少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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阿武隈改二、由良改二の秘密が今、明かされる!


ところで、サイトのシステム的に本文1,000文字ないと投稿できないんだよね。
おかげで投稿できない超短文逸話が……。

水増ししないとダメね。気付いてた人も多いだろうけど、初っ端の1話がすでに大分水増しされている。ホントは半分くらいの文量だったんだ。
それでも5文字足らなかったけど。


そういうことが歌いたーーい(ノイズ付き)!!!



〜泊地の乙女事情〜

「ねぇ時雨。アナタ、月にどのくらい下着の盗難にあう?」

 

 

 

 

 

 

 

──────

 

 

「ちょっといい?」

時雨にそう声を掛けたのは昼食後の一仕事を終え、お昼寝をするにはちょうど良い時間帯だった。

 

 

「どうぞ、お茶……には少し早いかな?」

「お構いなく」

 

執務室では時雨が一人で書類の確認をしていたが、霞が入室するとそう言って招き入れてくれた。

 

 

「提督は散歩中だよ、すぐ戻ってくると思うけど」

「いいわ、司令官に話すかどうかについても含めて先に時雨と話したかったし」

 

霞をソファに勧め、対面の席に時雨も腰掛ける。

そして唐突に、霞はこう言うのだった。

 

 

「ねぇ時雨。アナタ、月にどのくらい下着の盗難にあう?」

 

 

 

 

実は基地内で艦娘の下着が盗難にあうのは珍しいことではない。

女性の比率が圧倒的に少ない軍施設内ならばある意味当然の帰結のようにも思うが、艦娘が普段たむろする施設は逆に女の園のようになっている。いっそ大奥のよう、とも言えるかもしれない。

そこは女子校のようなもので、憧れの先輩の私物を、といった欲求が生まれるのも想像に難しくない。

 

 

艦娘たちの暮らす施設は基本的に艦娘と妖精さんしか立ち入らないことになっているので、盗難を働くのも多くの場合で艦娘だ。

妖精さんが巣を作るのに持ち出す、なんて眉唾な噂を耳にしたこともあるが、現実に巣なるものを発見した話は聞いたことがないので、今は考えなくてもよいだろう。

 

時たま男性軍人がやらかすこともあるらしく、そちらの場合は見つかれば規定通りの罰を受けるはずだが、あまり耳に入ってこないことを考えると理性のある軍人が多いのか、それとも……。艦娘が軽くみられている、とは思いたくないものだ。

 

 

 

「風紀的な問題でもあるけど、一番は経費よ。あんまり頻度が高いとさすがにね」

 

上を見たらキリがないのも女性ならではだが、実は女性用のショーツだけなら男性のものより安いことが多い。それでも、被害人数と頻度いかんでは十分予算を圧迫し得る案件だと言える。

 

「あぁ、うん。制服としてはあんまり申請してないはずだけど……」

「ワタシやアンタはね」

 

 

 

「ワタシたちは幸いお給金も多く貰えてるし、下着を自前で買うくらい大した負担にはならないけど」

「そうか、そうじゃない子もいるんだね」

「よく盗られる子はみんなそれなりに貰ってる子ばかりだとは思うけどね」

 

やはり人気のある下着は活躍している艦娘の物であることが多く、そうした子たちは概ね高給取りだ。

精神的なことはいざ知らず、金銭的には大きな問題にならないだろう。

 

 

「防犯を強化するってことかな?」

「それによって士気が落ちたり、基地での生活に不満を残すようになるなら困るのよ」

 

自主性が重んじられ、艦娘主体で運営されるこの基地でもやはり基地は基地。ともすれば閉塞的で、毎日見知った顔としか接しない環境でのストレスは下手な敵より脅威となる。

 

「士気の低下、とまではいかなくても。それによって士気高揚してるなら許容するべきなのかも」

 

 

 

「霞はどうなんだい?」

「多いときで月に2、3枚よ」

「それは、多いね……」

「特に対策はしてないから、どうするのが正解なのか計りかねてるのよ」

 

自衛するとなれば、頻度を減らすこともできるだろうが、それによって他の子の下着が盗まれるのであれば根本的な解決にはなっていない。個人としてではなく、役職に見合った判断の結果なのだろう。

集団生活を営むにあたり、ガス抜きとなるなにかは必要なのだ。

 

だからと言って、自らの使用済み下着を犠牲にするという判断を飲み込める艦娘がいかほどいるのかは不明だ。

乙女としては正しくないとも思える。

 

 

 

そんな中で、時雨がボソリと看過できない発言をした。

 

「たまに返ってくることもあるけどね」

 

「それ、また使ってるの?」

「さすがに履けないよね、なにか付いてることもあるし。残念ながら捨てているよ」

 

これも個性なのか。

多種多様な考えを育み、それを行動に移せるともなれば提督の期待どおりの結果だとは思うが、どうだろう。

使った後に返す……。

 

霞は他の艦娘の下着を盗ってやろうと思ったことがない。単純に興味がないからだ。

なので、提督の下着でそれを考えてみた。

 

もし、ワタシがアイツの下着を手に入れて、それを……。

 

 

ダメだ。

分かってしまうのはダメだ。

そんな成果報告みたいなことに理解を示すのは乙女として正しくない。いや、色欲としてその願望は正しいのか?

ここで深く考えると、話を進めることができなくなる懸念があるので、それは後で考えることにしよう。顔が赤くなる前にそう判断した。

 

 

 

 

 

「盗んでいるのはウチの娘だけじゃないのよね。研修に来ていた艦娘が原隊に復帰する日に無くなっていることも多いし」

「他所の所属艦になるとお手上げだね。相手側に電文で知らせるわけにもいかないし」

「まあね」

 

艦娘が艦娘の足を引っ張ってどうする。

この艦隊の艦娘ならば、そのくらいの意識は当たり前のように持っていることだろう。艦隊の権力者である時雨や霞ならばなおのことだ。

 

言うならばこれは、艦娘全体で共謀するべき秘すること。おいそれと、こんな問題があるなど外に漏らせる話じゃない。

 

 

「行き渡ったら落ち着くかとも思ったんだけど、そういうこともあってかあんまり変わらないのよ」

 

方針も決まっておらず、そうでなくとも声を大きくして通達するようなことじゃない。

頭の痛いことだと、霞はこめかみに指を添えた。

 

 

「霞は盗ったことが?」

「ワタシはないわね。呉にいたころから盗られるの専門よ。時雨はどうなの?」

「ふふ、ご想像にお任せするよ」

 

 

 

「でも脱衣所で盗るのは止めてほしいかな。替えの下着まで無くなってると困るね」

「ワタシは何度かそれで酷い目に合ってるから、事務所に予備を置いているわよ」

 

自分もそうしようかなと一瞬思ったが、すぐさまその考えは内なる声に否定された。

考えるまでもなく自分の職場はここ、執務室だ。提督と二人で過ごすことの多いここに替えの下着を常備するのはさすがに気が引ける。

それを提督に見つけられたりでもすれば普通に恥ずかしいし、他の誰かに見られたなら、お盛んな子だと勘違いされかねない。

そんな目で見られたら、きっと恥ずかしさで死んでしまうだろう。

 

 

蛇足となるが、危なく下着のないまま海上に出る羽目になりかけた艦娘がいる。阿武隈だ。

それ以後、彼女はスパッツを着用することにしたらしい。

また、その事情を知っている由良さんもスパッツ着用を検討していたようだが、「提督さんが、由良の足はキレイだからって」などと顔を赤くして告白していた。

その場にいた僕たちは、いったいなにを聞かせられているんだと全員が真顔になったものだ。

 

 

 

「盗んでいるのは艦娘だけなのかな?」

 

この基地では、軍人がそういったことで捕まった例がまだない。

他の基地ならいざ知らず、ここでそういったことがあれば時雨や霞の耳に入らないことはないし、なによりなあなあで済まされることもないはずだ。

 

「さあね、捕まっていないだけかもしれないし、わかんないわ。厳重に警備しているわけじゃないもの」

 

限られたものしか出入りしないとはいえ、日中の寮は閑散としたものだし、ここの艦娘は不在時だろうが就寝中だろうが施錠しない子が多い。また入浴施設や食堂のある艦娘施設だって人目を忍んで侵入しようと思えば難しくはないだろう。

 

 

最近は、お守りとして身に着けると沈まないといった迷信じみた話も聞く。ここ、リンガを中心に広まっている噂だということで耳も痛い。

提督座乗艦の艦内神社の御神体が僕の下着だという根も葉もない与太話まで出回っているが、根も葉もないものだと自分に言い聞かせているところなので信じさせてほしい。

敢えて確認しないことで平穏を保っているところだ。

 

 

しかし、艦娘が備品からある種、幸運の女神のような扱いになっているのは前進と言えば前進なのかもしれない。

盗られて嬉しいものではないし、またそれが男性であるとなると、艦娘に盗られることより抵抗がある。

対象が情欲でも信仰でも、気持ちの良いものではないが、戦場でなにかに縋りたい気持ちもわからなくもない。

 

ここは戦場。明日には帰って来られないかもしれない有事の世界だ。

そんな風に、出口のない考えに思案を燻らせているとあっさりとした口調で霞が言った。

 

「捕まえたらちゃんと罰するから、それについては心配しなくていいわよ」

 

そんな感慨を理解した上でなお、理知的にシステマチックに判断を下せるから霞が司令艦をやっているのだろうと思った。

 

 

結局、今後の対応をどうするべきかの結論は出ず。この案件は保留となった。

 

 

 

 

 

「そういえば、提督と使ってる仮眠室でも何枚か見かけたね」

 

「……。それは忘れ物だと思うけど、一応あとで確認するわ」

 

 

 




由良さん。
なんだろ、スカートめくりや胸を鷲掴みにした後でも、本気の土下座をかまして誠心誠意謝れば許してくれる気がする。

そんな優しい由良さんは四水戦の旗艦。
村雨、夕立、春雨、五月雨の駆逐隊である二駆の上官と言えば由良さん。
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