少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
そこに至るまでの話は投稿されない予定ですが(;´д`)
南方海域へ
ああ、神さま──
どうしてこのような仕打ちを為されるのですか。
ガラス玉の瞳で見上げたそこに空はなく。
あるのはただ、暗い岩肌だけだった。
「僕に異論はないよ」
これからのことを伝えたミーティングルーム。そこで時雨はそう言った。
明日世界を滅ぼそうでも、今から二人で身を投げようでも、彼女は同じように言うだろう。
歪んだ魂のカタチをしている。
二人でピッタリと収まるように作られた、同じカタチをした魂だ。
歪んでいたのはどちらだったのか。
それに合わせて自らを歪めたのは、果たしてどちらだったのか。
「アナタの考える理想、それに向かうための道なら、せめてワタシがその中で最良のルートを探すわ」
人一倍心配症でリスクを嫌う霞が言った。
俺の理想、俺の夢を叶えるために万難を排して道を作ると彼女は言う。
彼女の瞳には、俺がどうしようもない子供に見えているのかもしれない。
発言するつもりのないらしい長波は顔を伏せたまま霞の後ろに控えている。金剛も同じだ。
彼女らは霞が反対しない限りは口を挟まないのだろう。
「私は反対です。今、無理を押してまで出る必要はないと思います」
一人、反対意見を出したのは阿武隈だった。
提督への反対意見に綾波が目を細める。
綾波の不機嫌オーラのプレッシャーに一歩も引かない阿武隈はまるで、邪魔をするなら相手になってあげてもいいですよと言わんばかりだ。
いや、声に出てないだけで確かに「口を塞ぎたいなら実力でやってみろ」と艦娘言語で伝えているのだろう。
帝国海軍栄光の第一水雷戦隊を率いた軽巡。その姉妹はいずれも劣らぬ艦歴を誇る長良型だ。その中でも燦然と輝く末娘。
一水戦の歴史は阿武隈の歴史だ。
司令艦として、そして過去の艦歴から艦種を問わない大きな発言力と実力を持つ霞でさえ頭が上がらない旗艦の中の旗艦。
開戦からずっとだ。
霞にそれを引き継ぐまで旗艦を誰にも譲らなかった歴戦の軽巡が、駆逐艦を相手に遅れをとるはずがないと全身で伝えている。
「この機会を逃せば5年、下手をすれば10年はチャンスが回ってこないかもしれない。終戦が遠のく」
戦場を指揮するには年齢が足りない。
ジジイのおかげで階級だけならぶっ飛びの地位にあるが、それだって艦隊司令官に届きはしない。
が、確かに掴んだチャンスだ。これを逃したのち、再び機会があるかどうかもわからない。俺がまっとうな立場になるにはジジイの年齢まで待たなければいけないが、さすがにその頃には戦争が終わっているか、もしくは人類が敗北した後だろう。
俺は、焦っている?
「それがなんだって言うんですか。機会は必ず、またやってきます。そして回ってきたそれを私たちは絶対に物にします。10年戦争が延びるなら、私が10年支えます。戦争は短慮を起こした者から死ぬんです」
しかし、そんなことはお構いなしにと阿武隈は言うのだ。
本当に、彼女は木村少将の意志を受け継ぐいい艦だ。
木村少将の意志を継ぐのは霞もなんですけどね(о´∀`о)あと鈴谷もです。