少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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最後は狭い湾内に閉じ込められて。
その状況下でも、自慢の快速で投下された爆弾と魚雷を全回避したとびっきりのイレギュラー艦。しかし至近弾と機銃掃射までは如何ともし難く……。

コンビニ駐車場内で投げられたボールを避けきるGTRみたいな子だ。


山田さんの近況
前回のイベント後から艦これはお休み中。
もともとゲームはあんまりしない人間なのだが、7年も続けられる艦これは凄いと思う。ログインしてなくても艦これ界隈をうろついているので離れている気はまったくしないんだけど。



君の咲く庭 /解語之花

訓練がてら近隣の哨戒に出ることになったウチの艦隊。

大規模な作戦ではないので俺は留守番だ。わざわざ出る必要もない。そんな風に霞からも言われたので大人しくしていよう。

 

ウチからは霞と鈴谷が参加する。

この時間を活用してリンガの状況を確認したり、横須賀に預けた子たちの様子でも聞いておこうと思う。

二人が帰って来るのはどうせ明日になるので、時間ならまだまだある。今のうちに所用を済ませておいて、明日はみんなで街にでも出かけようなんて考えていた。

 

 

出発前の霞の見送りに来ていたときだ、参加予定の艦娘たちに並んで一際目を引く存在を視認し、二度見や三度見どころかしばらく目が離せなかった。なんだありゃ。それが第一印象である。

「すごい格好の子がいるな、若そうだがスラっとした美艦だ。軽巡か? 霞の知ってるやつか?」

 

またかとでも言わんばかりのしかめっ面が視線を合わせてくる。

「島風ね、駆逐艦よ」

「駆逐艦? アレで?」

他の駆逐艦娘と比べて頭一つ分くらい大きいじゃないか。体つきも幼いながらに均整が取れていて十分に育っている。格好はアレだが、はっきり言ってしまうとめちゃくちゃ美艦だ。アレで駆逐艦だなんて言ったら怒られちゃうぞ。

 

 

二水戦は知ってるわね? と、トーンを落とした真面目な声で聞かれた。

霞はだいたい真面目だが、コイツがこうやってして話すことは楽しくない話題のことが多い。あの服がヤバめの子にはなにかあるのか? ちょっと気を引き締めて聞かねばならないかもしれない。

 

「お前も所属してた太平洋最強の水雷戦隊だろ。お前の練度を見てたらどのくらいおかしな集団なのかは想像つくが」

「ちょっと引っ掛かる言い方だけどまぁいいわ」

 

 

あの子はね、性能が抜きん出すぎてその二水戦から外れた傑物なのよ。

 

 

「お前がそこまで言うほどか?」

俺の中での霞は、時雨と並んでもまったく遜色ないウチの艦隊の切り札だ。抜きん出ているのはお前のほうだと言いたい。

しかし、霞は首を振ってそれを否定した。

 

「アレは努力で埋められるようなもんじゃない。持って生まれた資質とかポテンシャルが私たちとは全然違う。もう駆逐艦のそれじゃないのよ」

負けず嫌いで努力を惜しまず、積み重ねた分だけの自信と実力を持つ霞が手放しで言いきる駆逐艦娘。なんだその規格外は。

 

驚愕なのか感心なのか、俺を見て霞が島風についてを補足してくれる。

「たった一隻だけ造られた次世代の艦隊型駆逐艦。艦艇類別等級別表にまで『艦型なし』と書かれた正真正銘のオリジナル。重雷装駆逐艦として火力特化の武装を持ち、駆逐艦離れした出力とそれに支えられた並ぶ物がない超快速の丙型駆逐艦。攻撃も回避も超性能。とても真似できないわ」

 

 

それから、でも。と続けた。

「おかげで海軍はあの子を使いかねていてね、二水戦でさえ受け皿になってあげられないような子だから、他の隊に投げ出すわけにもいかない。二水戦に属しながら誰もあの子と駆逐隊を組んであげられない」

 

羨望とも、不憫な者を見るでもない目で島風を見ている霞。その視線は島風を見ているのか、島風のバックボーンを見ているのか判断はつかなかった。

「だから、ああして一人で作戦に参加することが多いのよ」

 

 

ふーん。

抜きんでた才能や個性ってやつは人を孤独にするものだ。誰にも理解されることなく、なにも分かり合えない。それってどんな気分なんだろうな。

 

「人となりはどんなだ?」

「また病気が始まった。いったいどうするつもりよ」

「どこも持て余すなんて艦娘なら、ぜひウチに来てもらおうと思ってさ」

 

「ふん。あんな格好だけど、本人はいたって普通。礼儀正しいし気の回る良い子よ」

そのような環境でも腐らずに良い子で居続けられるのはもはやそれ自体が才能だな。で、あるならばだ。

彼女の受け皿になってやろう。それだけ規格外の艦娘ならその戦力にも大きな期待ができる。双方に利があるなら声を掛けることを躊躇う理由などない。

 

「阿武隈もあの子のことは知ってるし、長波は何度か一緒したことがあるわね。もしかすると、あの子にとってもウチが一番過ごしやすい艦隊かもしれないわ」

 

またもや俺の心を読んでいたのか、霞がそんなことを言う。

やっぱりお前らは指揮官の心を読む能力でも備わっているのか?

いや、そんなはずはない。もしそんな能力を艦娘が持っていたなら、俺は今頃霞に撲殺されているか寝ている間に時雨に刺されているはずだ。

島風なる子の臀部にしばらく視線を奪われたままノックアウトされていたこともバレてることになる。いや、あの子に限っては俺が悪いわけではないだろう。あれだけの美艦が丈の足りていない腹部丸出しのセーラー服を着ているだけでも視線を集めるのには十分なのに、なんの役にも立ちそうにないほど短いスカートにあのアンダーウェアだ。そんなの見るなと言うほうがどうかしている。

 

結論として、バレているわけではないという推論の上で話を進めるとしよう。

 

「艦娘にも幸せになる権利がある。なに不自由なくとまでは言わんが、日常くらいは楽しく過ごさせてやりたいよな」

 

基地内での催しや罰ゲームでよく霞にメイド服やらチャイナ服やらを着せているが、あの子にも似合いそうだ。

そんなろくでもないことを考えている提督に、眉間に思いっきり皺を寄せている霞が言った。

 

 

「まぁ、頼めば着てくれそうな子ではあるけどね」

 




艦これ前までは、駆逐艦で知られている名前の第2位に入ったと思う島風。

艦これ初級は島風が好きで、中級者になると他の子の良さに目覚め、上級者になってから「やっぱり島風っていいよな」と戻ってくる艦。そんな気がする。


考えが読まれてたなら時雨に刺されて霞に撲殺される提督。
艦娘に囲まれながら生活していたら仕方がないとも思う。

戦争もいいが、叶うなら艦娘さんたちと田舎の一軒家で野菜育てたり魚介や山菜を採ったりしながら生活したいなぁ。
梅雨の季節にでもなれば、所狭しと室内には洗濯物が吊るされることだろう。
と、妄想しながらとりあえず山菜採りに行ってきた。
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