少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
じょじょにリアクションが増えてきて嬉ション。
読んでくれたナイスガイたちに届け! 僕の熱い投げキッス!!
おはようございます。
久方ぶりの佐世保で迎える朝。気分はそれなりに最高です。
あの日以来、この地に足を踏み入れたのは初めてだが、俺たちのリスタートにはちょうど良かったと思う。
時雨も皐月も、ずっとここで生活していたのだ。楽しい思い出も辛かった思い出も全部ここにあるのだろう。
そんな故郷とも呼べる場所の最後の記憶があれでは、胸にしこりが残ってしまうかもしれない。
二人も、それから阿武隈も。今回の旅をとても楽しんでくれているようなので、試みは成功だったと思いたい。
同室で朝を迎えた皐月の寝覚はすごぶる良く、寝起き早々元気満点。
ささっと着替えて隣の部屋に乗り込もうと思っていたら、いつもと変わらぬ美しさで阿武隈と時雨が迎えに来た。
寝起き姿を拝ませていただこうと企んでいたが見事に失敗。もっと早くに起きるべきだったか。
阿武隈は寝るときにブラを着けている派なのか否か、今後彼女の水雷戦隊を運用するに当たり重要な問題となるので、いずれ確認できたらいいなと思う。
そして四人で朝食バイキングに繰り出し、忘れ物がないかをチェックしたら荷物を持っていざ出発。
あっという間にここは愛知県です。
皐月は昨日と変わらず、残りの二人も昨日よりは飛行機に慣れてくれたようだ。
本日はまだもう一回搭乗することになるので、心の準備だけしておいてもらおう。
時間も限られていることだし、早速本日の目的地へと向かおう。
中部国際空港から三重県の津市までは高速船に乗って伊勢湾を横断する。
実のところ、時雨たちは艤装があれば自力で航行できるのだが、自分の乗船した船の隣で手を振りながら旅の同行者が並走する姿はあまりにシュールなので持って来なかった。荷物になるしね。
ここは大人しく四人で船移動を楽しみたいと思う。とは言っても、船が着くまで40分ちょいだ。楽しむというよりは飽きるまでに船を降りることができる。
本当に重要なのは酔う前に降りられるかどうかだ。船底のせいなのか小型船なのがいけないのか、湾内のハズなのに結構くるものがあった。
津市に到着してからはレンタカーを借りての車移動だ。伊勢市まで23号を下るとちょうどお昼時に松阪市に到着する。道沿いに松阪牛との看板を掲げているお店を発見したので、そのまま車を滑り込ませた。
しかし土地が余りまくってんのか、駐車場の広い店だ。
「なんか高そうなお店ですけどー」
「気にすんな、金はそれなりに持ってるから」
実は出かけに姉からお小遣いを渡されそうになったのだが、そこは大の大人としてどうなのかと思ったので固辞することにした。飛行機などの移動代と宿泊代が全額じじい負担なだけで財布は大助かり、食費と土産代くらいにしか使うところがないので気兼ねなく食にはお金を使おう。
外観や店内の雰囲気に似合わず、この情勢下の割にはリーズナブルな料金設定のランチが並ぶ。松阪牛のハンバーグが推されているようだが、店のスタッフらしきヒゲ面の小汚いお兄ちゃんが言うには、松阪牛はステーキでこそ食べてみてほしいとのことだ。
ならばと、おすすめ通りステーキを注文することにした。
口に入れると溶ける。
なんだこりゃ、肉か?
ブランド肉を作るためにはネームバリューや努力が必要ということなのだろう。
帰りにポイントカードを勧められたが、足繁く通うには無理がある距離なので丁重に断る。来週には日本に居ない予定なので然もありなん。
佐世保でもそうだったが、本当にタバコを吸えるところが少なくなった。車に戻るまでは我慢しようと思う。
幸いなことに、阿武隈も皐月もタバコの匂いについては気にならないようなので運転中はモクモクだ。もちろん時雨はもう慣れっこ。
当時の環境を思えばタバコの煙くらいどうってことないのだろう。
タバコは体に悪いって? それ、本当なの?
少し前の世代なら記憶にあるかもしれないが、盆や正月など、親戚が集う行事のときなんかは部屋が富士の山頂みたく煙るのが当たり前。
そんな時代が確かにあったのだ。
どこにいても誰かしらは煙を吐き出しており、常に副流煙の中で生活していたと言っても言い過ぎではない世代。
小学校の職員室、病院の待合室。ショッピングセンターでは一定間隔で通路に灰皿が置いてあり、もちろんバスや電車の車内でも吸い放題。
で、だ。
そんな時代を過ごした方々はどうしてるかって、昨今の高齢社会に至っている。
時代の波に逆らうようで心苦しいことではあるが、敢えて言っておきたいことがある。
タバコの毒くらいなんだ。
むしろ少しくらいは毒の渦中に身を置くくらいで丁度なんじゃないか日本人。有害なものを遠ざけ、どこもかしこも抗菌除菌な世界が自然なこととは到底思えない。
いずれ、日本人だけが耐えることのできない病原菌なり風土病などが蔓延ることになりそうだ。
人類滅亡の危機は深海棲艦が引き起こしているが、日本人を滅ぼすのは日本人が自ら育んだ日本社会が遠因になるだろうと、今のうちに予言してやろう。
さて、車内で煙を吐く言い訳を長々とやったが、ともかく。英気を養った後は再び23号線で伊勢に向かってひた走る。30分もすれば伊勢市に到着。ここまで来れば目的地はすぐそこ。
神宮付近の市営駐車場に車を停め、まず向かうのは神宮の手前にある猿田彦神社だ。
複数の神社を巡るなら、本来正しい順序は社格の高い順なのだが、立地的にもお話的にも今回はこちらから行かせてもらおう。
観光で行く場合も猿田彦神社から先に行くことをお勧めしたい。なぜなら、相手は国内最高の格を持つ神宮なのだ。アレの後に他の神社に行っても感動は得られないと思われる。
神社には社格という格付けが存在する。その中で唯一の「社格なし」に分類されたのが神宮。曰く、「並べるのもおこがましい」と。
ただし、ここでも例外が一つ存在する。
神宮には内宮と外宮が存在するのだが、その2つを巡る場合だけは別。伊勢の神宮を正しく周る順番は外宮、内宮となっているので注意が必要だ。今回の予定に外宮は入っていないんだけれども。
「神社は初めてだな? ここから先は神域、神の世界だ、境内の中は全てが神様のものなので鳥居や参道の真ん中を歩いてはいけないぞ、そこは神様の通る道だ」
ここで参拝についてのマナーを軽くレクチャー。
信じる者しか救わない異国の神と違い、日本の神様のことだ。できてなくても広い心で許してくれるだろうが、知っているならやったほうがいいのだろう。
「ちょっと怖いんですけどー。真ん中を歩いたらどうなるんですか?」
「後ろからゴットブロウでも喰らうんじゃないかな、相手は死ぬ! とか言って」
思った以上に真剣に受け取った阿武隈が心配そうに言った。
小粋なジョークでその不安を払拭してあげようと軽く答えてやったが、多分伝わらないだろう。
伝わったのか伝わっていないのか、それを聞いた時雨が言った。
「一撃で轟沈しそうだね、気をつけるよ」
とは言うものの、艦娘だって艦魂を宿した神様みたいなものだと思うので、案外仲良くやれるのかもしれない。特にゴッドブロウのお方は水を司るなんちゃらなようだし。
さて、ここは交通安全で有名な神社だが、実は祀られている猿田彦は海の神様でもあるようだ。
境内にいた
残念ながら俺には意味がわからなかった。きっと誰にもわからないだろうが、海の安全を護ってくださるのであれば、他はもういいんだろう。
そういうことで、四人揃って参拝する。
神社デビューを果たす三人娘にここでも
もっとも、この二拝二拍手一拝のマナーは、これから向かう伊勢の神宮さんが戦後に広めたものなので、マナーとして常識! となったのはわりかし最近になってからだったりする。なので、神社に参るのが初めての艦娘どころか、少し年配の人は基本的にこれを知らず、教えると大体の人が「昔は二拍手して一礼するだけだった」と答えるだろう。伝統とは作るものなのだ。
参拝が済んだ後、社務所にてお守りを見ていると交通安全マグネットなるものを発見した。
交通の定義に海での航海が含まれているのかどうかはわからないが、マグネットの張り付いた艤装はそれはそれで中々に面白そうだ。
八角ステッカーと迷ったが、結局マグネットのほうを留守番組の分と合わせて8個購入する。
マグネットには5色あり、黄色がないことに皐月が不満をぶつけていたが橙色で手を打ったようだ。黒色と紺色は暗いイメージがしたので避けたが、いざ購入した物を確認すると時雨が選んだマグネットはしっかり黒色だった。まぁなんとなくイメージどおりだからいいけど。
いろいろと教えてくれた舞姫のお姉さんに挨拶をし、いざ行かん。
本日の本命!
猿田彦神を祀る神社は全国に結構ある。
その末裔を名乗っているのが神宮からほど近い伊勢の猿田彦神社。つまりここ。それから少し離れた同じく三重県の鈴鹿市にある春日大神社だ。
それぞれの宮司さんが猿田彦神の末裔を名乗っているが、猿田彦神社の宮司さんの名字は「宇治土公」。驚くなかれ、この一族しか存在しない稀少姓だ。
対して春日大神社の宮司さんの名字は山本。
物議を醸し出す断定は避けたいが、どうなのでしょうね。
そういえば猿田彦神社には他にも猿田彦神の嫁さんが祀ってある。
天の岩戸にお隠れになった天照大神を誘い出すために、洞窟外で踊ってみせた神様。
上も下も素っ裸で!
そんな彼女は芸能の神様なので、芸能人がわりと訪れるらしい。