「あらぁ?アンタ私の事雑魚呼ばわりしてきたくせに弱くない?一度も攻撃されてないんだけどぉ」
「うるっせぇ馬鹿。誰のせいだと思ってんの」
攻撃してないんじゃない、当たってないんだ。
まず厄介なのが相手の血鬼術。何なのか良く分からないし目に見えない。なのに切れ味が抜群。諸に喰らったら死ぬ気しかしないんですわ。私伊之助くんじゃないけどそれはなんか分かりますわ!諸に当たったら死ぬ!!だってそこのぶっとい柱が諸に斬れてるもん!!!
あと相手の喋り方がどうも苦手。いちいち苛つく。冷静な判断が出来ない。
何よりっ!問題なのは!!
コイツが原作で出てないってこと!わっかんないよ!わっかんない!!原作に出てれば少しは分かったかも知んないのにさぁ!!ふっざけんなよ!!?
「て言うかあんただって攻撃当てれてないぞ!?雑魚かぁ!?」
「なんっ……!この女ぁっ……!」
煽ってどうするの!?煽ってどうするの!!?私何やってんの!!?ごめんねぇ!!悪気はないの!
つい口からポロリ溢れちゃっただけで!!
「なんなのよアンタ!弱そうな癖に当たらないじゃない!!」
「そっちが素か!そっちのが良いよ!!」
鬼側もイライラしてきたようでついに化けの皮が剥げた。
やったぜ。化けの皮、剥いでやったぜ。ざまぁ。
違うそうじゃない。
私攻撃当たってない訳じゃないよ?かすったりはしてるんですよ。ただ羽織がちょっと破けるだけで……。
あ!!?あいつ羽織破ってんぞ!!?はー!!私あいつ許さない!嫌い!!
「アンタっ……、さっさと死になさいよっ!!」
──血鬼術
ちょっとキレてる間に奴が血鬼術を使った。
相変わらず見えなさそう、と思ったらちょっと違った。
ど、どどっど、どう言うことだ??さっきまでは見えてなかったのに?どう言うことだ!!
はっ、そうか!!怒れば良いんだな!?じゃあこれ、もしかして転生とく───
「ああぁっ!!アンタほんとムカつく!!さっさと死になさいよっ!!
………は?
ちょ、ちょっとまて。まぁ待てよ、落ち着け。
なんて?今なんて??
今日の生け贄?今日の??
どう言うことだってばよ。私、良く分かんない。あいどんとのういっと。
へいゆー。説明ぷりーず。
全く訳が分からない、と言う顔をしていると鬼は察したのかニヤッと笑って「あら、アンタ知らないのぉ?」と猫なで声を再開して説明し出した。
「ここの村はねぇ?私が来たときには小さい子どもがたっくさん、捨てられてたの。だから私はここでその子達の"おかあさん"になってあげたのよぉ。私の言うことは絶対なの。子どもは皆素直だったわぁ。良い子達ばっかりで……馬鹿げた夢を見て。信じていれば報われるなんて考えを持って。可哀想だから、私が鬼になったときにも時間をかけてゆっくり食べてあげたわぁ。"おかあさん"だもの。幸せだったと思うわよ?だって死ぬまで素敵な夢を、幻想を見させてあげたものぉ!!けどねぇ。残念なことに食料にも底がついたのね。だから村長にお願いして毎日一人ずつ生け贄を貰うことにしたの。ここ最近の話ねぇ。村長はすぅぐオッケーしたわぁ。誰しも自分の命には変えられないものねぇ!!」
キャハハッ!と甲高く耳障りな笑い声を発する目の前の鬼に言葉を失った。
つまり、なんだ?
コイツは身寄りのない子ども達を、人間の頃には育てていた。けど、鬼になったからその子達を喰った。罪悪感もなく?自分が育ててやったんだからと?
善意の押し付けじゃねぇか。
とんでもない屑も居たもんだわ。
で、その子たちが居なくなったから生け贄を寄越せと?人間を食料って呼ぶなし元人間。
まぁそりゃあ人間が魚や豚や牛を食料って呼んでるから同じような物だろうけど……。そこじゃない。
もうこの際それはなんでも良いんだ。
「あぁでも、皆最後には怯えた顔をして……でも、とっても美味しかったわぁ」
私のお姉ちゃんは言ってた。
夢を見るのは、明日を生きたいから。それが生きる活力になるから。自分が生きてるんだって実感するために想像力を働かせるんだって。少なくとも自分はそうなんだって。
お姉ちゃんはとっても優しくて気の回る人だった。けど、そんなお姉ちゃんは長年見ていた夢を叶えられず、挙げ句病気に掛かって入退院を繰り返してた。それでも笑顔で夢を見て『明日を生きよう』と頑張ってた。
そんなお姉ちゃんの夢も一緒に、コイツは馬鹿げた夢だって踏みにじった。
「あらぁ?どうしたのそんなに震えて。もしかして怯えちゃったぁ?」
私の前世の友達は、漫画みたいな話だって思われるかも知れないけど、両親と血が繋がっていなかった。容姿も似ていないし、性格も似ていない。
けど、その子もその子の義両親も、愛があった。愛して愛されて。時には親子喧嘩して助けを求めてきたけど、やっぱり最後は仲直りして。
いつかその子が言ってた。『血が繋がっていなくても、愛があれば親子』なんだって。義両親は善意を押し付けようと引き取ったのではなく愛を与えたかっただけなんだって。
そもそも義両親は子どもを作れない体質だったらしい。不妊症ってやつかな。治療も体に負担が掛かるから出来なかったんだって。
『愛があったから、わたしはお義母さんを"お母さん"って呼べたんだと思う』。そう言ってた。
そんな友達やその子の義両親の想いもコイツは簡単に踏みにじる。
「大丈夫よぉ。貴女もすぐ殺して私が食べてあげるからねぇ」
「………うるさい」
私の周りには問題児ばかりが集まる。
前世でも、今世でも。
なにかしら問題を抱えて寄ってくる。いや、私が寄ってってるのかも知れないけど。
前世ではその問題はすぐに解決される。簡単で、単純で、人の心があれば話し合いでも解決できた。
今世はどうだ?
がんじがらめに縛られた問題の方が圧倒的に多い。
鬼殺隊に
紐解くのが難しく、複雑で、人の心があっても相手には、鬼にはない。話し合いなんか出来やしない。
辺りを見渡せば
つくづく思い知らされるね、どんだけ平和で便利な環境下でぬくぬくと過ごせてきていたか。
腹立つ。
腹が立ちすぎて頭が痛いね。
感情に左右され過ぎて制御が出来ない。
鬼だけじゃなくて、自分にも腹が立つ。
自分がどんだけ幸せに生きてたか知りもしなかった、知ろうともしなかった。まぁ別に知ったところでなんだってなるんだけど。
出来ることならやり直したい。顔向けが出来ない。
「今の私が私……」
「は?」
突然呟く私に鬼がすっとんきょうな声をあげる。
そんな鬼に構わず私は何度も何度も、噛み締めるように繰り返す。
今の私が私。私は私の任務を全うする。
プチリ、と音がして何かがふっ切れた。
その瞬間、視界が
暗……、いやくっっっら!!?何これ怖い怖い!!
失明した!?あ、いや全然平気だわうん。
じゃあなんだこれ。
──血鬼術
不意をつけると思ったのか、奴が血鬼術を使う。
今私は視界がだいたい白黒です。避けるのとか無理。と思うじゃん?あ、思わなかった?知ってた悲しい。
避けれたよ!避けれたよ!!
褒めて褒めて!!あ、褒めない?そっか……。
いやなんか血鬼術飛んでくるところが赤くなったんですね。白黒のなかで唯一の赤。わぁ怖い、これは避けなければぁって本能的に思いましたよ、えぇ。
そしたら風みたいなんがビュー!ってなってバーっ!でズババーッ!って赤く見えて。あ、わかんない?ごめんね。説明が絶望的に下手なの。
とにかくこれなら対等だよね?って話。
いや対等じゃないわアイツら腕斬っても余裕で復活するじゃん。チートくさ。
・村長さん
自分の命惜しさに生け贄を捧げると言った哀れな人。前のおじさんは関係なくあの人はただの優しい人。
村長さんは自分の行いが悪いことだと分かってるから誰にも相談できなかった。悔いてはいる。
・修道女の鬼の血鬼術
風関係。風が相手なら見えないから仕方無いよね!!因みに諸に当たったら死ぬけどかするくらいなら切り傷になるだけ。主人公は今切り傷だらけ!!怒った理由は羽織を傷つけられたからって……短気かな!
にしても掠り傷で済んでる主人公……動体視力ヤバいのでは。。
プチ次回予告!
「よっしゃあ!これなら余裕だぜ!ふぉあ!!」
「あっやめ、こら!当たれ!」
「ふん!雑魚め!」
「キィェエエ!!」
「殺ったぜ!あ、目が痛い目が痛い、目が!!いやムス○カ大佐かただの厨二病じゃねぇか。おい待て丸が役割果たしてないぞ」
鬼『あれは確か○年前……──』
※尚ネタである。必ずしもそうとは限らない
因みにサブタイトルの『二つ』は『二つの視界』と言う意味ですね。