少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
脱線がひどすぎるー。
ごめりんこ。
そしてまたテイストが変わるのだ。
本編よりも番外が充実したものを人は本末転倒と呼ぶ。
ワタシは戦ったわ。
あの凍てつく海で、あの潮香る灼熱の海で。
ワタシは戦った。
戦争を嫌うワタシは、戦争のある海ならどこへでも。
北も南も東も西もなく。そうやって戦ってきたのよ。
ワタシほど遠くの海で戦った艦はなく。ワタシほど戦い続けた艦もない。
ワタシほど戦争を知る艦はないわ。
長く戦い続けたワタシは、平和な海を後進の彼女たちに任せて余生を楽しんでいた。
だけど世界は、ワタシにそれを許しはしなかったの。
再び始まった戦争に、アナタたちはまたワタシを誘ったわね。
それでも、ワタシの力が必要なのだと願ってくれたのなら喜んでこの身を戦火に投じたことでしょう。
でも、世界はワタシに多くを望まなかった。長く戦ってきたワタシには、もう往年の活躍は期待できないと。そんな冷めた目で見られながらの戦争。
それでも戦ったの。
だってワタシは世界の海を護るモノなのだもの。
期待なんてしていただかなくても結構よ。誰の頭上に冠が相応しいのか、ただそれを見せるだけ。
戦争を忌むワタシが世界で最も戦争に愛されている。
ワタシこそが海軍。ワタシこそが軍艦。ワタシこそが、世界で最も戦う艦なのだと魅せるだけだわ。
みんなはワタシを見て老婆だと言ったわ。
あら、アナタたちには見る目がないのね。
確かに、ワタシにはあのときほどの速さがないわ。
ワタシにはあのころほどの強さはないわ。
でもワタシには誇りがあるの。
ワタシこそが海軍の誇り。ワタシこそが軍艦の誇り。戦う艦とは、ワタシのことを言うのよ。
このワタシが高飛車ですって?
それは見当違いだわ。
ワタシは自分になにができるのかを知っているもの。
ワタシがなにを望まれているのかを知っているのよ。
ワタシがすべきことを知っているの。
使い捨てのように使われもしたわ。でも、ワタシを使い捨てられるなんて思っているのかしら?
それはアナタたちの誤りよ。
ワタシは平和な海が好きよ。だから戦争の海を往くんだわ。
そうやって2度目の戦争を戦ううちに、またワタシには期待がかけられるようになったわね。
スカートを上げればまだ走れるですって、失礼しちゃうわ。
ふふ、嘘。ええその通りよ。
かわいいアナタ。アナタが望むならワタシは走るの。
信じてちょうだい。ワタシが応えるから。
期待していてちょうだい。ワタシが叶えるから。
いつしかワタシの名を畏敬を込めてオールドレディと呼ぶようになったわね。
任せていてね。
ワタシは平和な海が好きなの。
すぐにアナタにも、色とりどりのリボンを結んで差し上げるわ。
勲章を数えることなどとうにやめてしまった。
誇らしいことだけど、ワタシは勲章を貰うために戦うのではないもの。
ワタシの名が、ワタシの誇りが許さないのよ。
2度の戦争が終わって、ワタシにも最期のときがやってきたわ。
ワタシを連れていく先は、ワタシを終わらせる場所なのね。
そこは荘厳な鐘が鳴り響く丘の上かしら? それとも満開の花たちが出迎えるヴァルハラの園なのかしら?
ワタシは望まれるまま、その名の誇りに懸けて戦ってきた。
戦争を忌み嫌う者として戦い、平和をアナタに贈るわね。
だから、少しくらいのワガママは聞いていただけないかしら?
ワタシを繋ぎ止めるものを断ち切って、戦争のためじゃない、ワタシは自由に海を駆けたいの。
空はあいにくの大嵐だけど、ワタシにピッタリの晴れ舞台よね。そうは思わない?
重圧を脱ぎ捨て、義務から解き放たれた本当のワタシは、少しおてんばだったみたい。
ね、とても“らしい”でしょ?
人も乗せず、気が済むまで海を往ったら。ワタシもそろそろ休むわね。
心配しないで、3度目の戦いにはまた目を覚ますわ。
少し寝坊をするかもだけど、心配しないでいてね。
ワタシは戦争を忌み嫌う者。
戦争の在るところには必ず出向くのよ。
次は、もっと遠くの海で戦うのもいいかしら。
愛しのAdmiral。次はアナタの下で戦争を往くわ。
軍艦の中の軍艦。世界で最も偉大な軍艦といえば彼女だと思う。
その艦歴は彼女の最期まで含めて上質な物語のようだ。
海と戦争に愛された彼女をすこれ!
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1話から続いている〜邂逅の夜〜が無事に書き終わりました。
今週中には全文掲載できると思います。