個性把握テストから数日して、私は普通に授業を受けていた。雄英高校、その中で特別とも言えるヒーロー科も、ヒーロー資格を取ること以外は至って普通の高校なのだ。内容も至って普通で聞いてるだけでなんの面白味も感じられなかった。
だからといって、居眠りをすると科目担当に起こされ、担任の相澤先生に至ってはロン毛が逆立ち、明らかに激昴する。
そんな中、今日の最終時限にある『ヒーロー基礎』にはかなりの期待を寄せている。意気揚々と昼休みに昼食を腹の中に入れ、中学時代にはなかった得体の知れない科目に胸躍らせながら自席で待機している。
授業開始のチャイムが鳴ると同時に独特の低い、しかし何処かで必ず聞いたことのある声が扉越しに聞こえてくる。
「わ~~~た~~~し~~~が~~~…」
「普通にドアから来たッッッ!!!!!」
何故溜めるのだろうか。さっさと入って来ればいいものを…だが生オールマイトだ。大ファンとは言わないが、モニター越しに、紙媒体越しにしか見た事の無かった有名人を目の前にすると自然と興奮してくるものである。
初っ端から授業は戦闘訓練を行うらしく、それに伴いコスチュームに着替えろとの話であった。
個性把握テストと同様に女子更衣室へ向かいコスチュームへと袖を通す。
うわ、麗日のコスチューム体のラインがはっきり分かる。八百万とかいう奴はほぼ裸体丸出しじゃねえか…女子の衣装を見てドン引きしてしまった。
ちなみに私のコスチュームはと言うと、白の半袖シャツに矢印のデザインの施されたスカートというシンプルなものだ。
一応耐火性と防刃性のある素材で出来ているために衣服自体の防御力は高い。
なおスカート内はチラリズム防止のために黒のスパッツを履いている。覚えてる限りではクラス内に邪な視線を向けてくるやつが一人、二人?居た気がするため、仕方なく履いた。本音を言うならそんな奴がいなければ、こんな面倒な手間は取りたくない。いや、面倒と言うよりは動き辛くなるのだ。私は普段、羞恥心よりも機能性や利便性を優先的に取る
さっさと着替えたので真っ先に指定場所のビル前まで向かう。向かうと男子らは殆ど先に集合していた。やはり女子の着替えは比較的時間が掛かるのか
「もー、正邪ちゃんどうせなら待っててよー!一緒に行きながら話したかったんに!」
モチモチ肌の麗日がさらにモチのように頬を膨らませてプンスコしながらやって来る
「悪かったな。お前の着替えが遅すぎて先に行っちまった」
ケタケタと笑い、ビルの壁に寄りかかる。他とあまり関わりたくないとはいえ、こうして友人のような会話をするのは楽しくて仕方ない。特に相手を揶揄うようなものなんてついついやってしまう。
そんな麗日とのやり取りを楽しんでいると、眼鏡男子が私に向かって指を差しながら怒鳴り出す
「そこ!壁に寄りかかるな!授業中なのにそんな態度でどうするんだ!」
こいつの言葉で一気に機嫌が悪くなった。そういえばコイツは入試の時にも私にあれやこれやと言って来た奴だったか。
何度も言うが、私は真面目の振りをした奴が大嫌いだ。目上の目が光ってる時にはヘコヘコと頭を垂れ、規律や同調を重んじる。しかし目上からの目が無くなると途端に不真面目になる
不真面目になるなんて事が無くても、あたかも自分の主張が正しい。そう考えてるやつが大半だ。
「はぁ、まだ全員揃ってもいないのにエラく真面目な坊ちゃんだな?この数日でもうこのクラスの学級委員長にでもなったつもりなのかな?ん?」
ヤレヤレとした顔で煽ると眼鏡は茫然とした驚き半分、怒りの顔をしていた
「な、なんて口の悪い…よくそんな性格で雄英高校に受かったな!?」
バチバチとメンチを切り合う間で麗日は「ふ、二人ともやめた方がええんちゃう…?」とオロオロとしている。仕方ない、ここは私から折れてやろう。
「…はぁ、他の奴らも来た。ここは一つ大人な私が折れてやるよ」
「なっ…!?」
二ヘラと笑いながら麗日の手を引きその場を離れる。その途中、麗日に
「なー、せっかく同じクラスになれとんよ?仲良くしよーよ!」
と軽く叱られた。だがあれは私の苦手とする相手だ。こればかりは無理と伝えると
「ならウチが飯田くんと正邪ちゃんとの友好関係を取り持ったる!」
なんて言われて困惑している内にオールマイトが今回の戦闘訓練の説明をし始めてくれた。タイミングがいいぞオールマイト!
訓練の内容はシンプルなものだった。2人1ペアでコンビを組み、コンビ同士との対決…今回はヒーロー側とヴィラン側に分かれて戦うとの事だ。ヒーロー側はヴィラン側を捕獲、又は室内に隠された核爆弾という名のハリボテにタッチで勝利
ヴィラン側はヒーロー側を捕獲、又は時間内までに核爆弾を守り続ければ勝利
「先生、これではペアに一人余りますが、どうするのでしょうか!」
眼鏡が挙手して質問する。それに対しオールマイトはそういえばそうだったといった顔をして考え込む。そして数秒後に答えた
「1組だけ3人ペアになってもらう事にしよう!どんな状況においても人数に差がないとは限らないからね!」
成程、確かにそれはそうだ。いかなる状況においても戦闘なんて平等な時などない。必ずどちらかが不利でどちらかが有利だ
そう思っていると、ふと思い付いてしまった。自然と口角が上がっていってしまい、ニヤけたまま挙手をし、発言する
「私が、一人になります」
オールマイト含め、周りがざわめく。
「き、鬼人少女。何故一人になりたいのかな?」
「簡単な事です。確か、雄英高校って一般の他に推薦でヒーロー科に受かった奴らが各クラス二名いたはずです。どうせならそいつら二人を相手して、私が何処まで行けるのか…試してみたいんですよ」
飯田くんに対する正邪の評価爆下がり中
お茶子ちゃんは助けて貰った恩人補正も込みでもう既にお友だち認定されています
次回、鬼人正邪死す!
コンティニュー?
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いいえ