少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
このエピソードは結末(だけ)が書けた。
宣言通りにモヤっと終わる。
あとは繋げられるかどうかだ。
あ、趣味はカメラでNIKON派です。
いろいろ持ってます。
レンズは欲しいの挙げたらキリがない。
不用意に出歩くと殴られてしまうかもしれない状況なので、今のうちに書くとしようか。書けたらいいな。
──力強いアナタの腕が好きだ。このまま壊されてしまえたら、それは幸せなこと。
月明かりだけが照らす、明かりの落とされたその室内で、彼女は無防備に寝ている男を見て願う。
「ここは静かで良い基地だ。しかし三人だけだと物悲しくもある。不便はないかな?」
廊下を歩く彼女から少し距離を空け、立ち止まってそう話し掛けてみる。
出会ったのはここに所属している艦娘。自らの体を抱くようにしていた少女だった。
彼女は頭を下げて敬礼した後に曖昧な笑顔を浮かべた。
「ここの司令官は君たちに優しかったかい?」
「そうですね、良くしていただきました」
「ここを離れるのはつらい?」
「色々ありましたから。それも良い機会かもしれません」
「そうだな。こんなことがなければ、ここは景色も良くて見晴らしもなかなかのものなのに」
そう言って肘に手を掛け、壁にもたれるようにして窓から外に視線を移すと、「ええ、私も好きです」と彼女もそれに同意した。
「ここは長いのかな?」
「いえ、1年ほどですから、それほど長いわけではありません」
「そうか、もうすぐここを離れることになる。今のうちに見納めておかないとな。それじゃあ、私は部下を待たせているので行くよ。邪魔をしてすまなかった」
そう言って別れようとすると、彼女はどこか不思議そうな顔をして一瞬のことではあったが、確かに俺を観察するような目を向けた。
なにか気になることでもあったのかと思ったが、すぐに彼女は頭を下げて俺の見送りにかかったので、おとなしく浴場へと足を進めることにする。結局彼女は、そのまま俺が見えなくなるまで再び顔を上げることなく見送っていた。
目算で1.8m。
それは今も変わらず自身の体を抱くように話をしていた彼女との距離だ。先に立ち止まった俺に近づく彼女は、それだけの距離を空けて会話に入った。
これは、少し思い違いをしていたかもしれない。
その行動は不安を表しているのだとばかり思っていたが、どうやらそれは違うようだ。
彼女は俺を恐れている。いや、俺ではなく司令官に対して恐怖心を持っているのか。
他者との距離はそのまま心の距離を表す。パーソナルスペースと呼ばれるものだ。
1.8mは職場の同僚や上司と話す場合、特におかしな距離ではないが、二人で行う廊下での立ち話としては少々離れすぎだろう。
肘を抱くようにして話すあの仕草は不安行動ではなく防御姿勢。
彼女は俺から自分の身を守っていた。
話している最中、屋外の景色を見る風を装って一歩彼女に詰めてみたが、彼女は俺に合わせて窓を覗くでもなく、俺が近づいた分だけ一歩引いたのだ。
俺を自分のパーソナルスペースに入れたくないという彼女の意思はそれで確認できた。
男のパーソナルスペースは前後に長く、横はそんなに広くない。男に近づくときは横から近づくといいだろう。
対して女性のパーソナルスペースはほぼ完全な円の形をしているので、どこから近づいても警戒レベルはあまり変わらない。逆に考えると、肉体的な距離と心の距離が測りやすいとも言える。
日本人のパーソナルスペースは外国人に比べると狭いと言われているが、艦娘にも当てはまるのだろうか。
少なくとも時雨や霞は超親密距離である45cm以内にも普通に切り込んでくる。これは通常恋人の距離間だ。なんなら二人は5cmの距離でも平気である。俺としてはマイナス13cmでもいいと思えるくらいにアイツらを近しい者だと感じている。
さすがに寝ている俺の頭を跨いで行くことはないが、アイツら俺の机にあるペンを取るのに、座っている俺の前から体を伸ばして横切るレベルで俺のパーソナルスペースに侵入してくるからな。俺もしてるので人のことは言えないが。
もう一つ試してみたことがある。同調ダンスと呼ばれるテクニックだ。
言葉にすると、相手の仕草を真似るだけ。簡単だ。それを自然にやれるかどうかなわけだが、気付かれた風ではなかった。
効果は相手との親密度を上げること。親密度が高い関係なら自然と行われるその行動を、敢えてやるのだ。
夫婦になると似てくるってのはこれの影響もある。
もし君が相手を試したいなら立ち話をするのが1番手っ取り早い。
話の途中で足をクロスさせ、片足立ちをしてみせるだけで分かる。
この行動はリラックスしている状態だ。
相手が君に心を開いているのなら、相手も足をクロスさせることだろう。もちろんそれも絶対ではないことを覚えておいてもらいたい。
自惚れでなければ、なんだかんだと俺への親愛度がマックスであるはずの霞。しかし彼女は絶対にコレをしない。
たとえ何時間立ち話をしようが、彼女はしっかりと両足で地面を掴んでいる。これは個人の資質だ。
霞のような例外はあるが、しかし人間とは面白い生き物で、行動と結果が逆でも同じ効果を得られる。
心の距離であるパーソナルスペースを詰め同調ダンスを行うことで親密度を上げるのも、親密であるから距離が近く、自然と行われた同調行動であってもどちらでもいい。
ついでだ、俺がよく使うそれらを使った悪用厳禁の技を一つ教えておこう。逆向きにイスに跨り相手のすぐ隣まで距離を詰めて話す。それだけだ。
背もたれがいい感じに相手との壁の役割を果たすので、相手に防御のための壁をプレゼントしつつ距離を詰めることができる。
しばらく繰り返すと相手との心理的距離が近づいたことを実感できるはずだ。
一応言っておく。真似はするな。
さて、しかし彼女にはそのどちらも功を成さなかった。
今それを試し、すぐに親密になってお付き合いが始まるなんてことは当然ないが、彼女の自分を抱いて守るような、頑ななまでの防御姿勢は少しも崩れなかったのだ。
極め付けは彼女の足先。
普通、人は会話を行う場合に正対する。
彼女も失礼にならない程度には体を俺に向けていたが、その足は廊下の先を向いたままだった。
この場から早く立ち去りたいと、彼女の足が言っていた。
この環境。この状況下での、それらを踏まえて導き出される答えなど多くない。
警戒していた案内子ちゃんに不安行動を取る指子ちゃん。そして先ほど話した防御姿勢を崩さない抱き子ちゃん。
彼女たちは、ここで良くない生活を強いられてきたのだろう。
沈んだ子のことも、もう少し本腰をあげて調べる必要がありそうだ。
毎度3000文字くらいになってるが、少ないのかな〜。
更新頻度は高いと思うけど、無駄に話数食うね。
未完成で放置されてたエピソードだったけど、書けて良かったと思う。web小説なんてただの自己満ではあるが、読んでくれる人がいて、楽しんでもらえてたなら嬉しい。
今回の話は琴線に触れるだろうかー。きっと後半で巻き返すはず。