少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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初投稿からそろそろ2ヶ月。
まったりペースでの投稿になっていきますよ。

あと残っている、完成している話ってのが最終話しかないもんでね!

時系列無視で投稿してきたが、さすがに最終話を次とかに投稿するのはマズい。それは分かるのだ。


ところでイベント終わりましたね。結局平戸ちゃんが落ちなかったので、しばらく全艦コンプできないままです。
ついでに前回の分も合わせて大量にあった菱餅をネジに換え忘れるという痛恨のミスをした。
まぁそのうち貯まるので、過ぎたことは悔やまず楽しもうと思う。



ミッドガルドの蛇2

抜きましたね──

 

 

 

誰が発した声なのか分からなかった。

声、だったのだろうか。まるで直接魂に響いたそれを理解したとき。伊勢は自分の視界が真っ赤に染まっているのに気が付いた。

なにが起きたのか分からない。私は死んだのだろうか?

 

いや、確かに見ていたのだ。まるで何十倍にも引き伸ばされた刹那の時を。

この冷静な思考と自分を省みる分析力が伊勢の最大の強みだ。これのおかげで今までどんな最悪の状況からでも大過なく生還してきた。

自分の視界に広がる赤色は床に敷かれた絨毯。後ろ手に腕を拘束され、床に押し倒されているのだ。ゆっくりと意識が現実に追いつき、そして、そのときなにが起きたのかを把握した。

 

 

刀を抜いた瞬間に、金属が打たれて響くカン高い音を聞いた。なんの予備動作もなく綾波が刀の柄を蹴り上げ、伊勢の腕から刀を失わせたのだ。

刀身を半分以上天井にめり込ませ、構える暇もなく戦さ場から追い出された。なにが起きたのかは分かる。しかし理解はできなかった。

 

彼を殺すつもりなど当然なかった。傷を負わせるのも忍びなかったが、そうでもしないと大人しく拘束されてはくれないだろうと思ったからだ。

殺気を帯びない自分の太刀筋は、僅かには鈍っていたと思う。それでも、柄を蹴り上げられるほどの剣速ではなかったはずだ。

 

それは自分の目で追える限界を超えていた。自分は艦娘としては陸上でも動けるほうだと思う。剣を修めたその実力は、現に並みの経験者では相手にならなかったのだから。

 

 

「司令官に危害を与えるのは許しませんよ」

 

 

戦艦に、まるで反撃の隙を与えない〈駆逐艦と呼ばれるモノ〉がそこにあった。

 

 

 

 

「俺の艦娘。返してもらうぞ」

静かに、ただそう宣告する提督。

 

伊勢を無力化したことで、この基地での障害は全てクリアされたと言っていいだろう。

あとはブインの司令官にあることないこと罪を擦りつけて内地に送ってやればいい。

警告や罪の告発を行い、海軍にこの男を捕らえさせるという正攻法は現実的ではなかったが、捕まえた後でなら話も変わる。

キャリアコースを脱落した男が、ここではないどこかに消えてくれさえするなら他はもういいのだ。

 

ブインの男が口を開きかけたが、それが声になることはなかった。

 

 

「伊勢、迎えに来るのが遅くなってすまなかった。今後はその力を俺の艦隊で振るってほしい。ここからは正規の手続きを踏む予定だから、もうちょっとだけ目を閉じててくれ」

 

「貴方は、相変わらず破天荒なのね」

綾波によって無力化された伊勢も、分かってくれたというよりは譲歩してくれたのだろう。

正攻法ではなかったが、これから正しく組織的結末に収束していくことで飲んでくれたようだ。

 

 

さて、であるならばだ。では精々役立つ情報でも集めようか。

あの男を突き出すにしても、見て分かる。そんな非難しやすいネタがあるに超したことはない。

引き続き夕立には彼から情報を聞き出してもらおう。その間にやるべきことをと、提督は時雨を引き連れて部屋を出た。

 

 

「どうするんだい? 彼はそれでも戦果を挙げているようだけど」

「確かに戦果は挙げている。しかしそれは今だからに過ぎないな。イタズラに戦力を消耗していけばすぐに行き詰まりジリ貧になることは目に見えている」

 

時雨の問いにそう答える。

あの男も海軍に巣食うろくでなしどもも、人を育てるコストを安く見積もり過ぎだ。

艦娘はもとより一般の軍人であっても、簡単に使い捨てしていいコストではないのだ。

いつの時代のどの組織でも、人的資源の浪費は悪手。費用対効果を考えるなら上手に使ってやらなければならない。

その先に待っているのは緩やかな衰退だけだ。

企業であればそこからでも、痛みを伴うことにはなるが度外視のコストを掛ければ立ち直ることもできるだろう。

しかし艦娘はその例に当てはまらない。

1度撃沈(ロスト)してしまった戦力は戻らない。それだけ理解する想像力があれば、この国の、そして人類にとっての損失が取り返しのつかないものであるのが分かるだろう。あの男の罪など論じる必要もないくらいだ。

 

 

そこへ資料を漁っていた霞が合流する。

「データ出たわよ」

手にした書類がそうなのだろう。これは素直に朗報の類。確かな証拠も手に入れることができたわけだ。

 

霞には、今まで戦死した艦娘の遺品を漁って日記など当時の状況を記した物が出ないか、またその僚艦たちから有用な話が聞けないか、客観的な証拠となる物の収集を頼んでいたのだ。

ついでに今からは主人不在となった基地内を家探しもするつもりでもある。あの男の心証を悪くするものならあるだけ便利に使えるからな。

 

おっと、霞にそれらを頼んだのは、決して頭に血の上った霞をあの男の前に立たせると綾波や夕立よりも怖いことになりそうだと思ったからじゃないぞ? 情報収集、資料の確認をさせるなら霞だろうという前向きな考えからだ。そういうことにしておこう。

 

 

「よかった、当たりを引いたみたいだな」

「ふぅ、ワタシたち、いつも事後確認ね」

 

今回はちょっと行き当たりばったりが過ぎたかもしれないね。

陸上での立ち回りに自信ありの艦娘さんばかり揃えていると、どうも思想が力押しの単純なものになる。

今後はもうちょっと考えよう。

 

「ま、データは出たんだ。これで俺たちは難癖付けにきただけの輩ではなくなったし、万々歳じゃないか」

 

 

「無駄な犠牲だっただなんて、思いたくないわね」

沈んだ声でそう言う霞。この子はそれを、データの上に乗るだけの数字ではないことを知っている。

書類を見る者は、書面の数字をただの数字として捉えがちになる。気を付けねばならないことだ。

 

「無駄ではなかったさ。指示に従い、戦ってなにかを残して沈んでいく。今回はあの男の罪を暴いたわけだ。俺たちは命令されたら殺すし殺される。業が深いね。軍人なんて人間にとってのセントラルドグマ(中心教義)みたいなものかもね」

「嫌な教義ね、それ」

 

「あ、知ってるんだ? なんでも勉強してるな」

「生物の不思議に興味があったのよ。有機物なのか無機物なのか、謎の体を持ってる身としてはね」

「有機物だろ。他者の命を頂いて、体には血が通ってる。それにお前は柔らかくていい匂いだ。安心して今日から生物(ナマモノ)を名乗れ」

 

人類の歴史は争いの歴史だなんて、使い古されたことを滔々としたり顔で説明したいわけでもないが、職業軍人なんてのは人類が生み出したその際たるものなのかもしれない。

人類に組み込まれたシステマチックなそれは、なんて罪深い人間の業なのだろうか。

 

 

「でもそうか。ワタシたちが戦うのは命を繋ぐ過程だものね。それが転写なら、最後はなにが翻訳さ(作ら)れるのかしら」

戦うことが目的ではないと霞は言う。もちろん人類もそのつもりなのだろうが、果たして目的と過程がいつも入れ替わらないと言い切れるものか。

今は人類が救いようのない生き物ではないと信じ、こう答えておこう。

「平和な未来とか、そういう不確かなものなんじゃないの」

 

「作られるがウイルスじゃないことを祈るわ」

 

 

 

そして執務室のほうに視線を送る霞。

「で、穏便に済ませてるんでしょうね?」

「穏便も穏便、話し合い主体の紳士的な対応を心がけたよ」

こればかりはちょっと目を逸らしながら答えるしかあるまい。

そう思っていたが、時雨がぼそっと横から口を出す。

 

「夕立が基地司令官の肩を外していたようだけどね」

霞の眉がちょっと動いた。そして今、室内では絶賛尋問中なはずだが、夕立と綾波がいる割には穏便だろうと心の中で言い訳をしておこう。いや、霞が室内に突撃した場合よりも確実に穏便には済んでいるはずだ。

 

「構わないの?」

一応気にはなっているのか、霞がそう問い掛けてくる。まぁ曲がりなりにも上官だしね。軍属が上役相手に暴力を持って対応するなどあってはならないのだろうが、俺の中での奴はとっくに軍人カテゴリーから外れて犯罪者カテゴリー。端的に言えば俺の敵としてノミネートされている存在だ。

で、あるならば。返すべき答えはもう決まっているのだ。

 

「構わないよ。大局を読めないやつは人の上に立つべきじゃない、ましてや命を預かる立場だなんてもっての外だ」

 

 

そして続けざまに、心の底から本心を告げる。こんなことばかり言うから傲慢な男だと陰口を言われるわけだが、事実そう思っているのだから仕方がない。

 

「無能っていうのは、ただそれだけで罪なんだよ」

 

 

 

さて、無実の男の基地にかち込みを掛けた、イカレタ艦隊という風評は無事に避けられることになったが、面倒なことに変わりはない。

艦娘に犠牲を強要する、人道に悖る行いをした基地にかち込んだイカレタ艦隊の風評は避けられないかもしれないが、とりあえず後のことはラバウルの基地司令官に投げてみようかな。

ブインの基地を持って帰れるわけじゃないし、ここに所属する艦娘さんたちを根こそぎ引き抜いてくわけにもいかない。

 

俺の行いについては厳重注意くらいで済ませてくれたら嬉しいな。希望的観測というやつだ。

 

盗人猛々しい行いなるものをして、それからリンガに帰るとしよう。

長く基地を空けたので、今から帰投するのが楽しみだ。




最近になって初めて誤字報告を頂いた。
「おん? この日本語スペシャリスト(自称)の山田さんに誤字だと?」と、指摘された報告を見ると……。

言い訳の余地もない完全な誤字でした!
キングオブ誤字の報告に感謝っす!


関係ない話

大隊長なら西住まほ、カチューシャ、ケイがベストな気がする。
司令官やらの軍政するならダージリン様。次いで杏会長。
中隊長、小隊長に西住みほ、ドゥーチェを、車長にはミカを配置すれば完璧。

そして山田さんの隣にはペコちゃんを配置する。

装填手のベストはペコにアキ、桃ちゃんを推してみよう。特にアキはマルチに活躍する潜在能力を持っている。はず。
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