少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
え、時系列?
(๑・̑◡・̑๑)
時系列を合わせるのは僕じゃなく君なんだよ、ゴメンね!
僕たち友達じゃないか!
協力しようZe!
……前回の「カタチ」より前だね。この話。
忘れてたんだよ……。
パレンバンに設営された小さな基地。
そこが夕立や春雨の元の所属先だった。
つまり、二人を捨てる判断をした司令のいるところだ。
パレンバンはここリンガから南に500kmも離れていない、インドネシアの南スマトラにある油田、製油所を有する海軍の燃料庫とも言える場所だ。
ここで精製された石油がシンガポールのセレターへと運ばれ、北方海域や南方海域、そして内地へと送られている。
まさに現在の日本の、そして戦線の生命線。
先の大戦でも、比較的末期までリンガ泊地の油が豊富だった理由が、このパレンバンから産出する石油だった。
夕立の体調が戻るのを待ってから、同じく救助された春雨、それから時雨、霞を同席させての聞き取りでそれが判明した。
基地のこと、司令のことを詳しく聞き出していくと、基地の規模はとても小さく、所属している艦娘も海防艦や特務艦が主体で数人しかいないことが分かった。
それで、基地周辺の哨戒任務のみを任されているのだと言う。
「哨戒のみ? 敵艦を発見した場合はどうするんだ?」
「近隣の基地に連絡して、合同で作戦を展開するっぽい」
いろいろと疑問に思うことは多いが、まだ落ち着かないであろう二人を問いただすようなことはしたくない。
「情報をできる限り集めてくれ」
霞にそう指示を出し、今回は一旦お開きとすることにしよう。
それじゃ、まずは一報ね。
後日、そう言って執務室に訪ねてきた霞と打ち合わせを行った。
「ウチほどじゃないけど、ここらじゃ新参者で肩身の狭い思いをしているようね、それで功を焦ってるみたい」
「任務は基地周辺の哨戒だろ? なんであんなところにいたんだ? もうスラバヤに近かったろ、あそこ」
あんなところとは春雨と夕立を救助することになった海域だ。
そこは、とてもパレンバンの周辺海域とは呼べない海だと思う。
「だから、功を焦ってるみたいよ? 哨戒以外でもやれるんだって、実績が欲しいようね」
なるほどね、それで勇んで進出したものの、というわけか。
ちょっとお試し、じゃあるまいし。それで基地に数人しか所属していない貴重な艦娘を手放す羽目になるとは、救われねぇな。
「調べた限りでは、無茶な作戦と遠征を繰り返してるわ。その悪循環でますます資源不足に陥ってるようよ」
「資源不足? 油田のほとりにあるのにか? せっかく手元に転がり込んだ武器も扱えないようだと苦労するな」
門番だけなら犬に任せておけばいい。
犬にしかなれないのなら、その武器は活用できる者が持つべきだ。
「よし決めた」
「なに?」
「夕立と春雨を貰い受けるついでに製油所で精製した燃料も頂こう」
「それは軍のでしょ?」
横領でもする気なのかと問われたが、まさかまさか。
グレーゾーンも反則技も好きだが、それでは品のないただの犯罪者だ。
「そっちは変わらずセレター経由で各地に送るさ。大元から管理ができてさらに美味しくなるだろうがね」
そして提督は悪い顔をして言った。
「まさかパレンバンの油田全部が軍の持ち物ってわけでもないだろ。産出しててもそれを持ち出せないなら意味はない。資源は流通してこそだ。ウチで護衛してやって初めてそれらは価値を持つ。なんなら経営権の1つくらいは手に入れたいところだな」
「今さらのことだから、民間企業の海運を手伝うってのはもういいけど。今度は石油業にまで手を出す気?」
やると言ったら聞かない男だ。
海軍である。ということを除けば、彼のやることは私たちの利になることばかりだった。
もう好きにさせよう。そんな開き直り気味の霞。
「商品があっても海軍のサポートがなければ輸出1つできない、輸出できなきゃそれらは金にも変えられないただの油臭い水だ。採掘権ごと買ってやると言えば手放したい奴もいるかもしれん」
小規模油田なら1000万円くらいから採掘権を購入できると聞いたことがある。
石油の価値は相変わらずで、むしろこんな状況で暴騰しているところだが、それは単に配給がないからだ。
油田では毎日のように、今も変わらず石油が産出しているのだろうが、さっきも言ったように売る方法がなければ1円の価値にもなりはしない。
つまり、今の状況は俺たちにとってのむしろ好機。
足元を見て商談を進めることができ、手に入れた後は高額で取り引きできることが確定している。
海軍で良かったと心の底から感謝しよう。
手に入れた石油は内地に運んで売ればいい。そうすれば基地で自由にできる資金が増える。艦娘たちへ使うのもお好きにどうぞだ。
また、売らなかったとしても石油は俺たちにとって役に立つ。
艦娘は油を必要とするのだ。
軍に頼らずとも豊富な資源を手に入れることができる。残油を気にしすることなく艦隊を動かせたら、作戦行動にも訓練にも余裕を持って臨めるというものだ。
パレンバンの司令には飴と鞭をくれてやろうと思う。
いつもの言い方をすると権利と義務だ。
協力体制を敷き、君の基地は俺の基地へと組み込まれる第1号となる。
その代わりに、君は労することなく戦果を挙げるだろう。
ウチから派遣されるのは、佐世保を生き残り北方を解放した強力な艦娘だ。彼女らと共同で行う哨戒活動や民間輸送警護。得られた利益で俺たちの基地は潤い、ますます戦争のやりやすい基地へとなっていく。
まだ見ぬ奴だが、そいつに話をつけに行くついでに油田採掘権を持つオーナーとの交渉、それから地元企業への海上輸送護衛引き受けの商談。やることはいっぱいだ。
「よし、パレンバンに行くぞ」
「情報はもういいの?」
「十分だ、彼を喜ばせるプレゼントも思いついたしな」
この南西海域全て、俺の管理下で栄えるといい。
パレンバンは南スマトラにある州都。
想像よりも随分と栄えているぞー。
現代社会で海運を握れるって、それはもう経済圏の生殺与奪の権利を与えられた神みたいなものだよね。
パレンバンの司令?
大丈夫大丈夫。生きてる。
最悪海上事故で死ぬかもしれなかった運命を無事に回避した。