少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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※危険※
警告と言う名の前言い訳

ここから最後に繋がります。
さて、少女のつくり方は思いついたエピソードから書き増えていった脳内小説を元にしています。

さらには、きっと結末はこんなものだろう。との妄想から始まったものでもあるので、先の大戦を下敷きにした結末ありきで書いた物語でもあります。


ただ、そういったものが艦これを好きで、そして楽しんでいる、我が親友たる提督のみなさんに需要のあるものかどうかはわかりません。
決して「キャラに対して愛がない」だとか、「好きじゃないから沈められるんだ」というわけではなく、ただそういった物語もなかにはあるのだろう。と受け入れられる方だけが読み進めることをお勧めします。


山田さんの初期艦は大井さん。ちゃんと艦これのことが好きだ。



提督の艦隊

「神などいない」とアイツは言った。ならばワタシの世界に神は存在しない。

困難は自らの意志で切り拓くもの。もし、神と呼ばれる“なにか”があるのなら、それはアイツの顔をしている。

 

 

真っ直ぐに前だけを見つめる少女の瞳には何が映し出されているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「提督! 提督!」

提督に縋るようにする時雨の、悲鳴にも似た声だけが響いている。

 

中部海域から侵攻してきた深海棲艦の大艦隊。深海棲艦は海から自然発生でもしているのではないかと勘繰りたくなるほどの数だった。

 

ラバウルへと針路を取っていたことで本隊から離れていた座上艦はかっこうの標的となり、リンガの輸送船ともどもなす術もなく沈められてしまった。

直撃弾をもらい大きな破口を覗かせた艦橋。次の瞬間には大きな衝撃と共に轟音が響き、この艦は沈むのだと理解した。

 

 

断末魔の悲鳴を上げて沈みゆく座乗艦は大渦を作り上げ、全ての命を引き込もうとしていた。海に投げ出された何かだったもの、その中から時雨と綾波が提督を見つけ出せたのはそれだけで奇跡と言っていい。

二人は命からがら提督を確保して、一番最初に目に付いた海から顔を出す岩場まで駆ける。

 

 

キツく提督を抱く時雨の腕の中。短く浅い呼吸、長くは保たないと思われるその体で、それでも提督は穏やかな顔で笑っていた。

 

「ここまで、か。お前たち、あまり無茶はしてくれるな。寿命が縮んだよ」

「無茶だってするよ、でも無事でよかった」

 

艦橋に飛び込んだ砲弾で負傷し、沈むままになっていた提督を助けるために海中に潜って引っ張りあげた時雨も綾波も頭の先からつま先までずぶ濡れになっている。

水上艦である時雨たちにとって海は浮かぶもの。艤装を身に付けたまま潜水する行為は、言葉のとおり死地へと身を潜らせたことに他ならない。

 

それは提督の言うように艦艇として無茶なことではあったが、提督を救わない選択肢など最初から二人には存在しないのだから仕方がないことだ。

 

 

 

「子供の頃は、大人になればなんでもできるんだと思ってたな」

「なんだい? なにか言ったかい?」

 

 

波に削られてできた小さな洞に寝かされ、力なく目を閉じ呼吸を整えようとする提督。

少しでも安静にして体を労ってほしいと思っているが、同時に、このまま目を開けなければどうしたらいいのだと、そんな嫌な考えが時雨の頭に浮かんでは消える。

 

時間をおかずに再び目を開けた提督は、億劫そうに頭を傾けると真っ直ぐに綾波を視界に捉え、いつもと同じ声色で彼女に言った。

 

 

「綾波、最期の命令だ。全権を霞に、提督艦として艦隊を引き継ぎ思うがままにことを成せ。……戦争はまだまだ続く、終わらせたりはしないさ」

 

それから少しだけ息を溜めるようにして、「また尻拭いをさせる。すまないとも伝えてくれ」と小さく続けた。

 

 

「了解しました」

 

 

時雨に縋り付かれた司令官の顔から血の気が失せていく。腹部からの出血も止められない。ひと時でも長く、長くお側にいたい。

本心からそう思う。しかし、それと同じほどに、彼の苦しみを取り去ってあげたいと、苦しませたくないのだと、残酷なまでの愛情が綾波の胸を打つ。

 

 

「とどめが、必要ですか?」

静かに撃鉄を下ろし、ソレを構える綾波。

その一言を聞いた彼は、優しい目をして見つめてくれた。その後、全てを受け入れた彼は、ゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洞の外では絶え間なく砲撃の音が鳴り響いている。

しかし、ここは外界と切り離されたかのように、衣擦れの音も、呼吸音さえせず、空気が止まってしまっているようだ。

 

そんな静寂を打ち破ったのは、ひと時の別れをすませた綾波だった。

「時雨さん、綾波は司令官の最期のお言葉を伝えなければいけません。お別れをするなら今のうちにお願いしますね」

 

肯くことさえしない、電池の切れた人形のようになった時雨を残して綾波は洞を出る。

綾波としても気持ちは同じ、ほんの少しの時間も彼から離れたくはないが、彼から託された最期の思いを伝えなければならないから。

 

 

海面を走り出すとさっそく深海棲艦の先遣隊に発見され進路を塞がれる。それを合図にしたかのように、まるで冗談のような数の深海棲艦が、新たに飛び込んできた獲物を目掛けて次々と寄ってきているようだ。

 

 

その絶望的な暴力の狩場に、一言。

耳の芯まで届く冷たい声が響いた。

 

 

 

「邪魔です」

 

 

短く告げる綾波に常の笑顔はなく。その顔は無表情で冷淡なものだ。

彼女は怒っていた。

 

彼女の司令官を救わないこの世界の全てに。

 

 

対峙したものたちを屠る。海を駆けるその姿は、あの海に君臨した黒豹そのものだった。




しかし、誰も望んでないんじゃなかろうかとの不安はある(;´Д`A

繰り返し書いているが「最後はバッドエンド」ではない。
が、そこに繋がるためにはどうしても必要だと、そう山田さんは思っている……。

先に時雨が「艦隊のエース」であるエピソードなんかを投稿できていたら良かったな〜とは思う。
それは番外としていつか書こう。
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