長野県下の四校の麻雀部によって企画された、四校合宿。
全国に挑む清澄高校と個人戦出場者たちの強化、及び後進の育成と交友を銘打っている。
「──と、いう名目で秋の国麻とか世界ジュニアの選出材料にもなってる。学生が主導になってるが、バックにはプロが付いてる。大人ってめんどくせーな!」
「アンタ、それ他の子には絶対に言わないでよ」
「聞かれなきゃなー」
女子団体戦の決勝戦で争った四校の代表が、合宿所に集う。
バスに乗って目的地まで行く清澄高校の面々。そこに一人、部外者が混じっている。
このバスには佐河信一が同行している。隣に座る京太郎にこの合宿企画の成り立ちの経緯を話し、笑い飛ばした。
彼はこの合宿に興味を持ち、参加させろと要求して、部長会議にも参加して一枚噛んでいる。
──それを知っている彼女たちは、この合宿に対して嫌な予感しかしていない。
「……けど、本当に俺が参加しても良いんですか?男なのに」
この合宿の目的は、あくまで女子選手の強化だ。
つまり合宿所は女子の園だ。男子にとっては魅惑に映るが、二の足を踏む場所でもある。
本来ならば、京太郎は参加できないはずの場所なのだ。この合宿の日程中は、ネトマ三昧で消化しようと彼は考えていたのだが……。
「大丈夫よ須賀くん。そこの飛び入りと違って、あなたは是非にもって、正式に招かれたから」
「自信持っとけ、県二位。お前さんも個人の代表に選ばれたんじゃ。合宿に集まる選手でお前さんの名前を知らんモグリはおらんよ」
つまり、長野県下の選手強化を謳うならば、京太郎もしっかりその対象に含まれる。
確かな実力を持ち、信頼と信用が出来て責任を持てる身内……となれば、京太郎も参加できる。
その上で、名前と実力が他の三校にも知られれば猶更だ。今年度の長野男子個人戦は、今や全国区のニュースだ。東征大のある静岡に並ぶか、それ以上の激戦区であったという評価は覆らない。
あの個人戦を巻き起こした台風の目……どれほどのものなのか、知りたいに決まっている。
「まあ、さすがに部屋は別室よ」
「知ってます」
「女子の部屋に入ってきたら即帰宅ね」
「わかってます」
「逆夜這いは拒んじゃ駄目よ」
「わかって……はいっ!?」
何言ってんのこの人と久の方へと振り向いたが、当の本人は知らない顔。
そして一年生組の……咲と和と優希の突き刺さる視線。非常に居心地が悪く、チクチクと痛い。
「良かったな、京太郎。部長殿のお許しが出たぞ。女に恥かかせなさんな」
「待って。待って信一先輩」
「アレ持ってるか?持ってない?そりゃいけないな、男のたしなみとマナーだ。買いに行こう」
「何を!?」
「ここで言わせんなよ、恥ずかしい」
「ええ加減にせいよ、おのれらは」
ケラケラと笑いながら京太郎を弄る信一と発端の久は、まこが止めるまでずっとこの調子が続いただろう。
京太郎は思い出す。ああ、この先輩は……この先輩たちはこういう人らであったと。
不倶戴天で仲悪いと言っておきながら、案外相性はいいんじゃないのかと頭に過ったのだが……。
「ん?」
「あ?」
──それを察せられたのか、両者からガン睨みされて京太郎を考えるのを止めた。
「私としては、そこのヤツが心配なんだけど──」
「は?この世に小蒔より可愛い女なんかいねえよ、このブス」
「……無駄な心配のようね。開き直っちゃって、面白くない」
この合宿に至るまでに……信一と久が会うなり、真っ先に許嫁関連で弄っていたが、最近ではもう慣れたのか開き直ってオープンになった。
佐河信一には許嫁がいる。しかもその相手があの永水女子の神代小蒔。その噂は、彼らが合同合宿の部長会議でもそのやり取りがされたので、すでに広く知れ渡っている。
むしろあまりにも嬉しそうに彼女の惚気を吐くので、久も参っていた。口の中が砂糖を詰め込んだみたいに甘くてしょうがない。
「俺だって、参加させて貰ってる身ってのは自覚してるっての。礼儀として、
「お土産、ねぇ……」
それも心配の種の一つなのだ。今の信一の持っている荷物に、それらしき物はない。
ありきたりな……彼の地元の鹿児島土産とかではないと、断言できる。
「安心しろよ。東征大の合宿みたいな客人をボロッカスにするようなもんにはしねーよ。趣旨はちゃんとわかってる」
「安心できる要素があると思う?」
「んー、ねえな。じゃあ、期待しねーで待ってろ」
久の脳裏は暗雲がかかったまま……バスは合宿所へと向かっていく。
合宿所に、四校が集結する。
団体戦の優勝校にして長野代表、清澄高校。
長野古豪の名門校、風越女子。
今大会のダークホース、鶴賀学園。
前大会優勝の最精鋭、龍門渕高校。
先の大会以来に、この面々が出揃った。嬉しくあるし、闘志も沸く。
ある者はリベンジを、ある者は興味を持った者との対局を、ある者は自身のスキルアップを狙っている。
……そして、到着後に合宿の開会式が行われて全員が集結したこの居間にて、一際視線を集める二人が。
「や、やっぱ息苦しいな……」
「堂々としてりゃいいんだよ。お前いっつもハーレムみたいなもんだろうが」
「さすが巫女さん侍らせてる人は怖気つきませんね」
「あれはもう家族みたいなもんだ。嫁と姉と妹」
清澄の須賀京太郎と、佐河信一。ほとんどが女子で占められるこの部屋において、この男二人は大いに目立つ。
その上で、彼らの肩書……個人戦代表、化物という実力を証明する名前が、目を離させない。
「それじゃあ、改めて男子二人には自己紹介してもらおうかしら」
合宿日程の司会をしていた久に、いきなり話を振られる。
確かに男子はゲスト扱いのようなもの。対局経験のない他校にとっては、名前と顔は知っていてもどういう人物なのかはわからない。
「ぶ、部長、いきなりそんなこと言われても……」
「ちょっと挨拶するだけでいいから」
部長の無茶ぶりには敵わないと、京太郎は恥ずかしながらも彼女たちの前に立つ。
じっと、注目を浴びるプレッシャーに京太郎は怖気づくも、一呼吸ついて気持ちを落ち着かせる。
気付く人には気付いた。その一呼吸で、ピリっと空気が張り詰めたのを。
たじろいでいた頼りなさげな少年の印象は一瞬で吹っ飛び、気を抜けば叩き潰される気迫を吐き出す、歴戦の猛者の風格を纏っていた。
「清澄高校麻雀部一年、須賀京太郎です。麻雀経験はまだ四ヶ月も経ってない若輩ですけど、精一杯食らいつくつもりなんでよろしくお願いします!」
頭を下げて一礼し、精一杯の笑顔を見せつけたが。……その笑顔の印象は、油断していたら本当に食われるだろうと彼女たちは受け取った。
麻雀歴四ヶ月。それを譜面通りに受け取る者はこの場には皆無だ。
才能じゃない。運じゃない。ましては異能力ですらない。それらで語れない、凄まじいものを彼は持っている。
そうでなければ、あんな麻雀ができるものか。こんな風に、自分たちを慄かせるものか。
須賀京太郎は劇薬だ。それを清澄以外の大多数の者らが察した。それを毒のままにするか、薬に変えるか……自分たちにかかっているのだと、認識させられた。
一瞬の間の後に、拍手で迎えられる。戸惑いこそしたが、満場の喝采に彼に対しての否はない。
取り扱いを誤ったら危険なもの。であれば、間違えなければいい。そうすれば、確実に益になるものなのだから。
「京太郎、交代」
「はい、先輩」
京太郎と入れ替わりに前に立った信一は、臆さず自然体のままだ。
佐河信一の名前と顔は、大きく知れ渡っている。中学時代の三連続準優勝の逸話、男神蘇芳との激戦は今も語り草だ。
そもそも、
そのはずが、このインターハイ出場。プロユースを辞めてまで、大会に参加したのは誰にとっても寝耳に水だった。
「佐河信一だ。まー、京太郎と違って俺は本当に飛び入りの闖入者だ。まずはその無礼を詫びよう」
「まったくよね、ホント」
久の茶々に肩をすくめて、何も言えないと苦笑する。
「──つきましては、非礼の詫びを……持参した土産を以て無聊を慰めたい」
────きっと、気に入ると思う。そう言って、信一は襖の方へと目をやった。
それにつられて、全員がその方へと振り向いた。
「入れ」
「……あんまり、期待されるとキツイんだけどな。お土産ってそういうもんでしょ?」
「期待せず貰うから土産は嬉しいもの……なるほど、確かにそうだ」
襖が開き、入ってくるのは二人の男。
一人は白衣、もう一人はよれよれのワイシャツを着た、ただならぬ雰囲気を醸し出す男たち。
その顔は、その姿は、次元を超えた先で何度も見た。テレビの中で、雑誌の上で、幾度も幾度も。
知らぬ者はいるはずもない。彼らこそ、男子プロの中でも世界クラス最高峰に位置するプロ雀士たち──。
「──嘘、能海プロに白水プロ!?」
「ハァッ!?何でウィード・キッズのトップ2が揃って来るんだよ!」
「偽物……そっくりさんじゃないよね」
「いや、間違いないって……アレは」
────能海治也と、白水浬……その人だ。
方や現役高校生でありながらデビュー以後公式戦無敗を誇る国内最強の一角の超エース、方やプロデビュー一年で世界ランキング9位の座に上り詰めた魔人。
騒然とする清澄以外の三校は、想像外のビッグゲストの登場に大いに驚いている。清澄の面々は、まあそうだろうなと想定の範囲内だった。
普通に招くのであれば、クラブチームよりウン百万円もふんだくられるようなビッグプレイヤーたち。何よりも、彼らとのコネクションそのものが希少だ。彼らを土産と称す信一もまた、どんな法外な手段を取ったのかと邪推してしまう。
清澄の女子たちも、面識はあるが対局はしたことはない。これは信一にしてみれば、非常にまともな土産になるだろう。
「よう、須賀くん。来ちゃった」
「信一曰く、俺たちは土産だ。基本は彼女たちのサポートに当たらせてもらうがな」
「治也先輩、浬先輩!良かった、女子ばかりで少し心寂しかったんですよ」
知った顔が増えて、ほっと胸をなでおろす京太郎。
確かに女の園は天国だが、この男女比の差で堂々とし続けていられるほどに図太いわけではない。知り合いの男は多い程良いのだ。
「……あー、あとよ信一」
「なんだ、浬先輩」
「……先に謝っとく。すまん」
「は?どういうこと──チッ、そういうことか」
信一が頭を抱えると、治也と浬が出てきた開けた襖の方へと睨みつけた。
威圧と殺気を込めた視線は、その余波だけでプロが来て浮ついた空気を即座に凍らせ、全員を黙らせた。
……そして、その殺気に楽々と抵抗できる存在感を発する何かが……襖の奥に隠れている。
京太郎も、この場にいる女子全員も感づいた。そこには、誰かがいるのだと。
「出てこいよ。顔見せるだけなら許してやる」
「偉い言いようね。まるで自分が仕切ってるみたいに」
「まったくだ。こんな面白そうなこと黙ってやがったし」
一人はレディーススーツを様になるほどに着こなす麗人。一人は襖のしきりをくぐるほどに大きい男。
信一の威圧をそよ風のように感じている二人は、涼しい顔で部屋に入ってくる。
「よし、帰れテメェら」
「あら酷い、折角来たのに追い返すなんて」
「お呼びじゃねーよ、他所の代表共が。招かねざる客ってわかるか?」
「それ、おもいっきしブーメランな」
来るなり早々、信一と口喧嘩。口論と共に本気の威圧をぶつけ合っているのは、彼らにとっては挨拶のようなもの。
しかし、それを知らぬ彼女らには恐々とするものしかない。直接向けられていないからこそ、その余波は満遍なく広がっている。
感受性が高い者たちは必死に震えと吐き気を抑えようと必死だ。動くことすらままならず、彼らの間に入って止めるなどまずありえない。
空気が軋み、雷撃が走る。室内温度が下がり、口の中が乾くほどに水分が飛んでいく。
ただの威圧の衝突で、そこまでのことが起こすことが出来るのは化物しかいない。だから、必然的にあの二人の正体もわかってくる。
悪辣凶手『修羅』弘世命、十代最強『奇跡』男神蘇芳──。
高校麻雀最強の双峰、団体と個人においての最強の象徴が立っている。
……この一地方の合宿所に、日本全国が畏れる化物らが揃い踏みとなった。その意味を、その危険性を、論理的にしろ感覚的にしろ理性的にしろ本能的にしろ……理解しない愚か者はこの場にはいなかった。
「……あの、蘇芳先輩と命先輩もお土産ですか?」
「お呼びがかかったのは俺たちだけだ」
「静岡から出発する時に俺の車ん前で出待ちしてたんだよ。一切話してなかったはずなんだが……」
「だったら単純に直感だと思いますよ。
「じゃあ京太郎のせいでもあるな。
「そんな馬鹿な……って言い切れないあたり、俺も染まっちゃったなぁ……」
その横で、威圧の余波を平然と受け流しながら会話に興じる三人。彼らのアレがいつものことと知り、慣れ親しんでいる。
治也の言うように、この場に全員揃ったのは自分が原因でないと否定できないと京太郎は考えている。
信一はこの合宿に自分に必要なものがあると嗅ぎ取った。多忙を極めるプロの二人も、信一に誘われて来たと言えるが……彼らもまた、この合宿にあるものを嗅ぎ取ったに違いない。
直感でここに来た、命と蘇芳もまた……いや、インターハイで対決するこの二人だからこそ、ここの存在を感知したのだろう。
……であるならば、正式に招かれた自分の資質におびき寄せられて、彼らが欲しがる『何か』と共に、ここへ皆が集まったというのも……強引なこじつけだが、十分に考えられる説だと京太郎は納得せざるを得ない。
卵が先か、鶏が先か──浬が言っていた言葉を、京太郎は思い出していた。
──強烈な麻雀の資質は、麻雀を引き寄せる。鮮烈な雀士を、刺激に満ちた対局を……出逢うことすらなかった可能性すら捻じ曲げてしまう。
「ほら、お前らいい加減やめろ。お嬢さん方が怯えきってる」
浬の静止で、彼ら三人の威圧の飛ばし合いは落ち着いた。
この状況には、この場で最年長の浬も頭を抱えている。
信一、命、蘇芳、そして京太郎は全国の個人戦の出場選手。大会前の彼ら同士での対局は大会ルールによって禁じられている。ひと昔前であれば、練習試合すら禁じられていた程だ。
同じ代表選手といえど同校の京太郎と信一ならまだ良い。信一が部活に入っていない部外者といえど、誤魔化しは十分にきく。
だが命と蘇芳の二人はまずい。静岡と大阪の個人代表が、麻雀合宿という場にいる。
それが一堂に会しているのだから本当にまずい。下手をしたら、監督者責任として己にも何かしらの罰則も下るだろうとも考えている。
信一の言う通りに速やかに、命と蘇芳の二人には帰ってもらうのが最善だ。……だが、この二人が大人しく言うことを聞くわけがないと知っている。
「……蘇芳は馬鹿だからともかく」
「あ?」
「命は
「大会前に打ったりはしないわよ。楽しみが消えるし」
「この時期にお前らが一緒にいるってのが問題なんだよ。わかってんだろそんくらい」
特に、弘世命は本当にまずい。麻雀連盟から潜在的ブラックリスト入りされた札付きの悪に対しての、恰好な攻撃材料になる。どんなに小さい材料であろうと、色々とでっち上げて永久に公式戦出場停止を言い渡すくらい、連盟はやってくる。
そもそも自身を含めた化物が、連盟含め敵が多すぎる。東征大OB連、東征大卒プロ閥、高校麻雀連盟、一部マスコミ、国内暴力団、欧州麻雀連盟、海外マフィア、その他諸々エトセトラ……挙げれば挙げるほど切りがなくなってくる。
化物は強大だ。居るだけで、影響を与える。故、危険。結果、敵を作る。このサイクルが延々と続いてきている。
この麻雀世界において、裏も表も……彼らにとっては狭すぎるのだ。
「誓って、打たないわよ」
「わかりきってんだよ、そんなこと」
この可愛い後輩たちは、それくらいのルールを守るのを知っているし、信頼している。
ルールの範囲内では何でもやるが、ルールの外に出たりは絶対にしない。ただ、その範囲内でやることが毎度のようにぶっ飛んでいるだけだ。
「…………ったく、わかった。そん時になったら、俺が代わりに泥被ってやる」
「先輩大好き!抱いて!」
「やっぱ帰れ」
頼みつく後輩には勝てないと、浬は折れる。
だが、自分は認めても女子たちの了解を得なければ話にならない。主役は彼女たちで、彼ら二人は本当の意味で闖入者なのだ。
「お嬢さんら。こいつ等のわがままがオーケーってんならそう言ってくれ。一人でも反対が出たら帰らせるから」
ダメと言われれば流石の彼らも引き下がるし、帰らせる。
問題児中の問題児の化物二人を……というより、国内最悪の化物どもを全員揃えて練習をやる神経があるところなど、それこそ東征大以外にありえない。
そんな物好きがこの場の全員がそうであるならば、誰もが納得がいく。
彼女らから反対の意見が出たら、速攻帰らせる。
……それぞれの学校の中で、しばし相談。三分足らずの時間が過ぎた後に──。
「────いいでしょう。龍門渕は歓迎致しますわ!」
賛成の声が、立ち上がった龍門渕透華より発せられる。
龍門渕、と称したのはこの五人の総意でもあるということだ。
「では、風越も。彼らも確かな実力を持っていますし」
「鶴賀も賛成だ。強い打ち手が増えるのであれば、こちらも願ってもない」
風越女子の福路美穂子、鶴賀学園の加治木ゆみもまた賛成。学校ごとの総意として彼らに歓迎の意を示した。
残るは清澄。竹井久に注目が浴びる。
「須賀くん」
「はい?」
「毒よね、彼らって」
「ものすっごい猛毒です」
雀士への影響度は凄まじいものだ。同類であり、同じく毒である京太郎は断言する。
二人とも、過去に部を潰した前歴がある際物だ。無論、彼が全力でサポートするが、完全にその影響力を削げるわけではない。多少なりとも、その毒は彼女たちにも被るだろう。
「ですが俺は、それくらいの毒だったらみんな薬に変えるくらい訳ないって思ってます。大いに利用しちゃえばいいんですよ、
──
この後輩が言うようになったものだと、久はムッとなると同時に大きな頼もしさも感じていた。
「そう、ありがとう」
久も立ち上がり、彼らに向かって言い放つ。
……京太郎から、化物なんか利用すればいいと言われた。それに関していえば、慣れたものだった。だったら言う通り、そうすればいいのだ。
「清澄、問題ないわ。ようこそ、四校合同合宿へ」
四校からの承認が下り、ここに弘世命と男神蘇芳の参加が認められる。
──役者は揃った。
個性豊かであくの強い者たちが集ったこの合宿所に、嵐が訪れる。
出逢わなかったもの、出逢うはずのなかったものを巻き込み、かき混ぜられて混沌を産むだろう。
その混沌から得たいものを拾い上げるのは、一体誰だろうか。
「さて、それじゃあまずは──」
早速麻雀か、と男たちはやる気を滾らせるが──。
「──温泉よね!」
一斉に脱力し、その場で崩れ落ちた。
四校合同合宿一日目。自由行動──。
ようやく……ようやく、掲載初期より書きたかった合宿編に入れた(感涙
そのおかげでテンション上がりまくりで更新速度が早めとなりました。まあ、次も早くなるのかわかりませんが。
……感想&評価が増えればモチベ上がるかも(露骨