少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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さくっと飛んでしまいました。
北方での戦いはどうだったのか……。

【速報】俺氏。ルビの付け方をマスターする。


幕間
旅をしない音楽家は不幸だ。


「ご苦労だったな、まさか北方の解放までしてくるとは思わなんだが、艦隊の人員も無事確保できたようでなによりだ」

 

笑顔で出迎えた中将が提督の肩をバンバン叩きながら言った。

力加減を覚えろ、痛えんだよ。

しかめっ面で嫌がる提督だが、中将のセリフに違和感を覚える。

 

「うん? 海域開放をさせたかったんじゃないのか?」

「向こうで世話になる間、手伝いをして顔を売ってこいとは思っていたが、作戦を主導して指揮を執ってくるとまでは考えてなかったわ」

 

意思の疎通がまったくできてねぇ。

結果オーライだから良いものの、それならちょっと遠征護衛を手伝って、霞たちを連れてサッと引き払ってくる選択肢もあったんじゃねぇか。

北方で過ごした日々は本当に寒くて辛かった。寒いというより痛い。そのレベルだった。

 

 

「まま、上手くいってなによりだ。おっとそうだ、大事なことを忘れておった。お前に辞令だ」

そう言って傍に立つ姉に目配せをする。

 

「どうぞ」

「ほれ受け取れ、おめでとう少佐。お前の歳で佐官は本来あり得ないんだが、北方海域開放の戦果を鑑みて、ま、戦時特例ってやつだな」

 

(おごそ)かでも畏るでもなく、丸めた辞令書を片手でポンだ。とてつもなく軽い辞令。

が、そちらはちょっとした問題。大問題は別の案件。

 

「ちょっと待て、俺は戦死したわけじゃないぞ!」

 

自分の階級は中尉だ。それも小島に発つ寸前に昇任したばかりなので、中尉になってからまだ1年ほどしか経っていない。そんな俺がわずかな期間で二階級特進など、年齢や勤年がどうという理由だけでなく、全くあり得ない話なのだ。

 

 

それに対しての答えも台本を読んだかのような饒舌っぷりだった。曰く、

「佐世保でのデータは残念ながら全て焼けてしまっていてな、お前は佐世保で中尉に昇任していたらしい。そして鎮守府壊滅という未曾有の危機から艦娘たちを生還させた功績で大尉に、むろんこれも戦時特例ではあるがな。その後に北方海域に赴いたと、まあそういうわけだ。前回の昇任からわずかな期間で少佐ということについては強引な話ではあるが、横須賀内でも表立っての同意は取れている」

 

何が「らしい」で「そういうわけだ」だ。

二階級特進はさすがに無理と判断したのか大元から捏造しやがった。

2年も待たずに3つも階級が上がっている時点で無理すぎるわ。

 

「昇任試験を受けた覚えはないが?」

「そうか? 評価は優だったと記憶しているが」

 

これはアレだな。書いた覚えのない解答用紙も存在しているに違いない。

どんな思惑があるのかは知らないが、お前らの策謀の主役として勝手に抜擢するのは止めてほしい。

 

「強引な手を使ってまで無茶な昇任をさせる理由があるのか?」

「指揮官になるんだ、せめて佐官じゃないとバランスもなにもあったものじゃないだろう」

 

なにがバランスだよ。昇任のバランスを粉砕してまでやることか?

 

「引き連れてきた艦娘も艦娘だからな、まさかウチの第一水雷戦隊を連れ帰ってくるとは思ってもみなかった」

 

阿武隈は横須賀籍、それも本来なら第一艦隊直属の護衛専門部隊だ。なるほど、彼女らを指揮下に置くなら少佐でも階級が足りていない。それが尉官など冗談にもならないだろう。

元々腹案としてあった策を、この機会にということなのだろうか。

 

 

「で、俺たちは近海警備の艦隊にでも組み込まれるのか?」

 

今後の進退は不安の種だ。なにせ一身上の都合で身の置き場がない立場である。そしてそれは、つい今しがたさらに悪化した。

このまま横須賀に配属されるのが1番当たり障りないと思ったのだが、返ってきた答えは予想の斜め上を行く残念な物だった。

 

「それについては安心してくれ、良い任地を選んでおいた」

まったく悪い予感しかしない。

「北方は寒かったろうからな、次は暖かいところでのんびりやってくれ」

 

また南方か……。

生憎と俺の体は急激な温度差を楽しめるほど順応性に富んではいないんだよ。




軍人さんが昇任するには実役停年と言う、いわゆる勤続年数の縛りがある。
普通自動車免許を取得して3年以上経っていないと二種免許取得の条件を満たせないみたいなもの。

なので、通常2階級特進はあり得ないし、歳の若い佐官なども存在し得ない。そして普通は年功序列。海軍の場合はそこからさらに軍学校の卒業席次、いわゆるハンモックナンバーが重視されたりする。
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