「あ~あ。まさか、Fクラスなんてなぁ」
「当然だろ」
「でも、十問に一問は解けたんだよ!」
「だからだろうが!」
こいつ、それでよくCかDクラスだなんて言ってたな。
「うわ!」
「ん、どうしたんだ明久って、ああ、なるほど」
驚いた明久の目を追うとそこには、Aクラスがあった。
すごいな。アニメや漫画で見るのとは大違いだ。
教室自体広いし、ノートパソコン、個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシートその他の設備。冷蔵庫のなかには飲料水が入ってるし、菓子まである。紅茶があるって贅沢すぎだろ。高級ホテルも真っ青な設備だ。
「皆さん進級おめでとうございます。私はこの二年A組の担任、高橋洋子です。よろしくお願いします」
お、高橋女史が自己紹介してるところか。
「では、はじめにクラス代表を紹介します。霧島翔子さん。前に来てください」
「……はい」
・・・霧島、か。
あいつとは去年、色々あったからな。主にあいつ関連で。ホント、一途だな。あいつも気にはしてるんだし、付き合えばいいのに。あれか?シャイってやつか?
さて、俺たちも急がなきゃな。
「急ぐぞ明久」
「あ、うん」
「・・・廃墟?」
そう言わざるをえないだろ、これ。
「ひどいね」
「ああ。とても設備っつうか教室とは言えん」
ぼろぼろにも程がある。てかここまで来るのにほかの設備見てきたけど、他はまだまともだと言える。が、Fクラスだけめちゃくちゃひどいな。
「まぁとにかく、入るぞ明久」
「うん」
ガラ!
「おはようございます」
俺が入る。
「すいません、ちょっと遅れちゃいましたっ♪」
明久(ウジ虫野郎)が入る。
「早く座れ、このウジ虫野郎」
うん、確かに今のはそう言いたくなるほどイラついた。本人は陽気に登場したかっただけかも知れんが。
「聞こえないのか? あぁ?」
「雄二、そのくらいにしておけ」
さすがに言いすぎ。
「ん?真也までいるのか?」
予想外だったのか、雄二は少し驚いて言った。
「ああ。で、なにしてんだ」
「先生が遅れているらしいから、代わりに教壇に上がってみた」
子供か、お前は。
「先生の代わりって、雄二が?なんで?」
「一応このクラスの最高成績者だからな」
「え?それじゃ、雄二がこのクラスの代表なの?」
「ああ、そうだ」
そう言うと雄二はニヤリと口の端を吊り上げた。
「これでこのクラスの全員が俺の兵隊だな」
戦争の・・か。
「席は?」
一応聞く。
「適当だ」
「決まってないのかよ」
まぁ、これで決められてても困るな。
「んじゃ、俺は一兵隊としてがんばるよ、隊長」
「ああ」
席に行く前に俺たちはそんなやりとりをした。
しばらくして先生が入ってきた。
「えー、おはようございます。二年F組担任の」
そう言って後ろを向いたが
「福原慎です。よろしくお願いします」
チョークがなくてやめた。つかチョークって主に先生が使うんだよな。いいのか、おい。
「皆さん全員に卓袱台、座布団は支給されてますか? 不備があれば申し出て下さい」
教室としての不備なら一目瞭然なんだがな。
「せんせー、俺の座布団に綿がほとんど入ってないです!」
と、クラスメイトの誰かが先生に設備の不備を申し出る。
「あー、はい。我慢してください」
不備聞いた意味あるのか?
「先生、俺の卓袱台の脚が折れています」
「木工ボンドが支給されていますので、後で自分で直してください」
自分でかよ。てか折れてる、折れるってわかりきってたな、支給した側。
「センセ、窓が割れていて風が寒いんですけど」
「わかりました。ビニール袋とセロハンテープの支給を申請しておきましょう」
新しいのにすると言う選択肢はなしか。
「必要なものがあれば極力自分で調達するようにしてください」
Aクラスとは間逆の対応だな、おい。てかこれらって、廃棄する予定だった物とかじゃないのか。なんかそんな気がしてきた。
「では、自己紹介でも始めましょうか。そうですね。廊下側の人からお願いします」
お、ようやく自己紹介シーンか。
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる」
お、早速秀吉か。あいつとは、入学式、帰りになんか絡まれていた(おそらくナンパ)所を助けて仲良くなった。
・・・時々友情以上の視線がくるのは気のせいだよな?
「──と、いうわけじゃ。今年一年よろしく頼むぞい」
そう言って座った。横では明久がなんか悶えている。そういえば小説では最初はまだ秀吉は男と認識してたな。俺は大丈夫だけど。
「…………土屋康太」
まじ短いな、ムッツリーニ。あいつも、会った時期はだいたい入学式ごろだな。なんかいきなり勧誘された。ムッツリーニ商会に。
「──です。海外育ちで、日本語は会話はできるけど読み書きが苦手です。あ、でも英語も苦手です。育ちはドイツだったので。趣味は──」
お、この紹介は・・さて明久のほうを見ると、
「趣味は吉井明久を殴ることです☆」
女の子の声で希望が出てたのに、一気に絶望した顔になった。島田、ツンデレ乙。
さて、明久の番だな。耳ふさいどこ。
「──コホン。えーっと、吉井明久です。気軽に『ダーリン』って呼んで下さいね♪」
『ダァァーーリィーーン!!』
ノリのいい奴らだ。不愉快だけど。
「──失礼。忘れて下さい。とにかくよろしくお願い致します」
そんな顔するならやんなきゃ良かったのに。さすがバカ。
さて、俺だな。
「神上真也だ。これからよろしく」
こんなもんだろ。さて次は──
ガラッ!
「あの、遅れて、すいま、せん……」
『えっ?』
おっと真打登場か。うん、元気そうだな、姫路