少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
交換するの忘れてメンテ突入。
詳報は余っているので直近の問題はないが……。
もったいないことを。
あと、初めてランキングなるものを見てみた。
この小説がデイリーの70位付近を彷徨いてたー。゚(゚´ω`゚)゚。
ちょっと嬉しい。
執務室には提督、時雨、霞と三役全員が揃っている。
報告側は当事者の山崎。
それから調達部の部長である阿武隈が列席することになった。
もちろん、今回の件についての報告はなければならないだろう。
そうでなくても、山崎は普段から目にしたこと聞いたこと全て。の勢いで報告の多い奴だ。
トラブルを隠すなど、コイツに限ってはあり得ない。
まず当事者である山崎から、当日の状況についての報告を聞く。
「そう、そんなことが……」
「すみませんでした。頭に血が上ってしまって、冷静な判断ができなかったです」
根が真面目なんだよな、山崎は。
本当に申し訳ないと思っているのだろう。
奴は報告しながら何度も何度も頭を下げた。
あんまり気にするなよ? 他人から受ける謝罪など1円の価値もないとか大真面目に考えているような俺だぜ?
謝罪ってのはするものであって、されるためのもんじゃないんだ。
そう理解したときにお前は一皮剥ける。はず。
「いや、そんな状況に出くわしたらな。褒められたことじゃないが、いいんじゃないか? 俺なら何人か撃ち殺してたかもしれん」
「ちょっと」
軽口のつもりだったが、霞に咎められた。
いや、場が重いんだよ。
まぁ、基本的に俺は聞き役なんだけどね。
俺自身は今回のことをなんとも思っていない。そもそもどこに問題があるのかもわからねぇ。
が、俺は判断を下さない。
ここはそんな風になってるのだ。
俺は時雨と霞の判断に従うまでよ。
「確かに、山崎さんの発言は職分を超えたものだったかも知れませんが、トラブルに巻き込まれた六駆を護りたい一心から出たもので、決して提督の権限を犯すことが目的のものではなかったと思います。行き過ぎた発言には始末書を提出させることで、ワタシは今後の再発を防げると判断しています」
山崎が、六駆の面々を相手に指揮を執ったとも取れる行動をしたと、そんな問題。
そして、それについては完全仕事モードの阿武隈が、六駆の上官として、山崎の弁明を力いっぱい繰り広げている。
山崎自身の人徳もあるんだろうなぁ。羨ましい奴め。
よし、判決は死刑だ。
しかし素直な奴だな。いや、バカな奴と言ってやる。
問題の発言は六駆が完全にスルーしてくれたわけだし、お前がここで報告しなけりゃどこからも出ない話だったろうに。
……バカものめ。
山崎から状況を聞き、阿武隈から弁明を聞き。しばらくの沈黙を経て、霞が口を開く。
「そうね、同意します。彼が提督を軽く見てるとは思っていないし、同じく艦娘への命令を軽々しく考えているわけでもない」
「それじゃあ」
霞の同意に阿武隈がホッとした声を漏らした。
「山崎は始末書を提出なさい。期限は今週中でいいわ、次のないよう気を付けて」
霞の判断により、越権行為に関しては始末書でケリが着いた。
ともあれ、大事にならず済んで良かった。
わかってたけどね、建前的なやつよ。
俺の中に新たに芽生えた問題は、悪法でも法だと言うことのほうだ。
艦娘への命令権なんて物がこんなとこで出てくるとは思わなかったぜ。
それを問題にしたなら、まず第1に佐世保での俺だよな。
臨機応変! とまでは言わないが、それでも懸念は早めに潰しておくに限る。
そのルール。さりげなく、この南西海域から消してやる。
残すところは地域住民とのトラブル。
「さて、今回の件だが」
時雨と霞、順番に視線を送る。
果たして彼女らはこの件をどう考えるか。
今回の当事者は六駆だが、これは艦娘の話で、しかも根が深い。
ふぅ、と盛大な溜息を吐いた霞が判決を告げる。
「それに関してのお咎めはなしよ。地域住民との些細なトラブル、問題にするようなことじゃないわ」
驚いた様子で山崎が顔を上げる。
「確かに、ワタシたち海軍が艦娘についての情報を積極的に外に出してないことも遠因だわ。誤解させるだけの十分な土壌を作っておいて、それで誤解から生じたトラブルを断罪なんてバカ気てる」
危なく顔が綻ぶところだった。おかしかったからじゃない、嬉しかったからだ。
自身も艦娘であるのに自らを海軍側として、基地運営側として判断した霞にだ。
「山崎さんは間違ったことをしていないよ、僕たちのために怒ってくれたんだもん。ありがとう」
霞が基地側なら時雨は艦娘側として感謝を伝える。良い子に育ってくれているなぁ。
多分、時雨が基地側として発言していたなら、感謝を伝えるのは霞の役目になっていたことだろう。
それから霞は、山崎のメンツの問題もあるとのことで、相手側には基地より正式に、今後の教育について考えるよう警告の書面だけ送付しておくと言ってまとめた。
山崎への配慮ってやつだな。なんだかんだと霞も山崎には甘いようだ。羨ましい奴め!
考えなければいけないのは、処罰やなんだではなくむしろこっち。
水漏れを起こした水道の下にバケツを置くよりも先に、やらねばならんことがある。
それは蛇口を閉めることだ。
根本の問題を解決しなければ意味がない。
早速、霞が議題に取り上げるが、その根っこの部分にあるのは、やはり艦娘が身近な存在ではないことだろう。
「問題が進行していることを知ってて放置したのはコチラに非があるわね、今後の広報について考える必要があるわ」
話してみたら案外といい奴だった。みたいなのはあるわけよ。
しかし現状、艦娘とそこらでバッタリなんてことは期待できないだろうからね。
艦娘の本当のところってやつが市井に降りてない原因は主に2つだと思う。
1つは霞の言うとおり、軍が艦娘をアピールしないからだ。
そして2つ、艦娘自身が人間社会と距離を置きたがるから。
軍には期待できない。
アレが動くには政治や世論、時勢を考えなければいけないからだ。
今やれていないってのが、そういうことなんだろう。
時期尚早。
ソレは艦娘にとっての追い風が吹き、世間に土壌ができてからだと割り切る。
で、あれば。
ウチがやるしかないじゃん?
まずは現場からその流れを作ろう。
直接的な被害が見えにくい内地で、戦争賛美とも取られかねないアピールを行うのは博打すぎるからな。
我が国には、それで散々苦労をさせられた「自衛隊」という組織があったのだ。歴史に学ぼう。
「よし、親しみやすいリンガの艦娘さんプロジェクトでもやるか」
どの道を通っても、いずれ避けては通れない。
身元の不確かな奴と良い隣人にはなれない。
つまり、人間社会で共に生きるなら、艦娘を身元の不確かな存在にしてはいけないのだ。
幸いなことに、まだどこもやってない。
どうせなら1番最初に艦娘を売って、世界で1番有名な艦娘でも作ってみるか。
「地域とのトラブルを起こした山崎もまったくの懲罰なしだと寝覚めも悪かろう。ちょうどいいからお前には労働で償ってもらおうか」
「今、お咎めはなしって……」
「それは霞からの罰はないってことだろ。彼女の寛大さに感謝だな」
人間と艦娘を繋ぐなら、やっぱ山崎には働いてもらわないとな。
どっち側に立つにも必要なんだよ、こういう奴。
「何をやる気よ?」
また変なことじゃないでしょうねぇ。
そんな副音声が聞こえた気がするけど、気のせいだよな?
まぁいい。今後いろいろやっていくが、まずは地域からだ。
「基地を一般開放しての基地祭だ。艦娘がもてなす基地案内に催し物、あと出店とか」
「本気?」
こらこら霞さん。もちろん本気でさぁ。
イベントごとなんて、広報の素材にも持ってこいだしよ。
やろうぜ? よしやろう。
お前には迷惑をかけること前提だからね!
「本気だ。よし、やると決めたら全力で、近いうちに開催する。すぐ実行委員会立ち上げろ、山崎は強制参加だ、寝る間も惜しんで荷馬車の如く働け」
「ああもう、余分な仕事が増えたわ。時雨、横須賀に開催許可求める書類用意して、あと予算。ついでだから近隣の基地からもカンパと人員集めるわよ。山崎、発端はアンタなんだから働いてもらうわよ。阿武隈は金剛呼んできてちょうだい。開催日と規模についてこれから詰めるわ」
そういえば、マスコミなんかを招致してウチの艦娘に密着取材でもさせようか、なんて考えてたこともあったな。
基地の運営も一先ず軌道に乗ったことだし、そっちもボチボチ進めてみても良いかもしんないなぁ。
そんな山崎を発端とする小さな、しかし大きな事件から。
リンガの基地祭が行われることとなったのだった。
やると決めたら全力で。がこの艦隊の合言葉よ!
山田さんの創作メモにある時雨はこんな娘。
「殴ると決めるまで躊躇するが、殴ることには躊躇がない。情が深くて思い切りの良い女」
基地祭はですねぇ、ニコ動で艦これMMD見てたらこの子たちにも踊ってほしくなったのです……。