少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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軍隊さんは役職や職務が階級と直結してることが多い。

艦隊や鎮守府のトップは司令長官。
これは大将か中将と決められていたので、佐官が任命されるなんてことはない。
鎮守府は4つあるが、舞鶴は軍縮の煽りを喰らって一時要港部に格下げされてる。要港部のトップは司令官。
艦隊は聯合艦隊や第一艦隊、第一航空艦隊なんかが有名。

戦隊指揮官は司令官。
こちらは中将か少将。
二水戦の第二水雷戦隊や一航戦の第一航空戦隊が有名。一航戦と一航艦は別物。
要港部だった大湊は後に警備府に格上げされ、それに伴いトップが司令長官になる。しかし鎮守府にはなれなかった。

駆逐隊などの隊指揮官は司令。
だいたい大佐。旧海軍的に軍艦ではない駆逐艦は駆逐隊で軍艦と同じポジション。軍艦の艦長は大佐だが、駆逐艦長は一つ下の役職なので少佐や中佐がなってたりする。厳密には艦長と駆逐艦長は別の役職。
旧軍独特の駆逐艦の扱いが、後に子日スライディング土下座事件の発端となった。



幌筵泊地で7

トレーニング開始から6日目。

艦娘たちにとって待ちに待った日がやってきた。

 

「艦娘になってからこれだけ海に出なかったこともないわね」

 

霞が呆れ声で言った。他のメンバーの気持ちを代弁してもいるのだろう。

本日は久々の哨戒任務。タイミングの良い? ことに、近海にて深海棲艦の目撃情報が出ているようだ。

 

「哨戒って言うよりは敵偵察部隊の壊滅かな、輸送船に被害が出てもかなわん」

 

横須賀のジジイが無理を押して手配した輸送船だ。沈められてしまっては余計な面倒を被る。

 

「班分けはどうします?」

実務の話を振ってきたのは阿武隈。久しぶりに海に出ることになるが、気負った風でもなくいつもどおり。実は肝が据わっているよね。

 

阿武隈には2つの意味で期待している。

初めて取り組んだという筋トレにて満点ともいえる順応性を見せ、完璧にそれをこなした阿武隈。はたしてその効果はいかに。

そしてもう1つ。制服姿で行う筋トレは素敵でした。俺はロリコンではないのだ。

そんなわけで今後も期待している。

 

それでは、組分けを発表します。

 

「阿武隈と六駆組、それから霞旗艦で初霜、皐月、時雨組の2組でどうだ?」

 

阿武隈と暁たちの連携は問題ないだろう。

霞と初霜は元々ペアを組んでるってことだし、時雨はそのどちらとも組んだことがあると言っていた。そして時雨と皐月は佐世保での同僚だ。チームを分けるならこの組み合わせで問題ないと思うんだが……。

 

チラリと霞を確認する。

「問題ないわ。これが最良でしょう」

 

よし、俺合格。

霞がO.Kを出すなら間違いないはずだ。

 

「それで、哨戒についての指示は?」

「それは地元の方にお任せ。好きにやってくれ」

 

いつもの如く、霞が小さな溜息一つ。

「相変わらずだけど、まぁいいわ。吉報を持ち帰るから待ってなさいな」

 

それだけ言うと、艤装を身に着けた艦娘たちが次々と海面に降り立ち、出航していった。

出掛け際に阿武隈より方針を確認された霞が短く答えた。

 

「見敵必戦。それだけよ」

 

 

 

 

 

 

「効果は実感した。このトレーニングには意味があるわ」

帰投するなり霞が言ったセリフがこれ。

 

ちょっと嬉しそうに話す霞がかわいいので、特に文句は言わないが、これでも俺は心配してたんだぜ? まずは成果とか経過とか結果なんかを話してくれよぉ。

聞かなくても今しがた把握できたんだけどもよ。

 

日常会話でも使われる言葉なので問題ないと思うが、一応説明しておくと帰投とは帰港投錨の略だ。

言葉のとおりの海軍用語。じゃあ船以外には使わないのかって言われるとそんなこともない。

海軍はなんでも艦艇ベースだ。故にゼロ戦だって帰投する。

 

 

「みんな無事か?」

目視した限り、誰も被弾していないよう見えるが確認は大切だ。社会人の仕事の8割は確認でできている。

 

「問題ないよ」

「こちらも全員問題ありませーん」

 

当人たちの口から無事を伝えられて、ようやくの一安心。輸送船も無事に到着したし、100点の出来栄えだ。

効果を実感したのは霞だけではないようで、今回のことでようやくながらもトレーニングに対する不信感を払拭できたことだろう。根拠のある信頼感が芽生えた瞬間と言えるかもしれない。

 

ただの筋トレだが、彼女らにとっては初めて触れる未知の体験。それが自分を強くするということを実感することで、より高みを目指せると思う。

艦艇ではなく、艦娘として。

それを意識するのは重要であり重大な変化だ。

 

 

「それで、どこまでの向上が見込めるの?」

「さあ? 俺は海戦したことないし、時雨に聞いてくれ」

 

霞の問いかけは俺にとっては難しい。なにせ経験がないのだ。当事者に聞くのが1番だろう。

餅は餅屋。俺の好きな言葉なので、みんなも覚えておいてくれ。

 

「アンタ、そのうちホントに時雨に出て行かれるわよ」

 

自分から言いだしておいて丸っと時雨に丸投げする無責任さに霞も呆れるが、今さらのことだろう。良く言えば信頼している。そういうことだと納得した。

 

「体も慣れてきたし、セットを増やしてもいいかしら?」

「そればっかりやってもあんまり効率良いとは言えないなー、余った時間で次のステップに進もうと思う」

効果が上がればやりたくなる。

人はできなかったことができるようになると楽しく感じるものだ。

しかし筋トレはやればやるだけ、とはいかない。ペースを考えないとね。

ならば、その間に他のことをやったほうが良い。時間は有効活用するものである。

 

 

「次? 何をすればいいの?」

 

「格闘訓練だ」

ようやく芽生えた信頼が潰える鈍い音がする気がした。

聞こえたのか聞こえなかったのか、微妙な空気が流れたので親切にももう一度告げてみる。

 

「格闘訓練だ」

「はぁ?」

 

現実ではなかなかお目にかかれない見事なまでの「はぁ?」を頂いた。

 

「だから格闘訓練だよ」

「それは聞こえてるわよ、本当にそんなのに意味があるの?」

「筋トレで土台は作った、次は体の使い方。肢体のって言ったほうがいいか? お前ら身体スペック半端ないくせに使い方に慣れてないんだよ。それで戦果を挙げられるんだから、艦娘ってやつは大したもんだと思うけど」

 

軍艦だったモノの魂ってやつか、海戦におけるそれは凄いの一言だ。人間サイズの人間タイプで文字通り軍艦並みの運動性能と火力を誇るのだから、そりゃ現行艦では太刀打ちできないだろう。

 

「俺は本職じゃないから基礎しか教えてやれないけど、お前らなら基礎を知るだけで後は自分たちでやっていけるだろ」

 

本職じゃないならアナタはいったいなんなんだ。と思うが、それもまあいい。

実践してくれるのはどうせ時雨なのだろうと、短い時間ではあるが提督との付き合い方がわかってきた艦娘たちだった。

 

 

そして、受け身の取り方や人間の殴り方、関節技や拘束の仕方などなど、対象が深海棲艦だとは思えない訓練が新たに日課となった。

 




前置き長かったね……。反省。
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