少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜   作:山田太郎

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知っているだろうか、かつてのイチゴは練乳をかけるか山盛りの砂糖をかけるかしなければ、とても食べられないほど酸っぱかったことを。

皿に盛られたイチゴ……よりも盛られたマウンテン砂糖。

あゞ思ひで。


本編とは特に関係ない。


横須賀にて3

時雨を連れ立ってやってきたのはとあるお寺さん。ここにいる両親に生存報告だ。

 

 

「両親の墓だ、ここに眠ってるわけではないんだが、じじいが用意したんだよ」

立派な墓石ではあったが、それに見合う広さではないように思う。それがわずかな違和感となって時雨の目に映った。

 

あれはいつだったか、なにかにつけて反発していた当時の自分に姉が言ったのだ。

「大きな墓地を用意すると呼ばれる」。古い迷信だけど、あの人は心配だったのよ。そんな迷信の一つにも心を揺り動かされるほどに、貴方を亡くすことを恐れたんです。

 

俺は愛されているのだと、柄にもなく熱くなった姉にそう説かれた。本当にアイツが言ったのかどうかはわからないが、細かいことまで考える奴のことだ。言っていても不思議ではない。

たまには孝行の一つでも、と思ったが、なにをすればアイツが喜ぶのか見当もつかない。追々考えるとしよう。

 

「墓という目に見える形があることで、現実を受け入れられるようにしたのかもしれないな。アイツはそういうことだけ妙に気が回る」

その行為は意味があったともなかったとも言えるが、現に自分は両親の死を受け入れ、まともに育てられ、また育ってきたのだから意味はあったんだろう。

 

「いい家族に恵まれたんだね」

「そうかもな」

 

二人並んで手を合わせる。

言葉の途切れがちな静かな時間だが、俺はこんな過ごし方も結構好きだ。気のおけない相手が一緒なら、もう言うこともないだろう。

 

「人間のことはよくわからないけど」

花やら線香やら、一通り参拝で行うだろうことを終えると、水桶を持った時雨が言った。

 

「もっとずっと先、戦争が終わって平和な時代がきて、それから何十年も経って、提督が死ぬようなことがあれば、提督もここに入るのかな?」

そこまで気を使わなくてもいいぞと、ちょっと笑いそうになった。男同士であればもっと簡単に、「お前が死んだらここに入るのか?」でも済む話だ。

まぁそこまで砕けた時雨は想像もできないので、これでいいんだろうけど。

「どうかな、そんなに長いこと生きるとしたらさすがにじじいのが先にくたばってるだろ。アイツの考えなんて知らないが、そのときアイツの墓守りを俺がしてたら、俺はじじいの墓に入るかも知れないしなぁ」

 

いつ死ぬかわからない。それは平時でも有事でも変わらない。人は突然死ぬのだ。

身をもってそれを知ってはいるが、この年齢ではなかなか死後の手続きなどを考えたことはない。

 

「ま、軍人だからな。思いのほか俺が早く死んだらここに入ることになるかな。アイツはそうしそうな気がする」

自分の墓にくくるよりも、家族と共に眠らせてやりたい。なんて、いかにも言いそうだ。

 

「そんなことにはならないよ。でもそうだね、もし万が一提督がここに眠る日が来るなら、僕の名前も朱色で彫ってもらうことにするよ」

「朱色の夫人か? どこで覚えたんだか」

 

新幹線でパニックを起こしていた奴だとは思えないな。

確かに共に生きようと誓ったが、俺の死後まで縛ってしまうのも違う気がする。帰ったらそれとなく姉にでも相談しておこうかと、ちょっと思った。

 

 




お墓。

最近ではあまりお目にかからないかもしれないが、まだ死んでいない人の名前を墓誌などに彫る場合、名前が朱色で染められていたりする。
「いずれはここに入るのだ」なんてことかも。

死別後に再婚するのも当たり前になった昨今では少ないのかもしれないが、墓地に足を運ぶことでもあれば、ちょっと気にして見てみるのもいいかもしんない。
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