何年ぶりでしょうか…読み返すとどうも解釈違いや矛盾点を感じてしまったため新訳版を書こうと筆を取りました。
本当に今後も不定期的に執筆するかと思われます。すまない
本当の友だちとは
友情…共感や信頼の情を抱き合って互いを肯定し合う人間関係、もしくはそういった感情のこと
辞書や検索エンジンで調べればこれと同じような内容がさらりと出てくるだろう。本来ならば「友情」という単語はこれ以上でもこれ以下でもない。
しかし、私にとっての友情とは「自分、若しくは他人が相手に対して一方的に関係性を決めつける際に用いられるものの一つ」である。そう思う理由は簡単だ、現在の私がそういった出来事に出会ったからに過ぎない。
何処から話せばいいのだろうか。時は現代、世界中の大抵な人間は一人一つ超能力を持ってして産まれてくる。その超能力を使い、悪事を働く悪人もいれば、その悪人を成敗する善人も存在する。
その悪人の事をヴィラン、善人をヒーローと呼び、社会へと浸透して行った…と、こんな所だろうか。
現在、私こと鬼人正邪は中学三年生の受験生。ヒーローとなるべく、有名なヒーロー科の存在する高校に入るべく、独り日々精進している。
私は今、校内で参考書とノートを広げながら、誰と話すでもなく静かに問題を解いていた。模試試験の結果では悪くない成績ではあったものの、残り一年弱残っているということは慢心していると足元をすくわれかねない。
教室内、周りは昼休みという事もあるためか騒がしい他人の会話が嫌でも耳に入る。これくらいはしょうがない。
黙々とノートへ記入をしていると急に目の前が影で暗くなった。
「ねぇ〜、アンタいい加減にそんな事やめたらぁ?アンタみたいなやつが雄英の、しかもヒーロー科に受かるわけないじゃ〜ん」
「そーそー、奈子ちゃんの言う通り!そもそも雄英のヒーロー科に受かるのは奈子ちゃんだしね〜?」
目の前に現れた女が罵ってくる。面倒くさい。
頬杖をつきながら、面倒くさそうに奈子へ目を合わせた。
「お前、毎回飽きないね。」
「は?まじウザいんだけど。そ〜いう態度取っていい訳?」
嫌なら関わらなきゃいいのに…本当に面倒だ。私が話を切り上げたいというのにずっと話しかけてくる。
暫く無視を決め込んでいると不意にノートが私の視線から消えた。
「…はぁ、さっきからなんだよ。構って欲しいなら他所当たれ。」
予想通り、奈子にノートを取り上げられた。何ともまあ、ヒーロー科を目指す人間とは思えない良い笑顔をしていらっしゃる。
「あんたみたいな無能が夢見ないようにさ〜、友だちとして忠告してあげてるの。それなのにずーっと無意味なことばっかしてさ、可哀想だし〜、態々止めてあげてるだけじゃん。私ってば優し〜♪」
奈子は手に持った私のノートを目の前で切り刻み始めた。ノートだって1冊購入するのが馬鹿にならないというのに、よくもまあ資源を無駄にするような事が出来るものだ。
「あっそ、用が済んだなら帰れ。散れ。そして二度と私の視界に入らないように努力しろ。私もお前を視界に入れないように努力するから」
ノート程度、切り刻まれて捨てられるなんていつもの事だ。そんな事をされ慣れたせいで何も感情が湧かない。やる事が無くなったので持ってきていた携帯小説を取り出し、読む。
奈子は暫くの間、私の目の前で如何に自分が素晴らしい個性であるか、反面アンタの個性は役に立たないだ、生きている意味無いだ、さっさとヴィランになって私のヒーロー活動の踏み台になれだ、しょうもない事を散々言った後に何処かへ行ってしまった。五月蝿い奴がいなくなってやっと自分の時間ができると思ったが、昼休みはもうすぐ終わりのようだ。
奈子とは小学生からの同級生だった。1年生からの付き合いのため、初めこそ仲が良かった。一緒に遊んだり、一緒にお泊まりしたり、班分けのグループも一緒だった。
それが、何時からだろうか。奈子が私に対しての態度を変えたのは。
思い出したくない事を思い出し、少しだけ嫌悪感を抱く。一応だが、奈子とは距離を置きたいと思っているだけで、復讐してやりたいとはあまり思ってはいない。だが、毎度毎度あんなやり取りをされては恨みや呪いの感情を多少抱くのは普通である。私はそれほど出来た人間でもなければ、聖人君子でもないのだ。
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学校の帰り道、破られたノートを新たに買いに書店へ立ち寄った。ノートを買いに来ただけであったはずなのに、ふと売り物の本棚へ目が吸い込まれると暫くの間その場から動けなくなった。全く、どうしてこんなにも面白そうな題名をした本が揃っているのだろうか。お金が足りない。
買う予定のない物も買ってしまったが、こればっかりは仕方がない。クラスで浮いている私にとっては読書が娯楽のひとつなのだ。
帰路に着いていると、少し外れた方に人集りが出来ている。あの騒がしさを見るにヴィランとヒーローの戦闘だろうか。
興味本位で向かう。人をするりするりと避けて手前まで出て見る。どうやら流体の個性を持つヴィランが私と同い年くらいの男を人質に取っている様子だ。それをヒーローが助け出す光景が…と周りを見る。しかしヒーローこそ周りにいるが手も足も動かさずにたじろいでいる。それを見て若干の嫌悪感を覚えた。
思っていた光景が見れなかったため、ついため息をついてしまった。つまらない。帰るかと背を向けようとした時、野次馬を押えていた警察の目をくぐり抜け、飛び出した少年が1人。動けずにいたヒーローらは「無駄死に」だの、「自殺志願者」だの言っているがそんなことはどうでもいい。これだ。こういう光景を私は見たかった。
ヴィランに向けてカバンを投げ、怯んだスキに人質を助ける算段だったのだろう。しかしまとわりついたヴィランは引き剥がせなかったようだ。
周りのヒーローが何も出来ない中、無謀にも飛び出してしまった少年を見ていて、思わず笑いが込み上げてきた。久々に大声を上げながら笑ってしまった。しかもこんな大勢人のいる前でだ。
そんな姿を見せられては、私が何もしない訳には行かない。
シンと静かになり、私に皆が注目しているのが何となくわかる。私はため息をひとつ付くと、ニヤニヤしながらヴィランと少年ふたりの元へ歩いていった。
「いやはや、面白い光景を見させてもらったよ。ありがとう」
1歩、1歩とヴィランへと近づく。ヘラヘラ顔をしている私を見て同年代の少年2人は困惑、ヴィランはキレている。
「テメェ!何笑ってやがるんだ!止まれ!さもないとコイツの命はねーぞ!!」
「脅しですか。生憎と彼と私にはなんの接点も無いんだがなぁ…そんな事よりもヴィランの君に朗報だ」
この私が彼の代わりになろう
そう一言を発した。
「いやなに、何を隠そう私はヴィラン志望でね、ここで一つ二つくらい悪さをしてもいいかなと思ったのさ」
どうも笑顔が元に戻らない。楽しくて仕方ない。頭が全力で回転すると同時にどんどんと言葉を発してしまう。
「そんな抵抗丸出しのヤツよりも、無抵抗の人間を人質にするほうが君は得だろう?」
「アァ?確かに…確かにそーだな。じゃあ有難くお前の身体ツカワセテもらうぞ!」
そういうとヴィランは捕らえてた少年から私へまとまり先を変えた。うむ…ドロドロで生臭いし、なんか入り込んでる感じが不快感全開だな。
今の今まで笑顔だったのがスっと無の顔になったのが自分でも分かる。
「…あー、そーだオッサン。アンタに幾つか嘘ついてたんだわ」
「何だ急に。だがもう遅いぞ!もうあと10秒すればお前の身体の支配権は俺のものだ!!」
ドロドロしたものが私の身体の穴という穴から入り込もうとしている。しかしそれを私は「個性」を発動して阻止した。
「1つ、私はヴィラン志望じゃねーんだわ」
私の個性は「天邪鬼」異形型ではあるが、発動型の個性も使用可能という特殊な個性だ。
「天邪鬼」は何かしらものものをひっくり返す事が出来る。今回の場合はヴィランの「入り込んでくる」をひっくり返し「自ら出ていく」とした。
「2つ、悪さしてもいいかなとは考えたことも無い。生憎と私の親の教えでは『しっかりとした道徳心を持て』って言われてるんだ」
まとわりついているヴィランがスルスルと私の目の前へ集まっていく。ヴィランも自分が何故意思と反した動きをしているのか分からずに戸惑っている様子だ。
「な、なんで…!?確かに俺はお前に入り込もうとしたはず…」
ヴィランの言葉など気にせずにどんどんと私は言葉を発していく。しかし、個性を使ったせいで肩で呼吸しながらではあるが。
「入り込もうと?あー、そりゃあアレだ。私が個性を使ったからに決まってるだろう?」
ゼェゼェと呼吸を整えようとしている。疲れのせいで両膝に手を付く。しかし顔はヴィランに向け、してやった顔を見せた。
「私の個性は『天邪鬼』発動するとこうして体力をごっそり持っていかれたり、デメリットがでかいが大抵の物、行動、現象、ありとあらゆる物をひっくり返せるのさ」
ふん、とドヤ顔を見せると、やはりというかヴィランは再度私の事を人質にしようとして襲おうとした。
「この…クソガキが!!体力ごっそり持ってかれたってことは、もう個性は使えねーって事だろうがよぉ!!!もう一度まとわりついてこんどこそ乗っ取ってやらぁ!」
「無理だよ」
「…は?」
「無理だって言ったんだ。お前、頭悪いのか?周りには手を出せずに傍観していた『クソ』ヒーロー共がいるんだ。手を出せなかったのは人質がいたから。で?今のお前の状況見てみろよ」
やっと呼吸が整った。汗を拭う。私が周りへ目をやると、チャンスだと言わんばかりに立ちすくんでいたヒーロー共は今なら確保出来るとすぐにでも仕掛けようとしていた。
そんな空気を壊す人物が大声を張り上げて飛び出してくる。
「その通りだ!!!!」
人集りを大きく飛び越し、筋肉モリモリのドデカい人間が降って来た。
「何故かって?
私が来たからだ!!! 」
筋肉モリモリはオールマイトだった。これは完全に予想外だった。
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それからのヴィラン捕獲は迅速だった。オールマイトがヴィランに対してパンチの風圧で吹き飛ばし無力化。途中飛び出した少年はヒーローに怒られ、人質になっていた少年はタフネスさから賞賛されていた。私はと言うと…
「君もだ君!あんな危険な中に突っ込んで、しかもワザとヴィランに取り込まれようとしてたでしょう!!」
「はぁ…なんも手出しできなかったアンタらに言われたくない。じゃあ、私はこれで」
「あ、おい君!」
ホントに、何も出来なかったヤツにアレこれと言われる筋合いなどない。そんな事を言うのなら私や無謀行為少年が行動をする前に、何か行動を取るべきなのだ。
すっかり日が暮れてしまい、とんだ一日になってしまったなどと思いつつ、私は帰宅した。
思えば、これが同じクラスになる奴らとの初対面になるのだが、分からないで当然だろう。
これは、私が心から友と呼べる仲間と出会う、そんな物語である。
特にないです。