最終選別六日目夜。
浬來くんとはぐれて早三日。
「ねぇ!善逸くん!」
「なに!?どうしたの!?」
「ここどこだろう!迷ったんだけど!」
いや、あのね?普通に進んでたつもりなんですよ。浬來くん此方いるかなぁ、いや此方かなぁって!さ迷ってたんですっ!私別に炭治郎くんみたいに鼻が良いわけでも善逸くんみたいに耳が良いわけでも、伊之助くんみたいに触覚が優れてるわけでもないからね!
要するに平々凡々なのよ私は。悲しいなぁ。
まぁそれならいおりんに匂ってもらうか善逸くんに聞いてみるかしたら良いじゃんって思うでしょ?
いおりんは、私が寝てるときに変わりに見張っててくれたから今は休憩中で寝てるから、匂ってもらえないのね。起こすのもなんか違うじゃん。私のために起きててくれてるのにさ。
善逸くんにはさ、なんて聞けばいいの?『何か聞こえない?』って聞くの?でもそれだったら『何かって何が?』ってなるじゃん。そもそも藤襲山の出入り口で鳴る音って何さ。怖くない?
「多分あと何時間かしたら最終選別終わりだよね?それまでに藤襲山出れるかな?」
「な、何か目印とかないの?」
「あったとしても私多分方向音痴だから……」
「薄々気付いてたけどやっぱりそうなんだね!?」
あれ、気付いてたんだ。否定してくれないの?そう、おねーさん悲しい。
だってしょうがないじゃない!私別に炭治郎くんみたいに鼻が良いわけでも(ry。
兎に角、私は結構方向音痴なんで!ここどこかすら、どこに行ったら良いかもわかんないっ!
「それでどうしようか、善逸くん」
「誰か近くにいたり……しないね、何の音も聞こえない」
「ですよねぇぇええ……!!どうしようどうしようほんとにどうしよう!ごめんね善逸くん!私に着いてきたばっかりに、こんな鬼のいる山中で遭難して……っは!もしかしてこれ山から出られなかったら合格できないとか……そうだったらどうしよう!私申し訳なくて軽く死ねるよ!?それどころか遭難して一生出られなくて食料もなく餓死する可能性だってなきにしもあらずな訳でしてなんならその前に鬼に食べられて死んじゃうかも……!やだ本当にごめんね善逸くん!!」
「そんなことはないと思うからちょっと落ち着いてもらえるかな!?」
凄い勢いでワンブレスもせずに捲し立てる私をみて慌てて止める善逸くん。危うく酸欠になるとこだった、肺活量ないから。
深く息を吸って吐いてを繰り返す。
覚えておこう、酸欠死もなきにしもあらずだからね。取り敢えず一旦落ち着こう。深呼吸を五回繰り返す。
「………で、どうする?」
「来た道を引き返してみようか」
「そうしますかぁ」
「待って待って?白兎ちゃんは先に行ったら駄目だよ!また迷うかもしれないでしょ!?」
「むっ!疑いすぎだよ!流石に来た道はわかっ……」
「………らないんだよね!?もう!変な意地張らなくて大丈夫だよ!俺に任せて!ちゃんと連れてくからさ!」
わ!善逸くんが頼もしい!良いぞ良いぞぉ!!
とかいつもなら言ってるんだろうけど今はそんな場合じゃないと思う。
本当に困ってるからそんなんいってる場合じゃないから本当に。なんなら生死に関わる問題だからこれは。あ、でも生死に関わるからこそ死ぬ前に推しを褒め称えるって言うのもありか。
善逸くんが頼もしい!!好き!!!
よし。ノルマ達成(ごり押し)。
「ところで善逸くん、何処まで引き返すの?」
「そうだよね!?何処まで引き返そうか!?」
だと思った。私もわかんないもん。
さてどうしたものか……。
△▽△▽△▽△▽
「お帰りなさいませ」
「おめでとうございます。ご無事で何よりです」
感情の籠らないような声音で黒髪と白髪の良く似た兄妹、まぁ要するにお館様の御子達が祝福(なのか?これは)を述べる。
私から言わせればとても棒読みに聞こえるよこれ。
因みに生き残ってたのは
浬來くんは初日の夜くらいに見たときより羽織が破けてたり血が出てたりしていた。
痛々しや……頑張ったんだねぇ私と違って……。
因みに私たちが藤襲山から出られたのは浬來くんのおかげです。危うく別の方に進みかけたときに浬來くんと会ったからね。助かりましたありがとうこの恩は死んだら忘れるけどそれまでは忘れない。
それで浬來くん割と私の事探してくれてたらしくて、無事でよかったって言葉まで戴きましたふふふ。
はい!私も自分が無事でよかったです!浬來くんも無事でよかった本当に。私と違ってボロボロだけど。
──もし私にお兄ちゃんがいたら、浬來くんとか善逸くんみたいな人が良い。優しすぎず、強すぎず。程好い強さで程好い優しさ。一つ欠点がある方が魅力的。可愛くてかっこ良くて。瞳の色は
………うん?私の理想の話に誰か混ざってきた気がする。頭おかしくなったかな。それとも理想のお兄ちゃん像が既に頭のなかで出来上がってたのかな。まぁどっちでも良いや可愛かったし!!
「まずは隊服を支給させていただきます。体の寸法を測り、その後は階級を刻ませていただきます」
「階級は十段階ございます。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。今現在皆様は一番下の癸でございます」
「刀は?」
「本日中に玉鋼を選んでいただき、刀が出来上がるまで十日から十五日となります」
「さらに今からは鎹鴉をつけさせていただきます」
こっちの都合もお構いなしに、淡々と話を進めて手を叩くまでは原作と何ら変わりない。
そして鎹鴉が善逸くんだけ鎹雀なのも変わらない。だから勿論私にも鴉が来るんだろうと思ってた。そう、思ってたんだ。
「………すみませんこれ鷹なんですけど」
鷹なんですけど。
なんか凄い堂々とした顔で翼広げてるけどこれ鷹なんですけど?鴉、鴉は?私も鴉が良い。鴉じゃなくとも雀でも良いよ。鷹は苦手なの、爪がいたいの。あ、ねぇ痛いごめんってもう文句言わないからやめて、ギチギチ絞めるの止めて血が出るから。
全く……。
「どうでも良いんだよ鴉なんて!刀だよ刀!!今すぐ刀よこせ!!鬼殺隊の刀!!"色変わりの刀"!!」
いや玄弥くんよ、お話を聞いてましたかね。玉鋼選んでからも結局十日から十五日掛かるんだぜ玄弥くん。今すぐは無理だと思いますぜ玄弥くん。あとその子お館様の御子達で女の子だから殴るのは駄目だと思う、うん。
って言うのは前世から思ってたことです!この玄弥くんが後に思春期を迎えて………あ、ネタバレに含みますかこれ?
「この子から手を放せ!!放さないなら折る!!」
「ああ?なんだテメェは。やってみろよ!!」
やめた方がいいですよ、ほんとに折られるし。なんならもう同じ隊員なんだから御法度に触れるんじゃ……、いやどうなんだろ、原作では咎められてなかったな。
あ、ほらだから言ったじゃん。炭治郎くんまじで折っちゃったよ、絶対痛いじゃん。
「お話は済みましたか?」
お話じゃないと思いますケド……。
「ではあちらから刀を造る鋼を選んでくださいませ。鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼は御自分で選ぶのです」
黒髪の御子達さん?の言葉を聞いて、やっぱり原作通りだなって思った。ここまでは順調なんだなぁ、原作通り。私と浬來くんが介入したことで何かが変わるわけでもないし……、あ、そうだあの子、白髪の子。怪我してるよね、殴られて。傷口から細菌が入って膿んだら大変だから後で薬塗ってあげたいな。
にしても玉鋼かぁ……。やっぱ見た目はどれも一緒なんだよなぁ……。
個人的に今のところ気になるのは手前から二つ奥で右から五番目のと、手前から三つ奥で左から八番目のやつ。でもどっちでも別に……。
「………左から八番目」
「んぁ、いおりん起きとったん?」
「さっき起きた。手前から三つ、左から八番目のやつが良いと思う」
「……へぇ、勘?」
ボソボソといおりんと喋ってれば他の人は皆選び終わったらしく、残ってるのは私だけ。だから私はいおりんの言う通りかろうじて残ってた手前から三つ、左から八番目の鋼を手に取る。
………ズシッと来た。
これが色が変わるんだよね、十日後がちょっと楽しみかも……。
・主人公が選んだ玉鋼
二卓で迷っていたところ、丁度伊織が起きて選んでくれた。優柔不断としてはとても有り難い行動だった。
色が気になる為主人公は約十日後まで少しの楽しみが出来た。やったね!(?)
本日は少し遅れてしまい、急いでかいたため誤字脱字があるかもしれません!あったら報告お願いします。
そして、これまで続けてきた毎日投稿が出来なくなりそうです。すみません……。
元々不定期だったのに今までが異常やったんや……!!
もしそうなったら気長に待ってていただけると有り難いです!