妖を扱う狐憑き   作:あめ林檎.s

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「はくちゃんはくちゃん、これを着てみてよ!」
「え、はい……?」
「はくちゃんはくちゃん、次は此方を」
「うぅん……??」
「はくちゃんはくちゃん、やっぱり此方」
「う………」
「はくちゃんにはやっぱり此方ね。此方を」

すみません私の担当乃菊さんから乃亜さんに変えてもいいですか。

取り敢えずここには雇われの御手伝いさんって事で来てるので鬼殺隊だとバレる前に着替えようって事になった。
で、ここお金持ちだからかなんか知らんけど……なんっでこんなメイド服の種類豊富なのさ。
おま……嘘じゃん、嘘でしょなんでメイド服あるの。しかも着せ替え人形じゃん私。結局どれ着るんですかね私は。
サイパーメイド服着せられたかと思ったらクラシカルメイド服でチャイナメイドですか。種類豊富かて!別の事にお金使ったらどうですかねぇ!!

最終的にミニスカメイド服着せられそうになったけど粘った結果皆着てる和風メイド服に落ち着いた。それでもヒラヒラとかめっちゃ着いてるけどね、カチューシャとか。

………西洋文化入りすぎかてここの邸。高校の文化祭思い出したわ。

「……あの、乃菊さん」
「はくちゃん、違うでしょ!ここにいる間は"お嬢様"って言わないと怒られちゃうよ」
「怒られ……何方に?」
「白鳥よ、白鳥」

乃菊さん……もといお嬢様(笑)の話によると白鳥さんはここではいっちばん厳しい執事らしい。年齢は二十後半くらいらしいけど、こうツンケンしてて出来の悪いメイドさんには本当に厳しいらしい。

うへぇ、私その人とあわなそうっすね。

「乃菊姉さん、はくちゃんの方は終わりましたか?」
「乃亜!終わったわ、ぜんちゃんの方は?」
「終わりましたよ」

襖越しの会話だったけど乃亜さんの言葉に吹いてしまった。
ぜんちゃんだって、かぁわい。からかってみよ、多分顔赤くするでしょ。それか不機嫌そうな顔。ちょっと想像したけど普通に可愛いな……。

スッと襖が開いて乃亜さんと善逸くんの姿が見えた。私、絶句。

「……ど、どうした善逸くん………」

最早びっくりし過ぎてからかうことが一瞬で頭から消え去った。

………なんで善逸くんクラシカルメイド服着て、そんでなんでミュートで泣いてんの。

「の、乃亜さん?あ、違った乃亜お嬢様?なんで善逸くん泣いてるんです?」
「さぁ?ぜんちゃんにこの服着せたら急に泣き出しちゃって……そんなにこの服が気に入ったのかしら?」

絶対違う寧ろ逆だと思う。
絶対この服着せられた事への羞恥と屈辱だよ。

「あの、乃亜お嬢様。善逸くんが女の子の格好である必要はあるのでしょうか……」
「?ありませんよ?でも此方の方が可愛いでしょう?」

この双子"可愛い"で物事決めるのか……。落ち着きある方とない方とで分けてたけどやっぱ双子だな、どっちについても同じだったわ。取り敢えず善逸くんのメイド服はやめてほしい。
いや可愛いのは認める!!だって可愛いもん!!だけど本当にやめてくれスマホで写真撮りたくなるでしょスマホ無いのだからやめていただきたい所存。

「執事の方の服もあるのでしょう?そちらにしませんか……」
「えぇ……。ぜんちゃんは着替えたいですか?」

乃亜さんの質問に物凄い勢いで頷く善逸くん。
ですよねー!いや……ですよね!!
そりゃあ十六歳の男の子ですもんね高校の文化祭じゃあるまいし恥ずかしいよね!て言うかそもそも性別が違うもんね嫌だよね!
私も恥ずかしい!!

「ね、乃亜さん。メイド服だと怪しまれると思うんですけど。あとほら、善逸くんも男の子だから執事服の方が似合うと思うし格好いいと思うんですよ」
「えっホント!?本当にそう思う!?」
「お、おう……?」

執事服のが格好いいって言葉への食いつき具合が半端じゃなかった。
おい待てキミいつの間に泣き止んだんだよ……。目がキラキラしてんよ。嘘泣きですかって疑ったけど違うわ、涙の跡ついてるし潤ってらぁ。いやでもこの顔も可愛い……。

「やっぱこのままもありか」
「え!!?」
「あ、嘘嘘冗談じゃん。キミには格好いい執事姿が似合うよ、きっと」

思わずポロッと口から溢れ落ちた言葉に善逸くんに若干引かれ、いおりんにシラッとした目を向けられた。
悲しくて即効で否定したよね、うん。だってどんな格好してても可愛いし。格好いいのなんて極稀だぜ?きっと執事でも可愛いよ。

なんかさ、一度で良いから推しにさ、執事服着せて「お帰りなさいませ」みたいなの言って欲しくない?同士おる??
やっべ想像したら……駄目だ心臓がやられる。ぐふっ……(吐血)。

「まぁそれもそうですね……。怪しまれたら元も子もありませんものね。仕方ありません、今回は執事服を渡しますので……。はい、どうぞ。着替えてきてください」

渋々と何処に持ってたのか執事服を取り出した乃亜さんの言葉を最後まで聞かず、善逸くんは服を奪い取るように持ってった。
めっちゃ早かったよホント。
だって「どうぞ」の「ど」を聞いた時点で動き出してたからね、とっても早かったよ。

因みに戻ってくるのも割と早かった。


弐の話 有力な

おはようございます、朝です。昨日の夜は星が綺麗でした。流れ星見ました。お願い事しました。

" 明日も明後日もその次の日も、永遠に推しが元気でありますよーに "って願い事しました。

因みに私は年中無休で元気です風邪引いたとき以外。

 

と言うことでどうも皆さん昨日の夕方から私は東藤邸にて表向きはメイドさんで本当は娘さんの護衛?をやってます凩白兎です。

 

いや、ホント、ホントに忙しい!主に私が護衛することになった双子のお姉さんの乃菊さんから呼ばれたり着せ替え人形にされたりいおりんを乃菊さんと乃亜さんに連れ去られたりエトセトラ……。折角推しと合同任務なのに昨日の夜見たっきり今日は見れてないっ!悲しい!元気してるかどうか心配!執事姿拝みたい!!後半が八割がた締めてるんだけど。欲望に忠実なんだぞ私は。

 

だって元気してるかどうか心配って昨日と今日やぞ?沢山女の子に会えるんだぞ??彼が元気じゃない訳あるかい。

 

 

てかそんなことより眠い。

 

 

一応これでもほら、雇われたお嬢様方(乃亜&乃菊)の護衛だからちゃんと警戒しとかないといけないわけでして。私寝ると起こされない限り起きれないタイプだから寝なかったんだよ。

あ、いや三時間くらいは寝たかな。気付いたら朝になってて白鳥(しらとり)さんに叩き起こされた怒られた。

 

「いつまで寝ているんですか?もう朝日は昇りました」

 

つって。

いやー、怖いのなんのって。目吊り上げて寝起きだってのに怒鳴ってくるからね。煉獄さんも吃驚(びっくり)の大声よ、お陰で目が覚めましたぁ。

どうやら善逸くんも叩き起こされ怒られたみたいで涙目だったよね。可愛かった。

 

てことで昼間は普通にメイドです。眠い。

 

と言っても東藤邸は他と比べればそこまで広くはないし、掃除洗濯料理皿洗いをやったら大体終わりなんだけどね。

 

「白鳥さ~ん、此方終わりました~」

「語尾は伸ばさない、ピシッとして」

「はーい」

「……」

「すみませんでした」

 

語尾を伸ばすなと怒られたから伸ばしたら睨まれて秒で謝った。白鳥さん割と美形だから怖いんだよ睨みが。美形が怒ると怖いってのはその通りだと思うね。

つーか美形ばっかでムカつくんだけど顔面偏差値半分くらいわけろや。

 

「終わったのならお嬢様方の所へ向かってください。貴女を探してました」

「え゛っ、マジっすか……」

「夕飯を作るときまでには戻ってきなさい。最近はただでさえ人手が足りないんですから」

 

白鳥さんは「ふぅ……」とため息を吐きながら頭を押さえる。

人手が足りない……ってのはやっぱ例の鬼のせいなのかな。白鳥さんも疲れてるんだろうな、目の下に若干隈が……。まぁそれでも疲れた表情は見せてないから白鳥さんの威厳の為にも黙っておきますけど。

 

「じゃあ何かありましたら呼んでください。飛んで駆けつけます!」

「走るのはやめてくださいね」

 

真顔で諭された。

いや走るのは許してくださいや、重要な事があったら普通急いで走りますがな。私とて何もなかったら走りませんよ。

そんなに走って欲しくないんだったら壁紙として「Don't run!!」とでも貼っておくんだな!ハッ!!(鼻で笑った音)

 

「早くお嬢様方の所へ向かったらどうですか。顔が煩いです」

「かっ、顔が煩い!?どういう事!?え、もしかしなくても私白鳥さんにディスられてる!?やだ悲しい!!」

「………」

「は!口調が崩れてましたね申し訳ありません!もう行きますね!?また後程!!」

 

思わず口調崩して話しちゃって焦った。ここで捕まったら説教一時間コースだからホントすぐに逃げた。白鳥さんの説教は恐ろしいんだよ!ここ来て全然短い(半日)だけど昨日の夕方!!説教されたとき気付いたら一時間経ってるし!一時間静かな声で怒られながら正座だよ真顔だから迫力あったよね!

 

「後で覚えといてくださいね」って聞こえた気がしなくもないけど気のせいってことにするよ、私の耳はご都合主義だからね!!

 

 

………あ、やべ走っちゃった終わった。

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

「じゃあはくちゃん。おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

 

自室に入っていく乃菊さんを笑顔で見届ける。

誰も居なくなってから私は大きく息を吐き出した。

 

………今日結局一回もいおりんと善逸くんに会えなかった最悪だ厄日だ……。

あとさ、私思うんよ。ここの鬼さ、絶対普通のじゃないでしょ。いや、普通のってそりゃ鬼自体が普通じゃないけど、そう言う事じゃなくて……なんだろ、下手したら十二鬼月に入れるくらいだと思うんだ。

全く違和感が感じられない。皆人間っぽいし……いやまぁ人間と鬼の見分け方知らないんだけどね。

 

う~ん…、と声を出してその場で唸ってると私の姿を照らしていた月明かりが誰かの影によって遮断された。

 

………ちょ、ちょちょちょっとちょっとちょっと待ってててててて私こう言うホラー苦手よホント。え!?なに!?ここそーゆー感じの!!?むりむりむりむりむりむり!!!!!

 

油の指してない錆びたロボットみたいにギギギギッと首を回す。振り返るとそこには……。

 

「何やってるんですか」

「なんだ白鳥さんか……」

 

ほぅ、と息を吐けば白鳥さんは「はい?なんだと思ったんです」って。お化けかと思ったわ本当。怖かったわマジで心臓止まるか思ったわ。

 

「で、まだ返事を聞いていませんが」

「はぇ?なんのです?」

 

私の返答にため息を吐いて「ここで何をしてたんですか」と聞かれる。

わぁ凄い怪しむような目を向けますね私悲しい。

まぁそりゃ誰でも自分の主人の部屋の前で悩んでる人がいたら怪しむよな、うん。

 

「いえ別に!なんでもないです!」

「そう……ですか」

 

では失礼します、おやすみなさい。と言ってその場を離れる。

勿論向かうは私の部屋!今日は寝るんだ~。朝までグッスリ~……は出来ないと思うけども。

取り敢えず寝るんだ!眠い!!

 

ゆっくりと襖を開けて私吃驚。

 

「ぜ、善逸くん!?」

 

なんとそこには正座した善逸くんと丸まったいおりんが居た。

あら二人ともそんな真面目な顔してどうしたん怖いよ。て言うかなんか良くない話されそうなんで閉めますね失礼しましたぁ。

そーっと襖を閉めようとすると二人?(一人と一匹)によって止められた。

 

「ちょっと待って何処に行こうとしてるの!?」

「いえなんか部屋を間違えたようなので」

「間違えてないよ!?ここ白兎ちゃんの部屋だからね!?」

「あ、なら不法侵入ですか白鳥さん呼ぼうかな」

「やめて!?あの人怖いからやめて!!?」

 

出ていこうとする私にお願いだからやめてと言う善逸くんの声は大きい。「今は夜だから静かにしようね我妻」といおりん。

そ、そうだぞ今は夜なんだぞ静かにしないと大魔王伊織様と白鳥さんがご光臨なさるぞほんと静かにしようね?

怖いんだから!

 

「取り敢えず本題に入ろうか。何かあったの?」

「切り替えはや……。なんで何かあったと思うの?」

「いやだってこの部屋にいるから。あとはただの勘」

「何もなかったらここ来ちゃ駄目なんだね?まぁあったから来たんだけど」

 

いおりんと白鳥さんが怒ることが怖いからヒソヒソ声で話す。

何があったんだって聞くと善逸くんが「鬼の手掛かり……って言うか、"有力な情報"を得たから一応伝えに」と。

 

有力な情報?ほうほうなにかね聞き届けよう。

 

「顔が煩いよ白兎」

「いおりん何処と無く白鳥さんに似てるよね」

「ちょっと同感しちゃった俺は悪くないよね?」

「悪くない悪くない」

「我妻は悪くないよ。なにかあったら全部白兎が悪いからね」

「うんうん……うん?今なんて伊織さん?」

 

あれ、ねぇいおりん?おーい伊織さ~ん?ちょっと?ねえちょっと!?無視するのやめてね!あ、こら!目逸らすなって!伊織さん!!?

なんで全部の責任を私に押し付けたんだ!?理不尽だ!!ねえ善逸くんそう思わない!?え、ちょっと待って善逸くん。キミ自分に被害が及ばないように全力で無視するじゃんひっど!!

見損なったわ!!

 

「てか話の趣旨が変わってるんですが」

「それも白兎のせいで」

「いやもうそれでいいよ泣く」

 

いおりん絶対めんどくさくなってるじゃん。全部私のせいにしてくる。

話の趣旨変わったのとか最早いおりんのせいじゃん、責任転嫁ヨロシクナイヨ(片言)。

まぁいいや話を元に戻そう。

 

「で、有力な情報とは?」

 

キョロキョロと辺りを見回した後私の耳元に口を近付ける善逸くん。

周り見ても部屋の中には私と善逸くんといおりんしか居ませんがな!襖の外に誰かいるとかもあるのかな。

 

なんにしろ壁に耳あり障子にメアリー……じゃなくて目ありって言うしな、うんうん。

あ、でもなんか、うん。いや、なんでもないわ。

 

「実は……」

 

コソコソと話す善逸くんの話を聞いて私は目を見開いた。

 

「マジか……」

「うん。だから、これが正しければ明日……」

 

明日終わるって事だ。

そう繋げると善逸くんは大きく頷いた。

よっし明日終われば私は休みだ。多分休みだ頑張るぞ。

 

「それより耳元で喋るのこれ以降無しにして貰える?」

「え、なんで?」

「いや、なんかゾワゾワして変な感じするから……」

 

頬を軽く引っ掻きながら呟く。

ふと善逸くんを見るとニヤニヤしてたからイラッて来てデコピンして部屋から追い出した。

てか耳元で喋られるだけじゃなくて息かかるだけで無理。ゾワゾワする。いやマジで。いおりんが耳元で喋るのも無理だもん、あの子はそれ知ってるから配慮してくれてるもん。

 

………え、いおりん優しくね?

 

そう思いながらいおりんを見たら「気持ち悪いからその顔やめてくれる」って言われた。

なにそんな酷い顔してた!?ぴえん悲しい。




・コソコソ話
壁に耳あり障子に目あり。仮に鬼が近くに居たとしても聞かれないように耳元で有力な情報と作戦?を話した。ホントに有力なようで上手くいけば明日終わる。


・耳が弱い主人公
弱点:耳。一度だけ伊織に耳元で喋られたことがあるがその時に吃驚し過ぎて腰を抜かしてしまっている。それ以降伊織は絶対耳元で喋らない。
善逸はニヤニヤしてたし絶対また耳元で喋るだろと思って少し警戒中。




次回、やっと鬼が出てきます(多分)。
鬼の正体とは?そして、我妻隊士と凩隊士の作戦とは!?(大したことない)
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