…来てしまったぜ。地獄の門へと(本当は屋上)雄二と島田は飲みのもの買出しに行ってる。…俺もその名目で逃げればよかったかな。
「天気が良くてなによりじゃ」
「そうですねー」
「あ、シートもあるんですよ」
「気持ちいいね!」
「…………(コクリ)」
あぁ、平和だなぁ。いつまでもこの平和な時間が続――
「あの、あんまり自信はないんですけど……」
――くわけないよね。わかってたよ。
『おおっ!』
みんなが歓声を上げる。うん、うまそうだ。…うん、うまそうだな。
「それじゃ、雄二には悪いけど、先に──」
「…………(ヒョイ)」
「なっ!ムッツリーニ!」
こいつ!エビフライを一気に口に入れて――
バタン
ガタガタガタガタ
顔面から地面に豪快に倒れた。
「…………」
「…………」
「…………」
みんな、絶句する。まぁ、そりゃそうだな。
「わわっ、土屋君!?」
姫路だけがこの状況を飲み込めずにいた。
「…………(ムクリ)」
ムッツリーニは起き上がり、
「…………(グッ)」
姫路に向かって親指を立てた。いつもどおりの無表情だ。…足は尋常じゃないぐらいがくがくしてるけど。
「あ、お口に合いましたか? 良かったですっ」
…姫路は天n・・・純粋だなぁ。でも、気ずこうよ。足とか、倒れた事とか。
「良かったらどんどん食べてくださいね」
こちらを向いて笑顔で勧めて(死刑宣告)くれる姫路。
(……真也、秀吉。あれ、どう思う?)
明久もこの非常事態に気が付き小声で言ってきた。
(……どう考えても演技には見えん)
(ていうか演技する意味ないだろ)
(だよね。ヤバいよね)
俺たちも小声で返し、話し合いをした。
(真也、明久。お主等、身体は頑丈か?)
(正直胃袋に自信はないよ。食事の回数が少なすぎて退化してるから)
(俺は普通だ)
さすがに胃を強くするよう頼んでないからな。
(ならば、ここはワシに任せてもらおう)
(そんな、危ないよ!)
(大丈夫じゃ。ワシは存外頑丈な胃袋をしていてな。ジャガイモの芽程度なら食ってもびくともせんのじゃ)
毒を食っても大丈夫って、それ胃の問題だけじゃない気がする。
(いや、俺が行く)
とここで俺のターンだ。
(真也!?)
(な、何を言うのじゃ!?)
二人は反対した。
(食べて真実を伝える)
(そんな!?そんな事したら姫路さんが傷つくよ!?)
確かに、だが――
(遅かれ早かれだ。後で言ったら『あの時庇われたんだ』って思って自分を責めるぞ)
姫路のことだ。どっちにしても自分を責めるだろう。なら今言って直させた方がためになるだろう。
(それじゃ、イッてくる)
(真也…)
(すまぬ。真也)
(なに、気にすんな。俺が自分の意思でイクんだから)
そう言って姫路に向き合う。
「俺もいただくよ」
「あ、は、はい!どうぞ!」
なんで姫路が緊張してるんだよ。
「んじゃ、いただきます」
そう言って俺もエビフライを口に入れた。
うん。衣がガリガリしてエビがグチュグチュしていて香ばしさを超えた辛味と鼻に突き抜ける酸味がすごく――
「ぐふぁ!」
――すごく、やばいです。
「か、神上君!?どうしました」
ぐ、耐えろ俺。気をしかっり持て。まだ、眠っちゃ駄目だ!
「ひ、姫路、単刀直入に聞く、何か入れたか?」
「あ、はい。冷めてもおいしく食べれたり、味を引き立てるために少々」
「…何を、入れた?」
「塩○化カル○ウムに水○化ナ○リウム、硫○化ナ○リウムに、○銀を少々」
あれ、おかしいな。所々聞こえなかったよ。うん、色々おかしなものが聞こえたけど気のせいだな。
明久と秀吉を見ると震えていた。どうやら気のせいではないらしい。
「姫路、料理に科学用品なんか入れんな」
俺はついに言ってしまった。
「えぇ!?で、でも、ちゃんと中和したから問題ないはずです!」
「いや、人体に問題なくても味に問題がある」
「そ、そんな…」
そう言って一口食べた。
「~~~!!!」
うん、やはり不味かったのか悶えてる。
「わかったか。姫路」
「…はい」
…すっげぇ落ち込んでる。罪悪感が半端ない。
フォローしとくか。
「今度はちゃんと作ってきてくれよ」
「え?」
どうして?みたいな顔をしてきた。
だって――
「だって見た目はうまそうなんだから、ちゃんとした調味料使って作ってきたら絶対うまいに決まってる」
そういって姫路の頭に手を置き
「今度は期待してるよ」
撫でながら、安心できるように笑顔で言った。
「…はい!」
ふう。一応元気が出たな。よかったよかった。
でも、
「「・・・・・・・」」
約二名が微妙な顔で睨んでいる。よかったなぁ感と嫉妬感がばりばり出てる。てか、なんで秀吉まで?
「んじゃ、俺も弁当持ってきたし、みんなで食うか」
この後、雄二や島田も入れてみんなで弁当を食べた。
余談だが雄二が姫路の弁当を食った。こういう世界ってすごいね。ホントに目を見たら何て言いたいかわかっちゃうから。『毒を盛ったな』って。
それを見た姫路がまた落ち込んだからとりあえず雄二をぼこっといた。