少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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長くなりそうだぜー。



軍艦の墓場に咲く2

静かに提督たちの会話を聞きながら、霞は考えを巡らせていた。

やはり囮艦なのか。攻撃を一人に集中させて、その隙になんてのを考えてるのかしら。

戦術としては有効かもしれないが、戦略として考えるならそれはうまくないと、提督と同じ考えにいきつく。

 

過去の大戦時に在った軍艦の数は有限だ。

そして、現世に顕現する艦娘の数も。

 

次に行われるソロモンでの海戦ではそれを防ぎたい。その対症療法とも言うべき対応だけでなく、今後の犠牲もだ。

ならば、やるべきことは2つ。

海戦でウチの艦隊がどう動きそれを防ぐのか。そして、あの男が意図的にそうしているという確たる証拠を掴むこと。

 

提督がそうであるように、霞もまたクリアしなければならないことを1つ2つと数える癖を持つ。

『困難は分割せよ』との彼からの教えだった。

 

 

 

その間にも提督はラバウルの基地司令官と話を進めていく。

 

「貴様の隊は遊撃に回されるだろう」

「挺身隊ってやつでしょ。いいですよ、気を遣ってもらわなくても」

 

いっそ孤軍で遊撃に回してもらえるほうが自由も利くだろうと思う。

本隊などに組み込まれるのはゴメンだし、他の艦隊と共同ってのも性に合わない。

命を賭けるのだ。一緒に戦う者くらい選びたい。

 

提督はそう思っているが、口にしたラバウルの男は渋い顔をしている。

できる限りのことを、そう考えたのか、男はこんなことを付け足した。

 

「重巡鈴谷を借りられるよう手配した、なんとか上手くやれ」

 

鈴谷ねぇ。大型艦が少ないウチにとっては朗報なんだろうが、どんなもんだろ。

この男が手配してくれたのだから、とりあえず内患の心配はないと思うが……。横目で霞を見る。

 

「鈴谷さんね、彼女は強いわよ。前の大戦のときも砲撃にカナリの自信を持ってたし、あの火力は戦力になる。操船も凄くて回避もお手のもの、大歓迎だわ」

 

おお、霞が褒める褒める。そんなにか、鈴谷。期待できそうだな。

 

 

 

「それでなくとも危険の多い先鋒だ。……気を付けろ」

それ、行間に「背後にも」ってありました?

嫌だなぁ、人間って奴は。

大人しく深海棲艦だけを相手に戦争しようぜ。

 

軍の人間相手に散々戦争してきた俺が言うのもなんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

それから数日。

作戦に備え、ラバウルでは艦娘のみなさんが演習や訓練に明け暮れ、俺たち軍人は兵站の手配などに忙殺されていた。

 

そこら辺は必要なことなので別にいいのだ。

演習で疲れるのは俺じゃないし、続々と運び込まれる資源や資材で目を回すのは主に妖精さんたちと、こんなときのためにと連れてきた山崎だから。

 

 

気になるのはちょくちょくと予定の変更をせざるを得ないトラブルの類。

計画と違う装備や数字の違う資源、届かない資材など、一つひとつは些細なことだが、これだけ続けばヒューマンエラーではないだろう。

 

足を引っ張りたい奴らがいるのか、派閥間のイザコザなのか。

こんな状況下での作戦ともなると頭が痛い。

ソロモンを完全に手中に収めるため、作戦は成功させなくてはならない。

そのために事前の準備に手は抜けない。もちろん作戦自体も検討しなくてはならず、その合間に俺はブインの司令官についても調べて対策する必要がある。

さらに俺たちが本格的に拠点を南方に移すことの足掛かりも築きたい。

 

 

やることは山積みだ。

俺一人なら手が足りないところだが、大切なのは分担分割。適材適所って言葉はこんなときに使わないとね。

時雨や霞、阿武隈たちが俺と同じかそれ以上に苦労してくれているので、まぁなんとかなっている。

おかげでここ数日はみんな死んだように眠ることができているし……。

 

 

そして本日は、南方をうろちょろと転戦しながら移動していた鈴谷がラバウルに到着することになっている。

合流直後に申し訳ないが、早速ラバウルに集まる作戦参加艦娘たちとの演習が予定に組まれているので、その見学をしに行くところだ。

 

鈴谷はどんな娘なのか、かわいくて強くてかわいくて話の分かるかわいい娘だといいなぁなんて考えながら歩いていると突然後ろから声を掛けられた。

 

 

「やっと会えた!」

あらー。どこから走って来たんだろう。ちょっと息が上がってる。

太陽なのか向日葵なのか、そんな少女。

 

一瞬、俺の幼馴染みだったかな? と勘違いしそうになるが、俺にそういった類の知り合いはいないので普通に初対面だな。

というより、俺には幼い頃の記憶ってもんがない。昔どこに住んでいたのかも知らないので幼少期から見知っている同年代の人がいないんだよなぁ。

 

「陽炎型のネームシップ、陽炎よ。アナタが霞の司令官でしょ? 会ってみたいと思ってたのよ!」

 

その子は胸に手を当て、優雅な自己紹介をしたと思ったら、すぐに前のめりになって俺に会いたかったと言う。

身振りが大きくて言もハッキリ。自分に自信があり、人の中心になるのも当然。それが当たり前の生活なのだと全身でアピールしてくる。

やっぱり太陽みたいな子だ。

 

 

「あの子を救ってくれてアリガトって、そうね、言いたかったのよ」

「あぁ、あの子ね。雨降ってんのに軒下で震えてたから保護した子。とりあえず予防接種させてノミを取って、今は元気に走り回ってるよ。座乗艦まで着いてきたから実はこの基地まで連れてきている。良かったら挨拶していく?」

 

 

「誰よその子」

「俺が聞きたいわ」

 




で、でたーーキングオブ長女!

実はリンガでは猫を飼っている。
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