「丁度よかったです。今自己紹介をしているところなので姫路さんもお願いします」
「は、はい! あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします……」
福原さん(さん付けはなんとなく)が自己紹介を頼むとすぐさま自己紹介をした姫路。せめて息ぐらいは整えようぜ。・・いや、整えさせてやろうぜ、か?
「はいっ! 質問です!」
いきなりかよ!?
「あ、は、はいっ。なんですか?」
「なんでここにいるんですか?」
言い方によっては失礼だな、それ。
「そ、その……振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして……」
その言葉を聴き、クラスの奴らは『ああ、なるほど』とうなずいた。
『そう言えば、俺も熱の間題が出たせいでFクラスに』
『ああ。化学だろ?アレは難しかったな』
『俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力を出し切れなくて』
『黙れ一人っ子』
『前の晩、彼女が寝かせてくれなくて』
『今年一番の大嘘をありがとう』
突っ込んでる奴(等?)はまとも・・だな?
「で、ではっ、一年間よろしくお願いしますっ!」
そう言って自己紹介を終え、座る姫路。
「き、緊張しましたぁ~……」
うん、ねぎらってやるか。
あ、でも明久が話しかけるな。その後でいいか。恋路に関してはからかったりするけど、邪魔はしない。・・あんまりな。だが、面白くなったりしたらそっちに持っていくけど。
「あのさ、姫──「姫路」」
さすが雄二、狙ってるとしか思えない。あ、明久がまた絶望した顔してる。
「は、はいっ。何ですか? えーっと……」
「坂本だ。坂本雄二。よろしく頼む」
「あ、姫路です。よろしくお願いします」
そう言って深々と頭を下げる姫路。ホントいい育ちしてるんだよな。
「ところで、姫路の体調は未だに悪いのか?」
「あ、それは僕も気になる」
お、ようやく話できたな。
「あ、吉井君。はい、もうすっかり平気です」
あれ?普通に返した。・・まぁいいか。
「姫路。明久がブサイクですまん」
いきなり、ひどいな!おい。
「そ、そんな! 目もパッチリしてるし、顔のラインも細くて綺麗だし、全然ブサイクなんかじゃないですよ!」
おや、今度はちゃんと慌てて返した。・・まぁ(ry
「そう言われると、確かに見てくれは悪くない顔をしているかもしれないな。俺の知人にも明久に興味を持っている奴がいたような気もするし」
「え? それは誰?」
あれ?姫路何も聞かなかったな。・・ま(ry
「確か、久保──」
「・・ごくっ」
「──利光だったかな」
久保利光、知らない人は名前から連想できるだろう。まごうことなき♂(オス)である。
「………………」
「おい明久。声を殺してさめざめと泣くな」
「お前がそうしたんだろ。でもよかったな、明久。綺麗だってよ」
暇になってきたので俺も入ることにした。
「か、神上君!?」
姫路さん?なぜそこで、言いよどむんですか?
「ああ、そうか。ブサイクなのは真也の方か」
「喧嘩売ってんのか雄二」
なら、遠慮なくヤルぞ?
「そ、そんな!そんな事ありませんよ!!顔のラインも整ってるし、キリッとしてるし、全然ブサイクじゃないですよ!!」
「・・・どうも」
こう言われると、さすがに照れるな。
「まぁ明久のは半分冗談だ。安心しろ」
「え?残り半分は?」
「おい、俺は?」
俺のは本気なのか?
「ところで姫路。体は本当に大丈夫なんだな?」
「はい。もうすっかり平気です」
「ねぇ雄二!残りの半分は!?」
「俺のはどうなんだ!?」
本気、もしくはこのまま無視ならまじでヤッてやる。
「はいはい。そこの人達、静かにしてくださいね」
おもわず大声を出してしまいパンパン、と教卓を叩いて先生が警告を発してきた。
「あ、すいませ──」
バキィッ バラバラバラ……
・・・“パンパン”だよな“バンバン”じゃなくて。軽くしただけで粉々になるなんて。よくこれ教卓としてもってきたな。
「え~……替えを用意してきます。少し待っていてください」
そう言い先生は教室から出て行った。
「あ、あはは……」
姫路が苦笑いをしていた。
明久をはっと、真剣な顔をしているな。試召戦争をする決意をしたんだろう。
「雄二、真也、ちょっといい?」
そら来たぜ。
「ん? なんだ?」
「ここじゃ話しにくいから、廊下で」
「別に構わんが」
「俺もいいぜ」
雄二に続き俺も廊下に出る。
「んで、話って?」
「この教室についてなんだけど……」
この教室というのは言うまでもなくFクラスのことだろう。
「Fクラスか。想像以上に酷いもんだな」
「雄二もそう思うよね?」
「もちろんだ」
「真也は?」
「俺もそう思う」
俺も同意する、ってか同意しなきゃおかしいだろ。
「Aクラスの設備は見た?」
「ああ。凄かったな。あんな教室は他に見たことがない」
「あっちも違う意味で、『教室か、これ』って言いたくなるほどな」
「そこで僕からの提案。折角二年生になったんだし、『試召戦争』をやってみない?」
キタコレ。な気分だ。
「戦争、だと?」
「うん。しかもAクラス相手に」
「……何が目的だ」
おっと、雄二さん、探りを入れております。
「いや、だってあまりに酷い設備だから」
「嘘をつくな。全く勉強に興味のないお前が、今更勉強用の設備なんかの為に戦争を起こすなんて、そんなことはありえないだろうが」
学校生活を快適にということならありえるが、
「……姫路の為、か?」
だよねぇ。
「ど、どうしてそれを!?」
「本当にお前は単純だな。カマをかけるとすぐに引っかかる」
あいかわらずポーカーフェイス向いてねぇなぁ。
「ベ、別にそんな理由じゃ──」
まだ言ってる。
「はいはい。今更言い訳は必要ないからな」
「だから、本当に違うってば!」
「ふうん。なら姫路のことはなんとも想ってないと」
俺もカマかけしてみた。
「い、いや。別にそういう訳でも無いけど――」
「なら、姫路のこと想ってるんだよな」
「ぐぅ…」
本当に単純。まだ誤魔化せる言葉あるのに。
まぁ、そこが、正直な、真っ直ぐな所がいい所でもあるけどな。
「まぁいい。お前に言われるまでもなく、俺自身Aクラス相手に試召戦争をやろうと思っていたところだ」
「え?どうして?雄二だって全然勉強なんてしてないよね?」
「世の中学力が全てじゃないって、そんな証明をしてみたくてな」
「???」
そういえば俺も、どうして雄二がこんな風に思っているのか、よく知らないんだよな。
「それに、Aクラスに勝つ作戦も思いついたし──おっと、先生が戻ってきた。教室に入るぞ」
「あ、うん」
「おう」
雄二に促され、俺たちは教室に戻った。
「さて、それでは自己紹介の続きをお願いします」
教卓、替えた?最初と一緒ぐらいボロい。
「えー、須川亮です。趣味は──」
さて、いよいよか。
「坂本君、キミが自己紹介最後の一人ですよ」
「了解」
そう言い、雄二は教壇に上がった。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。俺のことは代表でも坂本でも、好きなように呼んでくれ」
さすがだな。みんなに注目されていても堂々としている。
「さて、皆に一つ聞きたい」
かび臭い教室。
古く汚れた座布団。
薄汚れた卓袱台。
「Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいが──」
一呼吸おいて、静かに告げる。
「──不満はないか?」
『大ありじゃぁっ!!』
Fクラスは精一杯の声で叫んだ。
「だろう? 俺だってこの現状は大いに不満だ。代表として問題意識を抱いている」
『そうだそうだ!』
『いくら学費が安いからと言って、この設備はあんまりだ!改善を要求する!』
『そもそもAクラスだって同じ学費だろ?あまりに差が大きすぎる!』
今まであがらなっかたが次々とあがる不満の声。
「みんなの意見はもっともだ。そこで」
そしていかにも何か企んでいるような顔をし
「これは代表としての提案だが──」
はっきりと
「──FクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う」
そう告げた。
さて、、戦争の結末、どうしようかな。