少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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登場する艦娘さんの名前を明言しないことも多い、奥歯に物が挟まったかのようなお話もありますが、ただの趣味です。

当ててほしいなぁーと思って書いてますが、いかんせん未熟であるためまったく伝わらないかもしれません。ごめん!


トルストイは「書かざるを得ないときのほかは、決して書いてはいけない」と言っている。つまり物語にある文章の全てには意味があり、あってもなくてもよい文など存在し得ないってこと。
するとこの話、番外で十分だったなぁと反省しなくてはならなくなる。



立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は2

「ねぇ、艦娘の感情っていうのはなんで艦によってこんなに捉え方が変わるのかしら」

唐突なそれは独り言なのか、こちらに問うているのか、そんな呟きだった。

 

「生まれも育ちもそれぞれ。であれば、感情も、そして感情との付き合い方も人それぞれ。それは艦娘だって同じことなんでしょう」

 

したり顔で偉そうなことを言ってやりたいわけじゃない。人間として、種族としての後輩に学ばせてやるだなんて傲慢な考えも持ってはいない。

ただ、俺はそう思っているんだと、個人的なことを述べただけだ。なにかの参考にでもなればいい、それだけのこと。

 

 

「私はね、それなりに嫌な目にもあって、それで時間をかけて、今になってようやく自分の感情というものとの付き合い方が分かってきた気がするのよ」

艦娘も成長する。個性。そういったものが育まれているのだろう。それは、それだけで良いものなのだと思う。

 

なにか話そうと、口から言葉が出る前に彼女が続ける。

「伊勢って良い子でしょ」

太陽の下に咲く向日葵のように、華やいだ笑顔でそう言ったのだ。

 

「それには即答で同意できますね」

そう答えると、そうでしょうと言わんばかりの顔で彼女が頷く。

 

「伊勢はね、初めて会ったときからあんなだったわ。裏表なく、温かく、朗らかで誰にでも親身になって接することができる子」

それだけ言ってから、彼女はこう続けた。

 

「私との違いはいったいなんなのかしら」

 

 

「違いがあるから面白いんでしょう、人も同じですよ。そして周りを羨んでばかりだ」

隣の花は赤いと言う。隣に咲いているから愛でることができる。そう思えたなら穏やかに生きていけるだろうに。

違うことで苛立つこともあれば、すれ違うこともあるだろう。しかし、やっぱり全員が同じことほど面白くないこともないと思う。

 

「憧れたり妬んだり、羨んだあとの感情もまたそれぞれ、そうやって感情を揺らしながら、人と繋がって生きるのが人生ってやつなんだと思いますよ」

「私は艦娘よ? 伊勢じゃあるまいし、あまり人間と繋がりたいとは思えないわね」

 

何度も聞いて、理解していることだ。人間との付き合い方、感じ方も艦娘それぞれ。

 

「人間はあまり好きじゃありませんか?」

「そんなことないわよ、一人や二人はいたかしらね、一人は現実的に物事を把握して、たとえ嫌われ役になったとしても意思を貫徹できる人。もう一人は正義感が強くて思慮深い、そんな人だったわね」

 

だった、ね。

この艦娘もまた、いろいろと経験しているのだろう。自分たち人の身では想像もできない、命と触れ合う深い繋がりってやつを。

 

「君は人との付き合いに人数制限を設けるタイプなのかな? 空きがあるなら、私とも繋がりを持ってくれると嬉しい」

 

深い繋がりを望んだわけでもなく、半分社交辞令のようなものだ。艦娘たちとの繋がりは多いに越したことはないだろうし、単純な彼女への興味でもあった。

 

 

「私のこと、なんにも知らないのに?」

「綺麗な人だってのはすぐに分かりましたよ。容姿のほうならそれこそ一目見て」

 

ビクッと肩を跳ね上げ、不思議なものを見るような視線をこちらに向ける白百合の乙女。

容姿を褒められることには慣れていないのかもしれない。

 

「話をしてみると、中身はかわいい人なんだと、新しい発見をしたところでもあります」

「な、急になによ! そんな話してないじゃない」

 

「私は、私の部下が信頼している艦娘を疑ったりしません。伊勢は貴女に気を許していた、貴女は良い人なんだろうと、そう思います」

鳳翔に卑怯な物言いだと指摘された論法ではあるが、便利な言葉だ。

よく知らない者に対する評価など印象でしかない。人は第一印象で相手を理解し、会話することで印象の補強をしていく。すべての根拠など後付けにすぎないのだ。

 

 

「だから、人じゃないんだってば。ふん、やっぱり変わり者なのね」

 

おや、と思う。

「私を知っているのですか?」

 

「……そりゃあね。意固地なところはあるけれど、自分の意見をめったに表に出さないあの子が、アナタと離れて別の駆逐隊に編入されるのなら、除籍も自沈も辞さないなんて柄にもないことを言うんだもの、あの子にそこまで言わせた人間に興味が出るのも当然だわ」

 

「初耳……なのですが」

その頃の俺は半ば監禁状態で、自由に動ける状態ではなかった。

俺の身の回りの世話をしてそのまま着いてきてくれたが、アイツはアイツで希望を押し通すために戦っていたのかもしれない。

俺は、なにも知らないんだな。

 

「言わないでしょうね、あの子は」

「貴女は……」

提督の話を遮って、ビシッと指を立てた彼女が言う。

 

「一つ、お礼は言っておくわ! 佐世保であの子を救ってくれた、そのことには感謝しているのよ。でもその後、あの子を南方なんかに引きずって行って、今も独立独歩の愚連隊気取りな艦隊を率いてることに対しては、文句もたくさんあるの」

 

それから一息吐いて、彼女は激していた空気を霧散させた。

 

「だから、これは誤算ね。会うことがあれば直接文句を言ってやろうと思っていたんだけど、時雨から送られてくる便りは今までよりもずっと活き活きとしたもので、アナタについて行きたいと思ったのは自分のわがまま。だからアナタは悪くない、会ったら親切にしてあげてほしいだなんてことばかり書いてあるんだもの。あの子に頼まれたら断るわけにはいかないじゃない」

 

「そんなことを」

手紙の検閲なども時雨や霞任せにしているので、俺は手紙の内容など把握していないし、誰が誰に手紙を送る仲なのかも知らない。

彼女たちには彼女たちの世界があり、そこで交流がなされていく。そんな当たり前のこと。

 

「ほら、これから時雨に会いに行くんだから、案内くらいしなさいよ」

 

そう言ってエスコートするように求めた彼女。彼女なりの落とし所なのだろうと思うとおかしな気分になった。

美人のエスコートだ。文句を言われるよりよほど良いだろう。ありがたくその栄誉を受けることとし、時雨のところまで案内するとしよう。




個人的には、「前に◯◯って書いてあったので、実は××は△△なんですよね?」とか「◯◯って××なんだろ?」とかとか。

敢えて伏せてあった内容の指摘や展開予想も大好物です。
しかし感想でそれをすると嫌な人もいるんだろうなぁ。いるのかなぁ?


提督のお姉さんの話とか、最近だと墓の前で出会った女の子とか?
墓の女の子は別に当てる必要もない子ではあるのだけれど、提督姉については「おぉ、言われてみたらそうだ!」なら嬉しいが、「読んだあとでもまったく分からねぇよ(クソがぁ)!」なら寂しい……。



「だからこの私、白露が粛清しようと言うのだ」
「エゴだよそれは」

トゥルルン トゥルルンルンルン トゥルルン
トゥルルンルンルンルンルン
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