少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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密ぅぅ! を避けるために、さぁ山に登ろう。と、考えた人が多かったのか、登山客でいっぱいになった山があったとか。

よし、ならばおいそれとは登れない山か、逆に地域の低山でも攻めてみてはどうだろう。
ちなみに低山のほうが迷いやすい。登山客を集めるような山は登山道もしっかりしてるし看板なども整備されている。
しかし近所のじいちゃんやおばちゃんが山菜採りに出かけるような地元の山はそういうのがないからってことらしい。

あと遭難するほとんどの人は下りでする。頂上よりも裾野のほうが広いので、当然と言えば当然。


お待たせしました。
それでは、山登り続き! と見せかけたアメリカ回を始めよう……。



The future that might have been.9

「いや、米軍は今も変わらず健在だよ、つい先日も交流を深めるんだって来日した米海軍の艦娘さんたちとバーベキューをしたところじゃないか」

 

突っ込んでくれるのは時雨さん。そうでした、戦争が終わって米国さんはまたぞろ存在感を増してきているのでしたね。

ジジイなんかに言わせると、深海棲艦との戦争前は日米安保ってな条約で強固に結ばれており、日本の海軍、当時は海上自衛隊とか言ったか、なんならそれは米海軍日本方面軍のような立ち位置でべったりな同盟国だったんだと。戦前からチートのような凄まじい軍事力を有した米軍は今も変わらず、多数の、本当に多数の艦娘まで所属する危ない海軍になった。今なら一国で地球上全ての国を圧倒しかねないレベルで他国を寄せ付けない軍事力を持っている。

 

 

じゃあ関係は元どおりかと聞かれたら、案外とそうでもないらしい。

米軍が圧倒的なのは変わらずだが、にわかに軍事力を増した国が現れたからだ。

そう、我が国日本。

ご存知のとおり、米国には及ばないが日本にも結構な数の艦娘が顕現した。一部俺たちのような変態が真っ当な軍を離れて生活してはいるが、その潜在的脅威は他国から見たら無視できない存在なのだろう。

なにせ艦娘って自力航行可能で、俺がそう運用していたようにそのまま単独での上陸作戦が行えるちょっとおかしな人型水陸両用兵器だもんね、超ハイパーテクノロジーもびっくりなスペックだ。

 

 

おかげで戦前ほど米国に追従ってな関係ではないんだと、まぁ変わらず同盟国だし、仲は良好であるはず。

 

あとアメリカと言えば合理主義ここに極まるのお国柄でもある、俺が戦後を見据えてあんなに苦労して手に入れた艦娘の人権なんかもアッサリと彼の国では受け入れられたのだという。

さすが自由の国、艦娘の権利については日本よりうるさいくらい。

 

 

そして今のアメリカは大幅な軍縮真っ只中。

日本と戦ったあの大戦でも、増やしに増やしまくった艦艇など戦後に根こそぎ除籍して戦前の規模まであっという間に戻した元祖変態国家だもんな。必要なときに造り、無駄に維持をせず、必要がなくなれば全部捨てる。

この思い切った合理性がアメリカを世界の頂点に君臨させたのだろう。

 

 

艦娘の人権と軍の縮小、つまりアメリカ艦娘さんたちの多くは軍を除隊して、今後はその多くが一般市民として生活していくそうだ。

 

さすがアメリカ。

そうとしか言えない国だとしみじみ思う。

「差別がないことになっている国」なので、今後艦娘がどうなっていくのかはわからないが、U.Sな艦娘さんたちはパワフルな子も多かったし、なんとかしていくのだと思う。

 

 

そして、さすがのアメリカは現代社会の見本のような戦後の対応だけではなく、やっぱりあの国の真骨頂は戦争なのかと勘繰りたくなる話だが、戦争中もアメリカは正しくアメリカだった。

 

戦争中は全くってほど存在を感じなかった米軍だったが、終戦の後にようやく知ることが出来た遠い海での状況を聞くと、やっぱ米軍って半端ないんだねって感想しか出てこない。

俺たちが南方で死闘を繰り広げている間、中部太平洋と地球の裏側大西洋でバチバチに両面作戦を展開。本当の意味で世界を救ったのは米軍なのかも知れないってほどの活躍ぶりだった。敵じゃなくて良かった。

あと、モンロー主義にひた走って太平洋を捨てた野郎だなんて思っていてごめんなさい。

 

結果的にではあるが、米軍総力を結集し、綿密に練り上げられた末に行われた今次戦争最大の戦いとなったハワイ島奪還作戦が、人類の起死回生の一手となったのは間違いない。

南太平洋を次々解放して回った俺たちの戦いは思わぬところで米国に助けられていたわけだ。

 

 

心の中だけで悪いが、U.S.A! U.S.A!と叫ばせてもらおう。

 

 

敵と言えば、ウチの艦娘さんたちにとって米国は深海棲艦戦より前の、いわゆる大戦時の敵国だったわけだが、両者の関係は概ね悪くない。

長門や金剛、龍驤なんかが積極的にアメリカ艦娘に絡む姿を見せつけていたからってのが大きいかもしれないが、対応するアメリカ艦娘さんたちにも懐の広い子が多そうだ。

先ほど言ったように、互いの視界に入らないところであったが、共に戦った戦友だという意識もあったのかもしれない。

 

積極的に絡んだ一例を上げておくと龍驤だ。初めての交流を持った際、ロングスカートを翻す美しい淑女を見つけたと思ったら、何かのコンプレックスでも盛大に刺激されたのか突如として駆け寄りこう言い放った。

 

「おうおうおうおう、キミがサラなんとかって子か、うん? ウチより目上か、そらすまんな、言い直すわ。キミがサラって艦娘さんかいな? ちょっち話とかなアカンことがある、言われんでもわかってるんやろね? 顔を貸してもらうで、コレ持って着いて来てぇや」

 

こういう事態もあるかもしれないと気を張っていた両軍だったが、それがごく当たり前であるかのように、とてもナチュラルに始まったその会話を止めることが出来なかったのだ。

そうして龍驤からサラと呼ばれた煙突が素敵なアメリカ艦娘(淑女)さん。手渡されたバットを不思議そうに抱えつつ連れて行かれたのはグランド。

 

次いで響いて来たのは「打てるもんなら打ってみぃやーー!」と叫ぶ龍驤の声だった。

龍驤らしい、と思える良い対応だったように思うが、なぜか血相を変えて飛んできた長門に龍驤が絞め落とされる悲劇が訪れようとはこの時は誰も思っていなかったに違いない。

 

そのようにして、無事に初めての交流会は成功。当初の予定にはなかったことだが、まさにクイーン・ビーを体現したかのような金髪戦艦が音頭を取ってなし崩し的に野球大会が開催される運びとなった。

甲板上で開催されるはずだったお堅い会食よりは随分と艦娘らしいものだったと思う。

 

野球大会については機会があればまた語るが、立ち上がりに日本の空母勢が安定したヒットを連発したが以後に続かず、ジリジリと点差が開く中で業を煮やした霞が長門監督を追い出して陣頭指揮を執り、なんとか見れる範囲の差でゲームを終えた。

第80回夏の甲子園青森予選ほど歴史に残る点差ではなかった、くらいに思ってくれ。

 

最終的に時雨たち古参の駆逐艦勢が細かく刻み、テクニックを駆使したプレーで地道に1点ずつスコアボードに数字を計上していく様はアメリカ艦娘たちを大いに驚かせたとだけ言っておこう。

 

 

会食改め打ち上げとなったお食事会、もといバーベキュー。

海軍士官たちが艦娘ならば海で、と気張ったものだったが、ここまでこれば開き直りだ。

肩肘の張るお食事会よりはよほど胸襟を開いた催しになった。

米国の方って、なんであんなにバーベキュー好きなんだろうね、張り切りかたがはっちゃけすぎてて微妙に引いたわけだが、そこも含めてお国柄なんだろう。大雑把な味付けが俺の上品な口にあったかと聞かれると、その返答は言葉を濁さなければならない。

 

 

そうそう、ブーツだ。その催しで履いてる米国軍人さんを見かけて狙っていた物なのだ。

しかしこのブーツ、ソールに鉄板でも入ってるのかってくらい硬い。硬いほうが山歩きには向いているとは言ったが、それは履き心地のことではないんだ。

ガレ地を歩くには持ってこいだが、中身が人間であることを忘れて設計したんじゃないかとメーカーを問い詰めたい出来栄えなので、別にインソールを敷くなどして対策が出来てないと酷い目に合うこと必至。鍛え上げられた軍人さんともなるとこれで平気なんだろうか、機会があれば聞いてみたい。

そんな俺はと言うと、生憎と鍛え上げられた軍人さんではないので素直に文明の利器に頼っている。

 

餅は餅屋と言うわけではないが、その手のことはその手のことに詳しい先人たちに訊くのが一番だ。

自らの体験を持って試行錯誤しつつ、なんて方法もあるのだろうが、薄々感づいている人もいるとおり、俺の辞書にはそのような楽しみ方は載っていない。何事も合理的に、効率良く進めたい派の人だからね。

 

じゃあ誰に訊ねるのかって、決まっている。

どこぞの巨大掲示板群に住んでいる人たちの中にはインソールガチ勢がいるのだ、世界は本当に広い。

そんな彼らがオススメするスーパーなんちゃらの緑。何が偽物かはわからないが本物のインソールって高いんだね、先ほど世界は広いと言ったばかりだが、きっとこの世界は狭くて深い。

 

 

三本ラインのスニーカー白露に小洒落たファッションブーツの時雨、どちらのほうがマシかってのは判断に困るところ。まぁどちらもそれなりに山を歩け、どちらも向いていないくらいのギリギリラインを攻めているとしよう。

 

最悪この二人なら素足でも山を縦走できそうでもあるし、勝負するわけではないがハンデだとでも思って諦めてくれ。

 

さっさと登り始めたらどうだって今思った?

山に入る前にまずは一服中なんだよ、落ち着け。

新鮮な空気を吸う前に肺胞をタールとニコチンで覆っておかないとビックリしちゃうだろ、何事も心構えは必要なのだ。

 

吸いながら登る。なんてほど常識を欠如させているわけではないが、しっかりとタバコは持って行く。携帯灰皿を持ち歩く愛喫煙家なので場所さえ選べばそれほど非難されることもないはずだ。

いつもの言い訳になるが、この二人はここまでの道中でも車内モクモクを気にしない程度には慣れているのか諦めているので問題はない。

 

 

「格好は今さらだが、ほら、コレを持て」

タバコを吸いながらでも準備はできるのだ。

車から取り出したのは人数分のバックパック。それをそれぞれに手渡す。

手ぶらで山に入るのもなんだしね、用意くらいはしてあるのさ。

 

「ちょっとー、私のだけやけに大きくない?」

 

ち、目敏い奴め。

白露に渡したバッグだけ明らかにサイズが違うことに気付いたようだ。気付かなかったら頭の中に異常があると言わなければいけないところだったので、まぁ安心した。

 

お前、無駄に体力有り余ってるし、今日の格好にも似合ってるから別にいいだろうが。

実際ロシアンの破壊僧みたいな名前の鮮やかで真っ赤なソレは否が応でも目を引いて、また白露のキャラに合っているように思う。

クッカーやバーナーなどはみんなその中なので大事に運べ。

 

それに比べると俺と時雨のバックパックは一回り、下手すると二回りほど小さい物だ。

テント張って泊まるわけでもなし、日帰りの山遊びにそんな荷物はいらないのでさもありなん。食材などは時雨のバッグの中に入れてあると追記しておこう。

 

「見かけより随分と重いけど、何が入っているんだい?」

「主な物は水だな、それぞれに2リットルペットボトルが入ってる」

「6リットルもいる? このまま越境でもするの?」

 

時雨の問いに答えたまでだが、白露姉ちゃんから驚きの声が上がった。

普通に余ると思うけど、まぁ足りないよりはいいんじゃね? 俺の分は俺が持っているのでこのくらいは許容範囲だろう。1.5リットルの水が見つからなかったのだと言い訳もしておきたい。

 

「あと非常食、ハンガーノックは怖いからな。いつでも食えるようにまず分けておこうぜ」

「大袋だね、そんなに食べる?」

 

だからよぉ、白露姉ちゃん。お前らは極限の状態でジャングルを駆けながら命張ってたんだろうが、俺は一般人なんだって。山歩きは結構な運動量なのでカロリー補給しないと途中でバテちゃうのよ。

そうして持ち込んだのはスニッカーズ。山に登るときはこれに限る。とても日常で食べたいとは思えない食品だが、不思議と山で食べるとそのままエネルギーになってくれているかのような錯覚を覚えるものだ。

 

これに衣をつけてフライにする人間がどこかの国にはいるようだが、その気持ちはわかってあげられそうもない。

 

 

出発前に白露時雨のバックパックを調整してやる。肩紐が緩んでいるとバッグが暴れて疲れるので山歩きの際は注意しよう。あとウエストベルトも忘れず留める、荷物は腰で持つのだ。

重い重いと文句を言っている二人、いや言ってるのは長女のほうだけか、大丈夫だ。昼になったら荷物の大半は腹の中に移動するのでバックパックのほうは軽くなるだろう。

 

そんなことないね、軽くなるのは時雨のバッグだった。

もはや俺にできることは、お前ならなんとでもなるだろうと白露の肩に手を置き良い笑顔をくれてやることだけだ。

 

 

「ほんじゃ、そろそろ出発しますか」

そう言って適度な気合いを入れつついざ出発! と山に向かって進むと白露から出鼻を挫かれるわけだ。

 

 

 

「あ、ストップ。日焼け止め塗り直すからさ」

 




さて、まだ出発しない三人組。
内容が大渋滞してますが、まぁまぁ。
書き始めたら止まらなくなっただけ。



使われることのないネタ

「ダイイングメッセージはその全てが嘘である」

殺人モノはもうやっちゃったしなぁーで今のところボツ。
同じくやったはずの軍人によるなにか、が本編で進んでいるようだが、ネタ被りはアレで懲りたのだー。

流れとしてはダイイングメッセージを残して死んだ人がいて、状況や動機を調べて犯人探しってだけ。
思い返せば提督は初めからダイイングメッセージの内容を重視してないようだったが、それはなぜ? と聞かれて上記のセリフ。

ミステリーの世界でしかないんだよね、ダイイングメッセージ。
犯人と対峙し、パニックを起こして冷静でなくなってるなら論外。では理性的にその状況を迎えた人物が、果たして逃亡の隙を窺ったり、犯人を落ち着かせたりといった選択を捨ててまで「俺が死んだあとの手がかりを」なんて考えたのだとしたら、やっぱりその人は冷静ではなかったんだろう。

ダイニングメッセージなら「おやつは冷蔵庫の中よ」がある。


さて、登山結構長くなりそう(ー ー;)
そろそろ本編に入れておかないといけないちょっとだけ未来の話も控えているし、銀行強盗の方々を随分と待たせてしまってるなぁ。
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