少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
そんな状況ですし……と、プチ投稿。
いやぁ、完成してないんだな。これが。
「は? なんでウチが?」
開口一番に身もふたもない。
ソファの前で不満顔を隠さずそう言った霞は、面倒ごとなんて持ってこないでったらと眉間を押さえていた。
教導なのか研修なのか、よくわからない目的のまま訓練設備のある軍港の街に来ている一行。そこへ突然地元の警察から提督の艦隊に事件の指揮を執ってほしいとの依頼が舞い込んだのだ。
それを聞いた霞の反応はというと、なにそれ? 意味分かんない。
しばらく会っていない姉の姿が脳裏に浮かんでいた。
「そもそもウチは治安維持組織じゃないのよ?!」
「そうですが、でも国民を護るための組織ではあるじゃないですか」
話を持ってきた男ににこやかな笑顔で応じられるが、霞の考えも変わらない。
「警察権がないって言ってんの!」
「まあまあ、戦時特例ってことで」
「軍隊が警察権なんて持ち出したら大体悲惨なことになるのよっ」
怒気を隠すつもりもない、つまりは万全の状態である霞と対峙しているのはヨレたスーツを着込む刑事。
困り顔ではあるが、引く様子を見せないところを見ると、冴えない風貌に似合わず中々の修羅場をくぐってきているのかもしれない。
それを見やっても、助け舟を出すつもりなど毛頭ない提督は我関せずを貫くために窓際でコーヒーを啜っていた。
その意識は明後日の方向までぶっ飛んでおり、しかし味気ないコーヒーだ。なんて考えている。
いつも金剛が淹れてくれているコーヒーは、これよりずっと美味しい気がするが、思い込みの類か、それとも豆が違うのだろうか。
うん? 金剛がコーヒーってのが意外か?
英国人は紅茶好きのイメージで語られるが、彼らは普通にコーヒーも大好きだ。なんなら紅茶よりもコーヒーの歴史のが深い。
研究者によっては、高騰したコーヒーの代替品として紅茶を飲むようになったとまで言うし、とある資料では日本に次いでコーヒー消費量が多いと書かれているほど日常的にコーヒーが飲まれている。
多分、英国人の紅茶とは、ブラジル人はみんなサッカーが上手くて、日本人はみんな柔道の帯を持っている程度の話なのだろう。
なにが言いたいかというと、早く家に帰りたいってことと、面倒そうな話に混ざりたくないってこと。あまり身のある話ではないから気にしないでくれていい。
机を挟んで対面している二人はいまだに対決中だ。そんな中で、霞がそもそもの疑問を口にした。
「なんだってたまたま来てるだけのワタシたちなワケ?」
「それが……」
問われた刑事が横目でこちらを窺うような視線をしたのが気になったが、貴君の相手は目の前にいる霞だ。どうぞそちらに集中してもらいたい。
とにかく俺の手を煩わせてくれるな。
阿武隈が部屋に飛び込んできたのは、ちょうどそのときだった。
「大変ですぅ! 時雨ちゃんって戻ってきてます?」
「なによ、提督の所用で出てるわよ。あとノックなさいな」
入室の挨拶もなしに駆け込んだ阿武隈には霞が答える。それに少し困った風な顔をして阿武隈が続けた。
「もしかして銀行ですか?」
「んっ」
司令官に聞いて、とでも言わんばかりに霞が顎で窓際の提督を指した。
話を振られた提督はそのマズいコーヒーを片手に、嫌な予感を覚えながら答える。
「……私用で寄らせてるが」
「つまり……」
「そういうことなんですよ」
はぁ……。
この街に縁もゆかりもない提督の艦隊に、警察が事件介入のお伺いに来た理由。時雨が銀行強盗に巻き込まれたから、そういうことだった。
感想いっぱいで嬉しす。
ここでボツになった裏設定でもお一つ。
実は当初の予定では、提督は本編中頃には死んでいる予定でした。
しかし、まるでそこに提督が今も座っているかのように本編は進む。
見えているのか信じたくないのか。の時雨と、時雨への配慮なのか提督健在と見せかけたほうがスムーズに行くと考えたのか。の霞。
その場合、戦後にとある地方で発見された霞の手記から「実は提督はいなかったのではないか」という説が検証されることに。この地方都市は、if未来で提督たちが日常を過ごしている町でもある。
名残りとして、話中に「そう提督が言っていた」とか「提督ならきっとこう考えるだろう」的な表現が結構多い(はず)。提督の存在感を出しつつ、しかし読み返してみたら提督いなくね? のような。
さらにオマケで、カナリ最後まで検討していたのが「提督」と「司令官」は別人設定。
途中で一人死んでる? みたいな。まぁボツりましたけど。
構成自体が時系列バラバラになってる謎の作品に、さらに叙述的な謎を突っ込むとわけわかんねぇだろうってのと、単純に山田さんの技術的なものと相談した結果、多分なかったことになっている裏話でした!