少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
まったくお話がぶっ飛ぶ内容なので、そのようなものだと開き直って先にお進みくださいm(_ _)m
チョコ、焼けた。
──大丈夫よ、貴方は死なないわ
体が燃えるように熱かったのを覚えている。
燃えていたのは世界だった。
なにも聞こえないほど、うるさかったことを覚えている。
耳にこびりついているのは世界の悲鳴だ。
──大丈夫よ、私が側にいます
そこは地獄だった。
空が落ちてきたように、簡単に街を壊した。
瞬く間に火の手が上がり黒煙が空を染めていく。
繋いでいたはずの手はいつの間にか離されていて、立ち尽くすことしかできなかった。
逃げることも、助けを呼ぶことも、なにも。
幼かった自分にはなにもできなくて。
ここで死んでいくのだと、なにもわからないなりに理解した。
悲しかった。寂しかった。そして、怖かった。
自分の世界が壊れていく。それがなによりも、恐ろしかった。
「私が護ります」
その時の最後の記憶。
耳に残るその声と、掴まれた腕の痛みだけが、自分はまだ生きているのだと、生きていても良いのだと実感させた。
その人に振り払われないように。キツくしがみ付き、目と耳を強く塞いでいた。
ただ、塞いでいた。
ああ、これは夢だ。
また、あの時の空に囚われている。
まだ、あの日の炎に囚えられている。
一時期より視ることが少なくなっていたが、佐世保で実際の戦争を目の当たりにしてからまた視るようになってしまった。
あの日に焼けた空が思い出されたのだろう。
この夢を視ると決まってうなされる。
汗をびっしょりとかいて何度も飛び起きた。
幼いころはいつも姉が隣にいてくれた。
少し体温の高い姉に抱かれて眠ると、どんな悪夢のあとでも良い夢を視ることができたものだ。
そうして、徐々にこの夢を視ることもなくなっていたのに。
自分の弱さに辟易する。
ここに姉はいないし、いつまでも姉に抱かれて眠る幼子ではいられない。
息をすると空気が熱い、肺が焼かれているようだ。心臓の鼓動が速くなっていく。
この炎に焼かれた町で、俺も焼かれていくのだろう。
あの日と同じで体が動かない。迫りくる赤は死そのものだ。
体を端から舐め尽くし、人も建物も一緒くたに黒く変えてしまう。
そんなときだ、熱さではない温もりが右手に触れた。
誰かが優しく握ってくれているのだ。
大丈夫だよと、声が聞こえる。
安心できるように、何度も繰り返されるその声。
大丈夫だよ。
大丈夫だよ。
呼吸が落ち着きを取り戻し、静謐な空気で肺が満たされていく。
高鳴っていた鼓動は静かに、また命を刻みだす。
誰かが優しく抱いてくれている。
「僕が、君を護るから……」
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