少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
いやぁ、ためになる小説だな(白目)。
ここら辺の国々は自国で海洋戦力を持っていないので、日本に土地などを提供する代わりに防衛をしてもらってる。
日本としても、シーレーン確保ついでに自国より遠いところで漸減作戦が行えるのでWIN-WINな感じ。
ただし、戦後問題になるのは目に見えてると山田さんは思う。
予定されていたリンガ泊地所属艦による南方海域での偵察作戦が、いよいよ実施されることとなった。
リンガの艦隊をその目で確認したい南方の司令官たちと、南方進出の足掛かりを探していた提督との思惑が合致していたことから、作戦までのやり取りはスムーズに進み、大きな問題は出なかった。
小さな問題としては、提督の言う「作戦はウチの艦隊だけで実施させていただく」があったが、ただの偵察に南方の貴重な戦力を割かせるのは忍びないとゴリ押す提督に対し、南方の海を知っている艦娘の泊地視察、作戦への参加を受け入れること、南方に基地を置く司令官数名を作戦実施時に提督座乗艦へ乗艦させることを条件に合意された。
そうして派遣されてきたのが阿賀野だったというわけだ。
派遣されて来た阿賀野が、いろいろとリンガで情報を聞き歩いていたらしいが、知られてマズい話など最初から出回っていないので特に気にする必要はない。
むしろ、リンガ泊地ではこうだったと大いに南方で触れ回ってもらいたいと思う。
作戦についてはいつもの如く霞に丸投げ。
偵察ついでに長距離練習航海を行うからと、リンガに来てまだ日の浅い二四駆を含めた白露シスターズが本隊。後詰には霞、金剛、航空戦力として龍驤、それから借りものである阿賀野。
ジャワ海からパンダ海という心が躍りそうでまったくそんなこともない海を抜けて北上、マップ効果のステータス異常「船酔い」を抱えた提督を乗せて艦隊はラエへと入港する。
ラエはパプアニューギニアにある第2の都市で、国内最大の貨物港がある。
ここで、同じくパプアニューギニアの街ラバウルから立つ南方の基地司令官たちを乗艦させることになっているのだが、同じ国でもラバウルとは島が別。
彼らの予定がずれ込んでいなければ明日には合流できる予定だ。
同国には他に大港都市とも言える最強の港街があるにはある。
そう、首都でもあるポートモレスビーだ。
しかしそっちは深海棲艦の蔓延る領域となっているので、おいそれと近付くわけにはいかない。
また、そうでなくても立ち寄りたくないはない。ポートモレスビーは世界に名だたる治安の悪い街でもあるのだ。
原因は現地のギャング集団。君が思いつく限りの犯罪行為を日常的に行なっているが、特に俺が近付きたくないと考える理由に、俺たちは非常に魅力的な女性である艦娘を連れている。ということが挙げられる。
これで俺が懸念している犯罪がご理解いただけたと思う。
もちろんギャングごときに艦娘が為す術もなく、などと思っているわけではないが、島の子供に囲まれたときの暁たちのようにならないとも限らない。
美人を連れ歩くのであれば、危うきに近寄らずが最も正しい選択だろう。
リンガからラエまでの航海が、もしかすると簡単そうに聞こえたかもしれないが、そんなことはないぞ。
これで長距離練習航海だ。
途中港などにも寄ったが、ほぼ海の上だけで過ごすこと5日間。
俺の少ない経験から言わせてもらうと、人間が船の上で生活できる限界は48時間だ。
豪華客船じゃあるまいし、無茶を言ってくれるなとキレてやりたいところ。
キレる対象を思い付かないので、なんとか踏みとどまっただけ、そんな感じ。
とにかく今は陸地の上を歩き、揺れないベッドで眠りたい。
あれよという間に珊瑚海。
今回の偵察任務が実施される海だ。
バヌアツの方へと哨戒を行いながら進むこと数時間。龍驤の出していた偵察機が早速深海棲艦の艦隊を発見した。
なんにもなしではここまで来た意味がない。
そりゃそうだ、俺たちは南方の事情を見に来たわけだし、座乗艦に乗っておられる方々はウチの艦隊行動やら練度やらを確認したがっている。
そういう意味では、敵艦隊を発見できるってのはラッキーなわけ。
だが、これはよくないね。
うまい具合にも、勘付かれることなく敵の動きを追っていたのだが、欺瞞進路だったのか、深海棲艦たちは突如進路を北に向ける。
やめてもらえないかしら?
どう見てもそっちはソロモン方面なんだよなぁ。
具合の悪いことに敵艦隊には戦艦も混ざっている。本気で侵攻してくるつもりだ、と考えていいだろう。
彼女らが攻撃を3日ほど待ってくれたら、そのときには俺たち帰ってるんだけど……。
さらに悪いことが起きた。
それは無線から響く面倒の合図。
「隠密偵察は止めよ、突ついて様子を窺う」
看過できない。そう判断した霞から指示が飛んだ声だった。
駆逐艦娘って喧嘩っ早い子が多くないかい?
特に霞、正に霞のことなんだけど。
目が合ったとか肩が触れたとかのレベルじゃないよね。
艦隊指揮は任せてあるし、言い出したら聞かない子なのも重々承知してるから、俺はもうなにも言わないけどよ、せめて敵艦隊のいいデータを取ってくれ。と応援するくらいだ。
「待て! 今回の作戦はあくまで偵察だ、余計な手出しをする必要はない」
しかしそうも言ってられない方々がいたようで。
座乗艦に乗っている基地司令官の誰かだな。残念ながらどこの方だったかは覚えがない。
そんな彼が無線で待ったを掛けるも、返答なんて聞かなくてもわかる。
「偵察なんでしょ? これは威力偵察よ。命令に反してはいないわ」
ですよね。知ってた。
「白露隊、まずアナタたちよ。隊の全体指揮は村雨、行って」
指示が出る間に飛び出す白露姉妹。
左右に大きく広がった白露、時雨の間を二駆を先頭に二四駆が追う単縦陣。
白露たちの基本陣形でもある。
真っ昼間の海戦で、戦艦を含む艦隊に駆逐艦だけでの突撃敢行はなかなか見られない貴重なシーンだろう。
司令官のみなさまも、良かったら目に焼き付けて帰ってくれ。
敵の戦力を測るために沈んでこい。
そう言われたにも等しい命令だ。
しかし、そうやって海を駆ける白露たちはどう思っているのか、少なくとも右翼に位置する時雨と左翼を走る白露は深く考えていないようだ。
無線越しにこんな声が届いていた。
「これは強行偵察って感じだけどね」
「いやぁ相手からしたら凶行偵察でしょ」
半時間ほど経ったろうか、敵戦艦に動きがあった。
さすがに気が付かれたらしい。
まだ駆逐艦の砲撃が届く距離ではない。
身を隠す場所もないこの大海で、敵大型艦たちが繰り出す砲撃を避け続ける。
この砲が敵の喉元を喰いちぎることができる距離までただ走る。
それが駆逐艦娘の戦いだ。
戦艦の主砲が、副砲が火を噴く。
それは駆逐艦にとっては死を告げる音だ。
装甲など積んでいない駆逐艦は、大型艦の至近弾をもらうだけでも撃沈される危険がある。
駆逐艦の仕事は肉薄してから。
つまり、これらを掻い潜るのは仕事の範疇にも入っていない。
「さぁて、行くぜい! 白露型とっつげきー」
ポートモレスビーは翔鶴姉ぇがよく口にしている都市だね。
珊瑚海海戦……う、頭が……。
駆逐艦の仕事は文字どおり「駆逐」すること。
誰を? 艦これ風に言うとPT小鬼を。
そしてPTって言うカテゴリー毎、駆逐してしまった。
なので、ぶっちゃけると駆逐艦の主砲って大型艦に向けるようなものじゃないんだよね。当ててもどうせ装甲に弾かれるし。
拳銃持ってたとしても、熊目掛けて戦いを挑んだりしないってのと同じ。
しかし史実でそれをやった娘がいる。
そう、ソロモンの黒豹と呼ばれた綾波だ。