少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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「旅をしない音楽家は不幸だ」は、モーツァルトのセリフです。
スカトロ手紙魔で有名な彼は6歳のときに超絶美しい女性に会い、その場でプロポーズしたという逸話があります。

ヨーロッパを支配したハプスブルク家の末女! マリーアントワネット(7)に!


本編には特に関係ないです。



旅をしない音楽家は不幸だ。2

さてさて、横須賀でゆっくりできると思っていたが、またも南方に出戻ることになってしまった俺。少佐です。

話している間に上着を剥ぎ取られ、姉が階級章など付け替えています。

既成事実でも作ろうってか? いいよ、後で時雨にしてもらうから!

そんなことは言えないから、もう成すがまま。

 

 

そして教えられた赴任先がコチラ!

 

『リンガ泊地』

 

 

リンガの艦隊に配属されるのかと思ったら、そうではなく。リンガの基地司令官としての赴任だと。

 

「海運の要じゃないか、要所中の要所だぞ!」

いわゆる激戦区ではないが、南方海域の西側。シンガポールにほど近いこの海域は日本を支える極めて重要なシーレーンの要である。

 

 

「赴任までまだ時間がある、今週は準備期間ということで自由にしてくれていいぞ。待遇が良くて嬉しいだろ」

 

言っても聞きゃしない。

こちらは裏技……。というか反則技を駆使した結果、それでもまだ少佐だ。

そんな少佐に基地司令官をやれと?

しかも海軍の二大拠点の片割れであるリンガで?

先ほど言ってたバランスはどこに行ったんだ。

 

コイツが言うのだから、もう完全に筋書きの完成した覆らないものなのだろう。

考えるのも悩むのも、それからプレッシャーに押し潰されるのも次回の俺に任せよう。

 

 

「今、佐世保の方はどうなってる?」

「横須賀主体で再建中だな、未だ仮施設に仮配置ではあるが、問題なく動き出している。呉の人員もすでに退去済みだ」

 

それなら、と思う。

ずっと考えていたことがあるのだ。

 

「一度佐世保に戻る」

「鎮守府にか、何用だ?」

「いや、鎮守府に用はないんだ。目的は別」

中将は理由を測りかねたのか怪訝な顔をする。

 

「時雨と皐月、それから阿武隈か。三人を連れて行ってくるよ」

それで察したようだ。相変わらず配慮や根回しに関してのコイツは頭の回転が早い。

 

「トンボ帰りもなんだ、向こうでゆっくりしてくるか? 保養施設なら連絡しといてやるぞ」

「いや、他のみんなを残していくしな。一泊だけして翌日には戻る」

 

 

 

「その間、居残り組には雷神社にでも行かせるか、すぐそこだし」

横須賀にある雷神社には名前繋がりということで、ちょっと痛い駆逐艦雷の絵馬が奉納されていたりする。あいつも喜ぶ(?)だろう。

 

「なら神宮にも寄ってきたらどうだ? 艦内神社として分祀されている艦も多い。ついで、とは言えんが、せっかくの機会だ」

「そうだな、あそこは時雨を含む白露型の多くに分祀されてるし、確認したら他にもいるかも知れないな」

 

時雨を秘書艦に迎えてから彼女については少しずつ調べている。彼女の艦内神社は伊勢の神宮、俗に内宮と言われる皇大神宮なのだ。

時代的なこともあり、皇大神宮は多くの艦にとって所縁のあることが多い。

これは偶然でもあったのだが、夜に調べたところ、当初の目的のために連れて行くことが決まっている阿武隈にも分祀されていることがわかったのでちょうど良かった。

 

 

「それがお前の方針か、いいんじゃないか」

「なんだ、反対されるとは思ってなかったし、反対されても行くつもりではあったけど、妙に理解があるじゃないか」

「私の考えはどちらかと言うとお前寄りだよ」

 

それは本心なのだろうが、姉に言わせると身内びいきでもあるのだと言う。

できる限り俺の考えに合わせていくスタイル。歳を取ると、孫とも呼べる年齢の身内に甘くなる。ままあることらしい。

 

「他の子らへの配慮は?」

「戻ってきたあとはみんなで浦賀にでも行ってみるつもりだよ」

 

北方で聞いた話では、ウチの艦娘らには浦賀船渠生まれも多い。

彼女たちには色んなものを見せたい。彼女たちが護る日本の姿を、彼女たちを形作るルーツとも言える縁を。

命を賭けた戦さ場の、最後の拠り所になるのはそういった自己の立ち位置だと思うからだ。

 

「俺らが出てる間のことは霞に頼むつもりだが、気にかけてもらってもいいかな?」

「もちろんよ、六駆の子たちも残るのでしょう? あの子たちは元々横須賀籍の艦娘でもあるし、昔からよく知っています」

姉に声をかけると、彼女は快く承諾してくれた。暁たちとは知り合いらしいので、ちょうど良いだろう。

 

 

「なんで霞ちゃんだ?」

留守番組の引率者の任命理由について中将から問われた。

 

「適性だよ、霞が1番多くの艦と接した経験がある。雷や電には頭が上がらないようだけど、仲は悪くないしな」

 

どういう関係でそうなのかはわからないが、暁は響が問題にしない限りは文句を言わないし、当の響とは同じ駆逐隊で二水戦に所属した戦友同士。さらに響は面倒ごとが嫌いな奴なので、霞が監督するとなれば大人しく従うだろう。

そして霞曰く、雷と電には昔散々お世話になったのだと言うが、あの二人は元来懐が深い艦娘らしく、北方でも特に霞に対して居丈高に振る舞うこともなかった。

それどころか、実は北方の海が苦手だという霞のことを常に気にかけてくれていたようなので、心配など杞憂だろう。

 

 

さて、色々と考えることややらなければならないことが増えてしまったが、まずは……。

 

「昇進おめでとうとでも言ってもらうか」




浦賀船渠。提督にとっては馴染みのある有名どころを多数生み出した誕生地。

経営がうまくいっていない時期には、新一万円札の肖像に選ばれている「日本資本主義の父」渋沢栄一氏が再建に取り組んだりした。

住友機械工業と合併、工場集約のため2003年に閉鎖。
現在浦賀ドックは、世界に4つしか残っていない貴重なレンガ積みドライドックとして文化遺産となっている。
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