妖を扱う狐憑き   作:あめ林檎.s

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とある村の子供が沢山住む小さな家。
捨てられた子供を預かっているその家は、とても幸せに満ちていた。

───さぁ、新しいお母さんの所へ行くわよ。優しいお母さんだと良いわね。

その家からは、毎日の様に子供が一人ずつ里親の場所へ向かう、手紙を出すと言っては消えていた。手紙も届かない。

今夜も聞こえる。楽しそうな笑い声の中で気付かれない子供のか細い悲鳴───


壱の話 教会?

任務の知らせが届いたのは、その日の夕暮れ時だった。

 

私の鎹鴉ならぬ鎹鷹の(よもぎ)さん(自己紹介してくれた)が飛んできて宣言した。

 

「小娘、任務だ」

「え、マジか。もうすぐ夜だよ?」

「当たり前だろうが、間抜け。鬼は夜に出るのだからな。安心しろ、ここから近いぞ」

「何も安心出来ないんですが」

 

ひえぇ……、ご飯食べたばっかりなのに……。てか近いのか!近くで出るな!おばあちゃんが危ないだろうが!!

胃の中のもの出てきたらどうするん。

にしても今から仕事かぁ……うげぇ……。

 

「で、内容はなんですかね」

「場所は北西に十三(キロメートル)程。その家から毎日の様に子どもが消える。里親の元へ向かうと言ったきり居なくなり、手紙も途絶えている。時々血の匂いもする事から鬼のいる可能性が大だ」

「なんですかその生々しい内容は。ただ単に里親の所に行って手紙が行き届いてないだけでは?」

「つべこべ煩い!さっさと準備しろ阿呆!!」

「口わっっっっる!!!」

 

阿呆や間抜けと私に向かって連呼する蓬さんに嫌々ながら着替える。

前田さんに作って貰った私だけの隊服。その上に母さんから貰った篭目文様の若竹色の羽織を羽織る。

これ着たら今から任務って言う実感がジワジワと……うっ。

 

「ねぇ蓬さん。そこの鬼を倒したらこの家に戻ってこれると思う?」

「別の任務が出なきゃあ戻ってこれる。どうでも良いからさっさとしろや」

「………ほんと蓬さんって……」

 

苦笑しながら蓬さんを見る。

口は悪いけど私が勝つって信じて疑わないじゃんその自信は何処から来るんですかねいったい。

いやまぁ良いんだけどね?その方がなんか安心する。蓬さんの期待に答えないとねってモチベーションも上がるし。

 

「一応、おばあちゃんに声かけて行こうかな……、戻ってこれるか分かんないし。いおりんはどうする?一緒に行く?それとも」

「行くに決まってるでしょ、馬鹿だなぁ」

 

今までずっと黙って話を聞いていたいおりんに声をかけると当然の如く「行く」と言う返答が返ってきた。

うんまぁそうだろうとは思ってたけど私守りきる自信ないなぁ。

来てもらわなかったら来て貰わなかったで道に迷うんだけど。

 

取り敢えずおばあちゃんに声をかけようと洗い物をしている洗面台へと行く。

おばあちゃんって声をかけたら私の格好を見て何か察したように表情が曇る。

 

「そう、お仕事なのね」

「……うん」

「気を付けてね。いつでも帰ってくるんだよ、待ってるから」

「うん!ありがとう!行ってきます!!」

 

玄関を開けてそう言うとおばあちゃんは「行ってらっしゃい」って、心配しながら言ってくれた。

名残惜しい。ほんとは任務は出たくない。だけどこれは私が選んだ道だからなぁ。

 

「北西に十三(キロメートル)だっけ?」

「分かってるなら早く向かえ!」

「北西ってどっち!?こっち!!?」

 

北西が分からないで適当に進もうとしたら蓬さんといおりんに「そっちは南東」って言われた。

 

真逆に進もうとしてたのね、流石方向音痴()

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 

「………ここ?」

「ここだ、間違いない」

「うそぉ……」

 

蓬さんに案内されて着いた場所は教会の様な見た目をした立派な建物。

私といおりんは目を丸くしてその建物を見上げた。

 

───教会って神聖な場所じゃなかったっけ。

そんな神聖な場所で鬼とか出る訳?なんかの間違いでしょ……?

 

「嬢ちゃん、その家に何か用なのかい?」

「はひっ!?いやっ、用と言った用はありませんけど……」

 

ぼやーっとしてたらいきなり声をかけられ驚いて飛び上がった。

声をかけてきたのは風貌の良い男の人で大工のおじちゃん!って感じの人。……わかるかな?

てか家って言った?ここ家なん?やっば……。

 

「そうかい。ただ、あんまり近付かないほうがいいぞ」

「へ?なんでですか?」

「そこにはな、身寄りのない子供たちが沢山居るんだが毎夜の如く消えるんだとよ。最近じゃあここに入ってった大人まで消息をたってるらしいぜ。あぁそうそう、丁度今くらいの時間帯だから、嬢ちゃんも気を付けなよ」

 

それじゃあ、と言って去っていくおじちゃんを見ていおりんと目を合わせた。

と、言うことはだよ?ここから毎夜毎夜子供が消えてて、最近は大人も?しかも今くらいの時間帯?

えぇ……、嫌なんだけど。とてつもなく嫌なんだけど。帰りたい。暖かい我が家が待っている~……違うそうじゃない。

今くらいの時間帯ってことは、今日はまだ犠牲者が出てない可能性もあるって事よね!頑張ろう!!

 

「失礼しまぁす……」

 

教会(と呼ぶことにする)の扉をキイィィ……と音を立てながら開ける。中は薄暗く、小さな窓から差し込む月明かりだけが頼りだった。

いつかに見たホラー映画みたいだ怖い。ホラー苦手。あいどんとらいくほらーむーびー、いえあ。

 

「おねーちゃんどうしたの?」

「ぴゃっ!!?」

 

足下から聞こえてきた子供の声に私は飛び上がる。

やめてよぉ……さっきのおじちゃんと言い急に声かけて来るのやめてよぉ……。

 

声の聞こえた方を見ると立っていたのはショートカットの女の子と、男の子。

この子達の他には人の姿はない。

あれ……?ここって沢山の子供が居るんじゃなかったっけ。

 

「おねーちゃん、どうしたの?なんでここに入ってきたの?」

「えっ、えっとね、私はお仕事で……」

「なんのおしごと?」

「えーっと、悪い鬼さんを斬るお仕事かなぁ」

 

二人の子に興味津々の目で問い掛けられてしどろもどろになりながら返答する。

悪い鬼を斬るて……間違っちゃいないけど言って分かるのかねこの子達……。

 

そんな私の考えとは裏腹に二人は目を丸くしてすがり付いてきた。

 

「ほんとう?おねーちゃん、わるい鬼をやっつけてくれるの?」

「わるい鬼をやっつけて、僕たちのこと助けてくれる…?」

「え?」

 

まさかの鬼を認識してる感じですかねこれは。

助け……てあげますよだって仕事だもん!!

 

「でも、悪い鬼が居るって知ってるのにどうして逃げないの?」

「それは……」

 

私が首を傾げて問い掛けた瞬間、彼女たちの表情が一気に曇った。

何か聞いちゃいけないことを聞いたかと思って、今のやっぱなし、って言おうとした。

突然、彼女たちはハッとした顔をしてそれぞれが私の手を下に引っ張った。

 

───ヒュンッ

 

「………は?」

 

頭の上で風をきる音がして目の前に日光に当たりすぎて色素が抜けたアッシュブラウンの私の髪の毛が目の前にヒラヒラと落ちてきた。

 

あ~あ、気付かれてないと思ったのにぃ……。いったいどうやって避けたのかしら?

 

神経を逆撫でする私の大嫌いな甲高い猫なで声が聞こえて顔をあげると、そこには修道女の様な格好をした人がいた。

……いや、多分人じゃない。なんとなく嫌な感じがする。

 

「白兎、コイツ鬼だよ」

「やっぱり!?薄々そんな気はしてた!」

「頑張ってね。いおは生存者が居ないか確認してくる」

 

いおりんはそう言って私の肩からピョンっと飛び下りると教会の奥の方へ向かった。

あれ、そう言えばあの子達何処行ったんだろ……。いおりんと一緒に奥行ったのかな?まぁそうなんだろうな。ここにいたら危ないしね。

 

あらぁ?アンタまさか……鬼狩りかなぁ?

 

私の服装を見て首を傾げながらそう問い掛けてくる女鬼。

いやわかってるんだろ聞くなよ鬱陶しいな嫌いなんだよ貴女みたいぶりっ子みたいなの。とか思いながら必死で呑み込む。

 

「だったらなんだって言うんですか?」

そうなのぉ……。なら……なおさら食べないとねぇ!

 

あ、否定しておけば良かった。

 

生きて帰れると思わないことねぇ

「そう言う(漫画で)雑魚の(言う様な)台詞は間に合ってます」

なぁっ!!

 

何かが神経を逆撫でしちゃったみたいで「アンタは絶対殺す!!」と宣言されてしまった。なんで?

でも貴女みたいなのに殺されるのは真っ平ごめんなので抵抗させてもらいますけど。

 

こうして私の初任務は始まった。




・親切なおじちゃん
だと主人公は思ってる。はたして本当に親切なのか……、あ、親切だから大丈夫です。


・鎹鷹 蓬(よもぎ)さん
最終選別で何故か一人だけ鎹鷹だった。
蓬は元々ついていた名前でどういう経緯でつけられたのかは不明。俺様系の口悪い鷹。


・教会?
外見が教会の様な見た目をしていることから主人公が勝手に呼び始めた。実際は洋風な家。周りの人々は「身寄りのない子を引き取る家」だと認識している。消息を絶った人たちはどうなったのか。


・教会の鬼
修道女の服を着た優しそうな女鬼。甲高い猫なで声が主人公の神経を逆撫でしてくる。初対面だが主人公はコイツの事が既に嫌い。前世(2020年)の時のぶりっ子を思い出すから。



歪な幸せ編、スタートですね!原作伽羅との絡みはこの章では無さそうです(多分)。
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