少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
それを脳から書き出す作業ってのは前々からやってて、まだもう少しストックがある。
ただ、いかんせん元が脳内小説なもので、話が飛んでたり抜けてたり……。
そんなわけで、今までのように毎日2〜3話更新しちゃうぞ! ってのは難しくなっていくだろう(だろう)。
何事もなければ第4章で完結し、その後にちょっとした小話があるくらい……で終わるはず。
「不肖山崎、ただいまより復帰であります!」
リンカ泊地に到着した雑務担当山崎が、着任早々口にしたセリフだ。
「復帰じゃないだろ、お前を部下にするのは初めてだよ」
「自分は横須賀行きを共にしたときから提督の部下のつもりですよ!」
あくまでお前のつもりじゃねーか。
「久しぶりだね、変わらず元気そうで良かったよ」
「姫様も変わりない様子で、しかしこんなに長い間放置されるとは思いませんでしたよー」
「……その呼び方は止めてほしいんだけど」
1年以上横須賀に置いておいたが、どれだけ鍛えられているのか。実はあまり成長してなさそうな気もするがそれは今後の期待としておこう。
「あ、頼まれてた物持ってきましたよ、ついでとは言っても、これは酷いんじゃないですか」
そう言って床に重そうなダンボールを下ろす。重そうな、と言うか重いだろう。なにせそれは……。
「懐かしいですね、ウチにも昔ありましたよこれ」
薄々感じてはいたが、山崎は結構しっかり育てられたお子さまなんだなと思う。
山崎の抱えてきた大きな段ボールを指して時雨が質問する。
「それは?」
「図鑑だよ、それもシリーズ物の」
動植物、鉱物、宇宙など幅広い内容の図鑑がセットになっているものだ。
幼少期、これらが自室の本棚に並んでいたというなら、君は親に愛され大事に育てられたのだろう。
自分で買うまで考えたこともなかったのだが、ちょっと考えたらそりゃそうだろう。頑丈なハードカバーにサイズも大きく、そして大量の写真が並ぶ書籍が何冊も、そりゃ結構なお値段するよね。
かくいう自分も当たり前のように与えられていたものだ。
表紙が裂け、落書きされたり切り抜かれたりと、十二分に活用した記憶もある。さらに、じじいや姉が帰宅するたびに絵本を買って帰ってくるものだから、洋の東西を問わず大量の童話を読んで育った。結構な数で被ってもいたけどね。
そんなことを思い出し、たまにはじじいに何か贈ってやるか、そんな気持ちになった。
「自由に使っていいから、時間見つけて各々読むように」
世の中の基礎とも呼べる知識は、こういったものに触れたことがあるかで大きく変わると思う。家にあったのに活かせなかったのであれば、親の育て方ではなく君の育ち方が悪かったのだろう。
残念に思っているのは君ではなく両親のほうだと付け加えておこう。
「それはそうと、さっさと自己紹介しないか。お前はいったい何者なのかと不審がられてる」
話の腰を折ったのは提督だと情けない声で抗議を入れるが、執務室のソファには霞を始め所属艦が全員揃っている。
すぐさま気持ちを入れ替えるあたり山崎は好感が持てる。
そしてソファに向き直った山崎がピシッと敬礼を行っての自己紹介。
「本日付けでリンガ所属になる山崎です。艦娘さんたちが安心して海に出られるよう努めますので、後方での仕事は任せてください!」
「アンタが連れてくる人間だから心配してたけど、普通にちゃんとしてるじゃない」
甚だ心外な評価ではあるが、普通かどうかは保証しかねるな。
はたして霞の所感を聞いた山崎はと言うと。
「かっこいいですね! まだ小さいのにめちゃくちゃしっかりしてますよ!」
「ち、小さい?」
自らメッキを剥いでいくスタイル。うん、悪くないね。
「司令官のお墨付きらしい人物のようで安心した。危なく早とちりで司令官の評価を修正してしまうところだったよ」
澄ました顔でなにやら失礼な寸評をいれるのは響。それは上方修整のハズだったのでは?
「こちらは幼さの残るクールビューティって感じですね、どぞ、よろしくです」
「幼い……?」
怖いもの知らずで非常に良い。艦隊の大ボスと古参の六駆を捕まえて言いたい放題だ。
「ま、まあ能力と性格は関係ないですし」
提督の方をチラリと見てフォローを入れるのは阿武隈。なんだ、俺になにか思うところでもあるのかな?
そんな微妙な空気を他所に、みんなかわいいですねーとホクホク顔の山崎が言う。
「あなたは駆逐艦にしては大きいですね、特別な艦型なのですか?」
「……軽巡の阿武隈ですぅ」
久しぶりに登場した主人公山崎さん。
作内での呼び方なんかにもそれぞれのストーリーが!?
「人間」って呼称する子や「人」と呼ぶ子など、いろいろです。
彼女たちの心境はいかに。