少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
そんな彼に向けて一言。
EU「せいせいした(幸運を祈る!)」
逆ぅーー!
まさかリアルでやってくれるとはね。
それに対して英国さん。
英国「大丈夫、特に気にしてない」
握手しながら足を踏み合う欧州情勢複雑怪奇。
スリランカを拠点化し橋頭堡を築く。そこからインド洋を確保して西方海域を手中に収める。石油産出地域である中東とのシーレーンを確保することで、今まで以上の資源を手にすることができるようになるはずだ。
自身の足元で石油が賄えた南西から南方海域へ活動拠点を移動するにあたり、あらかじめ財源を確保しておきたいというわけ。
手始めにミャンマーのヤンゴンという街に拠点を確保した。当時風に言うならビルマだね、陸軍さん万歳。
シンガポールからマラッカ海峡を抜け、マレー半島、インドシナ半島と北上すればヤンゴンまでは一直線。ここをデポとして、アンダマン諸島を経てセイロン島のトリンコマリーを一気呵成に攻める。
トリンコマリーの港湾棲姫を無力化したら陸軍さんの上陸支援。スリランカの解放を行なうまでが作戦の第一段階。
成功すればベンガル湾までを制海権に治めることになる。
いわゆるセイロン沖海戦になるのかな。ウチから参加する艦娘では金剛に龍驤、阿武隈、霞、村雨、夕立、春雨、五月雨が経験者。川内と綾波も参加していたはずだが、今回は他のメンバーと一緒にリンガを守ってもらっている。
当時と大きく違うのは機動部隊がいないってところ。航空戦力は龍驤と基地航空隊に丸投げ。横須賀から援軍を送ると聞いたが、あまり当てにはできないだろう。
さらにお目付け役として、今回は軽巡由良が同行するという。阿武隈のお姉さんだ。
印象としてはおっとりとしていて優しそう。役割としては控えめに言ってもクソほど邪魔なのだが、足がめちゃくちゃ綺麗。笑顔で迎え入れたのは言うまでもない。
そんな彼女。阿武隈曰くではとても怖いとのことだったが、なにせ足が綺麗なのだ。俺は阿武隈よりもこの色っぽく美しい足を信じようと思う。
史実を考えると近くにヴァンパイアがいそうだが、さて。吸血属性を持ってる駆逐艦だと色々な意味で危なそうだね。
現在着々とヤンゴンに資材が集められ、急ピッチでデポとしての機能を形成中。
いやぁヤンゴン。パナいね。
東南アジアは東南アジアでも、これぞユーラシアにあるアジアって感じ。
今までの環境がある意味良すぎたってのもあるが、青くない海を久しぶりに見た気がする。なにが流れているんだろうな、ジャガイモのような色だ。
今までは今までで、青い海と青い空を誇るしかないようなところだったんだけどさ。
ヤンゴンなんて聞いたことねぇよ! 来る前はそう思っていたわけだけど、想像を上回る大都市だわ。観光できるところも多そうだし、晴れたら出歩いてみるかって、いったいいつ晴れるの?
数日逗留したけどずっと雨でやんの。季節のせいなのか湿度にもビビる。
せっかくミャンマーに来たのだから、イルカと協力して行うイルカ漁なるものが見たかった。
魚を追い込んでくれたイルカさんは、準備ができたら水面を尾びれで叩いて知らせてくれるらしい。そこへ投網。
残念ながらそろそろ滅びる文化らしいのだがなぁ。見たかった。
風の吹き荒ぶ南海の孤島に行った。生存域の北限を超えているんじゃないかと勘繰りたくなる北の果ての泊地にも行った。どちらも快適とは言えない環境だったが、ここが一番キツい。おっと、個人の感想だ。
はぁ、リンガに帰りたひ……。
「トリンコマリーはここより過ごしやすいんだろうか」
戦争するにも環境は大切だと思う。戦争経験者の方々や今回頑張ってくれてる陸軍さんには足を向けて寝られないな。マジで。
ヤンゴンの宿屋で寝苦しい熱帯夜を体験しながら強く実感した。
幸いにも目に見えてバテてるのは俺だけ。作戦への支障はなさそうなので、それに対しては一安心。艦娘って強いよね。
近くで寝てた村雨が汗ばんでて妙にエロいくらいの問題しかないんだもん。
蒸れる蒸れると、水晶のような汗をあご先から落とし、寝間着代わりのTシャツをパタパタしていた村雨さん。わかるよ。いや、わかりはしないんだけど。
俺には搭載されてないんだよね、ソレ。
「トリンコマリーは軍港の町デスネ。いいところデース」
スリランカに近付くにつれて金剛が元気になってる気がしないでもない。セイロン島が好きらしいよ? 理由はさもありなん。
商業港であるコロンボに連れて行けとうるさいが、それはスリランカを解放してからでもいいだろう。
彼の国はトリンコマリーに棲みつかれてはいるが、今も頑張って国体を維持している。隣国が友好国インドであったのは幸いだったろうが、大陸近しと言えども四方を海に囲まれた立地では生きた心地がしなかったに違いない。その苦労が偲ばれる。
強い国だなスリランカ。
上陸されているにも関わらず、なぜ深海棲艦がスリランカ全土に向けて本格的な侵攻をしなかったかについては謎だ。先の大戦に引っ張られているアイツらのことだから興味がなかっただけなのかもしれないし、少なくない犠牲を生みながらも封じ込めに成功していたスリランカの努力のおかげなのかもしれない。
それは今後の研究とかで推論されていくのだろう。
ともあれ解放に手間取らないのであればこちらとしては願ったりの状況。
この戦争が始まるころには、最大の援助国としてのポジションを中国に譲っていたが、日本とも変わらず友好的な関係を築いていたので海域解放後はまたぞろ交流が期待できる。貿易ではあまりお世話になっていなかったはずだけど、こんな時世だ。自慢の紅茶やゴムなどでお世話になれたらと思う。
今回の山場となり、本命になるのはスリランカの西方に浮かぶモルディブ諸島のほうになる。
トリンコマリーは当時の英海軍自身が「攻撃されたら保たない」と判断してたところ。もちろん油断するわけではないが、想定される敵戦力を考えれば決して無謀ではないと思う。
問題になるのはスリランカを確保したあとの第二作戦のほうになるだろう。
モルディブのアッドゥ環礁にいるはずの深海東洋艦隊の存在。これをなんとかしなければアラビア海に出られない。
その存在を確認したわけではないが、間違いなくいらっしゃるはず。
最悪、戦いの在るところに……と謳われた危険な戦艦が手ぐすね引いて待ち構えていることも考えられる。
積極的には絡みたくない海域ではあるのだけど、積極的に絡むだけの理由がある。
当時と比べて肥大した国内のインフラを維持するためだ。インドネシアの油田だけでインフラと戦争の二つは賄いきれない。
リスクの分散としても、単一のスポットに依存するのはよろしくないだろう。
もう一つ、希望的な戦略面でもここを落としておきたい個人的、願望的な理由もあるのだ。
良い機会だから現在の世界情勢に軽く触れるが、大正義アメリカさん……。
太平洋の大半から米軍を撤退させて、今になってモンロー主義に走りやがった。国益のためにその路線を貫くのはわかる。わかるんだけどさぁ、ヒーローなんだったら有志連合なり地球連合なりを作って力を合わせて太平洋を! なんて熱い大統領演説の一つでもしてほしかったなぁ。
スリランカがそうであったように、深海棲艦は先の大戦の焼き直し的な行動指針を持っているらしい。おかげで、今の世界でいかほどの戦略価値があるのかわからない南方、あそこら辺の島々は今日も変わらず地獄の底が抜けそう。あそこだよ、あそこ。
自分たちのしでかした不始末ってことで、尻拭いをしているのが我らが海軍なわけだ。
そうした中、意外なことに窮地に立たされた国が日本以外にもあった。
意外っていうか真っ当な理由でも窮地に立つことになるんだけど、そう英国だ。
日本と同じく海に囲まれた海洋国家で、欧州戦線、太平洋戦線と二正面で海戦を繰り広げた偉大な海軍を持つ国。
太平洋からは早々に追い出されていたけど、追い出したほうの国が言うことではないよね。
意外なのは窮地に立つことになる理由だ。
畜生国家ブリカスならば、颯爽と太平洋から身を引いて欧州戦線でがんばるのかな、と思うのだけど。
太平洋にある英連邦の国々のため、文字通り国力をすり潰して踏ん張ったのだ。畜生国家だなんて思っててごめんなさい。
艦娘が顕現する前だったこともあり、さすがに踏ん張りきれずに瓦解したけど……。
しかし今でも、経済的政治的に力いっぱい支援をしてくれている。おかげで俺らがリンガやらシンガポールに軍を置いていられるわけだ。
英国が世界帝国の意地を見せてなきゃ南西海域は見事に全部制海権を失していたと思われる。
なんか日本の海軍に甘いよね。兄貴だから?
それが、今回の作戦へと繋がる。
その心意気に応えたいっていう青い思いと、アラビア海を解放することによって、英海軍所属の艦娘が東洋艦隊として、今度は友軍として太平洋に駆けつけやしないかって期待。
実現したら師弟海軍のドリーム連合艦隊で作戦に臨めるかもね。
ま、期待と言うやつだ。
モルディブ。今次大戦前は観光地として人気のあった国だ。無事に作戦を終えたら打ち上げを兼ねて大バカンスをしてやるからな。
水上コテージを借りて水着まみれの艦娘たちと戯れる妄想、もとい想像を胸に抱いて海を往く。
作戦前に水着でバカンスは行ってきたところなんだけどさ。何回行ってもいいものじゃん?
そういえばトイレの床がガラス張りになってて海中から覗けるのってモルディブだっけ。ボンベの用意をさせておこう。
なんてことを考えている間にアンダマン諸島攻略は終了。戦闘よりも兵站の移動のが苦労しているくらいだ。
彼女らも、まさか海戦の裏で提督が自分たちの水着姿と脳内ランデブーしてるとは思うまい。
ともあれ、これでようやっとスリランカへ進路を向けられる。作戦目標までは直線距離でおよそ1,000km。船上で一泊し、本格的な攻略は明朝から。
海戦ってやつはとにかく時間がかかるのだ。
言っておくが、常に遊んでいるわけじゃないぞ。俺の戦いの本場は戦闘前にあるのである。
いいか、ご飯にケチャップを混ぜるんじゃない。
ケチャップにご飯を混ぜるんだ。
ケチャップ、水、コンソメキューブ、ソースをフライパンで煮詰め、そこにご飯を落とすんだよーー!