少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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土曜日にはパンツを投下する予定。
噂の艦隊はこれがラスト。


そして本編にまったく関係ない艦娘紹介コーナーーー!!!!!


風雲さん

「戦友の遺骨と遺品以外は装備も含めて全廃棄! 兎にも角にも素早い撤退を!」の命令が出るくらい緊迫した撤退作戦。そう、奇跡と呼ばれたキスカ島撤退。

その全ては陛下からの預かり物だ! の強固な感性を持つ陸軍に全廃棄を認めさせた木村少将と、その必要性を認めて二つ返事で独断O.Kした樋口陸軍中将が素敵。


で、いざ作戦成功させて帰ってきた風雲さん。
小銃400挺に戦友のキツネ、兵士乗艦後は捨ててくる予定だった発動艇まで持ち帰る縛りプレイやってた。

そしてキツネは上野動物園まで持ち帰った。




〜噂の艦隊へ〜(前)4

身長をはるかに超える水柱の林をくぐり抜け、視界を塞がれる戦さ場を駆ける。

海面は少しも穏やかになる瞬間がなく、絶え間なく自身を揺さぶっている。

海面下では龍驤の攻撃隊が投下した魚雷が見えない雷跡をあげつつ何本も進んでいるはずだ。

 

「うひょー怖ぇーっ!」

「江風、ちょっとうるさい」

「マローン……」

 

 

 

二四駆の四人が反航戦の形ですれ違いざまの砲撃を行う。

そのまま別働していた姉組と合流し、進路を取舵。敵艦隊から距離を取る。

 

 

「ちょっと江風! なんで前に出るのよ!」

 

なぜか一人だけ面舵に舵を切り、艦隊から落伍する江風。想定外のことに村雨が叫び、急いで制止させるが群れから一人抜け落ちた江風はいい的だ。

 

 

「えぇー! ここは突撃のタイミングなンじゃ!?」

「砲撃くるでしょ!? ここは一旦やり過ごすタイミングよ!」

 

ミスはあるものだ。

それも、よりによってのタイミングでこそそれは起こる。

そして、それを見逃してくれるほどには深海棲艦たちも甘くなかった。

 

 

「うぉ、うぉー」

戦艦タ級の至近弾をたらふく喰らった江風が叫び声を残して水柱の向こうに姿を消した。

 

 

 

判断は一瞬。艦隊陣形を崩すことにはなるが、江風を放ってなどおけない。自分が抜けた穴は、きっと姉たちがうまく塞いでくれるはずだ。

 

奥歯を噛み締めて前に出たのは海風。

 

 

すぐに違和感を覚えた。艦隊から突出した自分の前に2つの航跡があったからだ。

彼女らがいつ飛び出したのかはわからない。しかし、彼女らは瞬きの間も迷わなかったのだろう。

 

そしてあの二人なら、きっと飛び出した時点でトップスピードだ。すでに遥か先に見えるその頼もしい二人の背中を見て、私の姉は凄いでしょと、誰かに自慢したくなった。

そして、妹たちにとっての自分がそうあれるように、恥じない自分になれるように。精進しなくてはと思った。

 

 

後ろでは村雨が素早く陣形を組み直していた。さすがの水雷戦隊旗艦経験者だが、村雨にとっても海風が陣形を崩して飛び出すのは予想外だった。

 

てっきり判断を仰いでからだと思ったけど、うん。悪くない傾向だ。

戦局の全ては霞が見通している。そして、妹たちの不始末なら姉である私がなんとかする。それは当たり前のこと。

戦術行動の中で私の範疇を超える状況になどさせはしないとの自負があった。

 

私はリンガの司令艦の一人だ。

私は、白露姉妹の3番艦なのだ。

 

 

 

「見たことか、こんな乱戦では。指揮が行き届いておらんではないか、今からでも遅くはない、すぐに前線の隊を呼び戻すんだ」

 

そう言ったのは加藤と名乗ったラバウルの基地司令官。

どうやら彼は本当に心配してくれているようだ。

思ったよりもいい人なんだな。なんて、結構どうでもいいことを考えていた提督。

 

そしてもう一人。

心配されているのは伝わったのだろう。

基本ガン無視を決め込んでいた霞が応答した。

 

「訓令戦術なんてウチにはないの。戦場の全てはワタシが見通してる」

 

 

落伍した江風の救出にあの二人が向かったことも、海風が飛び出したことも。そして村雨がそれのフォローに入ったことも。

あの姉妹ならそうするだろうし、ワタシがそう考えることを村雨は理解している。

 

なにも問題はない。

白露姉妹は信頼でお互いを繋げあっている。

 

 

 

 

突出して江風の元に向かったのは白露と時雨のコンビだった。

誰より長くペアを組んできた二人の間に言葉は要らない。白露が時雨に頷きかけると、ほぼ同時に時雨が大きな円を描くように海上を滑り、流れるような牽制射撃を行う。

その隙に白露が水柱の中に取り残されている江風の元に飛び込む。

 

「こらー、1番先に行くのはお姉ちゃんでしょ!」

「うひぃ、白露の姉貴ぃ」

「ほら情けない声出さない」

 

至近弾を貰い、江風の艤装には破口が開いてた。駆逐艦の貧弱な防御力では直撃せずとも致命傷になりかねない。外観の被害から判断するに、すぐさまの危険があるわけではなさそうだが、駆逐艦の命でもある足を削がれたと言えるだろう。

 

「カクザイモッテコーイ!」

「トロトロスンナ! オマエゴトタタイチマウゾ!」

「ギョライトーキ! イソゲ」

「オイ! アブラレテンゾ!」

「モタモタスンナ! オマエゴトステチマウゾ!」

 

……なんでこんなに物騒な妖精さんばかりなの? お姉ちゃん少し心配です。

 

 

 

涙目で海面にしゃがみ込んでいる江風の腕をひっぱり無理やり立たせ、背中を押し出す。

 

「時雨が釣ってくれてる。村雨が退却コースに海風たちを配置してくれてるはずだから、あんたは一旦戻る」

 

「追撃されるじゃんかぁ」

「されるわけないでしょ、夕立と春雨がもう向かってるわよ。多分」

 

確認したわけではないが、きっとそのようになっているだろう。それは確信とも呼べるものだ。

それができるから、私たちリンガの水雷戦隊は他とは一線を画すと評されているのだ。

それをするのが私たち姉妹の役割だ。

 

「ボイラーイッパイマデマワセー」

「ソウダシュイガイハカンキョウカラケリダセー」

「カクザイモッテハシレ、ノロマドモ」

「ショーカオセーゾ! ヤカレテェーノカ」

 

柄は悪いが、妖精さんたちの決断力と練度はかなりのもののようで、みるみるうちに浸水が止まり、消火にも成功していた。

この妙なやる気はあの艦長の影響なのだろうか。

 

 

「行けるわね? 前だけ見て真っ直ぐ走れ!」

焼け焦げた制服を翻した江風が飛び出す。

追いかけてきていたのか、海風の姿も確認できた。これで江風の退避に問題はなくなった。後のことは海風が面倒を見てくれるだろう。

ならば……。

 

 

「白露の妹になぁーにやってくれてるんだぁ。ギッタンギッタンにしてやるんだから!」

 

 

 

 

 

 

 

海面を舞うように、音も残さず。

それは、あらかじめ決められた演目をなぞっているかのように……。

 

敵艦隊旗艦の前に、時雨が舞い降りた。

 

 

虚を突かれた戦艦タ級だったが、すぐに我に返り咆哮を上げながら時雨に手を伸ばす。

それをバックステップで躱し、小さな円を描くように左へ左へと滑って行く。

 

 

「時雨だ! 南方の女神ー!」

 

俄かに活気付いた司令座乗艦。

視察に訪れていた基地司令官たちが何事かと目を見開いた。

 

ほとんど単艦と言ってもいい。ただの一隻で敵艦隊の進路を塞ぐ駆逐艦に声も出ない。

この司令官が指示を出した素振りは見えなかったが、これでは損失覚悟の囮ではないか。

 

しかし、漂う空気は悲壮感とはほど遠いもののように思う。

甲板上では見張り員など、状況を見守っていた手すきの南西方面所属の軍人たちが一斉に時雨に声援を送る。

 

「行っけー! 女神の一撃!」

 

 

最前線では、目の前をウロチョロと躱す時雨を追いかけるようにしながら、タ級が素早く副砲の照準を合わせた。

いかな時雨と言えど、この至近距離で戦艦の副砲に狙われては避けきれるものではない。しかし、タ級は気が付かなかったのだ。

時雨の太ももに固定されている魚雷発射管から魚雷が消えていることに。

 

 

タ級と相対しているのは時雨だけだった。

戦艦相手に駆逐艦1隻で挑むなど愚か以前の問題で、通常なら戦艦や空母など大型艦が相手をするのがセオリーだ。

しかし、司令駆逐の村雨を始め僚艦はタ級に目もくれていない。

彼女らだけは知っていた。すでにこの海戦は、敗残艦を狩るだけの戦闘になっていることを。

 

それは、小さな円を描くように、左へ左へと滑るように海面を往く。

タ級の副砲が時雨を捕え、砲撃を行おうとした。タ級にできたのはそこまでだった。

 

突如としてタ級は爆音と爆炎に包まれる。

 

 

「いよーーっし!」

 

響き渡る轟音に、座乗艦の上ではひときわ大きく歓声が上がる。

初めて時雨を見た基地司令官たちにはわからなかっただろう。

 

予め魚雷を放っておき、その進路上に敵を誘い込むことで艦の横っ腹に時間差の魚雷を次々と叩きつける時雨のとっておき。

佐世保の英雄が編み出した“置き魚雷”だ。

 

膨大な海水が巻き上げられ、まるで雨のように海へと還る。

戦艦を水底へと沈めるその飛沫に濡れた髪をかき上げ、静かに海面に立つ時雨は戦場に降り立つ女神だった。

 

 

「やったのか!?」

「あれが、女神の一撃……。まさか本当に駆逐艦が戦艦を沈めるとは」

 

呆然と、まるで夢でも見ているかのような光景を見て、驚きを隠せないままラバウルの基地司令官が言った。

「貴様たちは、いつもこんな戦い方をしているのか」

 

 

当然だと、そう思った。帝国海軍の想定した駆逐艦の役割は、元々が雷撃特化の大型艦キラーだったはずだからだ。

むしろ、そう想定されていたのに、なぜそれができるように訓練をしないのか、作戦を組まないのか。提督にとってはそちらのがよっぽど驚きたい話だ。

 

 

 

「こちら時雨、敵旗艦の撃沈を確認。概ね作戦は完了したのかな?」

「寝惚けたことを言わないで、作戦の達成条件は殲滅だってば!」

 

 

「やいやいやい。ちょっと待ちなぁ、任務は偵察なんだろ?」

「その偵察で敵艦隊を見つけたんでしょうが! ウチのモットーは見敵必戦、さっさと片付けて帰るんだってば! アンタうちの司令官を危険に晒したいの?」

 

 

「うひっ、深海棲艦より怖いぜ」

「ハイ、いつも通りやればいいだけデス。目の前の敵艦を沈めるだけの簡単なお仕事ネー」

 

 

無線越しに流れてくる彼女の勇ましい声を聞いて、提督は肩をすくめてみせる。

「概ね、いつもこんな感じですよ。私にはもったいない、できた部下たちですな」

 

 

 

それ以降はもう勝負にならなかった。旗艦を失った深海棲艦も善戦していたが、武闘派揃いの白露型に囲まれては長くは保たず、次々撃沈されていく。

 

敵旗艦を落とした時雨が早々に戦場を後にし、司令座乗艦に合流する姿が見える。

速度が出ていないとはいえ、移動中の艦に設えられた艦娘昇降用のスロープに海面から飛び移るのは至難の技だが、陸上訓練で体幹が鍛えられているリンガの艦娘は全員が習得している技術だ。

 

スロープを上がると時雨の帰還を待ちわびていた乗組員たちが口々に労いの言葉やハイタッチを贈っている。

「おつかれ!」

「久しぶりにいいもの見せてもらったよ!」

それらに困った顔で返答しながら、一人ひとりに挨拶をしていく。

 

 

前線には霞からの急かせるクレームが無線に乗って木霊している。

 

 

誰かに貰ったのであろうラムネを片手に提督の横まで来た時雨に声を掛けた。

 

「抜けてきて怒られるんじゃないか?」

「僕も霞も、提督を一人にしておくほうが心配なんだよ」

まだ残存艦との戦闘中であるにも関わらず、独断で帰還した時雨に言いたいこともあるのだろうが、敵艦隊旗艦の戦艦相手に“奇跡”を起こしてきた今海戦の殊勲艦に声を荒げる者はいなかった。

 

あと、ちょっと寂しそうな顔で綾波が見てるぞ。

 

 

 

「Hey hey! 相手はビビってマスよー」

「そう言う応援は要らないから!」

「黙って見てな! このすっとこどっこい」

「か、江風! 涼風! なんて口の利き方するんですか!」

 

緊迫しているのかしていないのか、相変わらず戦場では金剛と妹組の漫才が続いている。青くなって金剛に謝罪を入れるのは海風だ。

 

「いつまでやってんの! ASAP!」

 

 

残った最後の深海棲艦に、リベンジに燃えた江風が近づく。

 

「こなクソー喰らえー」

「クチクカン ナメルナー」

掛け声と共に、最後に残された雷撃を放つ。燃える妖精さんとの熱い合体技だ。これは避けられまい。

 

 

大きな水柱が立ち、それが収まるころ海面に立っているのは艦娘たちだけとなっていた。

 

「いよっしゃー! 江風根性の一撃!」

 

司令座乗艦に乗る海兵から野太い歓声が上がる。

「なンじゃそりゃあ、江風にももっといい名前付けてよー!」

 

 

 

こうして、強行偵察から発展した作戦は、一足飛びに敵艦隊撃破にて結末を見た。




珊瑚海周辺海域戦

戦果
夕立(殊勲) 重巡撃沈 駆逐艦撃沈 駆逐艦撃沈
時雨     戦艦撃沈
江風     重巡撃沈
村雨春雨共同 駆逐艦撃沈


さりげなく夕立無双。
江風が撃沈した重巡も夕立が大破させた後だったりする。
吉川システム積んでるからね彼女。多分江風も積んでる。
吉川艦長「ハンモックを張ってでも戦うよ!(野太い声で)」



上の続き、キスカ島撤退作戦。

大量の陸軍さんを乗せて幌筵に帰投中。
お腹を空かせた陸軍さんに粗末な食事を出しては沽券に関わると、隠密作戦中であるにも関わらず炊爨しておにぎりを配ったのが阿武隈。

食べる人のことは考えるが、食べる状況を考えない阿武隈らしいエピソード。

米軽巡に偽装するため煙突を白く塗り潰した逸話のある阿武隈。
彼女の金髪碧眼はここから(姉はピンクだけど)。
イラストを確認すると、確かに煙突が白い。

また突入前にはギリッギリの残量だけを残して阿武隈の油を駆逐艦たちに配ってる。
ついでに島風の初陣がこのキスカ島撤退だ。
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