少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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長波サマが使っている化粧水はイプサのザ・タイムR アクア。
ぷるぷる肌の実力を見ろぉ!

最近はイプサにハマっているらしい。


〜長波サマと一緒!〜/ 泊地の朝

「ふぁ〜ねむ」

 

よぅ、おはようさん。

私は長波サマだ。

ただいまの時刻は0330。まだ朝日も遠い深夜も深夜。

 

寝起きの良さに定評のある私でもさすがにまだ半覚醒状態。うだうだしてるのは性に合わないので、まずは顔を洗ってシャキッと目覚めるところから。

 

さて、ちゃっちゃと身支度を済ませちゃいますかー。

寝間着代わりのキャミソールを脱いで、昨夜用意しておいたブラジャーを身に着けシャツを羽織る。ブラはちゃんとパンツとセットのやつだぜ。揃えておかないと逆に面倒なんだ。

最近またキツくなった気がするが、気のせいだよな。買い直すようなことにでもなれば手間がかかって仕方がない。私物の下着もあるが、ここでは下着も基本的には官給品だ。申請書類を出すにしても、あまりに頻度が高いと普段の扱いにいらぬ懸念を持たれそう。

 

 

 

ドレッサーに向き合って、本日の第一戦。

このドレッサーは着任祝いに提督が買ってくれたものだ。

それまであまり気にしたことがなかったが、ここの艦娘たちはヘアケア、スキンケアをしっかりしてる子が多いので自然と自分もするようになった。ツヤ髪こそが女の命だ、潮風で傷みやすい海の女としては疎かにできない。

 

髪にオイルを塗り、ドライヤーを当てながら目の荒いコームで引っ張るようにクセを直していく。毛先はロールブラシで巻くようにするとハネずにうまくキマル。それから太めのヘアアイロンで形を作って髪のセットは終わり。

夜のうちにしっかりブローしているので、スタイリングには時間をかけないほうだと自分では思う。朝の準備を短縮するためには夜のヘアケアが重要だと覚えよう。

 

 

髪を整えたら化粧の前にスキンケア。

私はここに来て、準備の大切さってのは戦争でも美容でも同じなんだと学んだ。

 

いくら化粧品にお金をかけても、いくらメイクアップの技術を磨いても、スキンケアがおざなりなら話にならない。

まずは保湿。コットンに化粧水を染み込ませ、軽く叩いて肌に浸透させる。

そして美容液、次いで乳液を満遍なく顔に広げてシッカリと蓋をする。ここからようやくベースメイクに入るが、まだ慌てる時間じゃない。

染み渡るまで5分ほど待つのだ。

 

その間に本日の予定を軽くチェック。

ここで働くようになってから愛用している手帳を取り出し、人と会う約束や止まっている案件を見直す。

ついでに渡されている端末の充電具合を確認し、忘れないようバッグにしまい込んだ。

 

 

さて、いよいよ化粧下地。

下地は化粧崩れをダイレクトに防ぎ、またノリを良くする。ここで手を抜けばその影響が終わりまで響いてしまうので、大げさに言えば今日一日の仕事の出来栄えにも関わってくるのだ。

 

適量を取り、おデコ、鼻の頭、両頬、アゴ先に玉のように置いて伸ばしていく。外側に行くほど薄くなるようにするのがポイント。

パッケージの裏には気取った表現で「パール粒大」と書かれているが、顔全体に塗るわけではないのでそれよりも気持ち少なめくらいがちょうど良い。コイツを厚塗りすると顔がのっぺりしてしまうからな。

 

 

下地を終えたらリキッドファンデ。

大きな声では言えないが、今使っているリキッドファンデーションは6,000円もするやつだ。

驚くなかれ、この基地では化粧品に補助金が出ている。時雨と霞の二人がかりで提督に差し込んだ案件。よくぞもぎ取ってくれたと賞賛を贈りたい。

これは自分へのご褒美にと奮発した物だったが、補助金で全てが賄われるわけではない。あくまで補助だからね、必要最低限だ。

今後も継続的に買うとなると少し高いかもしれないが、先のことは無くなってから考えようと思う。

 

 

リキッドファンデも塗りすぎないことが肝要。ついつい厚塗りしてしまわないように注意して臨むべし。

基本的には下地と同じように肌に乗せておき、こちらはブラシを使って優しくトントン。密着しろ、密着しろと唱えながら作業をする。

ちょっと前まではパフを使っていたが、最近はブラシにハマっている。どうやら私にはブラシのほうが合っているようだ。

村雨あたりに言わせると、パフは使いこなすことで世界が変わるのだ。とのことだが、残念ながらその領域には辿り着けそうもない。

 

 

スティックタイプのコンシーラーで特に気になるところをカバーしたら、フェイスパウダーでテカリを抑え、ダメ押しにチークをふんわり乗せて仕上げ。

 

よし。本日も化粧のノリが良い。

あまり化粧が濃いほうではないが、身嗜みとしてなにもせずに人前に出るわけにはいかない。女性であるというだけで、世間からそれなりを求められているのだ。

海上護衛に出る子たちは日焼け止めのクリームなども塗らなければいけないので、事務方の私たちより工程が多くなる。ご苦労様だ。

 

 

機会があれば一度村雨の朝の準備を観察させてもらうといい。いや、夜のケアから見るべきかな。女性の美しさは並々ならぬ努力によって維持されていることがわかるだろう。

おかげで村雨の肌は間近で見ても溜息ものだ。

 

そういや村雨が言ってたな。女性の顔を見つめ、相手が「なに?」と顔を見ながら答えてきたら、その子はスキンケアに自信があり、かつアナタに嫌悪感を持っていない子だと。

「やめてよ」と言いながら顔を背けるのはスキンケアに自信がないか、アナタに好意を持っていない。らしい。

あまり趣味の良くない話なので、実践はしないほうがいい。

 

 

美肌と言えば、ウチの艦隊にはもう一人。神にえこ贔屓された反則的な存在がいる。

まさに神の造形物。あの天から愛を一身に授かったとしか思えない、存在自体がチートな重巡は、最低限のケアだけであり得ないほど良質な肌と髪を保っている。

私たちの涙ぐましい努力をあざ笑うかのように、下手すると彼女は朝起きて10分後には部屋を出ていたりする。もちろん実際に笑われたことはない。

 

村雨がよく、ズルイズルイと言っているが、私もまったく同じ気持ちだ。これで彼女の性格が悪ければ、転けてしまえの一つくらいは願っているかもしれない。しかし当人は明るくサバサバしてて面倒見がいいと、まったく非の打ち所がない超人であり、なんなら私の陸戦教練時代の教官だ。実際に転ばせにかかったら、地面に転がるのはまず間違いなく私のほうになるだろう。

肉弾戦無敗の格闘家みたいな艦娘で、その上さらに海戦でも陸戦でもなんでもござれ。砲撃から狙撃、格闘までを危なげなくこなす練度まで持っているのだ。

きっとデスマーチ中のプログラマーがステータスの割り振りを盛大に間違ったのだと思う。

 

 

 

おっと、一応言っておくぞ。

男性諸君には分かりづらいかもしれないが、ここまでの作業は一般的な女性ならば全員がやっていると思ってくれていい。あの重巡がイレギュラーなだけで、決っして私が厚化粧なわけじゃないぞ。

「素肌感」のある、肌キレイだよねー。の人も当然このくらいの化粧はしてるんだからな! その素肌感の正体はちょっとお高いファンデーションだ。

 

例えるならそう、これはまんま塗装だな。

下地処理してプライマーやらサーフェイサーやらを塗っていくのと同じことだ。

下地なくしてその後の塗装がキレイになるわけがない。

 

 

さてさて、お肌が防御だとしたら、これからは攻撃のターン。

アイシャドー、アイライナー、ビューラー、マスカラのアイメイクの基本工程4つを済ませるといつもの長波サマのお目々が完成。

パンダを目指しているわけではないので、ここでもナチュラルメイクを心がけている。

繊維入りのマスカラなど、調子に乗って付けると瞬きの度にバッサバッサと風を巻き起こすレベルだ。一周まわって最近は繊維なしが流行っているとか、これもう分かんねぇな。

 

曲がりなりにも基地に出勤する私がそんなまつ毛をしていたら大問題だろう。訓練で汗でもかこうものならホラー映画さながらの凄い絵面になるに違いない。

おっマズい、眉毛書くの忘れてた。

 

 

目元が終われば最後にお気に入りのリップを塗って完成。濡れたような質感の唇だ。

ここが基地じゃなければ、きっと男が放っておかないはず。そのはずだ。

 

並べてみると結構な数の化粧品だが、私はこれで少ないほうだ。

本気の方々はここからハイライト入れたりノーズシャドウを入れたりとまだまだ続くのだけど、さすがに軍属の私にそこまで求められてはいないはずだ。

そんな最低限の身嗜みを完遂するだけでお財布は結構軽くなる。

君も、いつまでも彼女に美しくいてほしいのなら、ちょっとは援助してみてはいかがだろう。

きっと喜んでくれるはずだ。

すでに恋人から妻にジョブチェンジしているのなら、化粧品の値段に関してはとやかく言わないことをお勧めしておく。

鼻血が出るほどの金額だが、それでも必要経費と言われることだろう。

この領域に触れないことが家庭円満の秘訣だと思う。

 

 

 

化粧が終わったので、はだけさせていたシャツのボタンを留めてスカートに足を通す。よし、汚れもシワもないいつもの私だ。

リボンを巻き、ソックスを引き上げて準備は完了。鏡を見てリボンの曲がりなどをチェックする。

これでも海軍だからね、服装についてはうるさいんだ。主に霞が。

 

 

仕事をしている未婚女性の朝の準備が平均72分らしいので、0410に部屋を出る私はカナリ早いだろう。

実は朝ごはんを食堂で摂る生活なので、そこは少しズルなのかもしれないけど。

 

忘れ物がないか荷物の最終チェック。

基本的に仕事を持ち帰らない。って言うか持ち帰ると色々と問題があるので手荷物は少ない。

 

さて、ちょうどいい時間だ。

ドレッサーの引き出しから官給品である拳銃(シグ)を取り出し、電気、ガス、水道などを確認してから部屋を出る。

そうそう。ここが特別なのか、あんまり施錠の習慣はない。

基地施設内だからな。さすがに暴漢や強盗の類はいないだろうし、深海棲艦がドアから入ってきたなんて話も聞いたことがない。

私室に侵入してくるとすれば、それは仲のいい艦娘か、イタズラ好きな艦娘か、そのどちらでもある提督くらいのもんだ。私たちは変なところでゆるゆるなんだな。

 

 

 

廊下に出ると朝独特の静かな空気が出迎えてくれた。私は案外と、この寝静まった朝の時間が好きなようだ。

 

私の部屋がある幹部棟は仕事場でもある本棟のすぐ近くに建っている。

名前のとおり幹部と呼ばれる役職者たちの居住棟だが、みんなの出勤はもう少し後なので今頃はまだ夢の中だろう。

本日の私は早朝勤務シフトなのだ。

 

 

照明の光量が落とされた廊下を歩き、一階に降りると食堂には煌々と明かりが灯っており、ここだけはあまり変わらない。

さすがに利用者は数人だけで、いつもの活気がないようだが、落ち着いて朝食を頂くには好条件だろう。

私は朝から白米派なので、カウンターに用意されている焼鮭定食のトレーを取って適当な席に座る。

 

朝食のメニューはご飯に焼鮭、それから味噌汁に漬物。ごくごくありふれた献立だが、異国の地でも馴染みのある食事ができるのは幸せなことだ。

飯の質が落ちたら、それは戦況が良くないことを表している。最も信頼に足るバロメーターかもしれない。

 

 

うん、ゆっくりしてるって?

ゆっくりできる時間に起きてるからね。

どうも私のイメージを、朝からバタバタして駆け込んでくるタイプのように思っている人が多そうだけど、これでもしっかりしてるほうだと自分では思ってるんだ。

 

バタバタするのは白露のほうだと、ここでみんなに伝えておきたい。

 

 

朝食を終えて居住棟から出るとこれから朝が到来する。そんな希望を抱かせるような時間だ。

空はまだ闇から紫に変わる途中で、本棟や工廠の方にはチラホラ明かりがついているところもあるが、まだ小さく星も見えている。

 

静かに佇む朝の空気を胸いっぱいに吸い込み、よし。ただいま0430。今からが仕事モードだ。

 

 

私の主な職場となるのは本棟2階にある管理部。部屋の主人である霞が出てくるのはもう数時間は後だろう。

本棟内では早くも妖精さんたちが動いている。彼女たちが夜休んでいるかどうかは聞いたことがないから分からないが、夜の間に切れた電灯を交換してくれていたり、消耗備品の補充をしてくれていたりする。

 

まさに基地にとっての縁の下の力持ちといった具合だ。

提督の発案で、窓枠やちょっとしたスペースなんかに妖精さん用の飴玉や煎餅などが置かれているのもこの基地ならではだと思う。そういうこともあってか、ここは妖精さんの数が多く、また非常に協力的である。

 

 

部屋に入るとさて、まずは書類のチェックから。

昨日管理部の面々が帰宅してから問題が起きていないか確認する。

机に積まれた書類に緊急案件はなく、とりあえずは一安心。昨夜も無事に基地は稼働していたようだ。

積まれていた書類はそのほとんどが他部署との調整や確認が必要な物、残りは報告書のようだ。

 

提督が基地司令官になってから、無駄な書類や重複する確認などは全て撤廃されたものの、軍事基地としての職務からかけ離れた案件まで幅広く手を出しているために一向に書類の数が減らない。

 

 

手元には近隣の海運業者からの輸送護衛予定表と、それにより発生する支援金と言う名の料金が記された書類がある。

どうせ軍の輸送船を護衛して海域を渡るのだから、そのときついでに民間船も一緒に連れて行こう。なんてところからスタートしたマル秘のお仕事だ。

 

こういった任務外のお仕事で得た収入が私たちの給与や艦娘寮建設費の一部に充てがわれている。もちろん帳簿外のお金なので大っぴらにはできないことだが、軍事と共にこの基地にとっての生命線である。

 

 

「〜♪」

鼻歌を歌いながらそういった書類をチェックしていく。

しまったな耳が覚えちまった。

ついつい口ずさんでしまうのはこの間から霞が歌っている曲だ。

先日行われた基地祭では白露たちがダンスを披露していたが、霞は運営準備で忙しいと逃げ切ったのだ。催しが好評だったため次回の開催が早々に決定し、ついに逃げきれなくなった霞が次回お披露目することになったのがこの歌。ダンスよりは楽かろうと、そんな思惑に違いない。

 

何気ないときにフッと頭に流れるこれをイヤーワームと言うらしい。提督が教えてくれた。艦だった頃にはなかった感覚なので、ちょっと面白いものだ。

 

ともあれ、こんな早朝から誰もいない職場で一人熱唱していては危ない子だと思われてしまう。そしてそういうときにこそ偶然早く出勤した誰かに聴かれてしまうものだ。マーフィーの法則とか言うやつだな。

自重自重。

 

 

意識を書類に戻して仕事をこなす。

複数の海運業者の輸送予定をすり合わせ、シンガポールのセレター軍港から出る軍の輸送船にタイミングを合わせる。

複数を一気にまとめるほうが効率が良いので、それぞれの日付を調整してやる必要があるのだ。

 

提出された予定日からずれ込んだ分に関しては、常識的なお時間になってから先方に連絡を入れて確認を取らなければならない。

複数まとまった場合のほうが護衛代も安くなるよう設定しているので、大体の場合はそれでも問題なくとおる。

そもそも私たちが護衛しなければ海上輸送など不可能なので、ある意味、足元を見た王様商売とも言えるが、物流が生きれば地域が活性化するのだから文句を言われる筋合いはない。はず。

 

 

なんで艦娘の私が企業相手に営業しているのかとたまに考え込むこともあるが、こうして稼いだお金で基地が充実し、訓練や作戦に活かされているので、もうそういうものなのだと割り切ることにしている。

 

 

「結構まとまったな」

先方次第ではあるが、相手に問題がなければ予定されている日は結構な数の輸送船が一緒に出港することになる。

大規模輸送船団となるので警護の艦娘を増やす必要が出てきそうだ。追加の人員の都合をつけて貰えるように、あとで調達部に相談に行かねばなるまい。

 

 

おっと、0500。

そろそろ時間だ。

 

本日早くに出勤したのは、初めての輸送護衛艦隊旗艦を務めている新人艦娘が3日ぶりに帰ってくるので、その出迎えのため。

私は管理部人事課の責任者でもあるんだ。

 

普段ならわざわざ出迎えるまでもなく、私の出勤後に定時報告を聞ければそれで十分なのだけど……。

今回は対象が対象なだけに提督の過保護っぷりがヤバい。きっと提督自ら港で出迎えるはずだ。霞は放っておけと言っていたが、人事から一人も出さないわけにはいかないだろうとの判断で私がこうしてここにいる。

 

 

んじゃ、せっかく出てきているのだから出遅れてもつまらない。

港で報告を聞くとしますか。

 

 




使っている乳液はME アルティメイト 1。
お値段はビビるほど高い……。

誰か買ってくれないかなぁ。
そう思ってる。
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