東方小噺竒   作:加具

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すいません。今回の話は結構下品です。



みんなで鍋をしよう。コタツにみんなで入って。咲夜さんは私の膝の上で

幻想郷は今日も平和だ。

門番の私は何も変わらずここにいる。

今日はなにをしようか。

 

「美鈴」

「はいなんでしょう咲夜さん」

 

その言葉にそんな思考はとろけてしまう。

 

「貴女が花壇の隅で育てているものは何でしょうか?5秒で答えて」

「へ?……大蒜(にんにく)ですね」

「はぁ、ねぇあなたお嬢様たちをどうしたいの?」

「だって大蒜美味しいんですもん」

「大蒜くさい息でお嬢様に近づこうとしたらいくら貴方でも殺すからね」

「物騒だなぁ」

 

やれやれと肩をすくめる咲夜さん。

物騒なことを言って去っていったけれどあの瞳はマジだった。

 

「はぁあ~大蒜美味しいのに……」

 

大体花壇の隅も隅のほう。ほとんど目につかないところでひっそりと育てていたのに、なぜ彼女は気づいたのだろうか。

 

「それだけ私のしていることの何もかもを知りたいということなんですね、うん、……濡れる」

 

おっとっと、股間を潤ませている場合ではなかった。

一応言っておくがおしっこを漏らした訳ではない。

自身に自重を促すがだからといってほかにやることもなく、幻想郷は今日も平和であった。

空にはピーヒョロロロロとトンビが空を飛んでいて、もしかしたら私の大蒜を奪いにあらわれたのかと疑心暗鬼になりそうなくらい暇である。

 

こんな時間を持て余した時、私は決まって―

 

「……Let’Sカンフー」

 

あちょー

 

と自分でも意味不明な掛け声を出しながらゆっくりゆっくり套路を行う。

自分の中で気を移動させながら体の隅々まで気を巡らす。

 

この感じがたまらなく気持ちいい。

 

ほちゃー

 

また適当に声をだしながら

 

「風掃梅花」

 

ゆっくりゆっくり亀のように。

 

「金剛搗碓」 

 

全身に気を配りながら、筋肉一つ一つに気を配りながら。

 

「撇身捶」

 

一つ一つ型の意味を考えながら、套路は延々続いていく。

 

頬にあたる風が気持ちいい。

日差しが私の頬を焼くのがわかる。

地面の草たちもそろそろ草刈をしなくてはなるまい、少し伸びすぎているようだ。

 

ふかふかの草は私にとても素敵な睡眠をくれるから好きなのだけれど、伸びすぎたら見栄えが悪いし、短く刈りすぎるとちくちくするから嫌いだ。

 

套路を行っている間、いろいろなことが私の中に入ってくる。

自分のことだけでなく、周りのこと。

人の動き(ひとはほとんどいないけれど)、周りの空気、すべてのものを私に教えてくれる。

自分のみがここに立っているのではなく、たくさんの命が周りに取り巻き、私を包んでいるのだと教えてくれている。

 

推手を行いたいけれど、相手がいないのがもどかしい。

そんな私が人里の子供たちに週に一回カンフー教室を開いているのもそれが理由だったりする。

里の子供たちに護身術と称して暇つぶしに教えているけれど、妖怪相手にカンフーなんて通じるはずもなく、幻想郷で必要とされる技術でないのは理解している。

 

でも、周りを知るのに、いろいろなものの呼吸を知るのに、カンフーはいいと私は思う。

 

そいやー

 

「海底翻花」

 

一つ一つに奥深く意味があって

 

「掩手肱捶」

 

理解して運用しなければなんら意味を持たなくて

 

「奪二肱」

 

でもその動き一つ一つにたくさんの思惑があって

 

「連環炮」

 

妖怪や神様では小賢しいと一笑して終わってしまう様なこの一つ一つが。

たくさん頭を捻って、たくさん練習して、削ぎ落とされ、練磨されてきた技術たちが、私にはたまらなく愛おしい。

 

昔私が教えていたあの娘のことを思い出す。

 

「咲夜さん、もう一回カンフーやんないかなぁ~」

「ずいぶんと懐かしい頃の話をしているのね」

「あら、パチェ様」

 

門の向こうには晴れた空がとても似つかわしくない、病弱で色白な喘息持ちの図書館の主がいらっしゃった。

 

「パチェ様もしましょうよ~、そんなか細い体じゃ心配になります~」

「いや、不老不死だから、死なないから」

「パチェ様わかってないですね~、ベッドで激しくいきたい時どうすんですか?最悪その体挿入された途端に仙骨が複雑骨折しますよ?」

 

無論会話の間も套路を怠ることはない、ゆ~らゆらと怪しげにパチェ様を挑発するように私は小刻みに上下していた。

 

「そ、そうにゅ……そんな話なに真面目な顔で話しはじめてんの!?」

「いや、マジですって、抱きしめたときに背骨ぽっきりとか体位によっては頸の骨やら変なところで言ったら頬骨なんかも陥没骨折しますね」

 

ゆーらゆらと揺れながらパチュリー様を見ていたら、無性に股間がうずいてきたんだけどどうするよこれ。

 

「いや、ホント黙って。複雑な体位とか知らないから、骨折しても魔法で治すから……」

「ほほぅ、行為自体致すことを否定はなさらない?」

「あ、あぅ、そ、それは、ね、ねねね、念のためよ」

「骨折しながらもプレイを続けて行為が終わってから治すとか、どんな新手のプレイなんですかまったく」

「いい加減その話から離れて頂戴」

「了解で~す」

 

行為の相手は誰を想定しているのか甚だ問いただしたい所なのだけれど、おそらく相手は男じゃないし、金髪のあんちくしょうな気がする……というか彼女で致しているのを見たことがあるので何も言わないでいるのが情けですね。

わかります。

挙動不審なパチェ様かわいらしかったです。

ほんとうにありがとうございました。

 

「それで、どういった御用なんですか?」

「あなた、大蒜を花壇に植えたでしょう」

「ギクリンコ」

 

いけね、思わず口にでちゃった。

 

「貴方ね、そりゃあ隅だったけど、手前にスミレやらなんやらの花があるなか突然ポツンと大蒜が姿を現したら秘密も糞もないわよね」

「レディが糞とか言っちゃダメ!!」

「うっさいわね。このクソ門番!!」

 

今日のパチェ様はどうもテンションの高いパチェ様のようだ。

致したくなってきたどうしよう。

草場の影にでも隠れてちょちょっと済ませてしまおうかしら。

 

「あぁ、もっと言ってください」

「あぁ、本当にこの門番なんとかならないのかしら」

 

彼女も頭を抱えているようだ。

でも私がこんななのはどうしようもないことだ。

 

武術なんてマゾじゃなけりゃ出来るか。

 

言った、言ってしまった。

これは世界に残る名言じゃなかろうか。

いや、迷言か……

いかん、おもしろすぎて思考が脱線しがちだ。

 

「とにかく、大蒜育てるんならレミィたちの目の届かないところにしなさい。それで私に少し分けなさい」

「お、大蒜がほしいとおっしゃる?」

「じ、実験に必要なだけよ」

「わかりました、手頃なのを持っていきます。あと大蒜使って鍋でもしましょう。精をしっかりつけてください」

「いいわよ、どうせ死なないんだから何食べようが、何も食べなかろうが」

 

彼女はそう言っていつもそっぽを向く。

 

「その細い体が心配なのは本当なんですよ」

「……図書館でしたら匂いがこもって大変じゃないのよぅ」

 

“もぅ”と彼女はそれだけ零して図書館に戻っていった。

 

彼女にも昔少しだけカンフーを教えようとしたことがある。

運動が苦手な彼女が必死に体を動かす姿は見ていてとてもかわいらしかった。

自分と向き合って、自分にうまく折り合いをつけてほしかった。

 

でも、思った通りに動けない自分を恥じて彼女はすぐにやめてしまった。

とても可愛らしいその姿は、彼女にとってはとても苦痛だったようだった。

 

思うように動くことの難しさならこの館で一番私がよく知っているはずだ。

そして思うように動けないことへの悔しさも、私が一番よく知っているはずだ。

 

なのに、そんな悔しい思いを彼女にさせ続けてしまった自分が嫌になった。

自分にはそうやって少しづつ動けるようになっていくことが何よりもうれしくて、練習を続けていくことができたけれど。

彼女にとってはそうではない。

 

私と彼女では求めているものが違うし、生きている意味も、理由もどれ一つとして同じことはないのに。

健康が一番だからと自分の思いを押し付けていたのかもしれないと私も自分の未熟さを恥じた。

 

それでも、彼女のとても細い腕や足を見ていると不安になる。

何時だって顔色が悪いし、眠らなくていいからと自分の体に無理をさせる。

 

そうやって維持されていく体はともすれば崩れてしまいそうで。

押せば倒れる、吹けば飛ぶを自でいく彼女を私はなんとか健康でいてほしいと願うのだった。

 

という訳で

 

「Let’sカンフ~」

 

大分日が落ちるのは遅くなり、まだ空には太陽が燦々と輝いている。

時間の流れがとてもゆっくりだから、揺蕩うように時間が流れてしまう。

いつの間にか夜になってしまうこともざらなのだ。

 

「玉女穿梭」

 

ゆーらゆら動いている。

 

「回頭当門炮」

 

時間も気にせず、でもゆっくりと時間は過ぎていく。

 

「玉女穿梭」

「あ、今同じの二回言った~」

「こういう流れなのです、間違っているわけではないのですよ妹様」

 

門の向こうで日傘をさして楽しそうに笑う妹様。

 

「別に間違ってるって言いたかったわけじゃありません~」

「あはは、そうですか」

「はい、美鈴に遊んで欲しくてきました」

 

彼女は今日も楽しそうだった。

きゃっきゃと笑う彼女。

どういうわけかなついてくれる彼女は時たま地下から抜け出してこうやって遊びにやってくる。

気まぐれな彼女の笑顔は主人に対して不敬であるが、猫を思わせる可愛さだ。

 

「何をして遊びましょうか?」

「ん~、美鈴を……」

「……私を?」

「ドカン」

「うん、やめてください」

 

何を突然殺人予告しとるかこの娘は。

まぁ日常茶飯事だからもう慣れてしまったけれど。

 

「妹様、いつも言っていますがドカンはそんな気軽にやっていいものじゃありません」

「じゃあ、美鈴を……」

「……私を?」

「突貫?」

「無暗にエロイ響きですね、妹様に突貫されるんですか?私」

 

いかん、変な妄想に入ってしまいそうだ。

収まれ私の熱いパドス。

 

「やめてください、いけません」

「んゅ~、ドカンして突貫?」

「いや、首傾げて言われても……」

 

なんだろう、妹様に突貫されて爆発四散散り散りになってしまい妹様が夕日をバックにして大きく“終”の文字が浮かんでいる姿を想像してしまった。

無意味に地球がピンチだ。

 

「やめてください、もっとこう腰を落ち着けた遊びをしましょう」

「腰を落ち着けあうの?」

「Oh year……」

 

きょとんとした顔に似合わず今日の妹様は卑猥の塊であるようだ。

なんだ腰を落ち着けあうって。

互いの腰にゴインゴイン押し付けあうのか、妹様とちょちょっとも有りなのか……

 

「いや、まて」

 

私は己が股間をまさぐった、もしかしたらと一縷の可能性にかけて、隅から隅まで探してみた。

途中、夢中になって気をやりそうになったが本来の目的を思い出して涙を呑んで中断した。

 

「そうだった、そもそも私には男性特有のあれがない……忘れてた…………」

 

これ以上の絶望があるだろうか。

ちょちょっといけると思った時には肝心のあれがついていないのである。

 

なんとかならないものか。

 

「あれってなに?」

 

真剣に、それこそ套路すらも中断して真剣に考え込む私にそんな声がかかった。

 

「そ、それはですね」

 

私は考えた。

この無垢な少女に、まだ何も知らない真っ白な雪原に、無修正のポルノビデオを見せつけるような黒い欲望が胸の底で渦巻い……てはいない。

 

「お○ん○んのことです」

「あぁ、おち○ち○のことね」

 

彼女を何歳だとおもっているのだ。

御年495歳、れっきとしたお婆様である。

 

「何か?」

「いいえ、何も思ってはおりませんとも」

 

地下に籠もっていたのだから彼女の精神がまっさらなのはその通りだ。

それでも、外に出てきてからは彼女もそれはもう学ぶ。

 

ちなみに、彼女の知識の元はお嬢様のベッドの下にある猥褻図書館だ。

お嬢様もお年頃である。

妙にそわそわしながら咲夜にも頼まず自分で霧雨道具店の戸を叩いたのだからまるわかりである。

 

咲夜さんからとても真面目な顔で“お嬢様のベッドの下から○ロ本が出てきました……”と相談を受けた時にはこの主従は何をやっているのだろうと頭を抱えたものだ。

年頃の高校生かといいたい。

 

第一お嬢様の年齢を考えれば十分合法だ。

何も問題はない。

カリスマがどうとかもうホントどうでもいい。

 

「問題は明らかに腋を見せびらかした女性の比率が多かったということですがね……」

 

そういう雑誌をもっていることは全然いい。

本当は少し問題があるのかもしれないけど、少なくとも私は問題ない。

 

でも明らかにあの雑誌群から感じる彼女の性癖は―

 

「お嬢様は女性にしか興味がないフォイ」

「美鈴口調が変~」

「……失礼しました」

 

しかも腋を見せびらかした女性。

腋を見せびらかした女性!!

 

「あっ手が滑った~」

「ちょ、美鈴突然どうしたの!?」

 

いっけね、つい妄想の勢いにのっとって両袖を引きちぎってしまったー。

あまりに突然すぎて妹様が普通に突っ込み役をしてしまっている。

 

「いや、愛があふれすぎましてね、ヘヘッ」

「そうなんだ~、私にも愛を注いで~」

 

そういって妹様は私の胸へダイビング

私の股間はダンシング。

 

なにこの可愛らしい生物、抱きしめたいんだけど……

 

「あい~」

「んにゅぁ~」

 

言ってるそばから抱きしめて、彼女の髪をクシャッとして、ギュッと彼女の匂いを噛み締めた。

愛らしい。

本当に世界はこんな思いだけで満たされたらいいのに、そしたら争いもない平和な世界ができるよきっと。

 

「人の妹になに手だしてくれてんだ、コラァ」

「あ、お嬢様」

 

其処には日差しをめんどくさそうに浴びながら佇むこの館の主。

私のご主人様がおられた。

怒り心頭息も絶え絶え、怒髪が天を衝くが如き修羅の形相である。

 

「お嬢様、本日もご機嫌麗しく―「くらえ、スピア・ザ・グングニル!!」」

「嘘でしょお嬢様!!」

 

ちゅどーん!!

 

とアホみたいな効果音をたてながら、至近距離で放たれるどでかい槍の形をした弾幕は私に着弾した。

煤けた体をおこしながら妹をイカレタ変態(私)から取り戻すお嬢様。

 

「びっくりだ、私はびっくりしている」

「お、おじょうさま……」

「美鈴、私はお前にびっくりだ」

 

なにその頭の悪そうな喋り方とは思わなかった。

なにせ彼女は私のご主人様(はぁと)だからである。

 

「ちょっと目を離したすきにこれだ、妹に手をだす。大体なんだその袖は、新手のクールビズか!!」

「いや、これはお嬢様が好きだろうと―」

「儂、別にちぎれた半袖とか好きちがうもん!!」

「ま、まっとうな言い分だ……」

 

お嬢様の一人称がおかしいこととか、お嬢様の口調がおかしいこととか、ましてやお嬢様はでも腋をさらけ出した巫女のことが好きなんでしょうとか、私には言い出せなくなった。

 

「そうだろう、まっとうだ。お前には私のかわいい妹を抱きしめていたまっとうな理由があるのか?」

「……かわいかったからちょちょっと―「不夜城レッド!!」」

 

またしてもちゅどーん!!とあほらしい爆炎が紅魔館にてあがった。

 

「ケホ、ケホ」

 

吹っ飛ばされたところからまた煤けながら戻ってくる私。

そこにはまさしく仁王立ちしているお嬢様が鎮座ましましている。

 

「お嬢様おちつー「そういうことは私にしなさい!!」……おっと?」

 

いけねぇ、弾幕を浴びすぎて私の耳はおかしくなってしまったようだ。

 

「お、お嬢様?今なんて?」

「だから、私にいやらしいことをしなさいと言っている!!」

「ええー」

 

どうしたのお嬢様、連日の日差しで頭がショートでもしたの?

みれば不動明王のような表情はいつのまにか変わり、頬を真っ赤にしたお嬢様がおられた。

 

「べ、別に何をするかなんてし、知っているのよ、私の……その…………大事なところをにゃんにゃんするんでしょ?」

「そ、そんな馬鹿な……」

 

頬を赤らめたお嬢様はそれはもう可愛らしゅうございました。ハイ。

大事なところをにゃんにゃんって……てかにゃんにゃんって本当にいう人を初めて見ました。

 

「にゃんにゃんして、よ、よかとですか?」

「ば、ばってん、や、やさしくしてよ~?」

 

あがり調子の疑問形、顔も上目づかいで不安そうに見上げてくる彼女。

これが守りたくなる笑顔ってやつなんですね。わかります。

 

「じゃあ」

 

と私が茂みの奥へ誘おうとすると手を引いてお嬢様に止められた。

 

「まって、……私が…………する」

「へ?」

「私が……そのぅ、してあげる」

 

もう死んでもよかです。

え、なに、天使?エンジェルなの?というか神様?

ホントにもう死んでもいいんだけど。

 

「わかりました、お願いします」

 

私は鼻血を我慢するので精いっぱいになりながらお嬢様にいった。

 

「じゃあ、…………行くわよ」

 

 

 

 

―――お嬢様は私に抱き付いて体をギュギュっと抱き締められた。

 

 

 

 

「にゃん……にゃん……にゃん……にゃん」

 

その掛け声とともに。

私はもう抑えきれず、鼻血を吹いたが、お嬢様にかからないように必死に努めた。

 

「にゃん……にゃん……にゃん……にゃん」

 

恥ずかしそうにしながらか細い腕で私を掛け声とともに抱きしめてくれる彼女。

もはやにゃんにゃんがどうとか、それ間違ってるよね?

とかどうでもよい。

 

私は今お嬢様にちょちょっと致されているのだ。

それ以上でもそれ以下でもない。

 

いま私はお嬢様ににゃんにゃんされている。

 

「ずるいー、私もにゃんにゃんするー」

 

そういって後ろからも妹様に抱き付かれてにゃんにゃんされた。

 

「「にゃん……にゃん……にゃん…にゃん」」

 

あぁ、私は妹様にバックからちょちょっと致されている。

後方からにゃんにゃんされている。

実はセ○クスという行為自体がこれなんじゃないかという気すらしてくる。

 

「て、天国はここにあった……」

 

なにかもう私はどうしたらいいんだろう。

お嬢様に致されただけで死んでもいいのなら、妹様を加え3Pでにゃんにゃんしているこの現状はなんと表現したらいいのだろう。

 

「「にゃん……にゃん…にゃん……にゃん」」

 

もはや言葉になどできない。

私今もうホントどうなってもいいです。マジで。

この二人のためなら命かけれます。元からそうでしたけど、はい。

 

「ま、ま、マイマスタ~~~!!」

「其処までにしときなさい、アホ門番」

「ひぇ!?」

 

その声が聞こえた瞬間には私はシャングリラから離れた庭園に立っていた。

 

「お嬢様も、妹様も、そんな変なこと覚えないでください」

「ごめんなさい~咲夜~」

「にゃんにゃんは変なことなのか……」

 

振り返ればお嬢様と妹様相手にお小言を零すうちの瀟洒なメイド様が一人。

 

「夕食のお時間です、部屋に戻りますよ」

 

そうして二人のお姫様たちを彼女は上手に諭して館に連れ帰っていった。

 

「美鈴、また遊ぼうね~」

「美鈴、また感想を聞くからな~」

 

二人はそう言って館へ戻っていく。

それに私は手を振ってこたえた。

 

さぁ、張り切って門番をせねば。

 

そういって門の前に戻っては見たものの、やはり何をするでもなくて

 

「Let’sカンフー」

 

となるわけだ。

 

「風掃梅花」

 

もう大分日も落ちた。

遠い山に日は落ちる。

 

「金剛搗碓」

 

そろそろ館の中に戻ってゆっくりする頃だ。

夜にはご主人さまの眼が光る。

情交にふけるためかもしれないけれど、頼りになるご主人さまだ。

 

「收勢」

 

私の仕事ももうすぐ終わる。

丁度繰り返していた套路も終わりだった。

 

「食事を持ってきたわ」

「ありがとうございます、咲夜さん」

 

彼女がバスケットを携えてやってきたのもそんな時だった。

 

「あら、食事が多いと思ったら、これは二人ぶんですね」

「……そうよ、悪いの?」

「いえいえ、咲夜さんと一緒に食べれて嬉しいですよ」

 

私は中に入っていた肉まんを取り出し加える。

彼女は私にはしっかりと中華な料理をふるまってくれる。

 

別に私はイタリアンでもなんでもいいけれど、その気遣いがうれしい。

 

「早く、徳利とって」

「はいはい」

 

私が徳利を持つと彼女は彼女自家製の紹興酒をついでくれる。

一気にあおる。

のどを熱いものがかっと通り過ぎた。

 

「咲夜さんも」

「ん」

 

そうして私の呑んだ徳利を彼女に渡す。

彼女はいつだって徳利を一つしかもってこない。何時だって先に私にお酒をついで、私がそれを呑んだ後、私の徳利を使ってちびちびと酒を飲んだ。

 

門の外に壁を背にしてどっかりと座った。

彼女は私のふとももに控えめにちょこんと座る。

 

二人してでたばかりの満月を眺めた。

風も心地よく、遠くに見える人里にも灯がともり始めた。

 

こうやって時間を過ごしているとどうにも感情が疼いて、私は我慢しきれずに叫んだ。

 

「幸せだなぁ」

「何よ、突然」

 

この時間の彼女は私の呟きにも答えてくれる。

 

「パチュリー様や妹様、お嬢様がいる今の世界が私にはどうしようもないくらい一番だという話ですよ」

「……私は、入っていないの?」

 

不安そうな彼女を抱き寄せる。

この時間の彼女はしおらしくて、借りてきた猫のようにおとなしくて、なすがままになってくれる。

抱き締めた耳元でポツリとつぶやく。

 

「当たり前のことだから言ってないだけです」

「もぅ、美鈴は意地悪だものね」

「そうですね、意地が悪いんですよ」

 

くしゃくしゃと髪を梳くと気持ちよさそうに目を細めて嬉しそうに笑う。

まるでずっとおなかを見せ続けている忠犬のようだ。

彼女なら、本当にすべてをことを受け入れてくれるような気がしてしまう。

 

「私も、幸せ」

「本当に?」

「えぇ、パチュリー様や妹様、お嬢様がいるこの世界がどうしようもなく一番なのよ」

 

今度は彼女が顔を上げてクシャっと笑う。

私の問いかけを待っているように。

早く問いかけてと期待しているように。

 

「私は入っていないのですか?」

「それはね、内緒」

「内緒ですか」

「そうよ、内緒よ、内緒」

 

嬉しそうに私をギュッとしてくれる咲夜さん。

内緒なのにその答えはまるわかりで、どうしようもないくらい幸せだった。

だから、私もギュッとした。

 

にゃんにゃんとは違うけれど、こんな心が温かくなる素敵なギュッならいくらでもしていたい。

 

「お嬢様たちから伝言を預かったわ」

「へ?なんでしょう?」

「“大蒜使って鍋をするなら私たちも呼ぶように”って」

「ははぁ、なんとも大丈夫なんでしょうかね」

「お嬢様たち大蒜は匂いが苦手なだけなんだって、嗅覚鋭くなってるからそれがきついんだって」

 

じゃあ極論すればただの食わず嫌いということ?

 

「大蒜はね、鍋に牛乳をいれてじっくり煮れば匂いが消せるのよ」

「それ少しはましになるってだけなんじゃ……」

「うん、だからよそう時には大蒜はしっかり外すようにって」

 

お嬢様たちも頑張られることで。

 

「そうまでして頑張らなくてもいいでしょうに……」

 

吸血鬼は大蒜が苦手だと相場が決まっているのだから。

 

「大蒜作ってることにはちょっと驚いてたけど、みんなでご飯食べられるんならお嬢様はなんでもいいのよ」

「さいですか」

「除け者にされるのが嫌なんですって」

「それは失礼いたしました」

 

大蒜くさい息を主人にかけたら殺すといっていた彼女。

でもしかし当然のように鍋をするなら参加すると思ってくれている彼女。

そんな彼女がこれまた愛おしい。

 

「なら食べた後の匂い消しも考えませんとね」

「食べた後ならリンゴを五等分してみんなで食べるの、それが一番だそうよ」

「抜け目ないですね、咲夜さん」

「だって瀟洒ですもの」

 

最初から主人もその鍋に呼べないだろうかと彼女は考えていたんだろう。

みんなで鍋を囲って、あわただしく食べる姿を彼女は想像したのだろう。

 

それは私からしても最高の光景だった。

 

じゃあ鍋に大蒜を入れなければなどとナンセンスなことは言うまい。

親愛なるお姫様たちは自分たちの苦手なものが出る鍋でも参加したいといったのだ。

そんな鍋でも私たちで食べれるのなら参加する価値があると、彼女はいったのだ。

 

自分で言うのが照れくさいから瀟洒なメイドの手を借りて。

 

ならとびきりおいしい鍋を作ってやろう。

不健康そうな図書館の主やその使い魔、妖精メイドたちも入れて、どうでもいい馬鹿騒ぎをしよう。

 

私たちは家族ではないけれど。

一人ひとりのことを愛して、思いあって、だからこそこの愛おしい日常が続いていくのだから。

 

お嬢様たちを上座に据えて、鍋奉行よろしく咲夜さんが指示をだして。

もし不都合があれば私が指揮をとるのもやぶさかではない。

 

 

こんなどうでもいいことでどうでもいい馬鹿騒ぎをしよう。

私たちの日常をそんな風に廻して生きていこう。

 

幻想郷は今日も平和だ。

 




お久しぶりです。
なんかすごい久しぶりです。
感想ありましたらどうぞよろしくお願いします。

今回はいつもと気色が違いますが楽しんでいただけていたなら幸いです。
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