バカと楽しく過ごしてく   作:リミア

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7話・・勝利の握手とか胴上げってしたことある?俺はない…あ、円陣はしたことあるわ

「凄ぇよ! 本当にDクラスに勝てるなんて!」

 

「これで畳や卓袱台ともおさらばだな!」

 

「ああ。アレはDクラスの連中の物になるからな」

 

「坂本雄二サマサマだな!」

 

「やっぱりアイツは凄い奴だったんだな!」

 

「坂本万歳!」

 

「姫路さん愛しています」

 

勝利した途端色んな所から賛美の声が上がった。…うん間違ってないよな。

 

「あー、まぁ。なんだ。そう手放しで褒められると、なんつーか」

 

照れてんなぁ、ギャップというやつですな。男の見てもキモイだけだけど。(雄二限定で)反応するのは霧島だけか。

 

「雄二!」

 

「ん? 明久か」

 

「僕も雄二と握手を!」

 

雄二の前に明久(復讐鬼)登場。

 

ガシィッ

 

「雄二……! どうして握手なのに手首を押さえるのかな……!」

 

「押さえるに……決まっているだろうが……! フンッ!」

 

「ぐあっ!」

 

ガシャン!

 

…どこから包丁が?全くわからなかったぞ?

 

「………」

 

「………」

 

当然ながら無言の二人。

 

「雄二、皆で何かをやり遂げるって、素晴らしいね」

 

「………」

 

明久が喋るが雄二は無言のまま。

 

「僕、仲間との達成感がこんなにもいいものだなんて、今まで知らな関節が折れるように痛いぃっ!」

 

「今、何をしようとした」

 

「も、もちろん、喜びを分かち合うための握手を手首がもげるほどに痛いぃっ!」

 

「おーい。誰かペンチを持ってきてくれ!」

 

誰がそんな物持ってるんだよ。いや、学校側にはあるだろうが。

 

「す、ストップ! 僕が悪かった!」

 

「……チッ」

 

舌打ちをして解放する雄二。明久の復讐はこうして終わった。

 

「……生爪……」

 

小声で言うな、怖いわ。

 

「まさか姫路さんがFクラスだなんて……信じられん」

 

…あ。この二人のせいですっかり忘っけてた。

 

「あ、その、さっきはすいません……」

 

「いや、謝ることはない。全てはFクラスを甘く見ていた俺達が悪いんだ」

 

まぁ、騙し討ちっぽかったのは認めるがな。これも作戦だ。って何もっやってない俺は言えないが。

 

「ルールに則ってクラスを明け渡そう。ただ、今日はこんな時間だから、作業は明日で良いか?」

 

「もちろん明日で良いよね、雄二?」

 

明久が雄二に聞くが

 

「いや、その必要はない」

 

と、雄二は否定した。

 

「え?なんで?」

 

「Dクラスを奪う気はないからだ」

 

まぁ、本来雄二は設備自体どうでもいいからな。

 

「雄二、それはどういうこと?折角普通の設備を手に入れることができたのに」

 

「忘れたのか?俺達の目標はあくまでもAクラスのはずだろう?」

 

まぁ、どうせならAクラスを、と言ったところか。

 

「でもそれなら、なんで標的をAクラスにしないのさ。おかしいじゃないか」

 

…こいつは、質問ばっかして。屋上でも少しは話をしただろうが。

 

「少しは自分で考えろ。そんなんだから、お前は近所の中学生に『馬鹿なお兄ちゃん』なんて愛称をつけられるんだ」

 

「なっ!そんな半端にリアルな嘘をつかないでよ!」

 

…明久、そういっている時点で少し認めてるぞ。

 

「おっとすまない。近所の小学生だったか」

 

「……人違いです」

 

「まさか……本当に言われたことがあるのか……?」

 

あります。ツインテールの女の子に。ちなみにそん時俺もいた。その話はまた今度。

 

「と、とにかくだな。Dクラスの設備には一切手を出すつもりはない」

 

「それは俺達にはありがたいが……。それでいいのか?」

 

「もちろん、条件がある」

 

そりゃそうだ。じゃなきゃ戦った意味がない。

 

「一応聞かせてもらおうか」

 

「なに。そんなに大したことじゃない。俺が指示を出したら、窓の外にあるアレを動かなくしてもらいたい。それだけだ」

 

「Bクラスの室外機か」

 

「設備を壊すんだから、当然教師にある程度睨まれる可能性もあるとは思うが、そう悪い取引じゃないだろう?」

 

ま、このままクラスに恨まれるより、ましかな。

 

「それはこちらとしては願ってもない提案だが、なぜそんなことを?」

 

「次のBクラス戦の作戦に必要なんでな」

 

あの、外道を倒す為にな。

 

「……そうか。ではこちらはありがたくその提案を呑ませて貰おう」

 

「タイミングについては後日詳しく話す。今日はもう行っていいぞ」

 

「ああ。ありがとう。お前らがAクラスに勝てるよう願っているよ」

 

「ははっ。無理するなよ。勝てっこないと思っているだろ?」

 

「それはそうだ。AクラスにFクラスが勝てるわけがない。ま、社交辞令だな」

 

正直に言いやがって。まぁいいか。

 

「さて、皆!今日はご苦労だった!明日は消費した点数の補給を行うから、今日のところは帰ってゆっくりと休んでくれ!解散!」

 

雄二が号令をかけると、皆雑談を交えながらFクラスへと向かい始めた。ほんと、代表っぽいなぁ。

 

「真也、雄二。僕らも帰ろうか」

 

「そうだな」

 

と、帰ろうとしたが。

 

「あ、あのっ、坂本君っ」

 

「ん?」

 

姫路が呼び止めた。

 

「お、姫路。どうした?」

 

「実は、坂本君に聞きたいことがあるんです」

 

ああ、あの話か。

 

「おう。わかった」

 

雄二はOKして姫路についていった。明久は…何してんの的な動きをしている。まるで自分の中に悪魔しかいなかった様な動きだ。

 

「ま、元々興味があったが、きっかけはコイツがそんな相談をしてきたってコトだ」

 

お、話も終わりかな。

 

「あの、吉井君がそんなことを言い出した理由って……」

 

「さて。そう言えば、振り分け試験で何かあったみたいだが、それと関係があるかもしれないな。バカにはバカなりに譲れないものがあった、ってコトだろ?」

 

「…あの、それじゃあ神上君はどうして?」

 

「さぁな。あいつは何故かは知らんが、まぁ後で聞いてみればいい」

 

うん?今俺の名前が出たような。

 

「さて真也、明久。そろそろ帰るぞ」

 

「ん?あ、ああ」

 

考えてたら何時の間にか雄二がそばまで来ていた。

 

「あ、うん。姫路さんとはもういいの?」

 

「ああ、今のところはな」

 

?どうしてだろう。俺がいるから新たな問題発生か?まぁ、大丈夫だよな。

 

「ふーん、そっか。よくわからないけど、それじゃ帰ろうか。姫路さん、またね」

 

「じゃあな。姫路」

 

「あ、はい! さようなら!」

 

こうして俺たちは帰路についた。

途中明久は何か怒った顔をしていた。まるで天使も悪魔と同じだったような顔だ。

 

「それにしてもさ」

 

「ん?」

 

「Dクラスとの勝負って本当に必要だったの? 別にエアコンくらいなら他の方法でも壊せたと思うけど」

 

明久が思い出したように雄二に質問した。

 

「ああ、そのことか。理由は他にもある。クラスの皆を試召戦争に慣れさせる為だとか、他のクラスにプレッシャーを与える為だとか、自信をつけて士気を上げる為だとかな」

 

「ふーん。それじゃ、Dクラスの設備を手に入れなかったのは?」

 

「目的はあくまでAクラスだからな。Dクラスの設備を手に入れることで一部の奴らが満足して試召戦争に反対し始めるかもしれないだろう?そうならない為と、不満によるモチベーションを維持する為だ」

 

本当に、すさまじい策士っぷりだな。

 

「だが、設備を奪わなかったことを不満に思う奴らもでてくるぜ」

 

俺も会話に参加した。この事は結構疑問に思っていた。

 

「ああ。そうかもな。だが、Aクラスを取る、と最初に目標を立てたからな。みんな、その事を少しは意識はしているだろうからな」

 

…抜け目なしってやつか。ほんと、たいした奴だな。

 

「Aクラスに勝てるかな?」

 

明久が不安な声を出した。

 

「無論だ。俺に任せておけ」

 

だが、雄二の力強い安心できる声で答えた。

 

「……ありがとう。僕のわがままの為に」

 

「別にそんなわけじゃない。試召戦争は俺がこの学校に来た目的そのものだからな」

 

ふと雄二が遠くを見る。…こいつはこいつで過去に何かあったんだろうな。

 

「目的の為にも、明久にだってきっちり協力してもらうからな。とりあえずは明日の補給テストで」

 

「……ぐぅ」

 

「お前、忘れてたな?」

 

たく、しょうがない奴だな。

 

「ゲームばかりしてないで、寝る前に少しくらい勉強もしておけよ」

 

「はいはい。教科書くらいは読んで……ん?」

 

「どうした?」

 

何か鞄を漁ってるが、

 

「あ! 教科書、卓袱台の下に置いたままだった!」

 

やっぱりか。

 

「……あほ。さっさと取って来い」

 

「うぅ……。んじゃ、先に帰っていいよ」

 

「もちろんだ。待ってるわけがないだろう」

 

「わかっていたけど、薄情もの」

 

たく、こいつは。…てしまった。

 

「明久俺も行く。筆箱忘すれちまった」

 

「なんだ、真也もか。明久並だな」

 

「おい。こいつは教科書自体忘れて、しかも軽いことに疑問を持たなかったんだぞ」

 

同じにするな。

 

「…そうだな。悪かった真也」

 

「わかってもらえたらいいんだ」

 

頭を下げ謝った雄二を、俺は許した。

 

「二人なんか嫌いだ!!」

 

あっ、走って行っちまった。しゃあない。俺も走って追うか。

 

「たっだいまー」

 

「ようし。じゃあ、お前これからここに住め」

 

「じょ、冗談だよ」

 

と、馬鹿なことをしていると

 

「か、神上君、吉井君!?」

 

「あれ? 姫路さん?」

 

「姫路?」

 

姫路の声が上がった。しまった、ここはラブレターのフラグだったな。

 

「どどどどうしたんですか?」

 

「あぁ、ちょっと忘れ物をな」

 

そうして、姫路の卓袱台の上には例のラブレターがあった。

 

「あ、あのっ、これはっ」

 

見られて慌てているせいで言葉が出てこないみたいだ。

 

「これはですね、そのっ」

 

「うんうん。わかってる。大丈夫だよ」

 

いや、絶対わかっていないよ、お前は。

 

「えっと──ふあっ」

 

≪あなたのことが好きです≫

 

姫路がこけて紙がこっちに来たせいで、手紙が丸分かりになってしまった。

 

「…………」

 

明久は手紙を手に取り姫路に差し出した。

 

「変わった不幸の手紙だね」

 

「お前認めない気だろ」

 

ほら、やっぱり。

 

「あ、あの、それはそれで凄く困る勘違いなんですけど……」

 

そらそうだ。

 

「そんなことをしないでも、言ってくれたら僕が直接手を下してあげるのに。ああ大丈夫。スタンガンなら隣のクラスの山下君に借りてくるから」

 

「お前、何する気だよ」

 

てか誰だ山下って。

 

「吉井君。これは不幸の手紙じゃないですから」

 

「嘘だ!それは不幸の手紙だ!実際に僕はこんなにも不幸な気分になっているじゃないか!」

 

「ええい、やかましい!おとなしくしてろ!!」

 

「ぐっふぅ!!」

 

いい加減鬱陶しくなったので、鳩尾に一発食らわしてやった。

 

「悪いな、姫路」

 

いろんな意味で。

 

「あ、い、いえ。その吉井君は…」

 

「ああ、こいつなら大丈夫」

 

こんなん日常茶飯事だからな。

 

「じゃあな。邪魔したな」

 

と出て行こうとしたが、

 

「あ、待ってください!」

 

姫路に強く呼び止められてしまった。

 

「ん、どうした?」

 

こいつなら平気なんだが。

 

「あ、あの、神上君はどうしてこの戦争をしようと思ったんですか?」

 

え、俺の話なの?明久じゃなくて。あ、明久は雄二から聞いたな。…まぁいいか。

 

「色々理由はあるけど、まぁ面白そうだったし。それに・・・」

 

そうして俺は姫路に真っ直ぐ向き

 

「バカな親友が良いバカをやろうとしてるんだ。協力すんのは当然だろ」

 

俺は笑顔で言い切った。

 

「・・・・」

 

恥ずかしいけど姫路もちゃんと聞いてくれた。

 

「それに、体が強くない奴もいるんだ。何とかしたいと思うもの当然だろ」

 

「え・・・それって///」

 

あ、赤くなってる。俺も結構恥ずい//

 

「んじゃ。そういうことで。あ、そうそう」

 

俺はもう一回姫路に振り向き

 

「その手紙、うまくいくといいな」

 

俺が応援すると

 

「あ・・・はい!」

 

いい笑顔で返事をした。

ま、このくらいはいいだろ。

 

 

 

ちなみに明久は学校を出た瞬間目覚めた。ちゃんと忘れ物は取っといた。

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