少女のつくり方 〜艦隊これくしょん〜 作:山田太郎
第1話から続く最初の佐世保話続きです。
いよいよお気に入りが100件いきそう。
嬉しい気持ちと不安な気持ちが半々。
あんまり心配なので、海風たちがリンガに編入されたエピソードを投稿したあと、少しだけ「少女のつくり方」が向かう先の話を掲載する予定。
反応が恐ろしす。
「狙うは敵の主力艦隊だ。今でさえバラバラに攻め入ってきてる。旗艦をなんとかできたら瓦解してくれるかもしれない」
「無理よ、こちらの戦力は戦艦1に駆逐艦が3。それでなくても狭い港内よ? 本隊にたどり着くまでに何度戦闘があるか、とても突破できないわ」
深海棲艦の侵略具合を見る限り、しっかりとした作戦の元に、という感じはしない。
頭を潰せばそれだけで散ってくれるかもという期待だ。
それに対して、霞が理路整然と不可能であることを説明してきた。
確かに港の中で艦隊戦なんて無理難題だ。
敵味方入り混じっての大渋滞。俺以外の誰かがやるなら笑ってやるが、俺はやりたくない。
だから、もちろんそんなことを考えていたわけじゃあないのだ。
「歩いていけばいいだろ? 港は繋がってる。別に海の上じゃなきゃ航行できない船じゃないんだ」
港内の海上を移動できないなら陸路を行けばいい。当たり前のことだが、港は陸からでも繋がっているのだから。
「やっぱり、アンタちょっとおかしいわね」
「でもその作戦は無理ね。ゾロゾロと集団で歩いて、その後一斉に海に出るんでしょ? 囲まれるわ。誰かが引きつけないと」
「囮ってことか?」
あんまり良い響きではないが、ここは大海ではなく閉じた海。全員で無謀に挑むより生還率を上げられるのは自明だよな。
「それなら私がするわ」
考え込んでいたら、さっと伊勢が前に出た。
「貴女たちには装甲なんてないんだし、1発でも致命傷よ」
「ダメ、誰かを犠牲にする前提の作戦なんて」
反射的に霞が言った。
いろいろ思い出すのだろう。眉を寄せた霞は儚げで、迷子の女の子のようだ。
「それは僕がやるよ」
いつもと変わらぬ、それでいて芯の通った声で時雨が言う。
「僕のほうが伊勢さんより小回りが効くし、僕はみんなと違って被弾0だからね。それに、ここは僕の庭だよ? 目をつぶっていても航行できる」
そう言って、時雨は汚れ一つない自身の体をアピールしてみせる。
「死ぬ気じゃないんでしょうね」
「もちろん。生き汚くても、今日を乗り切ってやるつもりだよ」
「任せても?」
「うん。任せてほしい」
霞たちは佐世保川から水上に立ち、そのまま敵本隊へと攻撃を仕掛けると言う。
「なら僕は時間を見計らって立神係船池のほうから海に出るよ」
反対に、時雨はドック側から海に出て、霞たちを敵の目から逸らす囮の役目を行う。
「ここから川までは?」
「1kmくらいかな」
「なら、時雨は20分後に陽動を開始して」
その時間設定に不安を覚える。
艤装を付けて、敵の砲撃が続く基地を踏破して反対側まで陸路を移動するのだ。
時間をかけ過ぎると時雨の危険度が増すが、それでも、時間になっても霞たちが攻撃を開始しない、なんて状況よりは幾分かマシに思える。
「大丈夫か? 海側を避けて行くんだろ」
「なんとかするわよ」
「伊勢、霞のフォローを頼む。今は僚艦が沈んだことで頭に血が上っているかもしれないが、それでも彼女の戦術眼は大したもんだ」
「そのようね」
防衛の要所を見抜き、僅かな寡兵でそこを守り抜いた彼女の判断と実力は確かなものだ。
「海上での指揮を本当に貴方は執らないの?」
「無線のやり取りだけで、無責任な指示は出せないよ。司令官ってやつらはよくそんなことをやっていられるな」
軍部批判になるからだろう、伊勢は困った顔で笑顔を作っただけだった。彼女は陰口など言わないのだ。
「今の軍の常識じゃあ駆逐艦に指揮を任せるなんて有り得ないことだし、戦艦の君が駆逐艦に従うことに思うこともあるが……」
「いいわよ、これでも頭は柔らかいほうなの。霞も知らない仲じゃないわ。提督の命令が『駆逐艦に従え』っていうだけでしょ」
「君まで提督だなんて呼んでくれるなよ」
「ふふ、私なりの親愛の証よ」
史実の後半。伊勢はずっと霞のお守りしてたのだ。
伊勢さん。
海軍が鬼被害出す中で日向と揃って空襲全回避。
さらに戦場ど真ん中で機関止めて救助活動。
全滅必至の末期輸送作戦を全艦無傷で成し遂げさせ、潜水艦の発射した魚雷を高角砲の水平射で防ぐなど変態エピソード満載の素敵艦。