少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
そして今回の登山なネタも無事に書き終えました。14が最後です〜。
どう終わろうか考えてもなかったけど、とりあえずホッとした。
さすがは渓谷、と感嘆の声を上げそうになるほど、目の前にひらけている景色は異質だ。
いつも山と海に囲まれた田舎生活を満喫しているわけだが、山って言うより渓谷。そう表現する他ないな。
右手側には岩肌を剥き出しにした山が切り立ち、左手には清流が流れている。
左手に川と言っても高低差がカナリあるので、下手な滑落っぷりを見せるとそのまま三途の川を渡る羽目にもなりそうだ。
いざ足を滑らせてしまった場合、いっそ地面を蹴って飛び込めば上手いこと川までダイブできるような気がしなくもないが、多分気のせい。つまりは崖なわけだ。
標高は大したことがないと言いながら、高低差1,500mを登って下って進むのでそれなりにちゃんと登山でもある。ぱんぱかぱーんの愛宕さんでも標高は900mと少しなのでここはそれよりも大きい。違う、高い。愛宕山は全国各地にあるが、千葉県最高峰の愛宕山など408mしかなく、県で一番高い山が全国で一番低い県としても有名だ。
なので、それよりも標高が高いここは渓谷と言いながらもしっかり山であり、目的地が山頂じゃないだけの登山だと言われてしまえば、うん。そうなのかもしれない。
山を登るときは歩幅を細かく刻むと疲れにくい。あんまり長時間を同じ体勢で歩くとしんどいので、たまに歩き方を変えるのもいいそうだ。
前を歩く二人にそんな心配は毛ほども必要ないと思うけどね、海の女のくせに山でも元気だなお前ら。
時折すれ違う方々からは「山を舐めるなよ」と言いたげな視線を投げかけてくる者や、「美人を二人も連れて山登りとはいい身分だなぁ」と口よりも雄弁に語る目で見られもするが、どちらの気持ちもわかるので反論などあろうはずもない。
特に前者だが、ガチの装備にトレッキングポールまで携えた趣味人から見たらあまり面白い光景ではないのだろうと簡単に予想がつく。
二人とも生足出して、さらに時雨は一目でバレるブランド物のスカートだもんな。わかるわかるー。
その当人たちが満点の笑顔で挨拶してくるものだから、口頭での注意まではいただかずに済んでいるのだろう。
そういや山崎なんかは山育ちなんだが、学生の時分に朝っぱらから近所を散歩しようと玄関を出たところで、頭のてっぺんから足元までザ・登山なお人に「山を舐めるなよ」との伝説のセリフを言われたらしい。
アイツの住まいにも興味津々だが、本当にそのセリフを言われたことがあるなど、いかにも山崎は山崎だった。
そんな生まれながらに強制的な登山をしているような山崎でも裸足で逃げ出す他ない女が前を行くアレ、きっとあの二人ならインパールにだって到達できただろう。
「少し、ペースを落とすかい?」
徐々に距離が開き、遅れ気味の俺を振り向きながら時雨がそう提案する。
さすが艦隊の女神。
俺が上がった息をその場で整える間、急かすでもなく静かに返答を待ってくれている。
渇いた喉を水で潤し、ようやくひと心地ついた俺は時雨の配慮をありがたく頂戴することにし、こう言うのだ。
「そうしてくれるか? なら代わりに一つ教えておくが、お前その角度だとスカートの中が丸見えだからな」
慌ててスカートを押さえる時雨がそのまま駆け下りて来て俺の背後にポジションを定める。
あんな天国に繋がっていそうな天然の大岩階段を登っている最中でも、両手がフリーに使える人型決戦兵器のバランス感覚には驚くばかりだ。
なに、感謝の言葉は必要ないぞ。心配してくれる時雨にはお返しをしておかないと男が廃ると思っただけだ。
時雨が俺の後ろに下がってしまうのは率直に言って目的を一つ削がれたみたいで残念だが、まぁいいさ。息を整える間ゆっくりと、これまたお高そうな下着に包まれたお前の柔らかそうなお尻を堪能させてもらったのだからな。
膝上とはいえ、街中であればよっぽどのことがない限りその中身をお披露目することなんてないだろう時雨のスカートだが、ここは山だ。
ゴロゴロと転がる大岩に手をつき、艦のラッタルもかくやなビックリ角度の傾斜を登ることもザラにある。
今、Zaraにあるって読んだ? 発音違うぞ。
ともあれ、時雨さんとしてはブラ線がシャツから透けないように配慮したのかも知れないが、それが仇になったようだな。
おかげでスカートの闇の中でもしっかりと存在感を放つサックスブルーの光沢を拝むことができたわけだ。
清楚さを思わせる淡い青を、花をモチーフにした濃い青のレースが縁取る下着は、上品ながらもどこか幼さを感じさせ、女性と少女を行き来するほんの短い時間だけにしか許されない不安定な魅力を存分に引き出し、また、その儚げな色合いと時雨の白い柔肌のコントラストが目に眩しかった。
今、誰かに「好きな色はなんですか?」と問われたなら、俺は迷うことなくサックスブルーだと答える自信がある。それは世界で最も美しい色の名だ。
疲れた心と体に一陣の風とも言うべき爽やかさで、俺のコンディションの回復まで考えてくれるだなんて、なんていい子なんでしょう。まさに女神。
君のスカートの中は、この山深い空間で感じる森の香りよりも清浄で美味しい空気を蓄えているに違いない。俺が本当に体力の限界を迎えたときにはそこで深呼吸でもさせてほしいものだ。きっと、再び山を登り始めることができるだろう。
本日の時雨がいつもの黒系下着を身に着けていたのなら、とてもこうはいかなかったはずだ。で、あるのなら今日の俺がラッキーデーであることにもはや疑う余地もない。
待てよ、そう考えると俺に下着を覗かれたことに関して、時雨はやっぱり感謝してくれてもいいはずだ。
ラッキーデーの俺がいるからこそ、本日のレジャーは晴天の中で行えているんだぜってこと。
一年のほとんどが雨だというここは「月に35日雨が降る」で有名な屋久島の次くらいには降っているからな。天気予報も調べず突然足を踏み入れて、それでこれほどの晴天に恵まれているのだから感謝くらいしてくれても罰は当たらないだろう。
お礼も兼ねて時雨が自らスカートをめくり上げてくれたなら、きっと俺のラッキー度は時雨の下着よろしく、青天井の如くますますの上昇を見せるに違いない。
そうなれば、どれほど素晴らしいことが今後待ち受けているのか、期待に胸が弾むと言うものだ。
俺の後ろでガッチリスカートのお尻を押さえている時雨を見るに、自分から見せてくれる気はないようだ。
残念ではあるが、いざ長女が監視する中で妹ちゃんの下着を好きなだけ観察してもいいと言われたところで、俺がその空気に耐えられるとも思えない。
やはり下着というものは、本人に感づかれることなく一人で静かに覗くべきものだということか。そう納得し、次の機会に期待しつつ頭を切り替えて歩き始める俺。
切り替えられたばかりの頭に飛び込んできたのは、いまだジト目を向けてくる時雨ではなく、歩みを止めて俺たちが来るのを待っていたそこの長女さんだ。
俺などもう絞れそうなほど汗をかいているわけだが、ようやくしっとりと汗をかき出したか? の白露。
今までは目の前で時雨が生をチラチラとさせていたこともあり、意識が他に向かなかったのだが、改めて見てみるとどうだ。お尻を突き出していると汗でちょっとしたグレーが透けてるんだよ白露姉ちゃん!
どうりで、ピチピチサイズの割にパンティラインが出てないと思った。スポーティーなブラジャーを着けてる時点でその可能性も考えていたけど、お前、今日はボクサーパンツなんだな。
ボクサータイプもたまには趣があって良い。下着は種々あれど、その大半は無条件で良い物である。活発な白露には似合っていると思うし、健康的なお前のケツはもうそれだけで勝ったも同然だ。
瑞々しい桃を、汗を吸ったボクサーパンツと手触り良さげに柔らかそうな生地のホットパンツでラッピングしているわけだ、触ればさぞ楽しいのだろう。
「うぉ、マジかっ? しまったぁ、白にしておくべきだったかぁ」
指摘された白露は、なんてことを言いながら「まぁ、今さら提督に見られるくらいなら別にいいんだけど」と続けた。
ボクサーだとそんなもん? 同じ下着でも感覚はパンティタイプとは違うようだ。ま、本人がいいと言っていることなので、こちらが配慮してやる必要もないだろう。
お尻だけじゃなく、大きく開口した腋からはスポーツブラもモロだもんな、お前。ここまで清々しい対応をされると、それはもうウェアなんだと思える不思議。
チラリと自らのお尻を確認だけした白露には、お尻の透け具合よりも暑さのほうが重要らしい。
カットソーの裾を掴んでパタパタと風を送り込みつつ、男には妄想でしか分かりえない、(一部の)女性ならではの悩みをぶち撒ける。
「そんなことより暑い、ブラに汗が溜まって蒸れるんだよぉ」
サバサバしてるお前が好きだが、カットソーの裾から手を突っ込み、“何か”を浮かせて湿気を逃そうとするのはさすがにどうか。
いったい何を引っ張っているのか詳しく聞かせてくれたまえ。
ところでお前、自分がノースリーブなこと忘れてないか? 押さえつけられていたそこはさぞ蒸れているのだろうから、涼やかな風を送り込むのは確かに気持ち良さそうだ。それはわかる。
だけどそんなに引っ張って浮かせてると、肩口開きすぎのその服は腋から見えるんだって。
ブラがチラチラじゃなくてブラからチラチラしちゃってるんだって、夢が詰まったお前の白くて柔らかそうな実がよ。
いやぁ、女の人って大変なんだね。俺にはないから経験はないが、そこに汗が溜まるとか蒸れるとかってのは想像できる。
でもそんな人生の勝ち組みたいなことやってると時雨に怒られるぞ。
「僕だって蒸れているよ?」
怒られるのは俺だった。
すまない、俺が早計だったようだ。そりゃサイズ如何によらず、あんな窮屈そうな物で締め付けられてたら蒸れるわな。失言失言。
しかもその状態で炎天下の登山。
考えてみたら、俺のパンツもとっくに汗でぐしょぐしょだ。
スポブラ&ボクサーの白露でさえ根を上げるこの不快さ。一般的な女性物である時雨の繊細な下着が男物より汗を吸うとは思えないので、それはもう大変なことになっているのだろうと、まだちょっとこちらを警戒する目で見ている時雨のその服の中で、汗を吸い、火照った肌を透かせるように張り付くのは花の刺繍が施されたサックスブルーの下着。
きっと、ムワッとした甘い熱気がそこには籠り、玉のような汗が肌を滑っているのだろうと思いを馳せてみる。
本当に、女性のみなさんには頭が下がる思いだ。
そんな妄想、もとい女性の苦労を偲びつつ時雨をマジマジと観察していると、そのうちに時雨がそわそわと落ち着きなく、そしてなぜだか目を逸らしていった。大丈夫か? 顔が赤いようだが。
ひょんなことから小休止となったが、少しは体を休めることもできただろう。白露にならって、俺もベルトを緩めたズボンの中に清々しい山の風を送り込み、ジメジメした空気と共に気分をリフレッシュすることができた。蒸れ感がなくなるとだいぶスッキリするね。
中も外も豪快にバッサバッサとやっていた白露姉ちゃんも、とりあえずは満足できたようでなによりだ。目に毒だよ姉ちゃん。
自分の持ち物のサイズや価値をよくわかっていないのか、心の底から俺に見られるくらいどうってことないと思ってんのか、ホットパンツまでパタパタやりだすのはどうかと思うよ。
1番運動に向かない服装をしている時雨はシャツのボタンを一つ外し、控えめに扇ぐ程度に留めていた。
まぁ下はスカートだしね。もちろん穿いたことなどないから想像だが、スースーと無防備すぎてセキュリティが心配なところを除けば蒸れに関してはズボンなんかよりよほど通気性に優れているのだろう。
白露を先頭に、二番手を俺、最後尾を時雨にしてまた登り始める。
時雨の後ろについて登るのが良かったんだが、最後尾を譲らない構えなので仕方がない。
せいぜい軽快に登っていく白露から離されないように気張っていこう。
しかし、体のラインを美しく見せ、また乳房が動き回らないよう支える役割を持つ、年頃を迎えた女性にとっては必須のブラジャーだが、奴が支えるのは日常だけのようだ。
運動量の多い白露の、その飛び跳ねる持ち物を支えきってはくれないんだなぁと、白露の透け尻についていく間に思った。
スポーツブラでもああなのだから、白露が普通の下着でここに来ていたらとんでもないことになっていたのかもしれない。
うん。後ろからの視線が痛いな、やっぱり前を歩いてもらえませんかと時雨に言いたい。
別に白露姉ちゃんの胸やお尻ばかり見て登っているわけじゃないよ? 学術的興味と言うやつだ。
だから俺が足を踏み外して滑落しそうになったのは全面的に白露が悪い。そのはずだ。
「僕は怒ってるんじゃなくて心配しているんだよ」
ここの白露さんはエビゾメさんがTwitterで公開していた「音楽の趣味が1番提督と合う白露さん」のイメージ。
最終的に掻っ攫っていきそうな気もするが、特に提督に対して恋愛感情は持ってないと思う。
時雨さんは共依存の関係なので……。
恋愛感情というより心に染み付いたシミみたいなものかも? ただの山田さんの妄想です。
村雨姉さんは素直に狙ってる。思春期特有の身近な先輩に憧れるノリだ。
しかし、もしかするとソレは戦後のお話で、本編ではそれどころではないのかもしれない。