少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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さいしんえーけーじゅんの阿賀野姉ぇがリンガに派兵されるお話。
あと1話で終わり。


艦には二つ名がついてたりしますよね、好き。

ソロモンの黒豹、阿修羅、狼と言えば、それぞれ綾波、夕立、青葉。
綾波の鬼神呼びはファンが、夕立の悪夢は艦これ運営(元ネタはガンダム)が名付け。

そういやどこぞの書籍では夕張を「優雅なる殺し屋」と紹介してたな。黒豹や狼に混ぜてそう見出しに書かれてたからわざと臭いけど、アレは著者のオリジナルだと思う。

当時の人も一緒なんだなぁと心温まるのは「愛宕姫」とか。
愛宕は当時からそんな扱いなんだね。

護衛艦だとすずつきのセーラームーンがあったりするね!


下に続く。



〜噂の艦隊へ〜(前)3

近くて遠い。そんな戦場に注視する阿賀野。

砲撃音が耳に届くのと同時に、水平線上に水柱が何本も上がるのが見えた。

始まった! 早く行かないと。

 

当然突入の指示がくるものと思い、金剛を振り向く。

 

しかし、間髪入れずに届いた声は予想とは違うものだった。

「龍驤! 攻撃隊を出して。あいつらに叩き込んでやりなさい!」

 

金剛の艤装の上に立ち、憤懣やるかたないといった様相の霞が檄を飛ばしたのだ。

気だるそうに立っていた龍驤は、巻物を放り出すように広げ、さもそれが当然かのように淀みなく行動を起こす。

 

「はいはい、ほな行くでー」

 

「ま、待ってください! 友軍が、みんな至近距離で撃ち合ってるんですよ?」

阿賀野が慌てて制止の声を上げる。この駆逐艦には状況が見えていないのだろうか。

 

「言われなくても見えてるわよ。あんな乱戦の中にこれ以上の戦力を投入しても混乱するだけ」

 

そう答えた霞は、しかめっ面でそれに、と付け加える。

「味方の攻撃で沈むようなトロいのはウチにはいないのよ」

 

そう言い終わる前に、龍驤からは戦闘機を先頭に攻撃機が複数飛び立っていった。

 

 

「司令官の指示は? 勝手にこんなことして、なにかあったら責任が……」

 

しかしその制止も霞によって素気無く切り捨てられた。

 

「必要ないわ、艦隊指揮は任されてる。問題があったら責任くらい司令官がとるわよ」

 

 

「指揮を任されてるって……」

戦艦や空母の大型艦を含む艦隊指揮を任されている? いやいや、まさかどころの話ではない。

戦場となった海域と霞を交互に見つつ、どうするべきか考えた。阿賀野はリンガの艦隊内情を確認するために転任したんだ、彼女たちと同じ状況で戦ってみることで得られることもあるだろう。わかってる。わかってはいるんです。で、でも、このままだと私はなんにもしないで帰ることになりそう……。

 

 

「行きたいなら止めはしないけど、アナタにもしものことがあるとウチの司令官の立場が悪くなりそうで、それは困るのよ」

それでなくても、アイツは地雷原でタップダンスを踊ってるようなもんだからと小声で続けた。

 

「まぁ趣味で踊ってるようなもんやけどね」

ヤンキーもかくや、といった見事なしゃがみポーズを取る龍驤が軽口を言っている横で、阿賀野は頭を抱える。

だってそうだろう。上から味方の爆弾が降ってくる戦場なんかに行って無事でいられる自信はないのだ。当たり前のことだと思う。

 

 

 

それらのやり取りを無線越しに聞いて苦笑いをするのは、すでに先行して海戦に突入している時雨だ。

 

「聞いたかな? バカにされないようにしなくちゃね」

「うへ〜、FFなンかで沈んだらなに言われるかわかったもンじゃない」

「てやんでい! うちの空母には味方に爆弾落とす唐変木もいないんだって無線送っちまおうよ!」

 

嘆息を吐きつつも、やはり緊迫した空気はどこにもなかった。

 

 

 

 

そのやり取りが届いているのかいないのか、海戦の様子から目を離さないままの霞が追加の指示を出す。

 

「航空支援に続いて砲撃始め!」

「了解デース」

 

水雷戦が行われてる中で航空支援に砲撃支援? 有り得ない。どこの戦術にだってこんな無茶苦茶なものはない。

「こんなの、まともな海戦じゃない」

阿賀野の口からつい本音が漏れる。

 

 

「ウチらとっくにまともじゃないんよ。覚えとき、まともなままでは南方を生き残れへんのやで」

 

独り言のような呟きに返答したのは、攻撃隊を発艦させたあと、自分の仕事は終わったとでも言わんばかりの顔で戦況を眺めている龍驤だった。

そしてこの龍驤こそが単艦で縦横無尽に南方海域を駆け巡った歴戦の空母だということを、残念ながら阿賀野は知らない。

 

これが、南西海域に君臨し、激戦の南方方面に打って出ようとしているはぐれ者の艦隊。

彼女らは南方で戦うどの艦娘より南方海域という戦場を知っているように思えた。

 

 

 

 

前線では、駆逐イ級に肉薄しながら海面を滑るように駆逐艦娘が駆ける。

 

「砲撃。来るみたいよ」

「支援が厚くて泣けちゃうね!」

村雨が金剛の砲撃に注意するように促し、答えたのは白露だ。

 

 

戦闘はすでに乱戦の様相を見せており、陣形もなにもあったものではなかったが、その中でも彼女らは彼女らにしかわからないルートを規則正しく動いている。

ソレができるから、彼女らは水雷に携わる者で名前を知らない者はいないとまで言われる武闘派白露姉妹として名を馳せているのだ。

 

 

 

相変わらず3番砲塔の上に腰掛けている霞が無線で檄を飛ばす。

「アンタたち! これだけ支援重ねてやってるんだから、1艦たりとも逃すんじゃないわよ!」

 

霞を乗せているので、右側にある1番と2番の砲塔だけしか使用しない砲撃支援という名の何かを繰り出しながら金剛が呟く。

「奴らの敗因はハッキリしてるネー。ウチの艦隊司令艦様をイライラさせるから、ハードなしっぺ返しを貰いマース」

 

そう、霞は苛立っている。

今は時間が1秒たりとも惜しい。

最悪の想定をし、それを避けるのが司令艦である霞の仕事だから。

 

 

敵艦の間を縫うように、白露たちが海面を滑る。

敵の砲撃を避け、そして金剛からの支援を避け、合間に自らの砲撃を繰り出していく。

まるで曲芸のような海戦だ。

 

後続する二四駆には、姉たちほど敵艦に接近する技術がまだない。

それでもだ、私たちは私たちにできる限界のところで、できる最大の効果を出すことを望まれているのを知っている。

無理をしろとは言われても、無茶をしろと言われたことはない。

 

「これは、霞さんからの叱咤激励ですね」

「いーらーねぇー!」

「撃つなら撃つでちゃんと当てやがれってんだ!」

「二人とも、うるさい」

 

 

 

 

後方の座乗艦で戦闘を見守る将官たちは、その光景を見て軽いパニックを起こしていた。

「なんて指揮を執らせるんだ! あの駆逐艦の司令官は誰だ! すぐに止めさせろ」

「どういう運用をしているんだ。なぜ駆逐艦が艦隊指揮を執っている? あの交戦距離はなんなんだ、まるで理解できんわ」

 

 

 

「あれは貴君の艦娘だな。すぐに止めさせたまえ」

「なんの問題もなく推移している状況で、止めさせる理由がありませんね」

 

一息早く我に返った佐官の男が提督に向かって鼻息を荒くするが、転落防止柵の上に顎を乗せ、気だるそうにする提督には響かなかったようだ。

 

 

 

「こちらはラバウル基地司令官の加藤だ。水雷戦隊は一時撤退、その後航空支援と砲撃支援を改めて行う。繰り返す、水雷戦隊は一時撤退せよ」

止める素ぶりを見せない提督に業を煮やした将校の一人が無線に指示を送るが、無線機の故障を疑うほど、一瞬たりとも砲撃が止むことはなかった。

 

「なぜ命令を聞かん! 水雷戦隊はすぐに退くんだ!」

 

 

 

 

「って言ってるぜ〜?」

前線で砲撃を繰り返す江風の問いかけにはすぐさま霞からの返答があった。

「作戦は続行よ。戻る必要はないわ」

 

そこに割り込む将校の男が、霞を相手にし見事に地雷を踏み抜いた。

「貴様! 駆逐艦の分を弁えないか! これは命令だ!」

 

 

「はぁ? 私の知ってる命令系統の中にアンタの名前はないわよ!」

 

 

 

無線を叩きつけるように放り投げ、怒りの矛先を提督にぶつける。軍人としては、まあ当たり前の行動ではある。

「司令官、貴様は艦娘にどんな教育をしているんだ! 交戦距離も近すぎる、アレでは被害が増えるばかり。そもそも駆逐艦に艦隊指揮を執らせるとはどういう了見だ!」

 

「さて、ウチはいつもこんな感じですが、駆逐艦に指揮を執らせてはいけないって軍則にありましたっけ? 戦略ならともかく、戦術レベルでいちいち我々が出しゃばる必要もありますまい」

 

部下が部下ならこの男もこの男だ。

 

「このっ!」

興奮して一歩前に踏み出した男の前に、提督の警護艦綾波が立ち塞がる。

 

「それ以上、司令官に近づくのは控えてくださいね」

 

顔には微笑が張り付いているし、声も柔らかなものだった。しかし、周囲の空気は張り詰めたものへと変わっている。それは、一瞬後に命が潰えていることもある、生と死が交差する紛れも無い戦場の空気だった。

軍人としての本能が、彼をその場に縫いつける。それが切っ掛けになったか、幾分冷静さも取り戻したようだ。

 

「だとしてもだ、なぜ駆逐艦だ? 金剛が居るではないか」

「艦種に貴賤はありません。能力に秀でているからこその用兵です。金剛にも適正はあるんですが、いかんせん本人がやりたがらないのでね」

 

少しばかり見誤っていたか、この基地司令官は自分が思うより幾らばかりかは有能なようだ。ラバウルね、覚えておこう。

 

 

 

そこへ、ついに痺れを切らした霞からのクレームが届いた。

 

「戦闘行動中にうるさいのよ! 今は時間との勝負。一時撤退なんて有り得ないわ! 」

 

 

「ほら、外野でうるさく言うから私まで叱られてしまったじゃないですか」

ここで強権を発動されても敵わない。これだから他所様と一緒に海に出るのは嫌なのだ。

 

 

「時間が経てば深海棲艦の飛行隊がわんさとやってくるでしょうな。そうなればこの艦も無事ではいられないでしょう。最悪敵艦隊の増援もあり得る」

 

司令座乗艦にはまともな兵装など積んでいない。通常兵器では深海棲艦相手に有効打を与え辛いので、そこをバッサリと割り切り、快適性にステータスを全振りした結果だ。

 

リンガ泊地の持つ座乗艦は、わざわざ内装など調度品に定評のある三菱の長崎造船所で造らせた一品物で、航海中の艦娘を収容し十分な休息を取るための部屋や設備が揃っている、ただただ快適さを求めた艦。

まさに提督らしさ全開の代物と言える。

 

おかげで今回のような視察を兼ねた他艦隊の司令官や基地司令官を乗せるのに不自由ない程度には大きいのだが、もちろんそれらは戦闘に役立つようなものではない。

 

 

 

「一度始まってしまった海戦に外野ができることは応援とお祈りくらいのもんですよ」

 

人が海から追い出され、代わりに艦娘が戦場を駆けるようになってからだ。人はただ、戦船の魂魄を宿した娘に祈りを捧げ、見守ることだけが戦争だ。

 

 

 




準備して送り出して、あとは祈りと応援。これが艦これだ!

艦これでは航空支援や砲撃支援やってから砲戦魚雷戦。いや、現実でも当たり前にそうなんだけど。
霞さんたちは砲戦の合間にやってるね、艦これゲームで見たらさぞ異様で面白いだろう。当人的には面白くなさそうだけど。

支援云々は残念ながら史実ではほとんどなかった理想の戦い方。
むしろ帝国海軍さんは、これを喰らう側だったり……。




上で書いたあだ名の続き。

気に食わないのは雪風の死神呼びよ。
艦これ以前にそう呼んでる資料とかないのに……。

流行らせたのはいわゆる提督のみなさん。

でもこれは勘違い。
彼女の部隊が彼女を残して全滅したことはないし、彼女の護衛は9割近く成功してる。大小合わせて3桁近い冗談のような作戦回数をこなしつつ、嘘みたいに護衛失敗が少ないから異能生存体なんだ。
異能生存体はボトムズから。
ちなみに護衛対象を護り、僚艦の損失が少ないのは初霜もそうだよ。

自分以外は……のイメージは映画とかだね。ガンダムだとサンダースJr軍曹とか、昔からある定番の逸話ではあるが、雪風にはなかった。

艦これではあんまり言われないが、実はその逸話に最も近いのは時雨……。自分以外はってのを2度経験してるが、もちろん彼女のせいじゃないぞ。

山田さんの話でも黒豹や不死鳥呼びは出てくる。
オリジナルだと霞は妖精と呼ばれてるよ。
本編では多分口にすることないけど、コード呼びはフェアリー。
広まってる本当の呼び名は死を告げる妖精バンシーだぜ!
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