少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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ボチボチと本編も書いておりますよ!
軽い与太話でも読んで暇を潰していてくださいm(_ _)m


提督たちがリンガに来てすぐくらいの話です。


〜リンガ島で環境問題を考えない〜

現代日本で産湯につかるような生活をしていた俺にとっては、リンガでの生活ハードルが世界記録よりもなお高い。

 

 

まずなによりもリンガ島は暑い。

暑いだけなら1000歩譲って耐えるかもしれない。熱帯化した東京の暑さに比べたら気温の問題などどこ吹く風だ。

問題はその風。この島はほとんど無風という最低の合わせ技効果を使ってくる。

故にエアコンが欠かせないというのは猿でも行き着く当然の帰結だ。

東京と違い、室外機から出る温風を押し付け合う醜い争いがないだけはるかにマシな環境ではある。エアコンさえあれば。

 

この島に来て早速やった事業が発電能力の拡大だったのはそういう理由。

妖精さん印の火力発電施設の威力は素晴らしかった。さすがに妖精さんたちのオカルトパワーだけで物質文明が築けるわけもなく、いきなり地元に雇用を生んだのは良いことだったとも思う。ありがとう、協力してくれた東芝さん。

 

そちらを優先し過ぎたせいで、パレンバンでの石油確保ができるようになるまで艦娘運用に支障が出てしまったのも今は良い思い出だろう。

 

 

うん? 環境破壊だ?

バカめ。人間サマにとっての過ごしやすい環境とは自然豊かな辺境の地ではなく、それなりに汚れた空気に包まれる現代的都市の中なのだ。

俺など電波さえ飛んでいたら下水道の中でも生活の場に選ぶだろう。文句のある君はどうぞ、人工の灯火一つない緑深い山々や見渡す限りの青い海しかない孤島にでも行って大自然を満喫するといい。良かったな、そこでは頭にアルミホイルを巻く手間が省けるぞ。

 

 

どうも平和にボケた現代人は理想を極端に求める気がする。

地球の海がヘドロに埋まろうが、大気が有害物質で覆われようが、そんな些細なことを地球が気にするはずがねぇ。

もともと有毒極まりない物質に覆われて生物が根こそぎ淘汰された先が今だ。

長い年月を経て、その有害物質の中でも生きていけるおかしな生物が現れた。

有害物質の名前は酸素、地球上の生物の頂点に立った動物の名前など言う必要もないだろう。

 

美しい地球を、なんて。人間が自分勝手な思い込みで行う崇高な勘違いだ。

 

 

おっと、タバコタバコ。

「ふぅー」

 

見ろ、俺など美しい自然の空気を吸うだけで咽せてしまう体になっている。

毒を食らって生きるのが現代人の正しい生き方だと、そろそろ目を覚ますんだ。

瀬戸内を見ろ、環境保全だなんだと騒ぎに騒いだ挙句、綺麗すぎて海洋生物が住めなくなりました……だと。バカ、バカ。バカも休みやすみ言えバカやろう。

 

牡蠣なんかがちょうどいい例かもしれないな。

天然の牡蠣と養殖の牡蠣。スーパーで比べるとその値段の開きにビビるだろう。

もちろん天然のが高い。

 

ならば、さぞ天然の牡蠣は美味しいんだろうなぁなんて考えるのだろう。

まず見比べてみたらどうだ? 明らかに天然物は貧弱で、養殖の牡蠣とサイズが違うことに気付けるだろう。

大海原に栄養なんてあるわけがねぇ。

 

排水に含まれる栄養分と熱水をたらふく与えられた養殖の牡蠣のほうが美味しいのだ。

日本人の天然を神格化でもしたかのようなこれは、もはや信仰に近いものを感じる。

 

基本的に、体に悪い物のほうが美味しいんだぜ?

 

 

そもそも水の惑星地球のほとんどを覆うこの膨大な量の水に栄養素などほとんど含まれていない。

回遊する魚でさえ沿岸に沿って移動をするのはそんな理由だ。

大洋のど真ん中でサメに襲われるよりも、沿岸や島嶼の間で襲われるのも同じこと。

この無限とも思える大海の真ん中にエサなどありはしないのだ。

 

 

しかし、地球の海は膨大であるからこそ有意義に使うことができる。

そこは俺たち人類の排水処理施設なのだ。

深海棲艦との戦争が始まるよりも前、我が母国を襲った未曾有の大災害があった。

風が吹けば桶屋が儲かったように、あれよの間に原発が吹き飛ぶ大惨事まで引き起こしたらしい。

 

問題は、その事故により溢れ出た大量の廃水の処理だ。

だいぶ貯め込んでいたらしいなぁ。戦争が始まったどさくさに紛れて海に捨てたそうだが。

 

実は原子炉の水は海に捨てるのが最適解だ。

当時の国民がなにを考えてそんなゴミを大事に抱えていたのかは知らんが、知ったところで俺には理解できないとも思う。

 

そんな程度の汚染水で海がどうにかなってしまうのなら、とっくに日本海は死の海になっている。対岸の国々がそりゃあもう……。

米国などが大量に保有していた前世紀の遺物、原子力空母や原子力潜水艦も、お役目御免となり廃棄するときはそのまま海に沈める。

50m×7レーンのプールに墨汁を2、3滴垂らしても影響なんて与えない。当たり前の話だ。

しかし、それをし続けたらいずれ……なんて思うか? その答えもNoだ。

海は自浄作用で元の状態に戻っていく。

放射性物質の廃棄ペースがそれに追いつくほど人類の進化は至ってはいない。地球の海が汚染で枯れるより前に、宇宙の海がゴミで埋まるほうが早いだろう。

おっと、だからといって海にゴミを捨てるのはやめろ。ポリ袋やプラスチックの類はちゃんとゴミとして出すんだ。それは液体じゃないだろ。別の話だぜ?

 

 

さて、海の恵みなどと言うが、この巨大な水溜りはそのままでは人間の生活環境にとって最も重要な物を与えてはくれない。

飲料水だ。生活用水だ。

 

そんなわけで、発電所の次に俺が行った事業が大規模な海水淡水化プラント。

水の国日本で生きてきた俺には、本当の意味で水の大切さなど分かっていなかった。

水を輸入するなど理の外の概念だ。ありがとう日立さん。

 

お風呂の水が海水であることにはもう慣れたが、多くの艦がそうであるように、この泊地でも蛇口が日本のそれとは違った。

 

捻っている間だけ水が出る蛇口。

 

なんだろうな、こんな細やかなことこそ胸にくる。いつも気にすることなく使えていた日常でさえ満足にいかないと知ったとき、人の心はひもじいと叫ぶのだ。

 

俺が基地前の草木に盛大に水やりをしていたとき、結構マジに霞からぶん殴られたのも今なら分かる。

分かっていても、実力で俺を止められる艦娘は霞くらいのものだろう。稀有な逸材であると言っておく。俺に雨水を溜めるといった概念が芽生えた瞬間でもあった。

 

それから意識して見ていると、艦娘の方々、っていうより俺以外のみなさんは当たり前のように節水生活に馴染んでいる。

小島でも水不足生活をしていたはずだが、あの1年俺はどうやって生活していたんだろう。

なんの心当たりもないが、とにかく時雨に謝っておこうと思う。

 

そして京都を追い出された古のお偉いさんたちが、各地に小京都を築いた理由も分かった。

 

郷に入れば郷に従えとの言葉がある。住めば都との言葉もある。

俺はどちらかというと環境に合わせるほうだと思っていたが、水は無理だ。

今まで生活してきた日本が急に恋しくなった。多分都落ちした方々もこんな気持ちで、京の都を再現するに至ったのだろう。

 

ともあれ、電気と水道を手に入れた俺にもはや死角はない。

人間の叡智とは、なんと素晴らしいことか。

 

 

如何ともし難いのは、送料が離島料金だということだな。

運ぶのは自前の船なので別に問題でもないんだけど。

 

 

ふぅ。いい加減風呂に入って寝よう。

 

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