少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

37 / 184
僕が提督になったなら、仕事は役割分担だ。
下着の洗濯なら任せておけぇーい!

え? 知ってる知ってる!
ブラは形が崩れないように手洗いするし。
っていうかパンツも手洗いしちゃうゾ?

安心して置いていけ。


関係ないけど、鈍感系主人公っているじゃん?
それはいいんだけど、かつ有能な人物であったならあんまり納得できない。

察する能力を著しく欠いた人が、果たして有能足り得るのだろうか……。




旅をしない音楽家は不幸だ。7

猿田彦神社を出て、地下道をくぐるとそこはもうおはらい町だ。街道の両側に(おもむき)のある建物が並び、この通りの突き当たりが内宮となる。

 

「そういえば聞いてませんでしたけど、なんで神社なんですか?」

「あれ、言ってなかったっけ、これから行くのは皇大神宮(こうたいじんぐう)、通称伊勢の神宮なんだが、時雨や阿武隈の艦内神社の大元なんだよ。佐世保で一緒に戦った伊勢ももちろんそうだが、暁やほかの白露型の何隻かの艦内神社にもなってるんだ」

 

 

金剛などの戦艦はじめ、駆逐艦や海防艦、潜水艦にまで皇大神宮は手広く分祀している。

白露型の話をすると、どこが分祀されたのか記録にない白露と春雨を除く8艦全てが皇大神宮だ。なので、分祀がなされたのだとしたら、多分二人の艦内神社もここなのだろうと個人的には思っている。

阿武隈の艦内神社はほかにも白川鹿嶋神社などがあるのだが、そちらは福島県なので今回はスルー。

 

 

「ここは何を売っているお店なんですかー?」

道中に一際混雑するブロックがある。おかげ横丁への入り口向かいにある伊勢名物赤福餅、その本店だ。

 

「お餅? ボク甘いものが食べたいよ」

うんうん、天使さんめ。お前が食べたいというのなら何箱でも買ってやろうな。

 

実は、この辺りを走っている近鉄電車の駅構内なら大体どこでも買える土産物の定番なので、市内の人間に限らず近県の人間にとっては特に珍しくない物だったりする。名古屋駅での土産売り上げ一位は伊達ではないのだ。

 

それを知っていると、この混雑の中、赤福餅購入のために並びたくはない。

 

「赤福餅は後で買うからちょっと待て、今から参拝だし荷物になる。そして絶対混まない赤福の店も調べてある」

 

提督が車を停めたおはらい町入り口の市営駐車場には、実は赤福餅の支店がある。ひっそりし過ぎてあまり知られていないようだが、地元の人間は朔日餅(ついたちもち)や限定商品などを求める際わざわざこの本店まで足を運んだりはしないのだそうだ。

 

 

 

「さてさて、ここから先が日本で1番の格を誇る神宮の神苑だ」

 

いざ五十鈴川を渡ろうとすると、阿武隈が言った。

「五十鈴姉さん、うぅ、ちょっと嫌なこと思い出しました」

訓練のほか、立ち振る舞いや言葉遣いなどめちゃくちゃ厳しかったらしい。さすが貴族艦と呼ばれた軍艦。

五十鈴が輩出した元艦長は錚々たる傑物揃いで、並べるとそれだけで軍人名鑑になる。

 

 

神明鳥居を越えると俗界と神界との境である五十鈴川を渡す橋がある。人と神とを繋ぐこの宇治橋だが、実はこの橋には戦争と切っても切れぬ因縁があったりする。

神宮は20年に一度、社殿や橋、鳥居などを一斉に作り変える式年遷宮を行うのだが、太平洋戦争敗戦直後、ガタガタとなった国内情勢を鑑みて時の昭和天皇により無期限停止となった。安全にも関わることから、せめて宇治橋だけでもと橋を作り直した結果、社殿などの遷宮とタイミングがズレたのだ。

それ以降、宇治橋だけは今も遷宮の4年前に建て直されている。

 

 

「で、前回の遷宮のおかげで今はちょっと正宮の位置が近いんだよね、助かる」

そうは言っても、内宮の敷地はべらぼうに広く、実は視界に入る辺りは全て神宮の神域だったりする。裏の山までそうだと言うのだから恐れいる。そして、件の正宮は近くなっているとはいえ宇治橋を渡って1番右奥に位置するためかなり遠い。

 

気を引き締めて神苑を歩いていく。平日だというのに、途切れない程度には参拝者もいる。日本最高の格を持ち、皇族の、ひいては日本国の氏神とも言える別格中の別格。

 

まるで空気が違う。

 

伊勢神宮として名が通っているが、ここの正式名称は「神宮」だ。親しみを込めて伊勢の神宮さんと呼ばれていたのがいつの間にか伊勢神宮として定着したらしい。

なので、本来は神宮と言えばここを指す言葉となる。

 

そんな神宮ともなれば規模が違う。

内宮と外宮に分かれていると言ったが、実は神宮には他に別宮、摂社、末社、所管社を含めて社宮が125もある。それら全てを引っくるめて神宮なのだ。

 

そして神宮に祀られているのは日本の主神である天照大御神。

他の神社と違い、「個人的な願い事は全てスルーされる」のだ。

神宮で祈るのは国家の安泰だけ、肝に銘じておこう。

似た理由で、ここではおみくじが売っていない。個人ではなく国家のための場所なのだ。

 

 

「はぁ、この砂利が微妙に俺の体力を削っていっている気がする」

 

境内に敷き詰められている玉砂利。この組み合わせは神社仏閣としては珍しくないと思うが、ここは敷き詰められている厚さが違う。

 

二条城では、海外からの観光客のために砂利を撤去しようなんて話もあったが、深海棲艦の侵攻後は立ち消えになっているようだ。なぜ国内の伝統ある史跡を、海外の人のために「配慮」なる美しい言葉で改悪する必要があるのか疑問に思っていた自分としては、しめしめと思ったものだが、一歩ごとに足が沈み込むこの現状をみると、考えを改める必要があるのか迷う。

 

今後神宮を訪れる予定のある人のために言っておくと、ここにベビーカーを転がして入るくらいなら抱えて歩ききったほうが1.8倍ほどマシだとアドバイスしておこう。

 

 

地味に体力を消耗しつつも、なんとか正宮までたどり着く。

最後に目の前の階段を登れば最終目的地。

国家の安泰、安寧を願う。俺たちにとっては持ってこいの場所だと思う。

勝手な憶測だが、そんじょそこらの人よりも、俺たちはそれを切実に願っていたはずだ。

 

 

大きな都市だけが日本の姿ではない。歴史の重みと積み重ねてきた格式、伝統。

そんなものが少しでも彼女たちに伝わると良いなと思った。

 

 

 

さぁ、目的は果たした。

後は名物のてこね寿司でも食べて、赤福餅を買って帰路に着こう。微妙な倦怠感も手伝って、帰りの飛行機では寝てしまいそうだが、まだ帰りの運転がある。もう一踏ん張りして、霞たちに土産話を聞かせなければ。

 

 

そして、霞たちの土産話を沢山聞いてあげなくては。楽しみはまだまだある。

 

 




みんな大好き巫女さん!

ルールで決まっている。というわけではないが、彼女らの着ている袴は色でランク分けされてたりする。

イメージされるのは鮮やかな朱色だと思うが、あの緋袴はだいたい若い新人さんが履いている。
ベテランになると海老茶色に変わったり。

男性(神職)の場合は浅葱色や白色が多いかも。


そういえば、宗教の信者数で1番多いのはキリスト教。
次いでイスラム、ヒンドゥー、仏教と見知った宗教が続く。

そしてとある資料では5位に神道がランクインしていたり。
驚きの信者数はおよそ1億人。
日本の人口が1億3000万人に満たないくらいなので、これを信じるならカナリの人が神道を信仰していることになる。

ま、日本人ならいつも心に……なのかも知れないが。
文化庁の発表しているデータでは、およそ8500万人になっている。
ここまでいくと、いっそ数に数えられなかった人はなんなんだと、逆に思えてくる不思議。
もっとも、信仰している信じているなんてのは心の有り様次第なので、難しく考えることもないのでしょう。なにせ、文化庁発表のデータを全て足すと日本の総人口を超過する数になるのだし……。


よく聞く三大宗教なるものは日本独自のものなので、世界では通じない。三大◯◯みたいなの好きよね日本。
同じく三大提督も日本が勝手に言っているだけ、ネルソンやトーゴーはわかるが、三大のために無理して三人目を連れてくるのはやめろ()。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。