気になる。

 

「何が聞きたいの?」

 

流れ的に東方関係しかない。なら聞かれても答えられる事とかない。むしろ私が聞きたい。私と神社と保護者の事を考えると日本には他にも東方関係の何か有ったりする気もするし。無いなら…うん

 

「では率直に聞きます。あの銀座にでた門の向こうには幻想郷が有るのですか?」

 

予想外な質問来た。

 

動画のコメントとかではそういう疑惑あったけど、まさか政府の人に聞かれるの。

え、政府が本気でド真面目に幻想郷が門の向こうに有るとか思ってるの?エリートそうなスーツ姿の男性はド真剣な顔。

 

私の返答は……

 

「大丈夫ですか?」

 

頬がピクピクしてる。暗に秘めた大丈夫の前に付いた頭はって部分も無事に伝わった。別にこの人が悪くないけど私を強制的に軟禁してる側だし少しぐらいは意趣返ししても問題ない。

 

幻想郷が有るのみたいな感じで興味津々そうな伊丹氏にはなにも言わない。なんでだみたいな目を向けられた。最初から頭が大丈夫でないのわかってるから

 

「違うのですか、あの門の向こう側は幻想郷じゃないと?」

 

「門の事を聞かれても知りません。私はあの門の事とか何も知りませんし。事件の時に見ただけで後はテレビとネット情報ぐらいしか知らないです」

 

ほんと門の向こう側の事は何も知らない。知らないけど門の向こう側が幻想郷の可能性は……考えられない。出てきた相手を考えれば向こう側は幻想郷じゃないと思う。どう見ても東方風でなくて西洋風だったし。この話をふられたの根本的な面で誤解してるからよね。

 

「そうですか。次の質問ですが…」

 

「次の質問の前に、私の事で勘違いしてそうですから訂正を」 

 

「なにをですか」

 

「私は東方projectの【博麗霊夢】とかじゃないですからね?力と名前が偶然同じなだけで私はただの一般人で幻想郷がどうとか知らないですから」

 

一つも嘘じゃないけど自分でもどんな偶然だよと思ってしまう。けど本当に全くの別人の一般人だし。

 

「……そうですか。あの門の先は幻想郷でないですか」 

 

なんとも引っ掛かる言い方してくる。

 

「東方projectの霊夢じゃないって言ったのスルーしてないです?」

 

「申し訳ありません。私の立場ですと本物かどうか判断することもできないのです。どうご理解ください」

 

「面倒くさい」

 

相手と状況で二重の意味で

 

「私はいつ帰れます。一時帰宅でも良いんですが」

 

私の事で賽銭箱がどうなってるか見ないと

 

「それも申し訳ありませんが、私からは何とも、今の段階では相当に難しいとだけは言えます……」 

 

「へーそうですか」

 

一時帰宅ぐらいなら認めてくれると思ったんだけどそれもダメと……あんまり離れてると賽銭箱の中身とられない?

 

「本当に申し訳ございません。しかし此方の事情抜きにも帰るのはやめた方がいいですよ。スマホなどで情報を見てる様ですから判られると思いますが、銀座事件での映像で貴女を東方の博麗霊夢と見ている人間が沢山居ますからね。もし帰ったらどうなるか、他人事ですが想像をするだけでも恐ろしい……………それでも帰られます?」

 

無言で首を振った。

 

予想してたけどハッキリ言ってほしくなかった。発言をオブラートに包むとか気を使えと思う。優しさがない。きっとモテない。あと何年かしたらきっと禿げる。

 

外に出たいのに出れないこの現実。人助けしたのに不幸になるってなんなのよね。身を護るだけにしとけば良かった?無理かぁ。あの時はあのまま他を見捨てるのも無理……って気持ちもない。他の人とか関係なく勢いでやっただけだし。

 

酒飲まずにはいられないってね。私は伊丹氏がさっき買って持ってきてくれたお酒の瓶を開ける。お酒を飲むのは何年ぶりだったか。前世からだから10年以上ぶり。十年ぶりの感動の再会ってヤツね。

 

「…!!」

 

ん、伊丹氏がなんかヤベェッて顔をしてる。何か目で訴えかけてる。止めろ?それを片付けろみたいな?

 

あぁエリートさん達の前で飲むの態度悪いって?帰れない理由あるとしても、保護されてるとも言えるけど、軟禁してる相手だし少しぐらい不満を示さないと、従順とか思われたら厄介そうだし。

 

と言うわけでお酒さまをお久しぶりに私のお腹の中に入っていただかないと…プシューーと蓋あけた。

 

「は?ちょっとその手を止めてください博麗さん」

 

なに、私とお酒さまの感動の再会を止めるなんて無粋な

 

「………………1つ聴きたいのですが、それは伊丹二尉が貴女に頼まれた買い物の品ですよね」

 

買い物袋渡すのさっき見てたのになに言ってんのと思いながら私が頷くと、無言だった後ろの人達も含めて伊丹氏を責めるように見てる。なんで?

 

「彼が間違えて買ったモノですね。そのお酒は」

 

「別に間違えられたりはしてないけど」

 

「…………間違えてないと?」

 

え、なに?

 

「貴女は戸籍上14のはずですよね」

 

 

あーうん今の年齢忘れてた。

 

それは普通年齢的に止められる。お酒様飲むのなんて認められない。お酒さまを飲めない。ここまできてお預け!?

 

年齢的にお酒はアウトって正論には反論が難しい。伊丹は説得できたけどこの人達は難しそう。ここは冷静に…何か言い訳しないと、お酒さまがお預けになる。 

 

「…………………実は4年ほど保護者が出生届を出すのを忘れてて私の実年齢は18ですんで」

 

嘘だけど精神年齢だと40越えだしセーフ。中学通ってたけどセーフ。セーフにして

 

「……戸籍が14なら14です。あとお酒は二十歳になってからです。回収します」

 

ああ!お酒さまに魔の手が、いやぁぁ。その子を返してぇ。人でなしーー。あくまー。

 

「少しだけでも」

 

「ダメです」

 

あぁ後ろから来た人が全部お酒をテキパキ回収してる。

 

「それでは失礼します……それと伊丹二尉には後程話すことがあります」

 

「は、はい」

 

帰っていった。

 

奴らは大変なモノを盗んでいきました。それはうん十年ぶりのお酒さまです。それから特に実もない事を話してようやく帰っていった。お酒は置いてけ。いや本当にちょっとだけでも…一滴も飲めなかった。

 

「お酒さま…」

 

「いや、そんな切なそうな目で見るな。なんであんな堂々と飲もうとしてんだよ…俺呼び出し受けてるし…てか、なんで買ってんだ俺、霊夢なら酒飲むのも普通だってなんでか思ったんだよ俺…」

 

伊丹氏が頭を抱えてるけど気にしてられない。寸前で飲めなくなったら余計に飲みたくなる。

 

こうなったら帰った後に自分で買って飲むしかない。いつ帰れるんだろ。騒ぎが修まったらだろうけど……人の噂は75日みたいに終わるけど、二ヶ月半で済むと思えない…数年ぐらい覚悟しないとダメ?

 

 

まさか帰れないとかないわよね?

 

 

賽銭箱、もとい神社の管理は誰がするの

 


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