少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
本編ではない「〜」から始まるシリーズに、さらに時系列戻る話を被せるスタイル。
徐々に周辺情報が分かるように投稿していくと言ったな? アレは嘘だ。
反省はしている。
想像力を発揮して読んでね!
ところで、お勧めの艦これ小説を紹介するよ!
「栄光の代償・元艦娘たちが語る対深海棲艦戦争」。
だいぶ好き。
特に4話の霞とか……。ぜひ読んでね!
「ホントに生きている人間が残っているだなんて」
彼女は戦艦伊勢と名乗った。
遠征帰りに立ち寄ったところを巻き込まれたらしい。
とにかく情報だ。
こちらは気絶をしていただけで、現状攻撃を受けている。ということくらいしか分かっていることがない。
つまり、全くなにも分かっていないから。
「佐世保の司令長官は戦死?」
「違うわ……。私が来たときにはもうもぬけの殻。秘書艦だった子が言うには、攻撃を受けてすぐに逃げ出したって」
「その秘書艦は?」
伊勢がゆっくりと首を振った。
「司令長官は、ボクたちを捨てて逃げたんだ」
今は煤と血で汚れてしまっているが、本当は美しい金髪だったんだろう。その子が伊勢の腕に抱かれたまま悔しそうに言う。
艤装も焼け焦げ、どこか怪我をしているのか制服には血の染み込んだ跡もあった。
佐世保の司令長官。やたらとプライドの高そうな男を思い出していた。鳴り物入りで横須賀から転属してきたキャリア組だったはずだ。
しかし彼は、なんの対策も打たず基地を後にした。
「私は戦艦だからね。最後まで戦って、それで沈むのなら悔いはない。だけど、どうせならこの子達を逃すために命を使いたいの。囮でもなんでもするわ。救う方法はないかしら?」
「私はただの新米士官で、階級で言っても君よりずっと下だ」
戦艦ともなれば、大佐相当官の階級が与えられているはずだ。対して自分は学校を卒業したばかりの少尉。頼られるような立場でも、彼女らに命令できる権限もない。
「僕は君の下でなら戦えるよ」
それまで皐月を心配そうに介抱していた時雨が、強い声で言った。
「なぜ?」
「君は初めて会ったときから僕のことを人として接してくれたからね」
それに、と彼女が付け加える。
「運命を共にするって言ったじゃないか」
「アナタにお願いできない?」
改めて伊勢からそう問われる。
願ってもないことだ。それを固辞できるほど、恵まれた状況ではない。
「こちらこそだよ。一緒に足掻いて、そして生き残ってほしい」
そう言って彼女、伊勢に手を伸ばすと、しっかりと握り返して握手をしてくれた。
途端に、時雨に乗っていた数人の妖精さんが伊勢に飛び乗り艤装の中に入っていく。
ポケットで叩いたわけでもないが、ますます増えている気がしなくもない。不思議な生物だ。
「でも妙なのよね」
アゴに指を掛け、そう伊勢が言う。
「基地を中心に港湾施設が攻撃目標になってるわ。でもなぜ、こちら側はこんなに被害が少ないんだろ」
確かにそうだ、ここは時雨の艤装が置いてあったドック側。港の端っこではあるが、妙に被害が少ない。ドックの裏にはすぐ町があるので、被害が少ないのは嬉しいことなのだが。
誰かが侵攻を防いでいる。それが一番納得のいく答えだ。そうでなければ、自分も時雨もとうに砲弾に焼かれて炭になっていておかしくない。
「どこかでまだ戦っている艦娘がいるかもしれない」
提督さんの一人称がブレるのは仕様のはず。
相手と場によって使い分けするのは多分そんなに変なことではないだろう。
それを小説でやると、非常に分かりにくい気がしなくもないが。
初対面だったり目上相手、畏る場なら普通に「私」。
そうじゃないなら「俺」。