「はぁ…まさかあれ以上設備がひどくなるなんて思わなかったよ」
俺達は教室に入り、明久はそう言った。
「これというのも…!」
「ん?」
明久は雄二を睨み、雄二は何だ?と言った風に明久を見た。
「すべて貴様のせいだ!!」
明久は雄二を指さし言った。
「みんなが力を合わせた結果に文句を言うなんて無粋な奴だな」
何をしれっと言ってるんだ。
「雄二が一人で負けたんだろ!!」
ほとんどが同意しているが何人かが何も言わない。俺もその一人だ。
「何言ってんのよ、アキ!」
『ん?』
俺達は声が出た方を見ると、島田だった。
「人のこと言える立場じゃないでしょ。うちらだって全然戦力にならなかったんだから」
島田がそう言うとみんな何も言わなくなった。
「そうだね。美波だって読みが全然浅く、あっさり負け頭蓋骨が割れるように痛いぃぃぃ!!」
明久が発言している途中で島田がアイアンクローをした。
「何よそれ!あんただってそうでしょ!」
「そ、そうだけど、美波がいいだした…」
「あんたに言われると腹が立つのよ!」
理不尽だ。
「その技、面白くない…」
「ムッツリーニ、いつの間に…」
よく見ると下にムッツリーニがいた。隙をみて島田のスカートの中を撮ろうとそたのだろう。気のせいかカメラのレンズもしょぼんと下へ垂れている。
「はぁはぁ…」
しばらくして、ようやく明久が解放された。
「だけどこいつは、作戦の要だったのに小学生レベルのテストで百点とれなかったんだよ!?」
そして再びビシッっと雄二に指をさして言った。
「坂本君を責めちゃだめですよ」
今度は姫路が言ってきた。
「良いじゃないですか。私この教室好きですよ」
(そりゃ、好きな奴がいるからな)
そう思い明久を見るとなんか暗い雰囲気を出してしょぼんとしている。お前のことだっつうの。
キーンコーンカーンコーン
「ようし、ホームルームを始めるぞ」
チャイムと同時ににっしー先生が入ってきた。
「おい。なんで鉄人が来ているんだ」
と雄二が聞いてきた。そう言えば雄二は霧島に連れて行かれたな。
「新しい担任なんだと」
「な、なんだと!?」
そりゃ驚くよな。
「そういう訳だ坂本。お前たちの観察とこのFクラスの担任だ。容赦なくビシバシしごくから覚悟しておけ!」
…ぶっちゃけて言おう。面倒だ。
「はぁ、これじゃあ毎日が鬼の補習になるものじゃないか…」
「面倒だな」
「そうじゃのう。どうにかできないものじゃろうか?」
さすがの秀吉も、これには不満があるみたいだ。
「そうだ、もう一度召喚戦争して、勝てばいいんだ」
と明久は言うが
「それは無理な話だな」
雄二に却下された。
「どうして?」
「一度負けたクラスは、三ヶ月は宣戦布告できないルールだ」
「三か…!?」
あ、崩れ落ちた。
「なに、三ヶ月なんてあっという間だ。その間に新たな作戦でもたてるさ」
ポジティブだな。
「あ~、どうしてこんなことに…」
「しゃあないだろ。何時までも過ぎたことを言うな」
「でもぉ…」
ああ、もう!何時までもぐちぐちと!
「いいこともある」
そこにムッツリーニが来て
「一枚五百円」
秀吉の写真を見せた。
「買ったぁぁ!!」
即買いした。
「うおぉぉぉ!!生ぁぁぁ!!」
何を興奮してるんだ、こいつは。
「お前、食費は?」
ガタン!!
雄二の言葉に、また崩れ落ちた。
「うおぉぉぉぉぉ!!」
「何を悩んでおるのじゃ?」
「俺達にはわからない悩みだよ」
本当にわかんねぇ。
「そうか。…ところで真也?」
「ん?なんだ?」
「お主は…その、買わぬのか?その…写真」
「買わねぇよ!本人がそんなの聞くな!」
俺をこいつ等と一緒にすんな!
「そ、そうか。買わぬのか」
「当たり前だ」
まったく、何考えてんだか。
パタン
そうこうしていると明久は悩み終わり、写真をアルバムの中に入れた。
「男なら後悔しない!」
「勇者だな…」
「嫌な勇者の称号だな…」
でも自分の意思を貫いたってとこを見たらかっこいいよな。内容は不純だけど。
「これでとうとう、次の仕送りまで1日カップラーメン1個決定だ…!」
そんな状況なのに写真を取ったのかよ。
「明久よ。お主何か忘れておらぬか?」
「え?」
ああ、あれか。
「ここにいたんですね」
「あ、いたいた。アキ」
そうこう話していると姫路と島田が来た。
「ねえねえ、週末の待ち合わせ、どうする?」
「待ち…合わせ…?」
首を傾げて言う明久。
「忘れたとは言わせないわよ。クレープ奢ってくれる約束でしょ」
「えぇ!?そ、それって、昨日ので終わりじゃないの!?」
「昨日は昨日、約束は約束!」
いや、まぁ、確かにな。でも確か、昨日も『約束』って言ってなかったか。
「あの、神上君」
「ん?」
今度は姫路が、しかも俺に話しかけてきた。
「あの、私「あ、いたいた、神上君」え?」
「え?」
今度は木下姉がきた。
「あのさ、今度の週末って暇?」
「あ、ああ。暇っちゃ暇だが」
何だろう、嫌な予感。
「じゃあさ、週末に映画見に行こうよ」
「…なぜに?」
ホント、なんで?
「あら、良いじゃない。女の子と一緒に映画見に行ったりするなんて、デートよ。デー・エー・ト♪」
「…それはつまり、『デートに行きましょう』という誘いなのか?」
なんか色々言ってきたから反撃をさせてもらうぜ。
「うん♪そうよ♪」
…あっさり言い返されるとわ。
「だ、ダメです!神上君は私と映画を観に行くんです!」
あれ?デジャブ?
「そ、それに付き合ってもないのに、デ、デートだなんて…」
「姫路、落ちつけ」
だいぶテンパってるな。
「あ、姉上達が行くならワシも行くのじゃ!」
またか!?
「秀吉、お前部活は?」
確かあったと思うが。
「う…」
あるんだな。
「週末、良いでしょ、神上君?」
「神上君、私も行きます!」
「ワシは…ワシは…!」
「僕の食費が!!」
何これ、カオス?
結局、週末に明久と島田も入れて映画を見に行き、ついでにクレープを食べに行くこととなった。
ちなみに秀吉は、部活に行くこととなった。